【ADCC2022】無差別級 オープンクラスで躍動=タイ・ルオトロ。ルオトロチン炸裂!!
【写真】ケイドに負けずとタイが、無差別で躍動(C)SATOSHI NARITA
9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi
ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第20 回は88キロ級の早期脱落を無差別級で挽回したタイ・ルオトロの初戦および2回戦の模様をお伝えしたい。
前回大会は、77キロ以下級のラクラン・ジャイルズの大活躍が話題となった無差別級。今回旋風を巻き起こしたのは、88キロ以下級に出場したタイ・ルオトロだった。
<無差別級1回戦/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.8分47秒by ルオトロチン
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)
階級別ではまさかの1回戦敗退を喫したタイは、無差別級初戦で同階級のペドロ・マリーニョと対戦。無尽蔵のスタミナを武器にスタンドで仕掛け続け、テイクダウンを取られてもすぐにスクランブルで立ち上がるという、らしさ全開の戦いで会場を沸かせ、マリーニョを疲弊させていった。
そして残り3分のところでタイはダブルレッグへ。マリーニョは倒されながらも必殺のギロチンを仕掛けるが、頭を抜いて2点先制した。
さらに背中を向けたマリーニョに4の字フックを入れて5-0としたタイは、相手の腕が一本入った状態で絞め上げる、いわば背後からの肩固めのようなチョークで一本勝ち。
解説によって「仲間内ではルオトロチン(ルオトロ&ギロチン)と呼ばれているんだ」と説明されたこの技は、MMAファイターにしてアロイジオ・シウバの黒帯だった故ジョー・カマチョが2010年に「The J-choke」という名で公表したものと同じ形だ。
<無差別級2回戦/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.0‐-1
フィリッピ・ペナ(ブラジル)
2回戦でタイは、初戦ロベルト・ヒメネスからマウント、バックを奪って快勝した最重量級のフィリッピ・ペナと対戦。体格差にもめげすに、マリーニョ戦同様スタンドで仕掛け続け、下になってもスクランブルする戦いを展開した。
加点時間帯が近づくとやや疲れたように座り込んだペナに対し、ペースの落ちないタイは得意の足を踏んでのパスや、勢いの良いニースライスを仕掛けていった。
残り3分弱。下から煽ったペナが、左で差して立ち上がってのテイクダウン狙いへ。が、卓越したバランスを持つタイは小手投げを放ち、機敏なフットワークで離れてみせた。諦めてまた座るペナ。なんとここでペナに引き込みのペナルティが。
上を取ろうと試みたペナがタイに防がれてガードに戻ったという流れだが、ペナが一度立ち上がってから3秒以上経過していたと判断されたらしい。つまり上下が解消されて両者スタンディング状態に戻ってから、ペナが改めて引き込んだという解釈だ。
ADCCルールならではの形でリードを許してしまったペナは、タイの左足に50/50で絡むと、両足を胴に絡めるリバースクローズドガードに移行。さらにそこからスクランブルして背後を取ってみせる。
残り40秒、亀になるタイの体をシングルフックから返したペナは、ツイスターやチョークを狙いさらに逆転の両足フックを試みるが、タイが耐え抜いて時間切れに。
無尽蔵のスタミナで動き続けたタイが、最重量級にてゴードン・ライアンの対抗馬と見られていたペナから大殊勲の星を挙げた。