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【Shooto2025#08】永井奏多と王座統一戦。齋藤奨司「負ける姿もイメージできているから、僕が勝ちます」

【写真】Road to UFC落選は齋藤を強くしたようだ(C)MMAPLANET

21日(日)、東京都港区のニューピアホールで行われる修斗の昼夜二部興行。夜の部=Shooto2025#08のメインで修斗世界バンタム級チャンピオンの齋藤奨司が、暫定王者の永井奏多と統一戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

昨年7月に藤井伸樹を下し同王座に就いて以来、実に14カ月振りのファイトとなる齋藤。この間、Road to UFCの選考を待ち、思いもしない落選を経験した。

「人生で一番悩んだ」時期を乗り越え、齋藤は戦って自らの道を切り開くことを選択する。不確定かつ、絶対的必要なことが分かっているUFCへの路。その場で戦う権利を得るために必勝の一戦を前にして、齋藤は一度として「勝ちたい」という言葉を吐かなかった。聞かれたのは「勝つ」という断定語だけだった。


勝って、実力を証明していくしかない

――昨年7月に藤井伸樹選手を下し修斗バンタム級王座を獲得、それ以来となる王座統一戦が迫ってきました。これだけ試合間隔が空いた事情を教えていただけますか。

「修斗のタイトルを取って、目標としてUFCで戦いたいということがあったのでRoad to UFCに応募し、そこに出るという選択をしました。ただ選外になってしまって、今回の統一戦という形になりました」

――実は関係者の間では齋藤選手は決まったという話が、随分と早い段階で聞かれていました。

「そうですね。自分もそう聞いていたので、正式発表の少し前に出られないという話を聞いた時は頭が真っ白になりました……。これまでの人生で一番悩みましたね(苦笑)。やりきれない気持ちがめちゃくちゃあって。“たら・れば”なんて考えてもしょうがないんですけど、色々な葛藤がありました」

――バンタム級は伊藤空也選手、井村塁選手が出場をしました。

「正直、悔しかったです。納得いかなかった。絶対に俺の方が良い試合ができると思ったし、実際に1回戦がああいうことになって。俺なら勝てたという気持ちは、なおさら大きくなりました。その気持ちはずっと持ち続けていました」

――チームメイトの山内渉選手がフライ級で出場権を得ました。なんとも言えない状況だったかと。

「そこに関しては2人で選ばれるのがベストでしたけど、仲間なので純粋に嬉しかったです。選ばれなかった俺の分まで頑張ってくれと山内には伝えました」

――UFCが全て握っています。これが五輪スポーツなら、予選があって出場権を争う戦いがある。Road to UFCがそういう場になるのかと期待したのですが、思惑が凄く感じられるトーナメントというのが実情です。割り切って、勝つしかない。その前に選ばれないといけないという……。

「思惑……勝たせたい国があるとは、僕も思いました。それもあって、すぐには割り切れなかったですね。でも、いつまで考えてもしょうがないし、前に進んでいかないといけないので。選手はもう勝って、実力を証明していくしかないので。

僕自身、チームとも話した結果ですが7連勝という数字に重きを置いて選考任せになっていたのも事実です。だからRoad to UFCだけでなく、色々とUFCに行く道を考えないといけないという風に思えるようになりましたし。今は、そういう気持ちに落ち着きましたね」

――では、次に向けて海外の大会や国際戦でなく修斗バンタム級王座統一戦を選択したのは?

「僕が選ばれなかった理由の一つに、フィニッシュ数が少ないというのがあると思います。だから試合をこなして、やり切る試合をやっていかないといけない。その試合が修斗になったのは、ベルトを持っているからです」

――えっ?

「僕がランカーの時に『チャンピオンなのに、なんで試合をしないんだよ』という気持ちでいました。僕自身、試合間隔を空けてしまったので、持っているならベルトを賭けた試合をしないとダメだなって」

――髙谷チルドレンですね。筋を通す。そんなもん、自分のことだけ考えれば良いのにと思ってしまいます。

「アハハハ。僕が嫌だったことは、他の選手も嫌だろうし。まぁ、色々な気持ちがあります。チャンピオンだから防衛戦をしたいという気持ちもありますし、試合をこなさないといけないという部分でもオファーをいただけたのだから応じるものだと」

格闘技は本来、年齢じゃないと思っています

――フィーダーショーのタイトルは、頭が抜けて次に王座決定戦が来る。そういう流れで、椅子取り合戦が回ってくる状態です。ただ、齋藤選手が試合をしていなかった間に暫定王者に駆け上がってきた永井選手のパフォーマンスが、見ていて非常に気持ちが良い。この顔合わせは椅子取り合戦以上に興味深いです。

「1度も負けていない。8連勝ととんとん拍子でベルトを巻いた。若いし、勢いがありますよね。確かな実力もある。ウェルラウンダーだけど、打撃寄り。自信を持って僕の前に立つと思います」

――齋藤選手がもう手にできない20歳という若さの持ち主です。Road to UFCに向けて、それこそ武器になる。この試合に向けて、物凄く燃えていることは間違いない。

「格闘技は本来、年齢じゃないと思っています。30代が20代に勝つなんていくらでもある。彼に勢いがあっても、僕も勢いはあるので。人生の奪い合いですからね、譲らないです。

まぁ無敗って、無敗の選手にしか持ちえない勢いがあります。でも、それも良し悪しで。勢いがあるからこそ、回りが見えていないことも出てきます。僕はプロ初戦で負けているからこそ、ここで勝てる……勝ちます。しっかりと勝たないといけない相手です。

技術的に見ても、彼は僕のような人間と戦ったことがない。自分でも他の選手と比較して、打撃の質は抜けているという自信があるので。それに彼は勝つことしか頭にないと思います。僕は負ける姿もイメージできています。もちろん、勝つイメージもデキている。俯瞰して、全体が見えている。だからチャンスを見逃さないで、僕が勝ちます」

――昨年7月から、一番変わったのはどこだと思っていますか。

「まずRoad to UFCに出られなかったことで、自分と向き合うことが凄く増えました。頭のなかで思ったことを書き出して、自分自身と会話するとか。自分の弱さ、反対に強さとも向き合ってきたことで、凄く成長できたと思います」

――Road to UFC決勝で戦うソランランポとローレンス・ルイと、自分を比較することは?

「試合は勿論チェックしてきました。2人とも強い。今の自分の力で戦ってみたい。俺がどこまでできるのか、試したい。だからこそ、今、できるうちにチャレンジしたいですね」

勢いじゃない、細かい技術の積み重ね

――Road to UFCに向けて、この試合後移行をどのように考えていますか。

「前回はRoad to UFCの選考を待って出ることができなかった。だから、試合を積み重ねてフィニッシュしていく。そうすれば勝手に選ばれるだろうという気持ちで、まずは自分が強くなる道を進んでいこうと思います」

――Lemino修斗が始まり国際戦を組んでいくことが明言されています。実際、10月19日にはバンタム級でも野瀬翔平選手とモンゴルのシンバートル・バットエルデネの試合が組まれています。修斗王者として、この状況をどのように捉えていますか。

「国際戦を組んでもらえるなら、僕も当然戦いたいです。格闘技って強い相手と戦い、勝って自分の強さを証明していくものだと思うし。強い相手に自分がどれだけできるのか……強さを追い求めるもの。だからこそ、海外の強い選手と戦っていかないといけないと思っています」

――齋藤奨司の試合が見てみたい。組んでみたいとUFC首脳にアピールするには、強い相手をしっかりとフィニッシュすること。もう、勝つだけでは契約できないことはUFCに通じる道をチェックしていても明白になりました。

「ハイ、フィーダーショーを見ていてももうフィニッシュですよね。だからこそ今回の試合も含め、これからの試合もフィニッシュして勝たないといけないです。ただし、一か八の戦いはしないです。勢いじゃない、細かい技術の積み重ねです。打撃、組みとそこをずっとやってきたので。そこを試合で出す。だからこそ、この試合で勝つのは僕なんです」


■視聴方法(予定)
9月21日(日)
Shooto2025#08 午後5時30分~~ ABEMA格闘チャンネル
Shooto2025#07 午後12時30分~~ ABEMA格闘チャンネル

■Shooto2025#08 対戦カード

<修斗世界バンタム級王座統一戦/5分5R>
[王者]齋藤奨司(日本)
[暫定王者]永井奏多(日本)

<環太平洋フェザー級選手権試合/5分3R>
上原平(日本)
たてお(日本)

<バンタム級/5分3R>
宮口龍鳳(日本)
倉本一真(日本)

<バンタム級/5分3R>
杉野光星(日本)
ザヒド・アフメドフ(インドネシア)

<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
旭那拳(日本)
友利琉偉(日本)

<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
マッチョ・ザ・バタフライ(日本)
田口恵大(日本)

<2025年度バンタム級新人王決定T二回戦/5分2R>
飯野雄斗(日本)
齋藤優(日本)

<ストロー級/5分2R>
大城匡史(日本)
漆田直輝(日本)

■Shooto2025#07 対戦カード

<修斗世界ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]田上こゆる(日本)
[挑戦者]山上幹臣(日本)

<ミドル級/5分3R>
岩﨑大河(日本)
ジャン・ボムソク(韓国)

<女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
青野ひかる(日本)

<女子スーパーアトム級インフィニティリーグ/5分2R>
高本千代(日本)
片山智絵(日本)

<女子スーパーアトム級インフィニティリーグ/5分2R>
村上彩(日本)
嶋屋澪(日本)

<フェザー級/5分2R>
轟轟(日本)
ヨシ・イノウエ(日本)

<バンタム級/5分2R>
関根累(日本)
勝呂駿(日本)

<2025年度ウェルター級新人王決定T1回戦/5分2R>
六郷海南人(日本)
デソウザ・マルセル(ブラジル)

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