【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その壱─マルロン・モラエス×ジミー・リベラ「ワクワク感」
【写真】青木がこの一番にUFCの試合を選ぶのは3カ月振りだ (C)Zuffa LLC/Getty Images
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ6月の一番、第一弾は6月1日に行われたUFC Fight Night131からマルロン・モラエス×ジミー・リベラの一戦を語らおう。
──6月の青木真也が選ぶ、この一番。まず1試合目はどの試合になるでしょうか。
「マルロン・モラエスとジミー・リベラの一戦ですね。モラエスは打撃に関してはグンを抜いていますね。WSOF時代にシェイモン・モラエスの方が強いという下馬評だったんですよ、当時イヴォルブで一緒だったエルベウ・バーンズが言うには。ブラジルでの評判は打撃だけならシェイモンだって。
でも、あの試合でもモラエスは打撃でしっかりと差を見せつけていた。ブラジル人らしいパンチとローの打撃で、あそこまでしっかりと勝つ。UFCは初戦でハファエル・アスンソンに五部の試合で判定負けしたけど、その後はジョン・ドッドソン戦、アルジャメイン・ステーリング戦に勝っているとなると、そろそろ上位3人とやる資格を得ましたよね。なんか、そうなると面白いですよね」
──青木選手がUFCのこの試合を選ぶというのが、興味深いです。
「そうですか? う~ん、モラエスのWSOFからUFCに入ったというキャリアが好きなのかもしれないですね。おかしな話、僕たちって人が知らないモノを知っていることに価値観を感じている部分ってあるじゃないですか?
WSOFの時に『コイツ、強いよね』って話していた選手がUFCに入って上に行けるって良かったと思います。WEC組が活躍したのが嬉しいのと同じですよね。Bellatorからエディ・アルバレスがドナルド・セラーニに負けたり、やっぱりUFCで勝ち上がるのは大変なわけだし。
同じベラトールのライト級王者だったウィル・ブルックスなんて、完全にUFCにハマるかと思ったら、まるでダメで今はPFLですもんね。逆にWSOFライト級王者だったジェスティン・ゲイジーはもう既に歴史に名を残している」
──そういう意味ではWSOF時代のモラエスはゲイジーのように派手な活躍をしたというより、強さを見せてUFCと契約したように感じました。
「普通に強いですよね。あのタメの無い蹴りを武器にして。これからTJ・ディラショー、コディー・ガーブラント、ドミンク・クルーズと絡むとどうなって来るのか。ガーブラントとモラエスが戦うようになった時なんて、ワクワク感はありますよね」
──ピョートル・ヤンなんてどうでしょうか。
「ピョートル・ヤンはモザイクのない世界観ですよ」
──モザイクのない世界観?
「超リアルな世界観。高島さんは、そういうのが好きじゃないですか。本物同士の競ったマッチアップが。僕は期待感、幻想を求めているところがあって」
──ロシア×ブラジルというのは、それこそワクワクする顔合わせなんですよ、自分の中では。
「ガーブラントとモラエスのように攻撃力が異様に高い者同士を戦わせた場合どうなるのか、僕はそっちですね。ピョートル・ヤンも上の3人が不調の時に戦うと、どうなるのか。それもドキドキしますよね。
ただし、ピョートル・ヤンでいえば……ACBで活躍した時の力量と同じモノがUFCで発揮できるのか。そこに疑問は残ります」
──ストレートにいうと、ACB時代と体つきが違いましたよね(笑)。
「そうそう。でオラオラオラ、ガチャガチャガチャというのはなかったです」
──石原夜叉坊選手にKO勝ちをしてなお、あるいはUFC1戦目は調子が出ない……UFCジッターということも考えられます。
「確かに……エディがセラーニとやった時、モラエスとアスンソンみたいな。なんか、調子悪いっていうのはあるので……次ですね、ピョートル・ヤンは。UFCの初戦って修斗の選手がZSTに行くと負けるという、それですね(笑)」
──そこかオチですか(笑)。