【Column】公式結果と勝敗を入れ替えて、発表してしまうことに関して。ちょっと想うところがありました
【写真】いつもお世話になっているの、申し訳ないです(C)TAPOLOGY
MMAPLANETでも、非常にお世話になっているTAPOLOGYが、RIZIN54におけるパッチー・ミックスと佐藤将光の試合結果を、体重超過による2Pの減点を加味したオフィシャル結果でなく、独自のポリシーを尊重しパッチー・ミックスがユナニマス・デシジョンで勝利したと試合結果を掲載している。凄いことだなと思い、メディアの端くれとして少し書き記させてほしいと思った次第だ。
Text by Manabu Takashima
正直、MMAPLANETは専門メディアとして、第三者的かつ公平な立場を取っているとは自らも思っていない。ばかりか、我々がやっていることを報道と定義するなら、かなりの偏向報道だ。
自分たちが知りたいことを取材し、それを読者の人達とシェアしたいという基本姿勢がある。何も独自の観点とか、そんなジャーナリズムでもなく、メディアとして他媒体で活動してきた信用や信頼感を背景に、好きなことをさせてもらっている媒体といえる。活動資金を提供してくださるスポンサーの方々に、この基本姿勢を理解していただいた上で、好きに記事を書かせてもらっている。
メディアとして客観的な目を持てという意見は、度々聞かれる。それも他に執筆陣はいざしらず、自分としては世の中に生きる生物として、客観的になどなれるわけがないと思っている。仮に客観的な記事を書こうとするなら、それは客観的な意識を持った主観を書いているわけでしかないという理解でいる。
だからといって主催者が発表した試合結果を自分たちの理解で逆転させることなど、あり得ない。
こういう膨大な作業をしていることには感謝と尊敬の念しかない。だから大会開催日が米国時間になっていて、現地のカレンダーと違うことや、例えば抜けや間違いがあっても、無償でその努力の結晶を提供しているのだから、文句をいう筋合いもない。
TAPOLOGYが膨大な作業量をこなしているとしても、それがイベントを実際に行っている主催の発表を無視し、自分たちのポリシーを押し付けて世に公開するのは、別次元だ。
お叱りを受けるかもしれないが、MMAPLANETも公式試合結果をそのまま引用しているということはない。例えば国籍や極め技に関して。あるいは選手のカタカナ表記にしても、だ。
基本選手名は英語読みでも、日本的なカタカナの活用でもなく、現地の公用語の発音をなるべくカタカナにしている。ブラジルのポルトガル語など、サンパウロとリオデジャネイロでは発音が違うので、Vale Tudoを世に生み出したグレイシー一族が拠点としたリオの発音を用いるようにしている。
国籍も民族かパスポートを所持している国かでいえば、パスポート重視だ。そうでないと米国人や豪州人は、ネイティブ・アメリカンかアボリジニでないと存在しなくなってしまう。また自身の判断で移住し、まだパスポートを得ていない場合は元々住んでいた国。親が移住を決意した場合は、移住先――育った国名を明記するよう心掛けている。そして、申し訳ないが絶対的でなく、違った場合もある。
もう一つはフィニッシュ名だ。例えばRIZIN54の公式発表で武田光司が極めた技はアームバーとなっているが、MMAPLANETでは腕ひしぎ腕固めとさせてもらっている。またバックチョークという発表する団体もあるが、RNCとしている。日本語でなくカタカナ表記の場合は、北米で使われている表現に近づけるという意識を持っている。これらの意識がポリシーといえば、ポリシーだが勝敗結果をひっくり返すほどの強い意志は持っていない。
今回、TAPOLOGYでは“We record the result produced by the judges’ scorecards”「我々は審判団のスコアカードが生み出した結果を記録する」とし、相当な異論が世界を駆け巡った。
すると” We can’t automatically treat whatever a promoter announces as authoritative. Having consistent rules for verifying and recording results is key to what we do.”「我々はプロモーターが発表するものを自動的に権威あるものとして扱うことはできない。結果の検証と記録に関する一貫したルールを持つことが、我々の活動の軸」という意思表示をした。
彼らがポリシーを持つのは勝手だ。いや、そういうポリシーがあるほうが親しみを覚える。でも今回はやりすぎだ。
“The overwhelming majority of the events we document are smaller regional shows around the world, often with limited documentation and conflicting accounts of what happened.”「世界中の小さなローカルショーでは、限定的な記録しかなく何が起こったかについての矛盾していることもある」
矛盾があるから、主催発表を尊重しない……というのは、それこそ矛盾している。
彼らからすると世界中の小さなローカルショーの一つであろうGladiatorで、2023年1月22日に実施したジョン・オルニドと笹晋久の試合結果がノーコンテストになっている。この試合は2Rにオルニドが放った故意でない急所蹴りで、笹が試合続行不可能になった。ワールドスタンダードでいえば、その時点までの裁定を評価して勝敗結果が決まるものだ。ただしグラジエイターのレギュレーションでは、不可効力でも続行不能になるような反則攻撃があった場合は失格となるとされており、その説明もあったうえで笹が反則勝ちとなった。

この試合のTAPOLOGYの記録には、パッチー×将光戦のように自身のポリシーに則した、状況説明もない。
“In this environment, independent standards matter. We can’t automatically treat whatever a promoter announces as authoritative.”「このような環境では、独立した基準が重要だ。我々はプロモーターが発表するものを自動的に権威あるものとして扱うことはできない」。
プロモーターが発表するものを自動的に権威とできないのは分かった。なら、自分たちが権威になるのか。それをポリシーとして、色々な理由づけをしていくのであれば、もう決してポリシーでなく、どうしようもないエゴでしかない。方針でなく、我儘だよ。そんなことをしない方が格好良い。あれだけのことをしてくれているんだから。そして、やっぱり――これは戦っている選手たちを尊重していない。選手の頑張りを尊重しないで、MMAに関わるのって――どれだけ権威があろうが、自分は「嫌だな」と思う。

















