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【Column】今更の感もありますが、RIZIN&ABEMA、U-NEXTの騒動について……主観

2026.08.15

【写真】乗り遅れたから、何か書いておこうというわけでは決してない……というつもりですが……そうかもしれないです(C)ABEMA

13日の午前中、溜まりに溜まった仕事の整理中にメールをチェックした際、「【ABEMA】RIZINの公式メディアパートナーに決定 9月10日(木)開催『ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り』を「ABEMA PPV」で全試合生中継決定」というリリースが目に留まり、11日のRIZIN54のインタビュールームで榊原信行CEOのイベント総括の会見が終わった際に、Y広報が「明日、午後7時よりバラ呼びのなかで、今後の配信について発表もあります」と話されていたことを思い出した。
Text by Manabu Takashima

そしてMMAPLANETのXで読者の方の投稿が通知のなかにあり、U-NEXTでRIZINを視聴していたファンがどえらい怒りようであることを知った。ABEMAのリリースにあるように、ABEMAが9月の超RIZINからRIZINの公式メディアパートナーに決定し、U-NEXTの配信が(ひとまず)終了する。

正直、RIZINファンが激怒った今回の発表は、その前日にメディアルームにいた記者はほとんどが既に知っていただろう。特に地方大会も含め、RIZINのインタビュールームで作業をしているメディアは、その空気感が変わっていることを誰もが感じていたはずだ。


加えてRIZINだけでなく、他のMMAイベントも取材している――MMAPLANETのような専門媒体は、そんな他団体の会場で、今回の発表内容に近い噂話はいくらでも耳にしていたに違いない。同時に、U-NEXTがRIZINの配信から外れるという話は、外部サブスクでいえばABEMAへの一本化ではなく、他のサブスクにとって代わられるという話で広まった時期があった。その時は、おいおい……格闘技界のイメージダウンにならないかと心配もしたが、この話は立ち消えてなくなった。

それでも今回の件で、これだけネガティブな言葉が表面化するとは、ABEMAはおろかRIZINの人達も予想していなかったかもしれない。同時にU-NEXTの人達は感涙モノだっただろう。これらの声は、如何にU-NEXTが格闘技ファンに格闘技を伝えるサブスクとして認知され、浸透しているかを如実に表している。

だからABEMAバッシングの声は分かる。でも、それでもうPPVは買わないだとか、不買キャンペーンという声が多くみられるのは、もう本末転倒だろう。RIZINが好きで、U-NEXTで視聴したい。だからABEMAになるなら、もう見るな――って。それって、これ以上、RIZINを視聴するのに金は払いたくないという懐具合を違う言葉にすり替えているだけ。そして、集団心理が働いてエスカレートしていく。そうなると冷静な反論と、同時に自分の望む世界が実現しないことの犯人捜しと責任追及が始まる。

ファンだから何を言っても構わないとは思っている。でも「RIZINは金に釣られた」とか、「ABEMAは金にモノをいわせた」という意見はどうかと思う。興行主なら、中継料は1円でも増やしたいのは当然で。売る方も買う方もビジネスにはペイラインが存在しており、今回はABEMAがメディアパートナーというポジションを得た。そしてU-NEXTが引いただけの話で。

ONE SAMURAIにU-NEXTが力を入れていることが、この決定の背景にあるというもっともらしい意見もあるが、仮にONE SAMURAIに力を入れていてRIZINの望む中継料を支払えないというのであれば、それもビジネスで。ならU-NEXTでRIZINを楽しんでいた人は、ABEMAでなくてONEを怒りの矛先にしないと。ってか、そこに感情論が持ち込まれるほど、業界は甘くないと自分は理解している。

U-NEXTはUFC、PFLからDEEP、PANCRASE、SHOOTO BOXING、KNOCK OUT、BOMと国内外の格闘技コンテンツが揃っている。対して、ABEMAではRISEとK-1は視聴できるが、プロ修斗公式戦の配信終了をもってMMAの配信枠はないのが現状だ。

U-NEXTは格闘技色が強く、今回の反発を招いたことは間違いない。ただ、この円高円安で海外のビッグ2を抑えているだけで、どれだけの中継料が必要となってくるのか。U-NEXTがRIZINというコンテンツを維持するために、ABEMAとのマネーウォーを良しとしなかったかもしれないし、その間隙をABEMAがぬったのかもしれない。

いずれにしても、ビジネスだ。世の中、星の数ほど存在するパートナーシップは何も恒久的ではない。1年後にはABEMAの位置にU-NEXTが収まっている可能性はいくらでもある。

RIZINという大きなピースが動いたことで、大きな騒動になってしまったが、自分が気になったのは現状の両者の持つコンテンツがどうなっていくのか、だ。ここに関しては正直にいえば、すぐに探りをいれさせてもらった。そして現状、変わりはない。とはいえ、ここも契約社会。今後はどうなるか、分からない。

それよりも、PFLへのRIZINの選手の派遣がどうなるのか。せっかく始まった交流が、配信先が違うことで打ち止めになるのか。そもそもMVP MMAになったら、ネトフリが配信することになるのが普通でないのかと。その場合、日本人ファイターや日本市場は必要とされるのか――等々、考えてしまう。加えてRIZINと非常に近い関係の佐伯さんのDEEPが、次の契約更新時にU-NEXTに今後も留まるのか。

ともあれ先のことは分からないが、2つのサブスクが並び立つ状況が、そんなに悪いことなのかと首を傾げている。ビジネスとして、健全な競争が行われることが日本の格闘技界がより盛り上がる要因になると思っているからだ。そのビジネス規模はまるで違うが、かつて格闘技専門誌は格闘技通信とゴング格闘技が並び立っていた。格通が廃刊となって、ゴン格に読者が流れるなんてことは全くなかった。逆に格闘技紙媒体は地盤沈下した。

だからこそ、U-NEXTの視聴者がどれだけABEMAのPPVに乗り換えてくるのか。ここは非常に大切になってくる。数字だけ並べて、U-NEXT分が増えるようなイージーなことは決してないはずだ。U-NEXT=コア層、ABEMA=ライト層という構図が当てはまるなら、超RIZINや大晦日よりもLANDMARK大会の数字にサイバーエージェント首脳が、満足できるのか。価格設定もそうだが、購入の方法の簡素化にも今こそ乗り出すべきだろう。

これは何も公にするつもりはなかったが、この事態になったことで、一つ書き記しておきたいことがある。

ABEMAの番組制作スタッフの一部から、MMAPLANETの取材に同行させてほしいと言われ、団体の許可をもらって、同行してもらうことがある。以前、ABEMAのONE DAYというドキュメントで、自分のインタビューを活用してくれていたスタッフだ。彼らはジムに来ても撮影もしない、ただ時間をやりくりして取材に立ち会っているだけだ。曰く「数字は重要ですが、それだけでない、本気で格闘技に取り組む選手に格闘家、そして人間として話を聞く。そんな取材現場を若い人間にも見ておいてほしくて」とのこと。

彼らの意志が、今すぐにABEMAのコンテンツで生かせるかは知らない。でも、そういうスタッフがいることをこんな機会だからMMAPLANETの読者の皆さんに知ってもらっても良いかと思う。そしてU-NEXTにも、同じような気概を持ってRIZINを伝えてくれていた人達がいるはずだ。その人たちが、RIZIN以外でその気概を持って格闘技番組を制作してくれれば、数字が全ての世界で、数字以外の何かがファンに浸透するはず。

今や米国のMMAはPPV時代を終えたといっても過言でない。米国で起きたことは、世界に伝播する。それでも、日本には独自の格闘技を伝える腕とハートがある。それがPPVという形で残るのか、あるいは新たなフォーマットが生まれてくるのか。

世の中が大きく変わり、変革の時に配信元が変わったぐらいでガタガタ言っていると、精神的に行き詰ってしまう。そもそもドラマや映画好きならネトフリ、アマプラ、ディズニー+と複数のサブスクに入って、2900円を支払ってI-MAXの大画面で映画を楽しんでいる人も少なくないだろう(根拠はないです)。

格闘技が好きなら、汗水かいて働き、晩酌のビールを一本減らして、ABEMAでRIZINのPPVを購入。U-NEXTでUFCやPFL、日本のMMAとキックを視聴し、UFC Fight PassでUAE WARRIORSやA-1 Combatをチェックする。そしてDAZNでBRAVE CF、YouTubeでLFAを楽しみましょう。Xで攻撃的なことを書き込みをするより、ずっと人生をエンジョイできるかと。

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