この星の格闘技を追いかける

【DEEP Osaka Impact2025#04】地元大阪で嶋田伊吹と初防衛戦、角野晃平「自分自身を更新し続けている」

【写真】大の目立ちやがり屋。でも目立つということが何なのかを本質的に理解している(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(日)、大阪市天王寺区の大阪国際交流センター大ホールで開催されるDEEP Osaka Impact2025#03 &#04。夜の部=#04のメインではDEEPウェルター級王者の角野晃平が、嶋田伊吹を挑戦者に迎え、ベルトの初防衛戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike

日本拳法出身の角野は今年5月、佐藤洋一郎を左ハイでKOしてベルトを獲得。続いて自身が希望していたという、地元大阪での防衛戦を実現させた。日本拳法で培った距離感から繰り出される打撃のほか、佐藤戦では随所に日本拳法の技術を出していたという。その技術論はもちろん、「自分自身を更新し続けている」と今回取り組んできた体づくりについても訊いた。


YouTubeでは、僕のことを測量士と呼んでいて『測量士、早よ行けや!』みたいなアンチコメントが溢れていました(笑)

――劇的なKOによるベルト奪取、おめでとうございます。

「ありがとうございます! 試合内容は作戦どおりといえば作戦どおりで、自分の型にはめる戦い方ができて良かったです。

やっぱり佐藤選手はタフでした。最初は突きで倒そうと思っていて、序盤に自分としてはメッチャ手応えのある突きが当たったんですよ。佐藤選手もガクッと来て。それでも前に来るから、やっぱりチャンピオンになる選手って、根性ともまた違う――生物的な強さがあると思いました」

――その状態から逆転勝ちするのも佐藤選手の強さですし。

「だから『この選手は意識が飛ぶまで前に来るんやろうな』と感じて、蹴りに切り替えました。最初から蹴りは上下に散らしていましたけど、相手の意識を飛ばすために。特にあの場所であの左ハイを打つことを狙っとったので、見事に入って良かったです」

――試合ではまず右ジャブを突くとともに、右手で相手との距離を測り続けていました。

「そうですね。YouTubeでは、僕のことを測量士と呼んでいて『測量士、早よ行けや!』みたいなアンチコメントが溢れていました(笑)。僕の右手の動きは、そういうふうに見てほしいです」

――さらに右手でガッと相手の動きを止める場面もありましたが、あまり見られない技術かと思います。

「相手が前に出て来る時に僕がパンチを避けられへんかったり、自分の体勢が悪いなと思ったりしたら、拳を握って右手を伸ばして止める。そして自分が打つ。これは拳法でメチャクチャ使う技術で。僕は拳法の試合の時でも、右手は結構前に出します。頭でもどこでも当たれば止まるんですよ」

――なるほど。佐藤戦ではどのタイミングで相手を射程圏内に捉えることができましたか。

「序盤ですね。僕がカーフを蹴った時、メッチャ良い感じの距離だなって思いました。これはどうやろうと思って三日月を出したら、それも当たって。さらに手を出したら――そうやって最初の10秒ぐらいで距離は決まりましたね」

インタビュー当日の練習は壁際の攻防から。チームには若いアマチュア選手も増えている(C)SHOJIRO KAMEIKE

――それは自分から設定したわけでなく……。

「感覚です。でも、だいたい初見10秒ぐらいで『この選手は、この距離で戦うんやな』というのは分かります」

――結果、まず1RにKOできる確信は得たのですか。

「実は1Rはわざと、顔面はど突きに行かなかったんです。絶対に警戒しているし、ボディと蹴りで揺さぶって2Rに向けてエサを撒き、2Rから顔面を狙いに行く。それも作戦通り、中村優作さんの指示通りでした。

フィニッシュも今考えると、様子を見すぎていたぐらいです。ホンマは倒せるシーンがもっと何回もありました。自分としては勢いで行っても良かったけど、チャンピオンに対して簡単な気持ちで倒しに行くわけにはいかなくて。試合は3Rあるから、絶対に倒せる場面は来る。そこまで焦らんとこうと思って、確実に倒せるところで左ハイを決めました」

――いつも勝利直後は大興奮している角野選手です。ベルトを巻いた後は、いつもより興奮しませんでしたか。

「いや、それが……何か違いましたね。僕は東京で試合をするのが初めてで、しかも後楽園ホールという良い場所で試合させてもらって。正直、会場の雰囲気が違うんです。

よく聞くのは、RIZINとか大きな会場で試合をしている選手でも、後楽園ホールでは緊張することが多いと。ホールだとお客さんとの距離が近くて。でもそれだけ近くで僕のことを見てくれているというのが嬉しかったです。

その興奮を抑えて自分のパフォーマンスを発揮する。ベルトが懸かった試合やったんで、僕は挑戦者やし『獲ったるぞ!』という気持ちしかなかったですね」

――それだけ自分のことを見てほしい、注目してほしいと。

「目立ちたがり屋なので、アハハハ。『僕がベルトを獲る瞬間を見てくれ!』と」

嶋田選手のような打撃も極めも強い選手に勝つことで、僕はどんなタイプが来ても勝てるという箔がつく

――佐藤戦で後楽園ホールの良さを感じたあと、初防衛戦は大阪開催となりました。

「大阪開催は僕からお願いしたんです。自分がチャンピオンになったら大阪で防衛戦をやりたい。それがずっと夢でした。佐伯(繁DEEP代表)さんがYouTubeで『今は地方から東京を目指す選手が多い。もっと地方大会を盛り上げる選手が出てきてほしい』というようなことを言っていて。まさに僕はそうしたい。大阪を盛り上げたい。関東に強い選手は多いけど、関西に強い選手もいるんだぞって」

スタミナ面の対策も講じる。地元での防衛戦はどんな姿を見せるか(C)SHOJIRO KAMEIKE

――宮口龍鳳選手にインタビューした時、2人は仲が良いと聞きました。21日は大阪の新世代によって勝負の1日となります(※その後、宮口は倉本戦が中止に)。

「そうなんです。10戦以下の『これから』という選手たちが今熱いと思うので――こんなことを言ったら優作さんに怒られるかもしれないけど(苦笑)」

――中村選手もチームの代表として、角野選手の活躍を喜んでいるでしょう。

「アハハハ。あとは14日に起一さんの試合もあって」

――角野選手はコブラ会でも練習しているそうですが、現在は東京を拠点しているストラッサー起一選手とも練習することは多いのですか。

「起一さんが大阪に帰ってもられている時は、いつも練習させてもらっています。ボコボコにやられていますよ。だいぶ対抗できるようにはなってきたけど、今でも跳ね返されることのほうが多いですね。あと起一さんと組んでいるおかげで体も大きくなってきました」

――練習着の下は分かりませんが、ショートパンツから見える太ももが、かなり大きくなっているように見えます。

「パーソナルトレーナーさんからも『通常体重を上げてみようか』と言われて、87キロから97キロまで上げました。2カ月前から試合に向けて体重を落としていて、今回は減量がキツいですね。でも普段からこれぐらいしとかなアカンのやろうなって思います。

毎朝走って、朝ごはんから食事の内容にも気をつける。仕事から帰ってきて練習する。週1回、トレーナーさんのところに行って、食事から体づくりの面まで見てもらっています」

――通常体重を増やして、練習時の動きは変わりましたか。

「97キロあった時は、一時的にパワーは増しましたけど、やっぱりスピードは鈍りました。でも体重を落としていくと、スピードが増してパワーは残っている。だから今は打撃の威力も過去イチやと思います。組み負けないし、体もメチャクチャ動く。常に自分自身を更新し続けているのが分かります。

今が84~85キロまで落としていて、自信はあります。次の対戦相手、嶋田伊吹選手もあの感じやとナチュラルで95キロぐらいあるんじゃないですか? 体が大きいですよね。自分としては絶対に戦うことになるやろうと思っていたし、そのために体もつくってきました」

――もともと防衛戦は嶋田伊吹選手が挑戦者になると予想していたのですね。

「佐藤選手を倒してチャンピオンになったら、次は嶋田選手との試合やろうと思っていました。絶対に避けては通られへん道や、と。

タイトルマッチは共に一発で計量をクリアした。並ぶと嶋田が体格で上回ることが分かるが、試合は果たして――(C)DEEP

とにかく強い選手で、ここ2戦も一本勝ちしていますからね。綺麗な打撃もできるし、組んでも瞬発力で持っていけるタイプでもあります。僕も対策はしていて、どんどん組んで来られても自分が先に疲れることはありません。あとは展開次第で――楽しみにしていてください」

――今回は二部興行で、角野選手は夜の部のメインです。その中で、どんな試合を見せたいですか。

「昼の部も青井人選手は強いし、栗山葵選手も人気あるし……僕は自分の良さを出したいです。

今でも『角野は組まれたらどうなるんやろう』と考えている人はいると思うんですよ。鈴木琢仁選手と対戦した時も、そういう声は聞きました。だからこそ嶋田選手のような打撃も極めも強い選手に勝つことで、僕はどんなタイプが来ても勝てるという箔がつくと思うんです。その箔をつけて――カッコつけたいですね(笑)」

――アハハハ。目立ちたがり屋ですね。

「だから今回は勝ち方にこだわります。地元の大阪で出し切って、自分が一番強いところを見せる。最高のパフォーマンスで嶋田選手を倒します」

■視聴方法(予定)
9月21日(日)
DEEP Osaka Impact2025#04 午後4時30分~ ツイキャスPPV、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ
DEEP Osaka Impact2025#03 午前11時30分~ ツイキャスPPV、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP Osaka Impact2025#04 計量結果

夜の部コメインは小崎と、これがバンタム級初戦となる前園の一戦(C)DEEP

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者] 角野晃平:77キロ
[挑戦者] 嶋田伊吹:76.80キロ

<バンタム級/5分3R>
小崎連:61.60キロ
前園渓:61.65キロ

<フェザー級/5分2R>
GINJI:66.20キロ
鈴木琢仁:65.95キロ

<ウェルター級/5分2R>
虎鉄:76.55キロ
浅野功暉:77.15キロ

<バンタム級/5分2R>
大空斗:61.30キロ
時任流架:61.35キロ

<フェザー級/5分2R>
田中壱季:66.05キロ
加藤綾真:65.90キロ

<バンタム級/5分2R>
澄斗:61.40キロ
中川内羽矢斗:61.55キロ

<ストロー級/5分2R>
太一:52.50キロ
武蔵:52.75キロ→52.70キロ

<アマ・メガトン級/3分2R>
酒井天佑:116.90キロ
大家皆:135.85キロ

<アマ・フェザー級/3分2R>
澤田龍美:66.30キロ
大原宇竜:66.95キロ

■DEEP Osaka Impact2025#03 計量結果

昼の部メインは青井人が出場。RTUからの復帰戦で国際戦に臨む(C)DEEP

<フェザー級/5分3R>
青井人:66.00キロ
チェ・ソンヒョク:65.85キロ

<女子バンタム級/5分3R>
栗山葵:60.25キロ
樹季:60.65キロ

<バンタム級/5分2R>
山﨑鼓大:61.70キロ
矢野武蔵:61.65キロ

<フェザー級/5分2R>
瀧口脩生:66.15キロ
藤田宇宙:66.05キロ

<51キロ契約/5分2R>
サダエ☆マヌーフ:50.60キロ
横瀬友愛:50.85キロ

<ライト級/5分2R>
ベンジャミン:72.90キロ
大野“虎眼”賢良:72.80キロ

<フライ級/5分2R>
松原聖也:57.30キロ→57.20キロ
前田遊:57.10キロ

<フライ級/5分2R>
砂田華社:57.05キロ
古市陸:57.10キロ

<女子アトム級/5分2R>
上瀬あかり:47.25キロ
横瀬美久:48.55キロ→48.10キロ

<女子ストロー級/5分2R>
堀井かりん:51.80キロ
成本優良:51.90キロ

<アマ・バンタム級/3分2R>
ケン モーリス:60.90キロ
中島佳祐:60.95キロ

PR
PR

関連記事

Movie