【ADCC2022】99キロ級 出場7度目、5度目のセミファイナル出場のロバトJrを破ったカイナンが決勝へ
【写真】3年前の大会で+99キロ級を制したカイナン。2021年と2022年はムンジアルのヘビー級王者は大ベテランを破って決勝進出を決めた(C)SATOSHI NARITA
9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi
ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第14 回からは99キロからカイナン・デュアルチのラファエル・ロバトJrの勝ち上がりと両者の準決勝戦の模様をお伝えしたい。
前回大会99キロ超級の覇者にして、今年の世界柔術も制している優勝候補筆頭のカイナン・デュアルチは、1回戦で英国のオーウェン・リヴシーと対戦。加点時間帯にクローズドガードから両ワキを差し、リヴシーの体を引きつけて伸ばしてからスクランブルで上を取る見事な技術で2点を獲得。その後も低く体重を預けてサイド、マウントとポジションを制し8-0で快勝した。
2回戦は、そのレスリング力故にダークホースとも見られたエルダー・クルーズ──初戦は世界柔術で2度準優勝を果たしているパトリック・ガウジオと対戦し、スタンドの積極性で上回って延長レフェリー判定勝ちを収めた──と対戦。
クルーズのダックアンダーを迅速の反応でスプロールすると、背後に回って四の字フックを完成。そのままマウントも取って先制し、クルーズに体勢を入れかられるものの、5-2で快勝。順当に2日目に勝ち上がった。
デュアルチの準決勝の相手は、大ベテランのラファエル・ロバトJrだ。2013年の88キロ以下級準優勝者のロバトJrは、2007年に初出場以来なんとこれが7度目のADCC世界大会出場だ。初戦では、フィンランドのペルトゥ・テポネン相手に四つから脇を潜ってバックを奪うと、フェースロックで快勝している。
2回戦は昨年の準優勝者のヴィニシウス・フェレイラと対戦したロバトJr。本戦終盤にフェレイラのボディロックからのテイクダウンを切り返す形で上を取り、2-0で勝利。実に5度目のADCC世界大会準決勝進出を決めた39歳のレジェンドは「今回が最後となるかもしれない。僕はもう父親になったし、人生の次のフェイズに入ろうとしているから。そんな今でも世界のトップの選手たちと戦えて感無量だよ」と涙を流した。
<99キロ級準決勝/10分1R+ExR>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.ExR by Ref Decision
ラファエル・ロバトJr(米国)
迎えた両者の準決勝。積極的にフェイントを仕掛けるカイナンは、1分ほどのところでダブルレッグでテイクダウン。加点時間帯前とあって、ロバトJrはあまり抵抗せず下のポジションを受け入れた。
ここからカイナンは低くプレッシャーをかけていくが、右足に絡んだロバトJrがニーシールドと腕のフレームで阻止。この攻防が延々と続き、加点時間帯を超えても展開は変わらず。試合は延長戦に持ち込まれた。
スタンドから再開された延長戦。軽快なフットワークのカイナンは序盤同様に細かくフェイントを入れては、ロバトJrの首を掴んで押し下げてそのスタミナを奪いにかかる。が、お互いなかなかテイクダウンは仕掛けられず、両者にマイナスポイントが与えられる展開に。
以後もカイナンはアウトボクシング的スタンドレスリングとでも呼びたくなるようなフットワーク&フェイントで、ペースを支配。動きが明らかに落ちてきたロバトJrもテイクダウンを試みるが、カイナンは軽く距離を取って回避した。
残り45秒。相変わらず軽快な動きのカイナンがダブルレッグを仕掛けると、そのままドライブしてテイクダウンに成功。が、倒されたロバトJrはいったん背中を向けて亀になってから正対し、失点は回避して見せた。さらに下からアームドラッグを仕掛けるロバトJrだが、強力なベースを誇るカイナンは崩れない。
ならばと立ち上がったロバトJrの右足を抱えるカイナン。ここは足を抜いて距離を取ったロバトJrは、残り7秒でシュートイン。が、カイナンはここも距離を取って試合終了した。
レフェリー判定は、終始ペースを支配して最後にはテイクダウンの見せ場も作ったカイナンに。後に、前日のクルズ戦でバックを奪った場面でヒザを怪我してしまったことを明かしたカイナン。あまりリスクを負わず、それでも要所で確実にポイントを取る賢い戦い方を貫いて、2連覇に王手をかけた。