この星の格闘技を追いかける

【ONE162】ディープハーフ上等。MMA無形文化遺産=アレックス・シウバ─01─「見極める力」

【写真】すっかり渋くなってきたアレックス・シウバ(C)MMAPLANET

21日(金・現地時間)、マレーシアはクアラルンプールのアシアタ・アリーナで開催されるONE162「Zhan vs Di Bella」でアレックス・シウバがグスタボ・バラルトと対戦する。

キューバのグレコ五輪レスラーと戦うシウバは、デェダムロン・ソーアミュアイシルチョークと内藤のび太と並び、ONEストロー級戦線のパイオニアだ。デェダムロンが正式に引退し、のび太も2年以上実戦から離れているなか事実上、最後のオリジナル・ストロー級アスリートとなったシウバも40歳。

そのファイトスタイルはパウンドばかりか、四点ヒザが認められたONEルールでガードワークを駆使するという他に例を見ないモノだ。下派のシウバはハーフやオープンガードばかりかディープハーフまで使いこなす。誰もが知っている技であっても、ほとんどがMMAで使わない技術でシウバは試合を組み立てる。まるでMMA界の無形文化遺産ようなアレックス・シウバのファイト、見逃すことはできない。


「練習が長引いてしまって、インタビューに遅れてしまった。申し訳ない」

──全然大丈夫です。そんな時に取材を受けてくれてありがとうございます。

「いつだって大歓迎だよ」

──グスタボ・バラルト戦まで4日(※取材は10月17日に行われた)、調子はいかがですか。

「良い感じだよ。バラルトとMMAを戦う機会を得られて、最高だよ」

──今回はマレーシア、クアラルンプールの試合です。ついにシンガポール在住のアレックスも国境を越えることができましたね。

「そうだね。でも僕が出る大会は、無観客だからあまり関係ないかな。KLでもシンガポールでも。土曜日の朝のファイトナイトはオーディエンスがアリーナにやってくるんだけどね」

──では、ただシンガポールからクアランプールに移動しただけのスタジオショーのような感じですね。

「そうだね。でも、そうやって言われるとやっぱりシンガポールから出て、違う国で試合をすることが楽しみに感じてきたよ。だって3年振りだよ。こうやって海外で試合がデキるようになったのは」

──そうですよね。感慨深いです。では、そのKLで戦うバラルトの印象を教えてください。

「もちろん、タフな相手だよ。あの背の低さとクレイジーでワイルドなパンチ、そしてレスリング能力も高い。アゴも強そうだ。とにかく戦いにくい相手であることは間違いない。でも、僕の方が打撃は上だし、ボトムでもトップでもグラウンドは上だ。10分あればフィニッシュできるだろう」

──レスリングベースの強いフィジカルの持ち主が、寝技を避けてくると難しい試合にならないでしょうか。

「ただ僕の対戦相手のほとんどが怖がっているわけではなくても、寝技を嫌がって避けてきたよ。だから、これまで何度も経験してきた流れになるだろう。それだけにコーチや教え子、そして練習仲間と十分に対策は練ってきたよ。

例え下になっても、ただ柔術ゲームを戦うわけじゃない。MMAを戦うんだ。パンチを貰わずに、逃げさせないようにしないとね。バタフライガードでもそうだ。バラルトを捕らえて離れらないようにしつつ、パンチも受けないで戦う。簡単じゃないよ。殴って来る相手に、そういう試合をするのは。

ただし、グスタボはガードの中に入れると殴ってきそうだね。ある意味ハードだけど、戦いやすい。それにスタンドで戦おうとしても、15分あれば極めることはできる。狙いは一本勝ちだけど、スマートに戦う必要もあるだろうね」

──自分はアレックスのMMAではガードゲームを見られるのが、凄く楽しみです。アレックスの柔術はもともとMMAを想定していたのでしょうか、世代的にもその最後の頃かと。それとも完全にIBJJFの競技柔術の技術を学び、MMA用にアジャストしてきたのですか。

「正直にいえば、これは天から授かった能力だと思っている。MMAに使えると思ったガードワークを使って来たし、そうじゃないと思うと使わない。ただし、それを見極める力があったんだと思う。多くの柔術家やMMAファイターは、MMAではディープハーフは使えないと言っていた。でも、僕はディープハーフがMMAでも有効なことを試合で見せることができている」

──ハイ。

「他の人が無理だと思うポジションでも、僕は効果的に使うことができる。それは僕が神から与えられた力だよ。他の選手の知識や経験をシェアすることもあるけど、大抵は自然と使えるようになっているんだ」

──ハーフガードからアンダーフックは今や道着柔術で見られるスクランブルで、足関節からのスイープはグラップリングやMMAでも多く使われています。

「ホント、その通りだね。それでも『アレックス、なぜ引きむんだ』って指摘されることがあるんだよ。だって、僕の一本勝ちはその殆どがガードからなんだけどね(笑)」

<この項、続く>

■放送予定
10月21日(金・日本時間)
午後8時~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE162対戦カード

<ONEキックボクシング世界ストロー級(※56.7キロ) 王座決定戦/3分5R>
チャン・ペイミエン(中国)
ジョン・ディベラ(カナダ)

<キック・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
イスラム・ムルタザエフ(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
リース・マクラーレン(豪州)
ウインジソン・ハモス(ブラジル)

<キック・フライ級/3分3R>
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
ムハマド・ブゥタサ(オランダ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アレックス・シウバ(ブラジル)
グスタボ・バラルト(キューバ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ジミー・ビエノ(フランス)
ニクラス・ラーセン(デンマーク)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
アルテム・ビュラク(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
チョーファー・トー・センティアノーイ(中国)
デニス・ピューリック(ボスニアヘルツェゴビナ)

■放送予定
10月22日(土・日本時間)
午前9時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night03対戦カード

<ONE世界バンタム級(※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・リネケル(ブラジル)
[挑戦者] ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

<ONEムエタイ世界ライト級王座決定戦/3分5R>
レギン・アーセル(オランダ)
シンサムット・クリンミー(タイ)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
シャミル・ガサノフ(ロシア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジャレミー・ミアド(フィリピン)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
ケイド・ルオトロ(米国)
ウアリ・クルジェフ(ロシア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
アミール・ナセリ(イラン)
内藤大樹(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
エイサー・テン・パウ(米国)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リー・ビヴィンス(米国)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP補欠戦/3分3R>
ラーデ・オバチッチ(セルビア)
ジヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)

PR
PR

関連記事

Movie