【Shooto2025#08】たておの挑戦受ける環太平洋チャンプ上原平「中期的な目標は修斗の世界タイトル奪取」
【写真】ベルトが掛かった試合で、満足できるパフォーマンスを見せることができるか(C)TAKUMI NAKAMURA
21日(日)、東京都港区のニューピアホールで行われる修斗の昼夜二部興行。夜の部=Shooto2025#08で修斗環太平洋フェザー級チャンピオンの上原平が、挑戦者たておを迎え撃つ。
Text by Takumi Nakamura
上原は昨年7月に竹原魁晟と環太平洋王座を争う予定だったものの、竹原が計量失格により欠場。計量をクリアしていた上原が不戦勝という形で環太平洋座のベルトをまいた。そして今年3月の初防衛戦では青井太一をスプリット判定の末に下し、王座防衛に成功した。
今回は環太平洋王者として2度目の防衛戦となるが、勝村周一朗率いるリバーサルジム横浜グランドスラムに所属し、リオン武や佐藤将光のもとにも出稽古で足を運んでいる上原は「修斗の世界タイトルを獲ることは自分の人生の中の至上命題」と語った。
結局試合は日頃からやっていることが出るだけ
──3月の青井太一戦に続いて2度目の防衛戦が決まりました。
「何人かやるだろうなと思っていた相手がいたんですけど、結果的にたてお選手になって、自分が考えていた候補の中でも一番名前と実績のある選手だったんで、素直に嬉しかったというか気合いが入りましたね」
──前回の防衛戦=青井選手にスプリット判定勝利を振り返ってどんな感想を持っていますか。
「青井くんとの試合は最終的に勝利という結果を得られてよかったんですけど、なかなか思い通りにはいかないなという感覚もありましたね。向こうも強かったというのもあるんですけど」
──ご自身ではどのような試合展開をイメージしていたのですか。
「スタンドの立合いではなるべく被弾せず、自分がテイクダウンして上からドミネイトして勝つというのが僕としては一番強い勝ち方で、それを目指していたところがあったんですけど、実際は1回もテイクダウンできなかったですね(苦笑)」
──青井選手は直線的なファイトスタイルですが、上原選手としてはやりやすかったですか。
「僕も結構そういうタイプというか、相手に対して自分からぶつかりにいくタイプなんで、言ってしまえば同じ括り、同じタイプのプレイスタイルだったと思うんですよね。それで結果的に噛み合っていて、試合中にやりやすさというか楽しいという感覚が芽生えた部分もありましたね」
──青井戦以降はどういったことを意識して練習を続けてきましたか。
「試合の中で自分を出すじゃないですけど、ちょっと青井戦で掴んだ感覚があるんですよ。今までの僕は割と格好をつけるというか、試合するにあたって自分を作っていくイメージだったのですが、そんな必要はないなと思うようになりました。出たとこ勝負と言ったらあれなんですけど、その日の自分が出るという感覚というか。結局試合は日頃からやっていることが出るだけだと思って、日頃の過ごし方も変わりましたね」
──より自然体で戦えるようになったのですか。
「そうですね。青井戦を終えてから結構そんな感じになっています」
──今回もたてお選手対策も練っていると思うのですが、もっと自分を出すとかそういう方向に意識を向けていますか。
「はい。ある程度相手がやって来そうなことや気をつけなきゃいけないことは仲間と一緒に対策していますが、それ以上に自分の中で一番大切にしているところは本当に普段のままというか、その時の自分を何も格好つけずに出せるかどうか。そこを自分の中で一つのテーマにしています」
――上原選手はすごく頭を使って考えながら戦っている印象があるのですが、実際にはいかがですか。
「考えていると言えば考えていると思いますが……試合中はそこまで明確に考えているわけではなくて、結構ノリでやっちゃう時もありますね(笑)。練習では割と動きの意味を考えてやるタイプだと思います」
──上原選手はもともと野球をやっていて、大学在学中に格闘技を始めたのですよね。
「そうですね。小3で少年野球チームに入って、大学3年まで野球を続けました。ずっとスポーツは野球しかやってこなくて、野球以外のスポーツに関わる機会が一切なかったんですけど、格闘技だけは年末にテレビでやっていたから見る機会があったんですね。それでいつか野球以外では格闘技をやってみたいという気持ちがあって、野球を辞めたタイミングで1回やってみようと思ってジムに入りました」
──グランドスラムを選んだ理由は?
「僕も横浜に住んでいて就活の帰り道で横浜駅を経由していたんですよ。それでネットで『横浜 格闘技』と検索して出てきたのがグランドスラムだったって感じですね。だから勝村(周一朗)さんのことも詳しくは知らなくて、ジムに勝村さんの写真があって、きっとこの人が代表なんだろうなと思って、あとで調べました(笑)」
――大学卒業前に格闘技を始めてプロデビューすることになって、社会人と並行しながら格闘技を続けることに?
「はい。格闘技を始めた頃は就活真っ只中というか、就職先が決まってなかったんですけど、アマチュアの試合で勝っていたので、これ(格闘技)に振るのも面白いかなと思って、そのまま大学を卒業しました」
──では大卒では就職しなかったのですか。
「一応知り合いの会社で働いていたんですけど、自分の気持ち的にはいずれ格闘技でやっていくぞという気持ちを持ちながら働いていましたね」
──20歳を過ぎてから格闘技を始めてプロを目指すことに迷いはなかったですか。
「昔からなんかやれるっしょ!というノリでやっちゃうタイプなんですよ(笑)。もちろん昔から格闘技に触れてきた人たちと練習すると、全然違えんだなと思うこともあったんですけど、俺は俺だしなって感じで続けられました」
──そして3年前に修斗協会とバリュエンスグループに提携によるデュアルキャリア採用(※アスリートが選手として活躍しながら仕事を通じてキャリアを形成できるための採用制度)を経て、現在はバリュエンスグループで働きながらプロとして活動されているのですよね。
「そうですね。ちょうど修斗協会とバリュエンスグループが提携して就職支援をしますというプレスリリースを見て、もう一歩格闘技に踏み込んだ生活を送りたいと思っていたタイミングだったんで、転職しようと思って申し込みました」
──今はどういった形で仕事と練習を両立させているのですか。
「基本的には練習をメインにスケジュールを組ませてもらっていて、その空いた時間に働いています。バリュエンスグループが修斗と提携していなかったら、絶対に今の環境は作ることが出来なかったので、本当にありがたい出会いとめぐり合わせだと思っています」
──改めて今回の防衛戦ではどのような自分を見せたいと思っていますか。
「結果的に勝つことがベストだと思うんですけど、さっき言ったように自分を出すというところ。上原平という人間を見てもらいたいし、お客様にそれを提示したいです」
積極的に出ていきたいなっていう感じです。修斗の世界タイトルはその可能性を広げるもの
──上原選手自身は、どこか魅力のファイターだと考えていますか。
「自分は試合中は何も考えてなくて、本当にその場その場というか、その時起きたことにしか反応していない感じなんですね。その時が僕の人間らしさが出ている瞬間だと思います。リオン(武)さんと一緒に練習させてもらっていて、無茶苦茶に追い込みをやってもらっているんですけど、ホントにグチャグチャにされてヨダレを垂らしながら練習しているんですよ(苦笑)。そういう一面や必死さというところも試合の時に出していけたらなと思っています」
──リオン選手とはエキシビションマッチで相対したこともありますし、フェイントのかけ方など動きも似ていますよね。リオン選手から影響を受けている部分は大きいですか。
「そうですね。プレイスタイルというか、試合の組み立てみたいなところは結構リオンさんに教わっていますし、たくさんスパーリングもやらせてもらっているので、自然に動きが似てきちゃっているところはあると思いますね」
──ちなみにリオン選手の追い込みはそこまでハードできついのでしょうか。
「そうですね。リオンさんにミットを持ってもらいながら試合を想定したサーキット的なメニューがあるんですけど、最初はマジでジムに行きたくないぐらいしんどかったんです。でもそれがあったからこそ今の自分がある……と思いながら練習しています(笑)」
──練習場所としてはグランドスラムを拠点にしつつ、リオン選手のところにも行くという形ですか。
「あと最近は佐藤将光さんのファイトベースにも行かせてもらっていて、そこでも将光さんや色んな選手から学ばせてもらっています」
──リオン選手や将光選手は自分のMMAの理論をしっかり持っているタイプで、遅い年齢から格闘技を始めた上原選手にとっては2人からのアドバイスがハマる部分もあるのではないですか。
「そうですね。お2人とも凄く教え方が分かりやすいですし、考え方的にも僕の中にすぐハマるというか、すっと入ってくる感じはあります」
──勝村さん、リオン選手、将光選手とみんな修斗の世界タイトルを巻いてきた選手なので、上原選手もそこには思い入れがありますか。
「はい。それだけ伝統があるベルトですし、修斗の世界タイトルを獲ることは自分の人生の中の至上命題だと思っているので、絶対に獲りたいです。中期的な目標としては修斗の世界タイトル奪取が一番だと思ってやっています」
──中期的な目標が修斗世界タイトルであれば。長期的な目標は何に?
「どこで戦うというより、結構僕は人生の中に格闘技を組み込んでいっているフェーズなので、このまま楽しく自分の表現ができる格闘技をずっと続けられることが一番の目標かなと思います。その中でいろんな声がかかったり、お仕事をもらえるんだったら、積極的に出ていきたいなっていう感じです。修斗の世界タイトルはその可能性を広げるものだと思います」
■視聴方法(予定)
9月21日(日)
Shooto2025#08 午後5時30分~~ ABEMA格闘チャンネル
Shooto2025#07 午後12時30分~~ ABEMA格闘チャンネル
■Shooto2025#08 対戦カード
<修斗世界バンタム級王座統一戦/5分5R>
[王者]齋藤奨司(日本)
[暫定王者]永井奏多(日本)
<環太平洋フェザー級選手権試合/5分3R>
上原平(日本)
たてお(日本)
<バンタム級/5分3R>
宮口龍鳳(日本)
倉本一真(日本)
<バンタム級/5分3R>
杉野光星(日本)
ザヒド・アフメドフ(インドネシア)
<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
旭那拳(日本)
友利琉偉(日本)
<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
マッチョ・ザ・バタフライ(日本)
田口恵大(日本)
<2025年度バンタム級新人王決定T二回戦/5分2R>
飯野雄斗(日本)
齋藤優(日本)
<ストロー級/5分2R>
大城匡史(日本)
漆田直輝(日本)
■Shooto2025#07 対戦カード
<修斗世界ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]田上こゆる(日本)
[挑戦者]山上幹臣(日本)
<ミドル級/5分3R>
岩﨑大河(日本)
ジャン・ボムソク(韓国)
<女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
青野ひかる(日本)
<女子スーパーアトム級インフィニティリーグ/5分2R>
高本千代(日本)
片山智絵(日本)
<女子スーパーアトム級インフィニティリーグ/5分2R>
村上彩(日本)
嶋屋澪(日本)
<フェザー級/5分2R>
轟轟(日本)
ヨシ・イノウエ(日本)
<バンタム級/5分2R>
関根累(日本)
勝呂駿(日本)
<2025年度ウェルター級新人王決定T1回戦/5分2R>
六郷海南人(日本)
デソウザ・マルセル(ブラジル)