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【ROMAN02】15年半ぶりの来日、日沖発と対戦──ペケーニョ「キモノは難しいけど新発見ができた」

【写真】通訳をしてくれたのはアンドレ・ベンケイ。かつてウニベルソ・バーリトゥードがあった現フィットネスジムで取材を受けてくれた(C)MMAPLANET

27日(日)、東京都新宿区GENスポーツパレスで開催されるROMAN02にアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラが約15年半ぶりの来日を果たし、日本発と道着MMA=ROMANコンバットを戦う。
Text Manabu Takashima

世界に65キロの戦いが広まる以前に、ギロチンで一世を風靡で修斗世界王に君臨し、リング上とは違う普段の愛くるしさから日本の格闘技界のアイドルのような存在だった。誰からも愛称であるペケーニョと呼ばれ、慕われたギロチンマスターが47歳になって再来地を果たす。日本を離れ、MMAを事実上引退していた期間にペケーニョは何をしてきたのか。

そして今回の日沖戦、日本を訪れる喜びとともに道着を着て戦う戸惑いなどを尋ねた。


日本に戻ることができるなんて……最高だ。僕の全てが始まった国だから

──ペケーニョ!!! お久しぶりです。

「タカシーマ!! バックトゥザフューチャーみたいな頭になっているね(笑)」

──ハハハハ。ドクですか? 荒い例えです。いつもは結っているんですよ。

「サムラーイ(笑)。また、日本で会えることが本当に嬉しいよ」

──自分もです。27日にROAMAN02への来日が決まりました。まずは今の気持ちを教えてください(※取材は10日に行われた)。

「今回の招待に関して、心の底から光栄に思っている。日本に戻ることができるなんて……最高だ。僕の全てが始まった国だから」

──2009年以来、実に16年ぶりの来日になります。

「そうだ、リオン・タケシと戦った時だよ」

──2013年9月にリオで取材をさせてもらった時はペルーのインカFCフェザー級チャンピオンでした。あれから12年、ペケーニョはどのような人生を送っていたのですか。

「あれから1年間、メキシコで2試合、ブラジルで1試合MMAと戦って実戦からは離れた。その後はルタリーブリの普及に努めてきたよ。世界中でセミナーを開き、今では68カ国でルタリーブリの活動を行っている。ブラジルではアカデミア・ギロチーナ・ファイチで指導をしているんだ。

アカデミアはブラジルで、海外では協会の代表として活動していて。黒帯だけでも300人は育ったよ」

──68カ国……日本が含まれていないのが、悲しいです(笑)。

「それはこっちが言いたいよ。こんなに長い間、僕は日本に行くことができなかった。日本の皆は僕を必要としていないんじゃないかって、傷ついたよ。誰からもセミナーの誘いもなかったからね」

──ペケーニョが、ビジネスができるとは誰も思わなかったのですよ(笑)。

「アハハハハ。でも今回、ROMANで日本に行くことができる。これをきっかけに、日本で活動ができるようになりたいね」

──ぜひとも、ルタリーブリ・セミナーを開いてほしいです。

「もちろんだ。試合が終われば、皆とルタリーブリの技術を分かち合いたい」

──ところでペケーニョが実戦を離れた前後から米国のグラップリングはテクニック的に、もうノーギ柔術とは呼べない進化を遂げてきました。足関節の新しいシステム、そこへのカウンター。さらにはレッスルアップとスクランブル。ルタリーブリもこの影響を受けているのでしょうか。

「ルタリーブリの選手はADCCルールでもNAGAルールでも戦うことができる。米国での試合に出る機会を得ることが難しいだけで、技術的には全く問題ないよ。ルタリーブリも進化している。レスラーたちと交流して、レスリングの技術も多く取り入れてきた。ルタリーブリはもともと、トップゲームを重視する競技だったのでレスリングから学ぶことはとても多かったよ」

──またペケーニョに会えることは嬉しいのですが、現状でのフィジカルや実戦の感が戻るのか不安も大きいです。

「この間、ファイトに向けた練習はしてこなかったのは事実だよ。でも、常に教え子の試合のために練習を続けてきた。ブラジルだけでなく、ペルーや海外でもキャンプに参加してきたんだ。メインはルタリーブリの指導だけど、生徒のなかには当然のようにMMAを戦う者がいる。だからMMAのキャンプを一緒にやってきた。一つ言えることは、現役の終盤はケガが多くて苦しんだけど、今は全く問題がないということだよ」

(通訳をしてくれた)アンドレ・ベンケイ 47歳でもキッズみたいに元気だ(笑)。実際、コンディションの良さは驚くばかりだよ。そして正しいトレーニングを続けている。

「ずっと戦ってきた。試合が決まれば、またあの頃の感覚をすぐに取り戻すこともできた。打撃に関しても、身に着けた動きは体が覚えている」

──では今回の試合、いつ頃オファーを受けたのでしょうか。

「3月15日だよ。実はもう10年以上もMMAを戦っていないし、どうすべきか悩んだよ。でも、眠っていたウォリアー・スピリットがみるみる蘇ってきた。試合に勝ちたいと思うようになったんだ」

再びグラップリングの重要性が再確認できるはず。マーシャルアーツの尊厳を取り戻したい

──では道着MMAに関して、どのような印象を持っていますか。

「全く別物だ(笑)。キモノは難しいよ。キモノの存在が打撃にも、グラップリングにも大きく影響してくる。掴むところがあるのは、面倒だ(笑)。位置取りも変わり、スピードも抑制されてしまう。本当に厄介だよ。身体能力のアドバンテージを除外する要素になる。でも経験がなかったからこそ、すぐに色々な発見ができた。試合は面白いことになるだろうね」

──サッカーボールキック、3点ヒザ、ヒザをついた状態の相手へのペラダーダーも認められているルールです。

「問題ない。ルールのないMMAだ。寝技で蹴るという選択ができることは、道着があることでより有効な手段になる。道着を持ってホールドされると、普通のMMAのようにパウンドは打てない。でも、顔面を蹴って良いなら話は別だ。パウンド狙いで、ホールドされないように戦えば良い。キモノと違い、そのルールセットは大歓迎だよ」

──では15分1R制に関しては? これも5分3Rとはまるで別物かと。

「その通りだよね。だからチャンレンジのし甲斐がある。インターバルがないことを頭に入れて、動く必要がある。休んで回復できる時間がない。戦いながら、コントロールする必要がある。そして、その方法はもう見つけることができた。15分間、極端に動きが落ちないなかで強弱をつける必要がある。そこがチャレンジングなんだよ」

──そもそも47歳になって、普通の5分3Rを戦うことができるのか。以前のように海に潜って、銛で魚を捕まえるような体力をペケーニョは維持できているのでしょうか。

「あの頃のように、すぐにダイビングできる場所に住んでいないから毎日のように潜ることはできていないよ(笑)。でも、今もダイビングは続けている。肺機能って普通は80パーセントしか、人は使えない。でもダイビングをしている人は90パーセントまで使える。僕の場合はそこにフィッシュファイターの要素が加わり、97パーセント、98パーセントとフル活用できるようになった」

──超人じゃないですか(笑)。

「アハハハハハ。以前のように毎日は潜ってはいないけど、今でも普通の人よりずっと多く潜っているから問題ないよ」

──では日沖発選手の印象を教えてください。

「元UFCファイターで、多くのタフな相手と激闘を繰り返してきたウォリアーだ。マルロン・サンドロとの試合なんて、本当にすごかった。常に全力で戦い、見る人達を魅了してきた選手だよ。そんなハツ・ヒオキとだから、日本の皆の前で最高の試合ができると思っている。

しっかりと準備をして、今持てる力の全てを使って戦いたい。そして、再び日本でギロチンを見せることができれば最高だよ。実現できるよう、神に祈るよ。

と同時にこの試合で、グラップリングの有効性を証明したい。今ではグラップリングはMMAでスポイルされている。ルールのせいだ。でも、ROMANのルールは、再びグラップリングの重要性が再確認できるはずだ。そして、マーシャルアーツの尊厳を取り戻したい。

ヒオキと戦うために日本に行くけど、彼のことを本当に尊敬している。彼もそうだと思う。僕とヒオキは尊敬しあって全力で戦うから、マーシャルアーツの哲学、本質とは何かが分かってもらえると期待している。そして、このROMANというショーが、僕らの試合によってより多くの人々に知ってもらって、世界中のファイターがROMANで戦いたいと言ってもらえるような試合をしたいと思っている」

──ペケーニョ、ムイト・オブリガード。主催者の皆が、感激の涙を流すような言葉ですね(笑)。では最後に日本のファンに、メッセージをお願いします。

「日本を再び訪れることができて、本当にハッピーだよ。これまで経験したことがないマーシャルアーツと出会えたことも本当に嬉しい。皆に会える日が待ちきれないよ。ドーモ、アリガト」

■視聴方法(予定)
4月27日(日)
午後12 時00分~Twit Casting LIVE

■ROMAN02
<R.O.M.A. RULES無差別級/時間無制限>
関根秀樹(日本)
ゲイ・ババカール(セネガル)

<ROMAN COMBATライト級/15分1R>
日沖発(日本)
アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ(ブラジル)

<ROMAN COMBATウェルター級/15分1R>
大浦マイケ(ブラジル)
ウィル・チョープ(米国)

<ROMAN COMBATフェザー級/15分1R>
松本大輔(日本)
門脇英基(日本)

<ROMAN COMBATフェザー級/15分1R>
大村友也(日本)
清水俊一(日本)

<ROMAN COMBAT94キロ契約/15分1R>
中山賢一(日本)
瓜田幸造(日本)

<ROMAN COMBATバンタム級/10分1R>
江崎壽(日本)
江木伸成(日本)

<ROMAN COMBAT75キロ契約/10分1R>
押木英慶(日本)
高橋孝徳(日本)

<ROMAN COMBAT95キロ契約/10分1R>
中里謙太(日本)
田馬場貴裕(日本T)

<ROMAN COMBAT95キロ契約/10分1R>
テイラー・ラング(カナダ)
関澤寿和(日本)

<ROMAN柔術無差別級T1回戦/7分1R>
ランジェル・ロドリゲス(ブラジル)
白木アマゾン大輔(日本)

<ROMAN柔術無差別級T1回戦/7分1R>
森戸新士(日本)
柳井夢翔(日本)

<ROMAN柔術フェザー級/7分1R>
大脇征吾(日本)
鍵山士門(日本)

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