【RIZIN LANDMARK04】泣いたドミネーター。平本蓮戦前の弥益「もっと脚光を浴びて欲しい人が身近に」
【写真】インタビューの序盤で、今の立ち位置について話す弥益は言葉に詰まり、涙をこぼした (C)MMAPLANET
11月6日(日)に名古屋市中区のドルフィンズアリーナで開催される「RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」で、平本蓮と対戦する弥益ドミネーター聡志。
食品関係の企業で働くサラリーマン・ファイターの弥益は、月曜日から金曜日までオフィスワークをこなし、MMAファイターとして活動している。今回の取材も東中野にあるトイカツグラップリングにおける、日曜の午前8時から始まるトレーニング後に行われた。
繰り返すが日曜日の朝の8時から始まる練習だ。MMAを生きる糧としている選手は、果たしてこの時間から強度の高いトレーニングをすることはあるだろうか。
もちろん、月曜日から土曜日まで日に複数回のトレーニングをこなすファイターは、この時間は休息に当てるべきであり、体を動かす必要はない。対して、弥益はこの時間にしかできないからトイカツグラップリングに足を運ぶ。
弥益のウィークデーの練習は月・水が、NEO BOXING STYLEで新井誠介のトレーナーからMMAに適応したボクシングを選手練で学び、火曜日は一般会員として入会した同ジムで通常のクラスにも出ている。
木曜日はトイカツグラップリング、金曜日は清水俊一率いるPOLAR GYM、仕事が休みとなる土曜は午前中にパラエストラ松戸で壁レスのスパーリング、日曜日の朝が再びトイカツグラップリングでのスパーだ。
トイカツグラップリングの日曜日の朝、土曜の朝に同ジムで汗を流すことが多い金原正徳が、前日はお子さんのサッカーに付き添って練習に参加できなかったため姿を現し、スパーリングをリードした。
壁レスから始まり、テイクダウンやスクランブル。そしてグラウンドワークとほぼほぼ弥益を圧倒する金原はカメラに向かって笑顔を浮かべ、スパー最中や一本を取った後もピースサインやガッツポーズを余裕の体で見せる。
約2年ぶりの金原のスパーでギタギタにやられた弥益だが、それでも『強くなっている』という言葉をかけられ、肩で息をしつつ満足気な表情を一瞬見せていた。
練習終了後、平本蓮戦に向けてインタビューが進むなか、弥益が言葉につまり、涙を流す場面があった……。
「自分の同世代、下の世代もそう。格闘技に生活の全てを賭けている選手たちがいる。日本にも僕より強い選手がたくさいます。そういう人たちにスポットが当てられず、自分に集まる。それが辛いです……。注目されるカードを組んでもらえることが、一番辛い。やっぱり俺じゃない。もっと脚光を浴びて欲しい人が身近にもいます……」
DREAMのファンだった弥益にとって、北米と比較してエンタメ要素を含んだイベントこそがJ-MMAだった。PRIDEを源流としたDREAMのDNAを継ぐRIZINという場で戦える喜びを語る。その一方で、朝倉未来戦以降の対戦相手に関して、下積みと表現できる地力をつける日々を経てきた彼は、今回の平本戦も含め葛藤を抱えている。
『なら平本蓮という相手に勝利することで、この先に目指すモノに向けて発言権を得られるのでは?』と誘い水を向けてみる。
「結局、試合によって変わる評価って会ったこともない人の評価なんです。自分が何をしていきたいのか……それは昔から自分の弱さを知っている人たち近づきたい。その人達に『強くなったな』と言って貰えることが一番嬉しいです」
それが弥益の返答だった。
※RIZINという場で注目を浴びることは喜びであり、間違いなく遣り甲斐になっている。と同時に尊敬してやまない先輩たちと自分の現在の立ち位置を冷静になって振り返り、その葛藤を言葉にした弥益ドミネーター聡志のインタビューは、10月28日発売のFight & Life#93に掲載されます。