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【PFL&ONE】三浦彩佳meets 渡辺華奈─02─「修行です」(三浦)&「超結果主義者なので」(渡辺)

【写真】凄く面白い対談となりました。イメージアップには役立っていないかもしれないですが…… (C)MMAPLANET

6月13日のPFL2024#04でリズ・カモーシェとシーズン2戦目、そして3年前のリベンジ戦を戦った渡辺華奈とONEで戦う三浦彩佳の対談後編。
Text by Manabu Takashima

渡辺の敗北こそ喫したが、MMAファイターとして成長振りをハッキリと見せた。そんな充実の3カ月を過ごした渡辺に対して、試合がなかなか決まられない三浦はどのような心境できるのか。また渡辺の試合から何を感じることができたのか。

柔道ベースの渡辺と三浦だが、渡辺はいち早く柔道を利したMMAを戦う。首投げとアヤカスペシャルを持つ三浦に対し、渡辺のアドバイスとは──。渡辺がこれまで取材で見せていなかった一面を開放したことと同様に、注目してほしい。

<渡辺華奈&三浦彩佳子対談Part.01はコチラから>


──カモーシェは、男子のプロレベルですか!!

渡辺 ハイ。しかも階級が上の男子選手ですね。ただ、あそこからの対応は凄く練習をしていたので焦ることはなかったです。同時にすぐに立ち上がると、離れられて打撃の展開になりタコ殴りされるかもとか色々と考えました。

──考え得る限りベストの試合展開はどういう風だったのでしょうか。

渡辺 打撃を出してからテイクに入りたかったです。それが気が付けば走っていました。アハハハ。

三浦 もう決めていたかのような仕掛けでしたよ。それに隼人さんと、切られてからの練習をしていましたよね。

(C)PFL

渡辺 そう。

がぶられても、その手を外して、差し返してテイクダウンを取るという練習をずってやっていました。練習でイジメられていた良かったです(笑)。ただ自分がテイクダウンを決めてトップをとっても、今までに経験したことがない強さを下から感じました。上を取ると、もっと簡単にできるかなって思っていたのに凄く上手かったです。プレッシャーが強くて……必死に戦っているなかで、あの圧力が少し楽しかったです。

──楽しかったですか。素晴しいですね。スクランブル中やテイクを切られた時などに、カモーシェが相当の勢いでパンチを入れるシーンもありました。カモーシェは一度秒殺をしている相手に対して、全く奢るところがなかったです。

渡辺 ハイ、もっと調子に乗っていてほしかったです。

三浦 ずっと華奈さんのことをリスペクトしていましたよね。

渡辺 ……。でも、クソって感じです(笑)。

三浦 あの肩固めの極まり具合ってどうっだったんですか。

渡辺 う~ん、私は結構、肩固めが得意なんだけど。

三浦 マジで、フィニッシュできるんじゃないかと思って視ていました。

渡辺 ちょっと、ずらされた。

三浦 足じゃなくて、ずらされていた?

渡辺 ずらされていた。

三浦 潰されますよ、華奈さんの肩固め……本当に。もう我慢とかの問題でなく、骨が圧迫されて。男の人に仕掛けられるのとも、違っているんです。

渡辺 でもさっきも言ったけど、本当に男と戦っているような感じで。「コイツ、女か?」って。エヘヘヘヘ。

三浦 リカバリーも凄かったですよね。

渡辺 でも向き合った時に、コイツもビビっているなと思いました。もちろん、私もビビってたんですけど。「あっ、人間なんだな」と思いました。

──勝てると踏んでいたのか、五分五分、もしくは不利だけどひっくり返そう。この間の経験を積んで来て、正直なところ試合前の自信はどれほどだったのでしょうか。

渡辺 自分が絶対に勝つとは思っていたのですが、心の奥底で五分五分の勝負を何とかモノにするという気持ちで挑みました。ポイント的にはフィニッシュをしないといけないし、勿論フィニッシュは狙うけどプレイオフのこととかは一切頭になくて。「とにかくコイツに勝ちたい」、「骨が折れても勝ちたい」と考えて戦った……結果、負けてしまったんですけど(苦笑)。ボロボロになっているのも練習通りです。アハハハ。

三浦 結果的に1Rと2Rを取っていますよね。これは行けるって……特に肩固めの時に思って。それはカモーシェが苦しんでいて、本当に必死だったじゃないですか。

渡辺 フゥゥみたいな苦し気な呼吸が聞こえたんですよ。 

三浦 もちろん試合を視ている時は初回と2Rのポイントが分かっていなかったですが、それでも最後まで戦えば勝つと思っていました。

──腕十字というのは意外でした。

渡辺 自分が一本を取られるなんて、想像もしていなかったです。メリメリメリって音がして

──うわぁ……。想定していない形でびっくりタップではなかったのですね。

渡辺 下から殴られて、それも効いていて。カッとなって、「ふざけんな」って言う風に思い切り殴りにいってしまったんです。十字の対処も焦っていましたね。あそは練習通りでない対処をしていました。

ただ、あのワンミスは普通の選手なら見過ごしてと思います。でもカモーシェは見逃してくれなかった。そこはもう一枚上手だったと認めるしかないです。

──立ち上がって時点で、ヒジが抜けるという感覚だったのでようか。

渡辺 はい。それはありました。でも、立つかどうかというタイミングで極められてしまいましたね。三角を狙われたりして。

──結果論なのですが、立ち上がると同時にカモーシェの頭を跨いでいれば……とか思ってしまって。

(C)PFL

三浦 めっちゃ、そうなんですよね。

渡辺 そうなんですよ。あの時は立てば抜けるかもって思ってしまって。汗もかいているし。あと数秒だからと。

三浦 8秒ですよね……。

渡辺 練習だと立つってことあまりやらないのに……逆に私が仕掛けていたとしても、カモーシェなら立たなかったと思います。緻密だし、そういうミスはしない。そこの差が出た試合だと思います。それは認めています。

(C)PFL

──勝負なので、勝ち負けはついて回ります。

それでも、足にしがみついても上を取るという姿勢は見ている者の胸に何かが突き刺さったファイトだと思います。

渡辺 良い試合だったと言ってもらえることは嬉しいです。でも自分は超結果主義者なので。やっぱり凄く悔しいです。

──勝った人間が正義。ですが、そこまで勝ちに拘っているからこそ、負けてもその姿勢を貫いていることで皆が感動をしたのだと思います。

渡辺 ありがとうございます。MMAを始めた時に世界チャンピオンになることと、もう一つ目標があって。

──それは?

渡辺 一度、完全に柔道で挫折して。そこからMMAをやるようになりました。その時には「誰かに勇気を与えることができるようになりたい」と思って始めました。自分が本当にクソみたいなところまで落ちていたので。

──話の腰を折って申し訳ないですが、相当に言葉使いが悪いですよね。これまでの取材ではなかった部分です。三浦選手がいてくれて、素が出てきたというか、

三浦 本当に華奈さんは真面目ぶっているんですよ(笑)。

渡辺 アハハハハハハハ。

三浦 これがいつも通り……いや、これでもマイルドなので全く問題ないです(笑)。もう、練習中とか酷いですから。男の人より、言葉は悪いです。

渡辺 中学生の子のケツを「おいっ!!」って言いながら叩いたり(笑)。

──ケツ……。皆に勇気を与えられる言葉ですね(笑)。

渡辺 アハハハ。どん底まで行った人間が、頑張ればチャンピオンになれる。そうすれば「私も頑張ってみようかな」と思ってくれる人が出てくるかもしれない。そうやって勇気を与えられる選手になる。それはチャンピオンになるのが一番で。負けてしまったけど、そういう風なことがチョットできたなかって……でも、複雑ですね。

──僅か3カ月の間にPFLの2試合で色々なことを経験して、葛藤もしていた。そして一生懸命だった渡辺選手を見て、自身と照らし合わせるとどういう想いでしたか。

三浦 羨ましかったです。

──1月に勝って、そこから試合がない。途中で発表されてキャンセルされた試合も、他の日本人選手が勝った相手だった。なかなか厳しい時間が続きますね。

三浦 それもありますか……自分はそもそもストロー級の選手だという気持ちでいるんです!! ヂィンナンとなるという気持ちが強くて。最初にアピールさせてもらったのはスタンプが欠場になったんだから、9月にヂィンナンと組んで欲しいということでした。でも、9月大会からヂィンナンがいなくなっていて。

渡辺 三浦さんと一緒にいて……「試合が決まりそう」、「でも、なくなった」、「決まった」、「流れた」っていう話があり過ぎる。なんか、びっくりします。コロコロ変わって。

三浦 それでも去年よりマシだっていう風に考えていて。去年は試合に負けた状態で有る、無い。ある、ないが続いていて。精神的に本当に焦っている状態が続いていました。

渡辺 続いていた。うん、続いていた。

──ようやく決まった平田戦も、不本意な試合だったことは確かで。

渡辺 あの試合はよく戦いましたよ。因縁なんてないのに、無理矢理に因縁を作られて。お互い、お別れしてから次の相手と付き合いだしたわけで。それがね、被ったりしていたら自分もボコボコにしてやりたいですけどね。アハハハハ。

あっ、自分もそういうのやりたいなぁ。なんか、因縁創ってくれないですか(笑)。

──面白がっているじゃないですか。

三浦 アハハハハ。酷い。

──いずれにせよ、平田戦を受けた。そして勝った。ならご褒美は?となりますよね。

三浦 しんどいのが続いています。

──ONEと契約している選手って、しんどい状況のなかでポジティブな面を見つけるのが上手くなっていますよね。

三浦 そうなんです。それなんですよ。どうやって自分のモチベーションを保つのか、修行です。(若松)佑弥君もずっと「精神修行です」って言っていますけど、ホンっとに、その通りです。でも、長南さんも常に試合ができるように、動いてはくれるので……秋ぐらいには、と。

──同時に渡辺選手もPFLシーズン制の厳しいところで、3カ月で2試合を終え、プレイオフ進出を逃すと試合がない。逆にONEだと「負けても、良い試合だった」と次がすぐに決まることもあります。

渡辺 その点でいえば、本当にどれだけ良い試合をしても、結果は一本負け。それしか残らないんで。意味ないですよ。

──意味がないなんてことは決してないのですが、次の試合という部分になると過去にないケースではあるかと思います。

渡辺 どうなるんですかね。Bellator Championship Seriesに出られる可能性があるかもしれないし、年末に何かあるかもしれない。Bellatorの時に結んだ契約は残っているので、それがどのタイミングで組まれるのか──ですね。

三浦 決まっているのは、カラオケだけですか(笑)。(※8月31日にDEEPサマーフェスティバルでMMAファイターのカラオケ大会が行われる)

渡辺 そう。人生はポジティブな要素を見つけて生きないといけないので(笑)。真面目な話、試合が決まっている期間は自分の武器を増やせない。この試合が決まっていない期間に手持ちの武器を増やして、成長できればなと思っています。

──両者とも柔道ベース。凄く対談の締めっぽくなるのですが、渡辺選手から三浦選手にアドバイスをできることなどありますか。

三浦 お願いしますっ!!

渡辺 えぇと……下にならない。下にならないというか、背中をつけたままにしないこと。それは試合でも、練習でも。自分がそこを心掛けるようになって、変わることができました。下になっても腕十字、三角絞め、足関節、アームロックという攻める手段はあります。でも、そういうのは全部捨てて。レスリングでボッコボコにされて苦しいけど、何が何でも背中をつけずに上を取るという気持ちをずっと持っていたら、ちょっと自分は変わることができました。

カモーシェ戦もバックは取られましたが、一度も背中はマットにつけていないです。そこ……ですかね。首投げを失敗しても、下になって足関節とかいかない。レッスルアップからテイクダウンをしてリバーサル……上を取る。でもね、下になることがあるんだから、下の練習もしないといけない。そして、如何に下なる時間を短くするのか。自分はテイクダウンを仕掛けられている瞬間に、立つことを考えています。

三浦さんは試合で下になっていないので、そこまで考える必要はないのかもしれないけど、練習でやっておくと試合で役に立つ時がくるから。

三浦 確かにレスリングの練習で追い込まれても、華奈さんは立っていますね。私は追い込まれると、体も思考も止まることがあって。

──三浦選手は思い通りならない時に、焦りというか感情が表情に出ているような気もします。

三浦 そうなんです。

──あのう……渡辺選手、今の時代にコレを尋ねると、色々と言ってくる人もいるかと思いますが……。

渡辺 ハイ。何ですか(笑)。

──女を武器に生きたことがありますか。

渡辺 ないです。それは絶対にいえます。

──渡辺選手からは「ワァ」、「キャア」という空気が一切感じられなくて。

渡辺 えぇ、それ感じない?  ちょっとぉ、感じてぇ。

三浦 アハハハハハ。

渡辺 キャァァァァァァ。感じてぇ(笑)。

──ダハハハ。本当にこれまでの取材では本性を隠していたのですね。

渡辺 自分、練習で男に負けるもの絶対に嫌なんですよ。隼人さんに、ボコられても「コイツ、許さない」ってなりますから。

──とはいっても、その女性という部分がプロとしてセールスポイントになることもあります。三浦選手もパンクラス時代は女性タレントに似ているということで、可愛い派でいけましたしね。

渡辺 あぁ、西内まりあね。

三浦 やめてよ!!

──e-fightは、そうやって三浦選手の計量にメチャクチャ力をいれていましたよ(笑)。

渡辺 でもDEEP JEWELSの計量が水着着用の頃、私も水着でテカテカを塗られたけど、もうボディビルダーみたいになっちゃって(笑)。

──ハハハハ。絶対に女は売りにはならないと。

渡辺 あの頃は何も分かっていなくて、言われたことをやっていたけど今から考えるとヤバいですよ(笑)。ただ実際、三浦さんは練習で自分より大きな相手の選手とやることが多くなって、ガチで競り合えることが少なくなってきたから。そこは難しくて。

三浦 ハイ。体が小さくなってしまって。

渡辺 自分はガチで競り合いができる相手が、男子の選手にいるので。渋谷(カズキ)さんとか、ガンガンにやっています。

──渋谷選手が下になってヒールを狙うと、「下になるな」って怒るのですか(笑)。

渡辺 アハハハ。でも、ヒールを取られちゃうんですよ。

三浦 その時の表情が、マジでイラついていて(笑)。

渡辺 ムカつきますよね。ふくやーまんとか、打撃はガチでできないけど組みの部分は全力でやりあえます。

──三浦選手は今、普段の体重が何キロぐらいなのでしょうか。

三浦 56キロぐらいですね。ただ、ここから少しでも増えると堀江さんから注意がはいるので。やっぱり52キロで戦うには。ストロー級でいきたいのですが、現状としてアトムで戦う可能性が大きいので。体を大きくすることができないんです。

──だと、男子のユニファイド・ストローの選手でも普段は5キロぐらいは重そうですね。

三浦 ハイ。以前は大きかったので、Fighter’s Flowに来ると男子選手とも体重が合っていたのですが今は大変ですね。

渡辺 でも、下にならないところは意識してほしい……ですかね。

──女子選手との練習は?

三浦 女子選手って結構、集まってやっているじゃないですか。JTTでも黒部(三奈=マスタージャパンの女子練習)さんのところも。そこには澤田(千優)選手が参加していて、ONEのアトムだと同じ階級になるから。HEARTSも樹ちゃんがいるから、ほとんどTRIBEでしか練習ができなくて。

渡辺 なら、樹ちゃんとやるしかないじゃん。エヘヘヘヘ。もう戦うこともないだろうし。

三浦 でも……こっちから声を掛けることは、やっぱりできないですよ。

渡辺 女子の軽量級って、本当に大変ですよね。そうやって練習相手も限られてくれるし、男子の選手が胸を貸してくれても、本番とは全然違う。競り合いにならないから。

三浦 そういう意味では、私が練習し甲斐があるのが春なんです。3月とか4月はTRIBEにプロ志望の子が入って来る時期で。そこに軽量級の子もいて、やる気満々で力だけある。そういう子たちだと競れるし、パワーは私よりもあって。でも、だいだい2カ月ぐらいで皆いなくなる……。

渡辺 そこかッ!! 

三浦 もう長南さんにはずっと入会キャンペーンをしてほしい。そういうプロ志望の子が、一番良い練習相手になるので。だから、海外で練習をしたいという気持ちはあります。どこか、精神的な修行の意味も込めて海外に練習に行きたいです。

渡辺 一緒に行く?

三浦 行きたいッスねぇ(笑)。タイとか、行ってみたいです。

渡辺 でも、遊んじゃうよ。

三浦 なら無理です。バカンスじゃなくて、修行がしたいので。

──TRIBE所属でONEで戦うと、修行好きになるのですね。

三浦 アハハハハ。でも華奈さん、タイだと暑いから服を着ないで済みますよね。

渡辺 着ます。服、着ます!! 服を着ないで済むって、おかしいでしょ。

三浦 私、服を着るのが嫌いなんですよ。家の中は裸族で、ほとんどパンイチで。

渡辺 えっ?  上は裸??

三浦 それかワンピースみたいなTシャツ一枚で、下はなんもなし。

渡辺 それってチョロチョロ見えるんでしょ。ちょっと、見せてみ!! どう、チョロチョロしてんの?

三浦 アハハハ。なんか、おっさんじゃないですか。本当にエロおやじですよ、それ(笑)。

──なんだか、もうとんでもない方向にいきそうなので。この辺りで対談を締めさせてください(笑)。世界で戦う渡奈選手の姿勢を身近にいる三浦選手がどう感じているのか。その辺りのことを伺って、世界を狙う女子選手が何かを掴んでくれればということでお願いした対談でしたが、結論として渡辺華奈はおっさんで、参考にはならないといことでした(笑)。

三浦 えぇぇ。まだまだ、ですよ。こんなもんじゃない(笑)。

渡辺 10パーセントぐらいですね。普段の。試合では実力の30パーセントしかだせなくて悔しい想いをしていますが、オッサン振りは10パーセントに抑えておきます(笑)。

──……。では三浦選手、日本女子を代表して頑張ってください(笑)。

渡辺 いやいやいやいや。

三浦 本当に華奈さんは、これまで取材になると隠していたのが凄いですから(笑)。私は秋ごろに試合があることを想定して、10月を目途として創っていきます。

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