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【ONE】エディ・アルバレスが語るエディ✖アオキIII & 日本─02─「日本は、その時を待っている」

【写真】エディが口にしたからこそ──の説得力。そして心の底から感謝したい言葉が聞かれた (C)MMAPLANET

エディ・アルバレス・インタビュー後編、38歳になったレジェンドが、日本のレジェンドとの3度目の対戦について言及した。

そして日本が強くなるための──助言を求めると、エディから珠玉という表現が相応しい言葉が聞かれた。

<エディ・アルバレス・インタビューPart.01はコチラから>


──ONEとの契約状況の詳細に関して自分は知りえないのですが、ONEは再び日本大会の開く方向にあると聞いています(※インタビュー後、見なおされたという話も……)。仮に日本大会が実現した時に、関係者はエディと青木真也選手との3度目の対戦を期待している模様です。

「フフフフ、メイビー。きっとね(微笑)。そこはONEと話をしていくよ。とにかく、どうなるのか話し合いが必要だ。メイビー……だよ(笑)。シンヤと、レジェンドファイトで戦えることは素晴らしいことだけどね。

僕はシンヤのやってきた全てのことを尊敬している。彼の試合はずっとチェックしているけど、本当にシンヤと戦ったのは大昔のように感じるよ(笑)。皆はさ、簡単に『シンヤは負けた』って言うよ。アキヤマとの試合や、ケイド・ルオトロとの試合を見て。でも誰も『シンヤはずっと最大のチャレンジをしている』とは言わないんだ。

シンヤがやってきたことを振り返ってみなよ。彼は一度でもノーって言ったことがあるかい? ずっと誰を相手にしても戦ってきたんだ。自分が不利だと分かっている試合も戦ってきた。そういうチャレンジを続けてきたんだ。だから、僕はシンヤのことが好きなんだ。

シンヤ・アオキは本当の意味でファイターであり、ウォリアーだよ。僕も自分はそうやってきたと思っている。この世界のベスト中のベストと戦ってきた。それって相手じゃないんだ。相手を見てチャレンジしているんじゃない。自分と戦い続けるってことなんだよ。その点において、僕は心から彼を尊敬している。エディ✖アオキIIIかぁ……まぁ、このクレイジーな世界では何が起こるかは、誰も分からないよ。フフフフフ」

──ところでエディが日本を主戦場にしていた時代と違い、日本人選手が国際的な舞台で勝てなくなっています。UFC、Bellator、そしてONEでも戦績的には厳しい状況です。エディから見て、何が日本のMMAに足らないと感じますか。

「日本の選手たちのトレーニング環境がどうなっているのか、僕は分かっていない。ただし、確かなことは選手のパフォーマンスというものは、毎日、どのようにジムで過ごしているかで創られていくものだよ。

ここキルクリフFCの環境を見て欲しい。ここには成功を収めるべき環境が数多く揃っている。互いに練習でプッシュし合っている。なぜ、日本人選手が負けているのか……僕はその理由が何かは口にできない。それを口にしても、事実に一致しないだろうから軽々しく話すことはではないだろう。

でも日本人の武士道ウェイは、現状が良くないからって諦めるはずがないことは知っている。勝つまで続けるんだろう? そのためには競争力のある練習環境が必要なことは間違いないよ。それは日本だけじゃない。米国、ロシア、世界中の選手にいえることだ。競争力のある練習環境を創ることさ。

だからジム単体でなく、ジム同士で強化策を練るとかあっても良いんじゃないかなか。競争力のあるユニットを創るんだ。現状として、それが足らないのであれば。米国に来て、そういうチームの一員になる手もあるよ。きっと日本はそういう意味で、世界で戦っていくために足並みが揃っていないんだろう」

──……。確かに練習環境という部分では、競技間の溝など米国とは違う現実が横たわっています。

「なぜ? そういうルールがあるのかい?」

──強制力があるのか、徹底できるかどうかというのは別にして暗黙の了解的なモノは確実に存在しています。ボクシングや空手の指導者から「指導中の写真は撮らないでほしい」という話は、本当に聞かれますし。

「ノー。そういうことは本当に良くないよ。コーチは誰にだって、指導する権利があるはずだ。空手だって、ボクシングだって……なんだって。そしてファイターは必要なことは、何でも練習できないと」

──ジムの広さや設備はもう言及してもしょうがない、現実で工夫をするしかないですが、その点だけは如何ともしがたいです。だから米国に移り住む、それこそ佐藤天選手のようなファイターが出てきました。

「素晴らしいことだよ。サトーが成功を目指して、フロリダにやってきたことは。チャンスを掴みにやってきたんだから。ここには真実がある。でもね、チャンピオンはどこにいてもチャンピオンになれるよ。チャンピオンになれる人間は米国に来るのも良いし、日本に留まっても構わない。どこで、誰とでも練習できる。それがチャンピオンだ。チャンピオンになれる人間だ。

どこで練習するかを問わない。これまでずっと数多くのファイターが『ここで練習しないといけない』と練習環境を変えてきた。そして、どこに行ってもトレーナーはその手助けをする。でも、チャンピオンは自分でなるものだ。世界中、どこにいても。誰もチャンピオンを創造できない。自分でなるんだ。

日本にいようが、米国にいようが……世界中、どこにいてもチャンピオンは自分でチャンピオンになる。そうだね……僕が想うには、日本で1人──象徴的な選手、日本を代表するファイターが生まれれば変わると思う。その1人が多くの若い世代に影響を与える。
そして若い世代が育つ。

今、日本はその1人を待っている時期なんだよ。そういう1人が現れれば、他の人間も『彼ができるなら、僕もできる』ってなるんだよ。そして一緒に成長していく。その時を待っている。それが今の日本なんだよ、きっと。

それって、どこの国でも見られることさ。そして、どこの国でも起こりえること。1人チャンピオンが現れれば、3人のチャンピオンが生まれる。そして日本のMMA全体が力をつける。誰がそういう1人になりたいのか。そういうチャレンジを誰がしているのか。僕も期待しているよ」

──エディ、泣かせないでください。本当に有難い言葉です。

「アハハハハハ。僕もまた東京で戦う日を楽しみにしている。いつだって、東京は僕のお気に入りの街だからね」

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