【ONE FN35】キルギスMMAフェザー級三羽烏、アクバル・アブドゥラエフ。なるか13連続フィニッシュ
【写真】あのタン・カイをフィニッシュしてしまうのだから、どれだけのポテンシャルがあるのか。しかし、今回のハイドレーションに苦戦し158.75ポンドで計量失敗――またもキャッチウェイト戦に (C)ONE
6 日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE FN35が開催される。8試合中3試合がMMAという今大会、タイ・ルオトロがMMAデビュー戦をエイドリアン・リーと戦う試合も注目だが、それ以上に気になるのがフェザー級でイブラヒム・ダウエフと戦うアクバル・アブドゥラエフだ。
Text by Manabu Takashima
キャリア12勝0敗、今年の1月にはタン・カイの持つONE世界フェザー級王座に挑戦――も、計量失敗でノンタイトル戦に。最終5Rにパウンドアウトで勝利を手にするも、ベルトを巻くことはできなかった。とはいえ12に増えた勝利、全てでフィニッシュしている。その内訳は11のKO勝ちと1つの一本勝ちというパーフェクトレコードだ。
同胞=RIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフの15勝0敗&15フィニッシュには及ばないものの、そのシェイドゥラエフ、パンクラスでフェザー級に転向した12勝1敗&10フィニッシュのカリベク・アルジクル・ウルルと並び、キルギス・フェザー級三羽烏の1人として並び立ち、キルギス・フェザー級第2の男として注目を集める。
カリベクが昨年末のインタビューで明かしたように、この可能性に溢れた才能の持ち主の障害は貧困であった。アブドゥラエフも、同様だ。アブドゥラエフは4歳の時、両親と共にロシアのウラル地方にあるチャイコフスキーに移り住んだ。もちろん、より良い生活環境を求めて職と食を得るために彼の両親は移住を決心した。
人口7万人の地方都市でアブドゥラエフはムエタイに出会うが、ロシアでも家族の経済状況は上向くことなくキルギスに帰国することに。にも拘わらず、彼はすぐに母親とロシア、大都会モスクワでの生活が始めることになる。
モスクワでボクシングの練習をするようになったアブドゥラエフは、その才能が開花し数々のトーナメントで優勝し、ムエタイのジュニア選抜ナショナル・チームの一員と抜擢された。欧州選手権、世界選手権への出場権を得たアブドゥラエフだったが、なんと渡航費は自己負担。海外遠征費など賄えることはなく、代表の座をナンバー2に譲らざるをえなかった。しかも、この代替出場選手が欧州選手権で優勝したという。
生きていくために格闘技一本の生活などアブドゥラエフには夢のまた夢だった。しかしながら結婚し、子供も生まれたアブドゥラエフは、ここで人生の舵を思い切り切る決断をする。
MMA転向を決めると、同時に軍に入隊し、ハンド・トゥ・ハンド・コンバットの練習をし試合にも出るようになる。道着着用、パウンドはボディのみのハンド・トゥ・ハンド・コンバットの試合で、アブドゥラエフは組み技がある状況下での打撃術を身に着けて行った。
「キルギスはどこにも地方独特のレスリングがあり、子供は誰もが遊んでいたから組み技の下地はあった」というアブドゥラエフはこの時期にコンバットサンボの練習で、でテイクダウンや関節技も身に着けていく。
ロシアで2勝、母国キルギスで6連勝を果たした彼は、7試合も全てが1Rフィニッシュという戦績を残し、ONEと契約を果たす。
初戦は44秒、2戦目は41秒でKO勝ちすると、3戦目ではヒールで一本勝ちしどの局面でも強いことを示した。
シェイドゥラフとも面識があり、「血のつながっていない弟」と呼ぶアブドゥラエフが8カ月ぶりの実戦で、どのようなパフォーマンスを――ロシア人ファイター=ダウエフを相手に見せつけるのか、非常に楽しみだ。
■放送予定
9月6日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT
■ONE FN35対戦カード
<ONEムエタイ女子世界ストロー級王座決定戦/3分5R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
ステラ・ヘメッツバーガー(オーストリア)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
バムパラ・クヤテ(フランス)
シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アクバル・アブドゥラエフ(キルギス)
イブラヒム・ダウエフ(ロシア)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョー・アッジャラブーン(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(イラン)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
タイ・ルオトロ(ロシア)
エイドリアン・リー(米国)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジャハン・ガザリ(米国)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)
ナタリー・ソルチェド(米国)
<キック・フライ級/3分3R>
陽勇(日本)
ジョーダン・エストゥピニャン(コロンビア)