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【DEEP Osaka Impact2025#04】角野晃平に挑戦、嶋田伊吹「一発の決定力はあるんだろうなというぐらい」

【写真】過信にも慢心にもならないよう自信を持っている(C)TAKUMI NAKAMURA

21日(日)、大阪市天王寺区の大阪国際交流センター大ホールでDEEP OSAKA IMPACT2025#03 &#04が開催され、夜の部=#04で嶋田伊吹がDEEPウェルター級チャンピオン角野晃平に挑戦する。
Text by Takumi Nakamura

Wardog、RIZINアマチュア2016・2017優勝を経て、2018年からDEEPに参戦している嶋田。思うように勝ち星を伸ばせない時期があったものの、現在は阿部大治と鈴木槙吾に2連続一本勝ち中。歴代DEEPウェルター級王者を2タテして、自身初の王座挑戦のチャンスを掴んだ。

石川県のFight Holicに所属し、同階級の練習仲間が少ない面もあるが、自分よりも軽い階級の選手たちと練習を重ねることで、ウェルター級では珍しい繊細な寝技と先を読んで動くファイトスタイルを作り上げた。

「ベルトを獲ればDEEPという団体でやってきた証の1つになると思うし、日頃から一緒に練習してもらっている人たちに対する恩返しの形の一つにもなる」。そう語る嶋田に王座戦を前にした心境を訊いた。


試合でハマっているのが寝技というだけで、自分は全局面で戦える

――嶋田選手にとっては初のタイトルマッチが決まりました。最初にオファー受けた時の心境はいかがでしたか。

「やっと(タイトルマッチが)来たか!という感じでしたね」

――嶋田選手の戦績を振り返ると、ここ最近は2連勝のあとに負けがついたり、なかなかベルトに手が届きそうで届かない時期もあったと思うのですが、その辺りはどう過ごしていたのですか。

「初めて佐藤(洋一郎)さんに負けてからは勝ったり負けたりだったんで、もどかしさは大分ありましたね。でもそこは練習するしかないんで、頭を切り替えました」

――そのなかで現在は阿部大治戦鈴木槙吾戦と歴代王者相手に2連続一本勝ち中です。ご自身では何が好調の要因だと捉えていますか。

「佐藤さんに2回目負けてから考え方が変わりました。それまでの自分は試合前に『まぁ大丈夫だろう』って感じでポジティブになりすぎちゃうところがあったので、そういう驕りをなくそうと思いました。あとはいざ試合になったら躊躇しない、攻める時は攻める。この2つですね。この2つが上手いことハマって結果につながっていると思います」

――ここ2試合の一本勝ちは迷わずに思い切って取りに行った感覚ですか。

「そうですね。なんか見えるんですよ。ここを逃すとダメだよとか、ここがチャンスだよって。なんか…なんか…見えるんですよ(笑)。特に練習内容をガラリと変えたわけではないので(変わったのは)試合への取り組み方ですね」

――今回初めて嶋田選手を取材させてもらうのですが、元々嶋田選手が格闘技を始めるきっかけはなんだったのですか。

「自分は大学までずっと野球をやっていて、その頃からK-1とかPRIDEとか格闘技を目にする機会が多くて、ずっと(格闘技をやったら)どんな感じなんだろう?と思っていたんですよ。それで大学3年の時に純粋に格闘技をやってみたいと思ってフラっと近所の道場に入ったのがきっかけです」

――ジムに入った当初からプロ志望だったのですか。

「いやいや、全然です。ただの一般会員でしたし、プロになるなんておこがましいという感じでしたよ。格闘技そのものを始めたのも20歳を過ぎていて、クラスで技を教えてもらってそれを一つ一つ覚えるのが楽しいみたいな感じでした」

――嶋田選手はWardogで試合をしながら、2016年と2017年にRIZINのアマチュア大会で優勝していますが、いつ頃から本格的にプロを目指すようになったのですか。

「自分は大学が福井だったんで、福井で格闘技を始めたんですよ。それでRIZINのアマチュア大会で優勝して、Wardogで試合をしていたのですが、当時はまだ試合に出ているというだけで、真剣にプロでやっていこうと思ったのはDEEPに出るようになってからですね」

――どういった経緯でDEEPに出ることになったのですか。

「大学を卒業して地元の石川に戻って、今のジムで練習するようになったんですけど、そこで元谷(友貴)さんたちと練習するようになったんですね。で、元谷さんのバーターみたいな感じで元谷さんが出る大会のアンダーカードに出させてもらいました。ジムが変わってから元谷さん以外にも強い人がたくさんいて『ちゃんとした環境で、ちゃんとした技術を学べば強くなれるかもしれない』ということを感じて、それで真剣に格闘技をやるようになりました」

――元谷選手との出会いも大きかったのですね。

「当時ジムの中で一番強かったのが元谷さんで『こんなに強い人がおんのか?』と思うくらい強かったです。階級も僕より全然下なのに、元谷さん相手には何にもできなかったです」

――ベルトを目指すようになったのもプロで勝ち星を重ねるようになってからですか。

「そうですね。最初はベルトまでの道筋もまったく見えなかったんですけど、試合に出て勝って…を繰り返していくうちに、自分もベルトを目指せるなら目指そうと思うようになりました」

――嶋田選手は一本勝ちが多いですが、一番自信を持っているのは寝技ですか。

「そういうわけではないですね。今、試合でハマっているのが寝技というだけで、自分は全局面で戦えると思っています」

――例えばプロで試合をしていくなかで上京して東京に拠点を移そうということは考えなかったのですか。

「今の練習環境でここまで来られていますし、別に上京したからといって絶対強くなるかと言われたら、そうとも限らないと思うんですよ。練習相手が多いところに行けば練習で揉まれていいんでしょうけど、それよりも今の環境でやれるところまでやりたいです」

――石川には嶋田選手と同じくらいの体格の選手も多いのですか。

「いや、そこまでいなくて数名ですね」

――自分より軽い階級の選手と試合をすることでプラスになることはありますか。

「結局フィジカルだったら絶対に自分が圧倒できちゃうので、フィジカル頼りにならずに先手を取る、相手の一手二手先を想定したスパーをやるようにしています」

――なるほど。嶋田選手のサブミッションの仕掛けや寝技の動きが繊細なのはそういった部分が影響しているのですね。

「何て言うんですかね、大きい階級になるにつれて、みんな一つのアクションで止まることが多いじゃないですか。僕がジムでやっているのは、一つのアクションに固執せずに、何手も先を考えてやるということ。それがベースになっているので、試合になると自然とそういう動きになっちゃいますね」

――もし同階級の選手が多い練習環境だったら今の嶋田選手のファイトスタイルは確立されてなかったかもしれないですね。

「そう思います。僕も大きい選手がいるジムに出稽古に行ったりもするんですけど、一つのアクションでガンガンガン!と来る感じなんで、そこは自分とは違いますね」

――さて今回タイトルを争う角野選手にはどのような印象を持っていますか。

「一発の決定力はあるんだろうなというぐらいで、それ以外は特に何も…ですね」

――KO勝ちが多い選手ですが、必要以上に大きくは見ていないですか。

「もちろんさっき言った驕りが生まれないように警戒はします。ただ警戒はしつつも、そこまで過大評価はしてないです」

RIZINには僕の階級のベルトがないですが、他団体のチャンピオン同士でやる機会があれば興味はあります。ただそれはDEEPでも出来ること

――改めてベルトやチャンピオンという肩書きに対しての想いとは?

「もうベルトが目の前まで来ているので、ベルトを獲ればDEEPという団体でやってきた証の1つになると思いますし、日頃から一緒に練習してもらっている人たちに対する恩返しの形の一つにもなるので、何が何でもベルトは獲りたいです」

――ウェルター級は日本人選手が少ない階級ですが、コンゴに関して例えばRIZINや海外で試合をするなど、どのような目標を持っているのでしょうか。

「RIZINには僕の階級のベルトがないですが、他団体のチャンピオン同士でやる機会があれば興味はあります。ただそれはDEEPでも出来ることなので、今はDEEPを中心に戦っていきたいです。あと階級的に海外の団体に挑戦できる機会があれば行きたいですね。Road to UFCのワンマッチとか、人生経験としてやってみたい気持ちはあります」

――これも以前からお聞きしたかったのですが、俳優の本宮泰風さんが嶋田選手のセコンドについていますが、どういった関係なのですか。

「もともと本宮さんとは何の接点もなかったんですけど、よくDEEPの計量や試合会場にいらっしゃるじゃないですか。そこで自分のことを気に掛けてくれて、体格が似ていることもあってかすごく話しかけていただくんですよ。それで『セコンドにつくよ』と言ってもらったり、バンテージも巻いてくれたり……仲良くさせてもらっています」

――初めて本宮さんから声をかけられた時は驚かなかったですか。

「僕よりもセコンドの鈴見(圭司)さんが驚いていましたね。世代的に僕よりも直撃だったみたいで(笑)。もちろん僕も本宮さんのような方に気にしてもらえるのは光栄なことですし、本当に嬉しいです」

――それでは最後に今回のタイトルマッチを楽しみにしているみなさんにメッセージをいただけますか。

「自分にとって大一番です。きっちりKO・一本勝ちして、ベルトを獲ってみんなに恩返ししたいと思います」


■視聴方法(予定)
9月21日(日)
DEEP Osaka Impact2025#04 午後4時30分~ ツイキャスPPV、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ
DEEP Osaka Impact2025#03 午前11時30分~ ツイキャスPPV、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP Osaka Impact2025#04 対戦カード

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者] 角野晃平(日本)
[挑戦者] 嶋田伊吹(日本)

<バンタム級/5分3R>
小崎連(日本)
前園渓(日本)

<フェザー級/5分2R>
GINJI(日本)
鈴木琢仁(日本)

<ウェルター級/5分2R>
虎鉄(日本)
浅野功暉(日本)

<バンタム級/5分2R>
大空斗(日本)
時任流架(日本)

<フェザー級/5分2R>
田中壱季(日本)
加藤綾真(日本)

<バンタム級/5分2R>
澄斗(日本)
中川内羽矢斗(日本)

<ストロー級/5分2R>
太一(日本)
武蔵(日本)

<アマ・メガトン級/3分2R>
酒井天佑(日本)
大家皆(日本)

<アマ・フェザー級/3分2R>
澤田龍美(日本)
大原宇竜(日本)

■DEEP Osaka Impact2024#03 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
チェ・ソンヒョク(韓国)

<女子バンタム級/5分3R>
栗山葵(日本)
樹季(日本)

<バンタム級/5分2R>
山﨑鼓大(日本)
矢野武蔵(日本)

<フェザー級/5分2R>
瀧口脩生(日本)
藤田宇宙(日本)

<51キロ契約/5分2R>
サダエ☆マヌーフ(日本)
横瀬友愛(日本)

<ライト級/5分2R>
ベンジャミン(日本)
大野“虎眼”賢良(日本)

<フライ級/5分2R>
松原聖也(日本)
前田遊(日本)

<フライ級/5分2R>
砂田華社(日本)
古市陸(日本)

<女子アトム級/5分2R>
上瀬あかり(日本)
横瀬美久(日本)

<女子ストロー級/5分2R>
堀井かりん(日本)
成本優良(日本)

<アマ・バンタム級/3分2R>
ケン モーリス(日本)
中島佳祐(日本)

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