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【HEAT57】キックルールで岩永唯伽と十代対決、小桐冬華「蹴りが得意ですけど次はボディで倒します」

【写真】SNSで自身のことを「ギャル」だと投稿している小桐。この場合の「ギャル」とは「自己肯定感を高め、フットワークを軽くして頑張るマインド」を指すそうです(C)SHOJIRO KAMEIKE

20日(土)に愛知県刈谷市の刈谷市産業振興センターあいおいホールで開催されるHEAT57で、小桐冬華が岩永唯伽と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

現在19歳の小桐は幼少期より極真空手を学び、2023年にはアマチュアSB全日本の女子55キロ級を制して翌年プロデビュー。今年4月にはONE FFで初黒星を喫したものの、7月には復帰戦を勝利で飾り、プロ戦績を3勝1敗としている。今回キックルールで対戦する岩永も、中学生の時にJFKO全日本ジュニアを制している18歳の若きファイター。この一戦を前に、小桐が語る自身のスタイルとは。


――これまでシュートボクシングとキックボクシングルールで4戦を経験している小桐選手です。ベースとなる空手を始めたのは何歳の時ですか。

「空手(極真会館)を始めたのは小学2年生の時です。そこから空手を続けて、高校に上がってからキックボクシング、シュートボクシングに転向しました」

――空手を始めたキッカケは何だったのでしょうか。

「最初は、引っ越したところの近くに空手道場があって。はとこが通っていたので、私も遊び感覚で空手を習い始めました。私が小4の時、はとこが空手を辞めた時に親から『お前はどうする?』と訊かれて、『1回試合に出てみたい』と。それで初めて大会に出たら、白帯で優勝しちゃったんです」

――えっ、初めて出た大会で優勝を?

「はい。アハハハ」

――そのまま空手を続けようとは思わなかったのですか。

「空手道場の先生が亡くなって、私もやる気を失ってしまったんですよ。その頃、空手の先輩がキックボクシングをやっていて。カッコイイなと思って、私も体験を経てジムに入会しました。地元の浜松にあるキックボクシングジムでしたけど、その後退会して今のフォレストプラス(チームフォレスト)に入っています」

――現在は浜松から豊橋のジムに通っているのですね。

「はい。自宅は浜松市内でも豊橋に近いほうなので、車で1時間は掛からないぐらいです」

――空手からキックに転向し、そしてアマSB全日本で優勝する。それぞれルールが異なる競技ですが、すぐに慣れましたか。

「まず空手とキックは――蹴りは慣れていましたけど、顔にパンチが飛んでくることは本当に慣れなくて。最初は目を瞑ってしまうような感じでした。今はようやく慣れてきて、やっぱり2~3年はかけないと慣れないなぁって感じましたね」

――フルコン空手の場合は、どうしても至近距離で戦うことが多くなります。それはジュニアの試合も同様で。

「私はもともと、打ち合ってはいましたけど蹴りのほうが得意で。そんなワチャワチャ前に行く感じでもなかったので、距離について苦労はしなかったですね。でも『蹴りの距離が近い』とは言われていたので、そこは気をつけて練習していました」

――するとプロデビュー戦でKOした顔面前蹴りも、空手時代から得意ではあったのですね。

「それが――母に言われたんですけど、『あんなの試合で見たことがない』って。アハハハ!」

――えぇっ!? 顔面前蹴り自体は練習もしていなかったのですか。

「ボール蹴りぐらいですよね。子供の頃に道場で自分の顔の高さぐらいの位置にボールをぶら下げて、それを蹴るという練習はしていました。でもちゃんと前蹴りを練習したことはなかったです(笑)」

――ではその顔面前蹴りで相手をKOした時は、どのような感覚だったのでしょうか。

「身長差もあったし、自分のほうが手足も長かったので。もともとボディへの前蹴りは使っていて、それを顔面に変えたという感じですね。咄嗟に、自然と。

私は身長が164センチあって、相手選手は自分より小さい人ばかりです。だから手足の長さを生かして距離を取り、自分の戦い方をしろと言われています。それは今も」

――なるほど。そしてキャリア3戦目でONE FFに参戦しています。

「あれは私もビックリしました(笑)。会長から試合の話を聞いて、そんな良いお話を断る理由もないので。ただ、パスポートとか提出するものも含めて両親にも相談して、『行きたいなら行って来い!』と言ってくれて」

――それだけご両親も応援してくれているのですね。

「二人とも格闘技はやっていないけど、私が空手を始めてからも『やりたいなら、とことんやれ』と言ってくれていました。キックボクシングに関してもそうです。今もそうですね。『お前がやりたいなら全力でサポートするから』と」

――それは素晴らしいです。初めてタイで、中国人選手と対戦した感想は?

「相手は中国の選手といっても、タイのジムで練習している選手で。もう体つきが違いました。今まで国内の試合は全て、自分のほうが体は大きかったんです。それが海外に出ると、自分よりも腕が太かったり、いろいろとビックリしましたね。

試合をしてもパンチの回転力とか全てにおいて自分より上で。3戦目で、ああいう素晴らしい選手と試合をさせてもらえた自分は幸せだなって思います」

――ONE FFでの敗戦を踏まえて、何か自分の中で変えたり、新しく始めたことなどはありますか。

「ONE FFの時に見えた課題は、自分はパンチの回転力が全くないことでした。そこを改善して次の試合に臨みたいと思っていたけど……4戦目は相手のペースに飲まれてしまい、自分のやりたいことはできませんでした。身長差を生かしてヒザ蹴りで有効打を取っていたとしても、周りから見て良い試合はできなかったと思います。パンチに関しては永遠の課題ですね。

私は蹴りのほうが得意なので、自分が危ないと思ったら蹴りのほうが先に出ちゃうんですよ。それを踏まえてパンチを8、蹴りを2で考えていたら、自然とパンチが出るんじゃないかとも思っています」

――そうした経験を踏まえ、次はどんな試合を見せたいですか。

「相手が蹴りの選手なんですよ。JFKOとか空手の大会でも有名で、特にあの横蹴りは厄介ですよね。蹴りを上下に散らしてくるし、入りづらいとは思います。その蹴りをもらってもいいから前に出て行くつもりです。前回の試合では課題が大きく出たので、今回は――作戦としてはボディでブッ倒そうと思っています」

――試合前に作戦をハッキリ言っても大丈夫ですか。

「アハハハ。たとえ相手が分かっていても、私は倒しますから」

■視聴方法(予定)
9月20日(土)
午後4時30分~ ツイキャスプレミア

■対戦カード

<ISKAオリエンタルルール世界女子アトム級王座決定戦/3分5R>
MISAKI(日本)
クレメンティ・エグ(スイス)

<エキシビションマッチ>
皇治(日本)
所英男(日本)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
イ・イサク(韓国)

<キック スーパーヘビー級/3分3R>
楠ジャイロ(ブラジル)
笹田勝俊(日本)

<フェザー級/5分3R>
福山佳祐(日本)
アリストテレス・オキヤマ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
高山晃輝(日本)
山田悠太(日本)

<キック 51.5キロ契約/3分3R>
正木翔夢(日本)
新美豪毅(日本)

<キック 女子48キロ契約/3分3R>
岩永唯伽(日本)
小桐冬華(日本)

<フライ級/5分3R>
永井宏人(日本)
堺龍平(日本)

<キック 65キロ契約/2分3R>
小黒剣政(日本)
青山龍成(日本)

<キック 57キロ契約/2分3R>
後藤力(日本)
山際仁(日本)

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