【Pancrase287】ハファエル・シウバ相手に激勝、石渡伸太郎 「セコンドとの信頼感があります」
【写真】石渡の左目の周囲は大きく腫れあがっていた (C)KAORI SUGAWARA
28日(日)、東京都台東区ディファ有明で行われPancrase287のメインで、バンタム級KOP王座5度目の防衛戦を最強のチャレンジャー=ハファエル・シウバ相手に成功した石渡伸太郎。
激闘の跡が顔に残る石渡だが、序盤の2Rに圧倒的な強さを見せたシウバとの戦のなかで、もう一段上の動きができるというゆとりをもって戦っていたことを明らかにした。
根性の勝利、しかし根性を出す前の努力と能力がモノをいった石渡らしい貴重な白星を振り返ってもらった。
──苦戦、そして激闘が予想された試合ですが、全ておいて予想を上回る一戦でした。
「フフフ」
──3Rを取れたのが、凄く大きいと感じました。
「アイツが妥協しましたよね、3Rになって。もっとメチャクチャ動こうと思えば動けました。でも、それを最後に取っておいたんです。体は良く動きました」
──初回のシウバのコントロール、そして2R最初の有無を言わせぬテイクダウンを見て、これは厳しいと正直思いました。
「あの2Rの最初のヤツは……、アレはきつかったスね。でもアッパーを合わせにはいっていたんです。当てることができなかった。やっぱり、実戦は違います。もっと磨かないと」
──終盤のがぶってバック、そしてスイッチでの崩しからのバック。これまでの石渡選手の努力の結晶かと。
「いえ、あれは米国でやってきただけです。イジーのところでは、がぶりからバックしかやっていませんでした。がぶっているときもホンノリと絞めていたんです。疲れさせるために。ホンノリ作戦が色々ときいたんじゃないですか(笑)」
──終盤の流れを見ると、顔が腫れるほど攻撃を受けたように見えなかったのですが……。
「いやぁ、2R目のパウンドです。それに最終回とかも、セコンドからの指示で『ここで根性があれば出て来るぞ』って言われていて。でも、僕的にはコイツは出て来ねぇと思っていたんです。そうしたら頑張って出て来て、しかもすぐに切れるだろうと思っていたのに意外と切れなくて。
なら、僕もよし分かった──と。残り1分半になったら、動こうと。それまでは体力を使わせて、最後に僕の方がメチャクチャに動きました」
──4Rの終わりですかね、トップでシウバの足を捌くときの表情が自信に満ち溢れていて。あの辺りで、これは大丈夫だと確信しているのかと思っていました。
「あの時は『お前、最後怖いだろう』、『お前も嫌なんだろう』っていう心理作戦で、そういう顔をしたんですよ。目に力を入れて。不安を煽ったら──向こうがガンバちゃって。余計な挑発はするもんじゃないです(苦笑)」
──勝利後、内外の関係者という表現でRIZINという固有名詞を出さなかったのは?
「話が纏まっていないから、名前は出せないです」
──そこにはUFCというラインも残しているということでしょうか。
「ゼロではないと思っています。でも、放っておいてください。もう、僕のことはしばらく、1カ月ほど忘れてください(笑)。ホントに媚びを売るわけじゃないけど、セコンドとの信頼感があります。凄く安心して戦うことができました。
肩固めを狙われた時も、万歳して捩じって逃げようと思っていたら、植松(直哉)さんから、『万歳するな』っていう指示が出て。だから、あそこであの声がなかったから極められていたかもしれないです。
あとバルコニーから、相手の潜りからのスイープを打ち込みでやってもらっていた嶋田(裕太)君が、どっちに重心を置いたら良いかを大声で叫んでもらって。皆、もっと煽られるけど煽られなかったし、顔も蹴られなかった。ザマぁ、見ろって(笑)」
──そうこうしていると、シウバはバタフライガードからニーシールドに変えました。
「バタフライからの仕掛けは掛からないから。あそこでニーシールドになっても──向こうは立つぐらいだし。立つなら、立てば良いという気持ちで戦っていました。だから全く問題なかったです」
──なるほど、いやぁ多くの勝負の綾があるのですね。
「立ち際で勝負するよというプレッシャーも、あの場面では掛けていましたからね」
──本当に素晴らしい勝利でしたので、石渡選手の希望通り一カ月間はコンタクトしないようにします(笑)。ゆっくり休んでください。
「いや、ゆっくりはしないですよ(笑)。試合勘が戻ったので、追い込まれてからも──もう一段上の動きがデキるぞというゆとりがあったんです。フィジカルもやってきたし。だから、そういうところをこの間も詰めていきます。ゆっくりはしないけど、連絡はしないでください(笑)」