【UFN264】UFC初陣、スーパーアスリート=ジョシュ・ホキット「MMAは、純粋に満たしてくれる」
【写真】とにかく頭が良いことが伝わってきたジョシュ・ホキット。頭の良い人がテイクダウン&パウンダー、怖い……(C)MMAPLANET
8日(土・現地時間)、ネバダ州エンタープライズのUFC APEXでUFN264 : UFN ESPN+122「Bofim vs Brown」が開催され、ジョシュ・ホキットがマックス・ジメニスとUFCデビュー戦を戦う。
Text by Manabu Takashima
MMA界のディオン・サンダース(MLBでワールドシリーズ、NFLでスーパーボウルに出場した唯一のプレイヤー。同じ週にホームランとタッチダウンを決めている)といえば言い過ぎか。それでもホキットはフレズノ大時代にD1レスリングでオールアメリカンに2度輝き、カレッジフットボールでの活躍が認められサンフランシスコ49nersと契約(※公式戦出場はない)したスーパーアスリートだ。
MMAデビューはBellatorだった。しかし、PFLを離れLFAからコンテンダーシリーズを経てUFCと契約を果たした。今回ムンジアル黒帯2021年ウルトラヘビー級2位、アブソルートで3位の実績を持つブラジリアンとの対決を前に、2つのスポーツで全米トップと活躍したことで得られたモノをホキットをインタビューすると、数々の納得せざるをえない新鮮な言葉が聞かれた。
ショーヘイ・オータニ。ピッチャーなのにホームランが打てる。彼はきっと、俺と同じメンタルの持ち主じゃないのかな
――今週末、UFCデビュー戦を控えています。今の調子はいかがですか。
「これまでレスリングとフットボールに人生を賭けて取り組んできた時間も含めて、準備はできている。凄く良い調子だよ」
――カリフォルニア州立大フレズノ校時代にレスリングでD1オールアメリカン2度、フットボールではNHLで49ersと契約。私の世代の日本では幼少期より1つのスポーツに専念し、2つのスポーツを同時に練習するということがなかったので、球技とフルコンタクトスポーツを同時に行う利点というのは、なかなか理解できないのが正直なところです。
「2つの競技に取り組むということは、どちらのスポーツにも役立つことだよ。肉体的には身体操作、コーディネーションという部分で非常に有効で。また違った2つのコミュニティに身を置くことで教育的、道徳的にも学ぶことは多い。フットボールがレスリングに役立ち、レスリングがフットボールに役立つ。一つの肉体と精神で、まるで違った2つの競技に真剣に取り組むことで、スキル面でも社会生活でも相乗効果があるということなんだ」
――1年を通じて、どちらの競技も練習や試合をするのでしょうか。それともシーズンで分けるのですか。
「フットボールのシーズンは秋からで、レスリングは冬だ。だから重なっているといえば重なっている。ただ俺の場合はフットボールをやる時はフットボールに集中し、レスリングの時はレスリングに集中していた。全てはタイムマネージメントに掛かってくる。
長いシーズンで、フットボールとレスリングを同時に行う者も少なくなかった。この別々のスポーツを別々の練習に専念するうえで、それに耐えうるボディを創り上げることが重要で。その辺りの俺のメンタリティは、同時に2つのスポーツに取り組んでいた他の者と違っていた。とにかく、フットボールとレスリングをやり抜くには体を鍛え上げることが欠かせない。だから、そこに凄く注意を払っていたんだ」
――それにしても二つのスポーツで、全米トップにあるというのは凄まじくないですか。まるでディオン・サンダースです。
「ショーヘイ・オータニが、日本人でいるじゃないか。ピッチャーなのに、ホームランが打てる。彼はきっと、俺と同じメンタルの持ち主じゃないのかな。体が資本だ。ピッチャー、バッターに必要な体創りをしっかりとしている。限界まで、体を創り上げることでピッチャーとしても、ホームランバッターとしても活躍できる、そんな相乗効果をもたらしていると思うよ」
――ではジョシュがMMAファイターを目指したのは?
「俺がプロフェッショナル・ファイターを目指したのは、コンペティションで勝利することを愛しているからだ。レスリングは本当にエンジョイできた。フットボールも良かったよ。クォーターバックがボールを投げるのをラフなタックルで潰す。ただ、勝ち負けの原因が俺だけに起因しない。もっと自分にプレッシャーが掛かる方が、俺は楽しいんだ。自分の手で勝利を掴みたい。
多くのレスラーがMMAで成功していることも追い風になったよ。俺もMMAにトライすべきだと思った。何よりも、MMAで勝つことは、俺の想いを純粋に満たしてくれるからね」
――キャリアをスタートさせた時からBellatorというメジャーリーグと契約をしました。しかし、PFLから離れLFAを選択したのは?
「Bellatorは良かったよ。ただしPFL傘下となり、プロモーション形態が変わった。ロシア人と数多く契約して、中東やヨーロッパ、アフリカと開催場所が点在するようになった。結果PFLでは試合機会が減り、それほど価値が感じられなくなったんだ。
俺としては腰を落ち着けて、一つの地域で戦っていたかったというのもある。LFAとはコネクションがあったし、彼らは毎月2度ショーを開いている。素直に『LFAでは年に5試合できるな』と思った。全くPFLとは状況が違う」
――ではBellatorと契約した時、ジョシュはUFCをどのように捉えていたのですか。
「繰り返すけど、Bellatorは最高だったよ。ただし、UFCと比肩できるオーガニゼーションは存在しない。誰だってUFCが世界最高だと分かっている。誰もがUFCで戦いと思っていて、Bellatorが第一の選択肢なんて人間はいなかったはずだ。
レスリングでもフットボールでもベストを目指していた。MMAでも同じだ。ベストを目指せる場所はUFCだけだよ。そのスタート時点に立つことができ、凄くワクワクしているよ」
俺が軽量級のファイターなら、もっと色々なスキルを身につけないといけないと考えた
――ジョシュほどのバリューがあれば、直接UFCと契約できたのではないでしょうか。LFAと契約したのは、UFCでベストになるために経験を積む必要があると考えたから?
「フェザー級とか、軽量級のファイターはMMAを戦う上でより多くの局面でスキルを身につけなないといけない。だから、そういう経験を積む必要がある。
ヘビー級の場合は、また違った一面がある。俺たちはパンチ一発で対戦相手を倒すことができる。そして、俺の場合はレスリングという確固たるストロングポイントがあるから、テイクダウンをして殴り続ければ良い。
俺が軽量級のファイターなら、もっと色々なスキルを身につけないといけないと考えただろう。その点、ヘビー級レスラーは如何に相手と接触するか。そこを重点に置いて、自分の持つスキルを全面的にぶつけるべきだろう。それにはヘビー級であっても、スピードが必要になってくる。自分に合った……適正な選択と経験が不可欠で、その辺りは試合もそうだけどキャリアップに関してもスマートでないといけない。
そういう部分をLFAの2試合で経験できた。加えてLFAはコンテンダーシリーズに直結している。LFAで2試合を戦ったことで、コンテンダーシリーズではタフなブラジリアンを相手にしてもプレッシャーに負けず、自分のペースで戦って勝つことができたんだ」
――日本の若い選手にも今のジョシュの言葉を、しっかりと吟味してほしいです。では今回の相手マックス・ジメニスの印象を教えてください。
「ブラジリアン柔術のチャンピオンで、俺はアメリカン・レスラーだ。クラシックなブラジリアン柔術×アメリカン・レスリングのマッチアップだね。そして、常にアメリカン・レスリングがナンバーワンだった。
前に出て圧を掛け、可能な限り素早く動く。自分に課した動きをするだけだ。そのなかで、勝ち筋を見つけて突き進む。これまで、ずっとやってきたことだよ」
――ジョシュ、今日は貴重な話をありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いできますか。
「日本の格闘技界の皆が、俺の試合に興味を持ってくれると凄く嬉しい。皆が楽しめる試合を見せたい」
■視聴方法(予定)
11月9日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC Fight Pass
午前5時45分~U-NEXT



















