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【UFN48】キム・ドンヒョン<02> 「岡見選手がいなければ、今の自分はありません」

Kim Dong-Hyun【写真】岡見勇信に対する熱い想いを語ったキム・ドンヒョン。岡見リリースを受けて、PRIDEに憧れていた自分を想いだし、スタイル・チェンジに至った(C)MMAPLANET

23日(土・現地時間)、UFN48でタイロン・ウッドリーと対戦するキム・ドンヒョンのインビュー後編。日本出稽古最終日に行なった取材で、日本での練習やウッドリー戦について語った彼が、昨年来のスタイル・チェンジに岡見リリースが関係あるのか――という問いに、どのような返答をしたのか。そして、岡見への想いの詰まった言葉とは……。

<キム・ドンヒョン インタビュー前編はコチラから>

「スタイルが変わったことに対し、岡見選手がリリースされたことと関係はあります。というよりも、岡見選手の一件で変わりました。3月に日本でシアー・バハドゥルサダに勝つことは勝ったのですが、それほど良い試合内容ではなかったです。UFCからも良い反応はありませんでした。『力の差があったのに、なぜフィニッシュできなかった』と自分でも思い悩んだ試合内容でした。

そしてエリック・シウバ戦を前に、岡見選手がリリースされました。岡見選手は同じアジアからUFCで戦っている仲間であり、自分の友人です。同じようにUFCで勝ち星を挙げ続け、試合スタイルも似たところがありました。その岡見選手が、3連勝後に僅か1つの敗戦でリリースされ、厳しすぎると思ったのも事実です。そして、次は自分の番だと覚悟しました。

あの時、初心に戻ろうと思ったんです。初めてUFCに出た時と同じような気持ちでエリック・シウバと戦おうと。ずっとPRIDEを見てきました。PRIDEに憧れていました。五味隆典選手、ヴァンダレイ・シウバ選手のようになりたいと思っていました。でも、UFCでは彼らのような試合をしたことはなかったです。

エリック・シウバ戦はもう最後だと思い、あの試合で死のうというぐらいの気持ちを持ち、五味選手やヴァンダレイ・シウバ選手のような試合をやろうと戦いました。そして、結果を残すことができたんです」

――続くジョン・ハザウェイ戦も、打撃を主武器に戦いスピニングバックエルボーでTKO勝ち。UFCの評価も上がったと思いますが、試合展開から安定性は鳴りを潜め、逆のパターンで負ける可能性も高まりました。世界戦や王座挑戦権が掛かった試合でも、今のスタイルを続けますか。

「次の試合もタイトル挑戦が視界に入ってくる試合になります。そして、以前のようなリスクの少ない試合スタイルで戦えば、勝てる確率は上がります。でも、もうUFCで10勝を挙げました。勝利の数は重ねて来ています。そして、もう私も選手生活がどれだけ残っているのか分からない年になりました。なら、初心に返って五味選手やシウバ選手、PRIDEの選手のように戦い、自分に納得がいく試合をしようと思います。

もう負けることとか、それほど気にしなくなりました。試合で戦う、オクタゴンに向かうことは死に行くことだと思っています。死に行く覚悟ができれば、勝敗にはそれほどこだわらないです」

――今のスタイルで勝った時のほうが、以前より満足感がありますか。

「あります。以前は自分の試合を改めて見ることはほとんどありませんでした。見てもつまらないからです。ただ、最近の2試合はもう1000回ぐらい見ています(笑)。それだけ満足できています」

――ではウッドリー戦もガンガン前に出て、パンチを振るう試合になりそうですね。

「とにかく前に出て行くこと、前進することが大切になります。後ろに退くことは絶対にありません。ただ、試合ですので打撃だけでなく、レスリングの攻防やテイクダウンで上になることも重要です。グラウンドの展開になっても、面白い試合ができると思っています。以前のように固めるような試合にはならないです」

――アジア内では最大のライバル、世界に向けて最高のパートナー、そんな日韓MMAの成長を岡見選手とキム・ドンヒョン選手に見せてもらってきました。UFCから岡見選手がいなくなり、同じアジアの人間としてキム・ドンヒョン選手の活躍を願っています。

「カムサハムニダ。岡見選手のおかげで、自分は成長することができました。岡見選手がいなければ、今の自分はありません。一緒に練習するようになり7、8年が経ちました。練習を重ねるたびに、岡見選手は強くなり、自分との差を埋めさせてくれません。岡見選手に追いつきたくて、自分はやってきました。だから、自分も力をつけることができたんです。

毎回、日本にやってきて最初の練習、最後の練習はいつも岡見選手とやっています。雨が降り、誰も道場に来ない時でも、必ず岡見選手は姿を現します。そして自分の相手をしてくれました。ラスベガスで100キロや110キロの選手と練習してきましたが、岡見選手のフィジカルは彼らを上回っています。日本で一緒に練習してくれる皆に感謝していますが、この場を借りて改めて岡見選手に感謝の気持ちを伝えたいです。今、岡見選手はUFCでは戦っていないですが、WSOFで世界王者になることを祈っています」

――今日はお疲れのところ、ありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「アニハセヨ。韓国のキム・ドンヒョンです。以前は日本で2年間、DEEPで戦っていました。今はUFCで試合をしています。次の試合も、アジアと全世界の戦いだと思い、アジア代表として戦います。また、岡見選手と一緒に戦える日が来ることを楽しみにしています。ありがとうございました」

■UFN48対戦カード

<ミドル級/5分5R>
マイケル・ビスピン(英国)
カン・リー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
タイロン・ウッドリー(米国)
キム・ドンヒョン(韓国)

<ライト級/5分3R>
ジャン・リーポン(中国)
ブレンダン・オライリー(豪州)

<フェザー級/5分3R>
ニン・グォンユ(中国)
ヤン・ジェンピン(中国)

<ウェルター級/5分3R>
ワン・サイ(中国)
ダニー・ミッチェル(英国)

<ウェルター級/5分3R>
シェルドン・ウェストコット(カナダ)
アウベルト・ミナ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ローラン・デローム(カナダ)
佐々木憂流迦(日本)

<ウェルター級/5分3R>
ワン・アンイン(中国)
コルビー・コビントン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
エリザベス・フィリップス(米国)
ミラナ・ドゥディエヴァ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ヤオ・ジークイ(中国)
ロイストン・ウィー(シンガポール)

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