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【DEEP Nagoya Impact2025#01】廣瀬裕斗と対戦、中西哲生「戦うことへの気持ちを切らしたくない」

【写真】ある土曜日の寒天練――その中で試合直前の中西は、最も汗を流していた(C)SHOJIRO KAMEIKE

20日(日)、愛知県の刈谷市産業振興センターあいおいホールで開催されるDEEP Nagoya Impact2025#01で、中西哲生が廣瀬裕斗と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

名古屋駅から近鉄線に乗り、黄金駅あるいは烏森駅から徒歩6分ほど。HEAT24中村店-寒天FIGHT SPIRIT-では週3回、「寒天練」と呼ばれる名古屋在住ファイターが集まるMMAの練習会が行われている。春日井”寒天”健士が監督となり、多くの選手が技術練習からスパーリングに取り組む。

中西も、その寒天練に参加するファイターの一人だ。自身のジム「EQUIPO CERO(エキポセロ)」を持ちつつ、トップファイターたちとの練習に臨む。練習開始前のアップから参加選手があまり目を合わせていないことに触れると、中西は「何のために来ているか、みんな分かっているんですよ」と笑う。

当日の寒天練で最も積極的に、スパーリングに取り組んでいたのは中西だった。2014年にプロデビューし、現在34歳。ベテランの域に達するなか、戦い続けるために挑む練習――中西に寒天練と廣瀬戦について訊いた。


――現在、DEEP名古屋大会と北海道PFCを主軸に戦っている中西選手です。

「はい、その2つに落ち着きました」

――これまで様々な大会に出場してきたイメージのある中西選手です。今この2大会を主軸にしているのは、何か理由があるのですか。

「DEEP名古屋大会については、名古屋でジムを立ち上げた自分にとっては『地元で試合をしたい』という気持ちが一番大きいです。自分のジムを盛り上げたくて。

PFCは自分がすごく試合をしたい時期があり、そのタイミングでオファーを頂き、タイトルマッチまでやらせてもらいました。それはありがたいことで、PFCには今後も継続して出場したいと思っています」

――PFCではタイトルマッチを経験しましたが、どこかの団体に落ち着いて戦い、勝ち進めばベルトも見えてきます。そのようなキャリア形成は考えていないのでしょうか。

「どこかに落ち着く、というのは考えていないですね。もちろんベルトは欲しいけど、それはジムにベルトを飾りたいからで(笑)。ベルトを巻いたら自分の名前も、少しは歴史に残るかもしれないですし。だけど他の選手と比べて『絶対にベルトを獲ってやる!』という気持ちは薄いかもしれません」

――そんななか、寒天練でハードな練習に取り組んでいる。しかも中西選手がスパーリングに、最も積極的に挑んでいました。

練習開始前はある意味独特の雰囲気に。練習とも試合とも違う「試し合い」の場だ

「アハハハ、こういう練習をしないと強くなれないですからね。自分が負けず嫌いだっていうのもあるし……。もちろん強い人たちばかりが参加しているから、うまくいかないこともありますよ。そこで、せめて疲れさせるぐらいはやりたいと思っていて(笑)」

――練習や試合を止めることが怖い、と思うことはありませんか。MMAを続けていて、一度気持ちが途切れてしまうと……。

「あぁ、その気持ちはあるかもしれないです。実際のところ、練習を休みたい自分もいるし、休みたくない自分もいます。『今日の練習は行きたくないなぁ』と思うことだってありますよ。だけど、少なくとも戦うことへの気持ちを切らしたくないし――その気持ちが切れたら引退する時なんでしょうね」

――試合直後でもあり今回は参加していませんが、練習仲間の和田教良選手がグラジで今井健斗選手に敗れました。次は今井選手と同じマーシャルアーツ中津川所属の廣瀬選手と、中西選手が対戦します。

「僕の中では和田さんが今井君に勝てば、どこかで僕と今井君が対戦することもあるだろうと考えていました。階級も近く、僕は名古屋で彼は岐阜だから、DEEP名古屋大会で当たることもあるとは意識しています。ただ、今井君が勝ったことで彼も上に行くでしょうし、そのあたりは分からないですね。

今井君はだいぶ前に一度、寒天練に来たことがあるんですよ。その今井君と同じように、廣瀬選手のことも意識はしていました」

――2月のBreakthrough Combatでは、ガーダム×竹内という寒天練に参加している者同士のマッチメイクがありました。ガーダムと竹内選手の場合は練習で一度しか組んだことがなかったそうですが、今後は普段一緒に練習している仲間との対戦も考えられます。

マットスペースでもケージの中でも、空いているスペースがあれば進んでスパーに臨む

「別に自分は気にしないですね。練習は練習、試合は試合。練習と試合ではその場の流れや緊張感も違うので。オファーが来ても『練習場所はどうしようかなぁ?』って考えるぐらいだと思いますよ。それが仕事なので仕方ないです。僕も和田さんと試合するつもりでした」

――えっ!? どういうことですか。

「2~3年ぐらい前、和田さんとの試合のオファーがあったんですよ。やるかどうか少し悩みましたけど、『やっぱり試合がしたい』と思って受けました。結局は試合がなくなって」

――和田選手と対戦するつもりだったとは……。

「先ほども言ったとおり、練習と試合は別モノです。そして僕は試合がしたい。そういう仕事をしているわけですからね」

――なるほど。そこで試合のお話ですが、対戦する廣瀬選手の印象を教えてください。

「戦い方が一生懸命なファイター、という印象はあります。そこは僕と同じなのかな、と思っていますね。廣瀬選手は打撃、僕は組み技という違いはあっても、お互い気持ちでガッと行くタイプで。どちらも試合でやることは決まっているといいますか」

――確かに廣瀬選手はもちろん今井選手、切嶋龍輝選手など自分のやるべきことを貫くタイプが多いのは、マーシャルアーツクラブ中津川の特徴かもしれません。一方で、中西選手は新しいことを身につけたりしていますか。

「新しいこと……う~ん、自分の中では以前よりも筋力トレーニングを重視しています。PFCのタイトルマッチで負けてから、『練習スケジュールがキツくても必ず筋力トレーニングは欠かさないようにしよう』と決めました。自分のファイトスタイルを考えても、筋力は必要だと思って」

――廣瀬選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「僕が決めるか、相手がKOするか。あるいはグチャグチャした試合になるか――その可能性もありますよね。僕の中では、やることは決めています」

――それだけ対戦相手もやることが決まっているタイプであるにも関わらず、似たタイプの選手と対策練習を行うか。あるいは寒天練のように様々なタイプと組むほうが良いのか。

打撃系の廣瀬と対戦する中西だが、同じ日に吉田睦と対戦する草野ガブリエル(ガブリエル・クサノ)=柔術系ファイターとも組んでいた

「僕は、いろんなタイプの相手と組むことが良いと思っています。試合では何が起こるか分からないですからね。実際に向かい合ってみた時、映像で観たのと構えが違っているだけで、何が来るか分からなくなることもありますし。そういう状態になるのが嫌なので」

――練習の中で寒天監督も仰っていましたね。「試合前でもオーソドックスかサウスポーか、それは構わずにどんどん組んで行こう。試合では相手がスイッチするかもしれないし、何が起こるか分からないんだから」と。

「はい。試合の中で一番よくないのは、パニックに陥ってしまうことなんですよ。その部分で安心感が欲しいから、寒天練に参加しているというのはあります。

僕もベテランの域に達してきました。次の試合は、若手をシャットアウトします。面白い試合になることは分かっているので、そこで自分が極めますよ」

■DEEP Nagoya Impact2025#01 視聴方法(予定)
4月20日(日)午後12時~
YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP Nagoya Impact2025#01 対戦カード
<フライ級/5分2R>
松岡疾人(日本)
八尋大輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田陸(日本)
草野ガブリエル(ブラジル)

<女子50キロ契約/5分2R>
ののか(日本)
マユミGSB(日本)

<フライ級/5分2R>
中西哲生(日本)
廣瀬裕斗(日本)

<フェザー級/5分2R>
藤岡陸(日本)
加藤綾真(日本)

<バンタム級/5分2R>
大岩翔哉(日本)
田口貴規(日本)

<バンタム級/5分2R>
脇田仁(日本)
野木崇政(日本)

<80キロ契約/5分2R>
浅野功暉(日本)
アモリン(ブラジル)

<ライト級/5分2R>
河村嘉展(日本)
平澤克明(日本)

<フライ級/5分2R>
髙村友晴(日本)
山田悠太(日本)

<メガトン級/5分2R>
ブラックタイガー(日本)
もも太郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
Akiyoshi(日本)
古市陸(日本)

<バンタム級/5分2R>
福井達郎(日本)
永井宏人(日本)

<アマチュア バンタム級/3分2R>
平山稔和(日本)
河野太喜(日本)

<アマチュア バンタム級/3分2R>
熊澤愛希也(日本)
吉田翼(日本)

<アマチュア バンタム級/3分2R>
中川内羽矢斗(日本)
切嶋黎(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
谷口仁歩(日本)
村田和生(日本)

<アマチュア フェザー級/3分2R>
濱本佳樹(日本)
西川玲司(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
大森仁(日本)
西村凛惺(日本)

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