【HEAT57】イ・イサクと初顔合わせ=決着戦 三上ヘンリー大智「本能や理性を超えた場でどう表現できるか」
【写真】全幅の信頼を置く存在だが、岡見離れも近づいているヘンリー(C)GRACHAN
20日(土)に愛知県刈谷市の刈谷市産業振興センターあいおいホールで開催されるHEAT57で、三上ヘンリー大智がイ・イサクと対戦する。
text by Takumi Nakamura
8月のGrachan75でイム・ドンファンをわずか30秒でマットに沈め、マチュー・デュクロ戦の敗北からの再起を果たした三上。今大会では過去に何度も対戦が流れているイサクとついに決着の時を迎える一戦が組まれた。
三上にとってイサク戦のテーマは「自分の力をいかに出せるか」であり「いかにいい精神状態を作って試合に臨むか」。今回のインタビューでも一人の武道家としてMMAで戦う三上の姿勢が伝わってきた。
――前回のイム・ドンファン戦は1R0分30秒のKO勝利という形で終わりました。短い試合時間でしたが、あの試合を振り返っていただけますか。
「想定していたよりも早く試合が終わってしまって、もっと経験を積む時間が欲しかったですね。ああいった勝ち方が出来たからと言って自信になる試合ではなかったかなと思います」
――左ミドルで距離を取って首相撲からヒザ蹴りを効かせるという動きはイメージしていたものだったのですか。
「それは考えていたんですけど、もっとパンチの攻防をやりたいと思っていたんですね。そのためにやってきたこともあったので、それが出せなかったことは残念です」
――当然フィニッシュを目指して戦うと思うのですが、試合経験という部分では長い時間戦うことも必要だと感じていますか。
「そうですね。フランスでの敗戦(マチュー・デュクロに5R判定負け)、5Rフルに戦っていいところと悪いところが出たし、これが俺の実力じゃないと思いつつも自分の悪いところとして出ちゃうんだなということも分かりました。そういう意味でも長いラウンドの試合を経験することは今の自分にとって必要なことだと思います」
――今大会では公式発表で2度対戦が流れているイ・イサクと対戦が決まりました。
「もともと前回の試合もイサク選手とやる予定でしたし、その時に対策していたこともあったので、また新たに何かを取り入れて対策するということはなくて継続してやっている状況ですね」
――ではイサクの印象を教えていただけますか。
「組みベースのグラップラーだと思うんですけど、打撃もイケイケでやってくる選手だと思います。試合をするのがすごく楽しみな選手ですね。過去に何度か試合が流れているのですが、いつかやりたかった相手です」
――三上選手としては今回のイサク戦にどのようなテーマを持って戦おうと思っていますか。
「自分の力をいかに出せるか?ですね。自分はそこに集中しています。僕も相手の対策をしますが、相手も僕のことを研究・対策してくるわけですし、そこはもう試合にならないと分からないわけじゃないですか。だったら相手に対してどうこうよりも、いかにいい精神状態を作って試合に臨むかだと思います」
――現時点ではいい精神状態を作れていますか。
「今はすごく充実しています。ただ試合の時にどんな精神状態になっているかが重要なので。前々回のフランス遠征もずっといい状態を作っていたのですが、最後の準備の部分で色々とあって試合の時はそうではなかった。それでああいった試合をしてしまいました。なので今回もどうやっていいメンタルのバランスを取るか、(メンタルを)真ん中に置くかを意識しています」
――ドンファン戦後のマイクで「日本を代表するミドル級ファイター、師匠である岡見勇信さんを超えられるファイターになれるよう頑張ります」と語っていましたが、三上選手にとって岡見選手の存在とは?
「僕がMMAに興味を持ち始めた時にUFCで14勝している選手がいると聞いて驚きましたし、当時の僕にとっては雲の上の存在でした。ただ岡見さんのことを知れば知るほど『本当にUFCで14勝もしている人なの?』と思うくらい人間味を感じて、岡見さんは“岡見勇信”という人なんだなと思います(笑)。試合前の心構えの部分でも大きな支えですし、コーチというほど離れていないけど、父親というほど近くない……本当に近すぎず遠すぎずのところにいる存在ですね」
――改めて岡見選手を含めたチームで世界と戦えるという手ごたえはありますか。
「それはMMAの練習を始めた時から思っています。ただし日本で練習している以上、重量級の練習相手が充実しないという問題があるし、これからもずっと岡見さんと練習するというわけにもいかない。資金的な問題はありますが、いずれはがっちり海外で練習することも考えなければいけないなと思っています」
――アジアから世界を目指すライバル=イサクから勝利を収めれば、今後の新たなチャンスにもつながると思います。そのためにも重要な試合になってきますね。
「この試合に勝つことで今後の道が拓かれると思いますが、今そこを考えてもしょうがない。自分の力を出して試合をしたときに、いい自分が出るのかどうか。そこは客観的に見ても楽しみですね。僕は常に試合までの過ごし方を意識していて、自分がいい方向に向くことを取り入れたいし、そうなる行動だけをやるようにしていて、その答え合わせが試合だと思っています。
人生においてメンタルにいい影響を与えるものを探したり、そのための材料集めをしているというか。試合で勝つことが最終目標じゃなくて、人生の最終目標って幸せになることじゃないですか。試合という本能や理性を超えた場で自分をどう表現できるか。それを自分自身で見ていきながら、戦いの中で幸せをみつけたいですね」
■視聴方法(予定)
9月20日(土)
午後4時30分~ ツイキャスプレミア