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【European Open】細川顕 「MMAのあるアライブのメリットは…」

Akira Hosokawa

【写真】1984年1月16日、旭川出身の30歳。細川顕は01年に柔術を始め、09年より黒帯を巻いている (C)MMAPLANET

23日(木・現地時間)から26日(日・同)にかけて、ポルトガルの首都リスボンはパピリャオン・ド・コンプレッソ・デスポルチーボ・ムニシパル・ド・サカウ・ヴィストソで開催されるIBJJF主催ヨーロピアンオープン柔術選手権。

ハファエル・メンデスを筆頭に、パウロ・ミヤオ、ジャンニ・グリッポ、サミール・シャントレらワールドと遜色ないメンバーが出場するフェザー級に、日本から細川顕も参戦する。昨年の全日本は杉江アマゾン大輔に敗れライト級準優勝だったものの、ワールドプロ日本予選74キロで優勝している日本の第一人者が、初めてフェザーに落して欧州オープンにチャンレンジする。

純粋柔術家ながら、所属ジム=ALIVEが日沖発や久米鷹介というUFC、RFCで世界やアジアを舞台に戦うというジム特性もあり、MMAファイターとノーギのトレーニング、壁レスのスパーも行うという細川にインタビューを試みた。

──MMAPLANETでは昨年よりJJ Globoというコンテンツを設け、主に海外の柔術事情を紹介させていただくようになりました。世界を目指す日本人柔術家も紹介しようということで、ALIVE所属の黒帯柔術家、細川顕選手にインタビューをお願いします。

「宜しくお願いします。発や久米でなく、僕のインタビューだったので驚いています(笑)」

──MMAPLANET的には、柔術は柔術と閉鎖的になるのではなく、少しでもMMAファンに柔術を知ってもらう窓口になれればと思っています。細川選手が柔術、あるいは格闘技を始めたのは?

「旭川出身で、もともとはパラエストラ旭川に16歳の時から通っていました。山本洋一さんの下で修斗と柔術、両方の練習をしていました。元々プロレスファンで、とにかく格闘技がやりたかったんです(笑)。青帯を取ったのは旭川で、一応は中井(裕樹)さんに貰いました。東京イエローマンズでプロシューターになった三上洋平さんも出身が旭川で、デビュー前にジムに来てくれて、指導していただいたこともあります。

三上さんは実際にスパーをしても凄く強くて、ビデオもDVDもパソコンもない時に、理論的に技術を教えてくれました。三上さんから『吉岡大っていう凄い人がいる』って聞かされていたんです(笑)。それから進学して、愛知県にやってきて最初は豊橋にあるAliveのサークルで練習していました」

──その時は柔術だけでなく、修斗もやりたいという気持ちを持っていたのですか。

「大学に入った時は、やりたいという気持ちもチョットは持っていたんですが、その環境にはなかったので柔術を続け、そのままハマってしまった形です。紫帯は豊橋時代に(鈴木陽一)社長からもらいました。夏休みとか本部に出稽古にいって、発にボコボコにされて総合なんて始めたら、コイツに殺されるって思いました(笑)。

2006年の春に就職して、本部に移ってきたんですけど、その時もまた柔術とMMA、どっちをやろうかっていう気持ちになったのですが、杉江(大輔)さんが柔術に専念していて、『一緒にやろうぜ』って言ってもらい柔術を続けることにしたんです」

──吹上時代はリングもあったし、MMAに魅かれる部分は残っていなかったですか。

「仕事の時間を考えると、7時半から始まる打撃クラスに間に合わないし、その後にある柔術をやろうって。柔術だったら毎日コンスタントに練習できるし、杉江さんもいましたからね」

──その当時、目標にした柔術家はいましたか。

「茶帯時代ですが、青木真也選手がキレキレでカンペオナートで小室(宏二)選手に飛びつき十字で一本勝ちした試合を生で見て、本当に凄いと思いました。同世代では青木選手と発ですね」

──日沖選手は道着を着ていても強かった?

「当時は道着を着ていても、ズタボロにされました(笑)」

──青木選手や日沖選手というMMAファイターを目標にしつつも、道着で世界を目指そうと?

「あの頃まではムンジアルがブラジルで開かれていたので、現実的には考えらなかったです。07年からLAで行われるようになったので、もしかしたら……と思うようになりました。練習もマンツーマンというわけではないですが、杉江さんと1日で3本、4本とやっていて充実していました。杉江さんは……それは強かったです」

──杉江選手もMMAファイターでもあったし、フィジカルの強さは凄いものがありました。今でもALIVEでは日沖選手や久米選手らMMAファイターも道着を着て、ブラジリアン柔術の練習をするケースが多いそうですが、フィジカルの強い選手と練習できるのはメリットとなりますか。

「フィジカルというよりも、発はちゃんと柔術のポイントを知っていますから、固めてくることはないです。久米とかが固めてくると、しんどいですね(苦笑)。それもMMAのある道場のメリットですね。僕自身、ノーギの練習もするし、たまに壁レスの練習にも参加します。その時の久米は半端ないです(笑)」

──久米選手を意識しているのですか?

「久米かぁ……(苦笑)。お互い良い関係だと思います。グラップリングの時なんか、僕も敢えてMMA的に攻めたりしています。それは僕からすれば、フィジカルトレーニングなんです。アイツと四つ組みしていると、もう十分なフィジカルになります。久米からすると、僕でもアマチュアの子よりフィジカルはあると思いますし。倒してからも、僕は展開が創れるのでアイツにも良い練習になればと思っています。

ウチの場合はグラップリングのスパーは、立ちレスから始まりますしね。壁レスのときは下にならないようにしますが、普通のときは引き込んで寝技から始めます」

Hosokawa【写真】取材が行われたのは昨年末、12月26日。細川は午後10時半ごろまで練習し、翌日に旭川へ帰郷。大晦日に名古屋に戻り、ヨーロピアンに備えるということだった(C)MMAPLANET

──道着で勝つために、ノーギにはどのようなメリットがありますか。

「僕の場合はさきほども言いましたが、体力がつきます。スタンドから始めるグラップリングは休めるポジションが少ないので、体力が必要になります。必要か不必要かといえば、それは人によると思いますけど。例えば、スパイダーガードの選手がノーギでスタンドレスリングがいるかといえば、いらないかと。でも、実際にブラジルの選手はノーギをやっているでしょうし。僕の場合は単純に週に5日も6日も道着だけだと、マンネリ化してきますし、ノーギはマンネリ防止にも役立っています」

──2010年頃から競技柔術の軽量級は、技術形態は凄く変わったと思います。

「僕は拘らない方です。ベリンボロも使える時は使いますけど、主武器にする気持ちもない。ベリンボロ大好き派は、どこで情報を得ているかというと、多分ネットだと思うんです。あくまでも僕の考えですけど、ミヤオ兄弟やメンデスを見たりして、練習を積み重ねていると思います。

それはあくまでも物真似であって、1日の練習が終わった時に何を考えるのか。それは物真似が上手くいったのかどうかを考えるのか。僕はそれが嫌で、その日の練習で上手くいったこと、上手くいかなかったことを大切にしたいです」

──やるなら、本家以上にと?

「そうかもしれないですね……。物真似の練習をして、物真似の反省をする。その繰り返しだからミヤオが来たら誰も勝てない」

──カラオケの点数が良いのと、歌が上手いのは違う……。

「そう、そうなんですよね。オリジナリティで歌ってくれという話なんです。オリジナルの技を作れとは言わないですけど、自分なりの柔術があると思います」

<この項続く>

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