【UFN81】勝てばタイトル戦線復帰、負ければワン・オブ・ゼム。崖っぷちのペティス×アルバレス
【写真】輝かしい過去を持つ両者が、員数ファイター降格のピンチに陥っている (C)MMAPLANET
17日(日・現地時間)、マサチューセッツ州ボストンのTDガーデンで行われるUFC Fight Night81「Dillashaw vs Cruz」。メインでUFC世界バンタム級選手権試合TJ・ディラショー×ドミニク・クルーズが行われる同大会のセミでは、元WEC &前UFC世界ライト級王者アンソニー・ペティスと日本でも活躍した元Bellator世界ライト級王者エディ・アルバレスという注目マッチが組まれている。
2013年8月、ベンソン・ヘンダーソンを腕十字で下して王者となったペティスは、ギルバート・メレンデスとのTUFコーチ対決でもあった初防衛戦に成功したものの、昨年3月にハファエル・ドスアンジョスに敗れ、ベルトを失った。以来、10カ月振りのファイトが今回のアルバレス戦となる。
アルバレスはBodog Fight、Sho XCを経て日本=DREAMに活躍の場を求めると、ライト級GPでヨアキム・ハンセンや川尻達也との名勝負を経て人気者に。青木真也に敗れたたものの新天地Bellatorで初代ライト級王者に輝く。UFCのライバルプロモーションで長期政権を築くかと思われた矢先にマイケル・チャンドラーに敗れ王座転落。再起戦では青木へのリベンジを果たし、チャンドラーとの再戦も制した。この間、UFCとの契約を求めベラトールとは司法の場で争うこととなったが、スコット・コーカー体制になったベラトールはアルバレスをリリースし、晴れてオクタゴンで戦うことが可能となった。
にも拘わらず、2014年9月のオクタゴン初戦でドナルド・セラーニに完敗し非UFC最強の男も厳しい戦いを強いられることとなったアルバレス。昨年6月の──言ってみれば一時期話題となったストライクフォース王者×ベラトール王者対決──メレンデス戦でスプリット勝利を収めたものの、往年の力強いファイトとは程遠い試合内容だった。
レスリングベースながらパンチを武器に名勝負を繰り広げてきたアルバレスは、ダメージの蓄積を避けるためにも足を止めての打ち合いというスタイルから、距離を見極めプレッシャーを与え、被弾せずにパンチを入れるという戦い方を構築してきた。もちろん、いざとなった時の打ち合いの強さはチャンドラーとの2試合で実証済みだ。
しかし、UFCで戦うようになったセラーニ&メレンデス戦を見る限り、そのプレッシャーを与えることができていない。セラーニ戦では従来の通りワンツーや左フックから右ストレートという逆ワンツーを駆使しても、ローとヒザで削られ動きがみるみる落ちて行った。オクタゴン初勝利を挙げたメレンデス戦も同様に左ジャブで前進を阻まれ、フック系のパンチの振りが大きくなったところでカウンターを受けるというシーンが見られた。メレンデスも失速し、両者が見合う展開が多くなり、判定勝ちこそ収めたが終盤はブーイングが起こるというアルバレスの価値を下げるような試合内容でしなかった。
一方、ペティスは王座を奪取したベン・ヘン戦、初防衛戦に成功したメレンデスとの試合は揃って、ケージ際でのテイクダウン狙いを阻止し、打撃で反撃。サブミッションという見事な流れを披露してきた。ベン・ヘン戦ではケージ際から離れた直後にサウスポーの相手に右ミドルを4連打、変則的な蹴りでガードを強いられたが、腹が効かされたベン・ヘンが前かがみでガードの中に収まった直後に腕十字を極めた。
続くメレンデス戦ではオーソのメレンデスに対し、ケージを背にした状態でテイクダウンのプレッシャーを受け続けながらも、一瞬の隙をついて右ハイや、スピニングバックキック、前蹴り&左フックで反撃。足を使って回りつつ、前に出てくるメレンデスに一発、イ一発インパクトを与える打撃を打ち込んでいった。最後は焦って組み付いてきたメレンデスをギロチンで切って落としている。
ただし、王座を失ったドスアンジョス戦ではこのケージ際で競り勝ち、自分の流れを作るという試合展開に持ち込めず、5R・25分間の殆どで、ドスアンジョスのプレッシャーをもろに受け左ストレート、ボディ、そして左ハイからダブルレッグでテイクダウンを取られ続けた。
言ってみれば今回の一戦はプレッシャーを掛けられなくなったアルバレスと、プレッシャーに耐えきれなくなった一面を見せたペティスの戦いということができる。結果が全てといっても過言でないUFCを頂点としたMMAワールド、その頂上付近で戦う資格を得られるファイターは結果が伴いつつ、試合内容でファンを魅了することができる選手に限られている。この2つが両立できないと、UFCではワン・オブ・ゼムの仲間入り、果てしなく続くサバイバル戦要員に格下げされる。
つまり輝かしいキャリアを誇るペティス&アルバレスにとっても、勝てばタイトル戦線復帰、負ければ員数ファイターに降格という崖っぷちのファイトということになる。
■ UFN81対戦カード
<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] TJ・ディラショー(米国)
[挑戦者] ドミニク・クルーズ(米国/1位)
<ライト級/5分3R>
アンソニー・ペティス(米国/1位)
エディ・アルバレス(米国/4位)
<ヘビー級/5分3R>
トラヴィス・ブラウン(米国/6位)
マット・ミトリオン(米国/14位)
<ライト級/5分3R>
ロス・ピアソン(英国)
フランシスコ・トリナルド(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
パトリック・コーテ(カナダ)
ベン・サンダース(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ティム・ボッシュ(米国)
エド・ハーマン(米国)
<ライト級/5分3R>
クリス・ウェード(米国)
メディ・バグダッド(フランス)
<フェザー級/5分3R>
マキシモ・ブランコ(ベネズエラ)
ルーク・サンダース(米国)
<ライト級/5分3R>
ポール・フェルダー(米国)
ダロン・クルックシャンク(米国)
<フェザー級/5分3R>
チャールズ・ロサ(米国)
アウグスト・メンデス(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
イリル・ラティフィ(スウェーデン)
ショーン・オコネル(米国)
<バンタム級/5分3R>
ロブ・フォント(米国)
ジョーイ・ゴメス(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
フランシマール・バローゾ(ブラジル)
エルビス・ムタプチッチ(米国)