【PFC38】元祖横浜ガード、旭川で格闘技活動。51歳 竹内幸司「今は北海道にいたまま練習も試合も出来る」
【写真】今回のインタビューは自らが営む整骨院で仕事の合間に時間をみつけて受けれてくれた(C)TAKUMI NAKAMURA
21日(日)北海道札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC38にて、竹内幸司が佐藤力斗と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
1999年1月にプロデビュー、元祖・横浜ガードの大ベテラン・竹内。現在は地元・北海道に戻り、普段は接骨院の院長として働く傍ら、自らのジム=HLCジムの代表を務め、アマチュアやセミプロ大会を主催しつつ、選手として試合を続けてきた。
地元・北海道や海外での経験を通じて気づいたコミュニケーションツールとして格闘技、そして試合という場での若い選手への挑戦。51歳、36戦目を控える竹内に話を訊いた。
――1999年にプロデビュー、今年51歳の竹内選手がPFCで試合をするということで取材をお願いさせていただきました。現在竹内選手は北海道旭川市でご自身のジム=HLCジムを運営されているんですよね。
「そうですね。自分は北海道の美瑛町というところが地元で、旭川でジムをやっています。ジムを出すきっかけになったのは友人ですね。友人から格闘技を教えてほしいと言われて、場所を借りて格闘技を教えていたのですが、そのノリでどんどん人数が増えてきて、2011年にジムを始めることになりました」
――竹内選手はもともとシューティングジム横浜所属で試合をしていましたが、いつ北海道に戻られたのですか。
「自分は柔道整復師の仕事をしているんですけど、地元の先生が接骨院を閉めるかもしれないという話になって、そこを僕が継ぐことになって北海道に戻りました。北海道に戻ってきた当初は練習もしていなかったですし、そのまま格闘技を辞めるつもりだったんです。そうしたらジムを出すことになって、ちょうどそのタイミングで北海道でパンクラスの試合(※2012年7月のBOUT12内にてパンクラスの公式戦が行われた)があって、その大会のオファーが来たんですよ。それで約6年ぶりに復帰することになって、それから定期的に試合を続けている感じです」
――竹内選手としては接骨院を継ぐために地元に戻ってきたら、ジムを始めて現役を続行するというのは予想もしていなかったですよね。
「はい。北海道に戻ってきた時はもう格闘技には関わらないと思っていましたからね。ジムを出してから10年以上ここまでどっぷり格闘技を続けるとは思わなかったです」
――地元での格闘技ライフは満喫されていますか。
「収入のことだけを言ったら仕事の時間を長くした方がいいですけど(笑)、ジムをやるという意味では充実しています。格闘技に携わっていると人と人のつながりが増えていくので、それが大きいかなと思います。自分の場合は格闘技を通じて国内だけでなく海外にも知り合いが増えているので」
――海外とつながったというのは?
「僕は2014年に初めて海外=台湾で試合をしたんですけど、その時は自分で営業をかけて試合を決めたんですよ。それがきっかけで色んな人たちとつながっていった感じです。自分はもともと出稽古が好きで、海外のジムで練習するのも好きなんです。そこで知り合いが増えて…というパターンもありますね」
――竹内選手は試合以外でも海外に行くことが多いのですが。
「練習目的というよりも、観光がてら練習にも行くみたいな感じです(笑)。ウィル・チョープとはずっと仲がいいですし、ウィルが日本で試合をする時は色々とサポートもしています。あとはカンボジアのプノンペンにあるカンボジアン・トップチームの人たちとも連絡は取り合っています」
――まさに格闘技で広がる輪ですね。国内でもそういったつながりはありますか。
「はい。中山(巧)くんと連絡を取り合っているし、北海道に遊びに来た選手がジムに顔を出してくれることもあります。あとは修斗つながりで大阪の選手とは交流が続いています」
――HLCジムの由来がHealth Life Communicationsで、Communicationという言葉が入っているように竹内選手は格闘技を通じたコミュニケーションを大切にされているようですね。
「そうですね。昔のジムは殺伐としていて、出稽古に行くのが怖かったじゃないですか。ジム側も出稽古に来たヤツは一回ボコボコにするとか(苦笑)。自分も年を取ったからだと思うんですけど、練習を通して交流が格闘技の1つの魅力かなと思うようになりましたね。僕はタイのロンポージムというところによく行っていて、そこも最初に行き始めた時は緊張する感じだったのですが、今はすごくフレンドリーな感じになりましたね」
――もしかしたらMMAや格闘技ジムそのものが、オープンになっているのかもしれないですね。
「ただ僕らみたいな地方のジムはあまり練習で交流しちゃうと試合が組みづらくなるんですよ。相手に手の内がバレちゃうというのも、それはそれで格闘技の魅力がなくなっちゃうというか。だからうちのジムはそこは一線引くようにしていて、練習に来てくれる方は受け入れるみたいなスタイルでやっています」
――ジムの会員さんも試合に出たいという方が多いのですか。
「自分はジムと並行してアマチュア大会を年2回、セミプロの大会を年2回やっているんですけど、その大会を始めてから選手志向の会員さんも増えてきましたね」
――年に4回そういう機会があれば会員さんにとってはいい目標になる感じですよね。
「はい。あとは北海道でもMMAの大会そのものが増えているので、必然的にそこに挑戦する選手が増えている感じです。自分たちの時代は格闘技をやる=上京しないといけなかったですが、今はこっち(北海道)にいたまま練習も試合も出来るようになったんだなと思います。RIZINのような大きい大会も開催されるようになって、北海道の格闘技が盛り上がってくれて嬉しいです」
――そういう中で竹内選手は現在も現役のファイターとして試合をしているわけですが、今でも戦いたいという気持ちが残っているのですか。
「自分ももう51歳で、正直(現役は)辞める年齢だと思いますし、今年で辞めようと思っていました。今回の試合に関してはずっとヤマケン(山本喧一)さんからオファーをもらっていて、すごく若い選手と試合を組んでくれて、ちょっと自分自身も挑戦してみようと思いました」
――ヤマケンさんとも北海道つながりでコネクションができた感じなのですか。
「そうですね。ヤマケンさんが札幌でジムや大会を始めたことは知っていて、すごくしっかりした大会を運営されているし、同じ北海道で格闘技を盛り上げてくれているという意味で何か自分も手伝いたいなという気持ちもありました。ヤマケンさんからは何度かオファーをもらっていて、タイミングが合わずにお断りしていたのですが、今回は色々とタイミングも重なってオファーを受けることにしました」
――対戦相手の佐藤選手は22歳、キャリア4戦。まさに若い選手へのチャレンジになる試合です。竹内選手としてはどんな試合をしたいと思っていますか。
「正直に言うと若い選手ではありますが、今まで自分が戦ってきた相手と比べたらそうでもないなという気持ちもあります。俺の方が先輩だからということではなく、試合を楽しんで怪我なく終わりたいなという感じですね」
――今後も現役生活は続けられる予定ですか。
「試合はもうそろそろ考えないといけないなと思います。さすがにもうこの年齢なので。ただ体力維持と海外で現地の人と交流するために練習は続けるつもりです」
――まさに言葉は通じなくても練習すればコミュニケーションは取れる、ですね。
「はい。初めて台湾で試合をした時にそれをすごく感じて、自分は全く現地の言葉を喋れなかったのに、一緒に練習するとものすごく楽しいし、その時に一緒に大会に出ていたメンバーとは今でも連絡を取り合ったりするんですよ。で、自分がやっているアマチュア大会を現地の人と協力して台湾で開催したこともありましたし、今後もそういう活動は続けていきたいです」
――次の試合もそうですが、今後も北海道での格闘技ライフ、色々な形で格闘技を盛り上げていただければと思います。今日はありがとうございました。
「いえいえ。こちらこそ逆にありがとうございました」