【RIZIN51】現SB日本王者がプロMMAデビュー。佐藤執斗「他の立ち技の選手は色気づいて寝技を――」
【写真】現SB王者、カン・サトーの弟、寝技打撃師の弟子と楽しみな要素がたっぷりな佐藤執斗(C)SHOJIRO KAMEIKE
28日(日)に名古屋市北区のIGアリーナで開催されるRIZIN51にて、シュートボクシング日本バンタム級王者の佐藤執斗がプロMMAデビュー。小林大介と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
佐藤はこれまでSB日本バンタム級を獲得、韓国MAX FCと香港WMC l-1でも、それぞれ2階級制覇を果たしている。しかし他の立ち技格闘技からの転向組とは異なるキャリアを持つ。兄は元DEEPストロー級王者のカン・サトーであり、自身もSBでプロデビューする以前に柔術やアマチュアMMAを経験していた。SBのリングでもMMAグローブ戦で破壊力の高いパンチを披露していた佐藤が、プロMMAデビュー戦で見せたいものとは。
MMAグローブになると構えとかにも制限がない。自由に戦えば良いんだという気持ちになる
――これまでシュートボクシング、キックボクシング、ムエタイなど様々な立ち技ルールで戦ってきた佐藤選手です。MMAは今回が初挑戦なのですか。
「初めてです。正確に言うとプロは初めてで、中学生の頃に何度かアマチュアDEEPに出ています」
――そうだったのですね。というのも、お兄さんが初代DEEPストロー級王者カン・サトーさんで。
「そうなんですよ。柔術の試合も100戦ぐらいやっています。中学生まで柔術もやっていて、中学を卒業してからは完全に打撃へ移行しました。
もともとはフルコン空手をやっていて。GSB(グラップリング・シュートボクサーズ)が出来たと同時に入会し、キックボクシングと柔術を始めました。そのうち柔術の練習が楽しくなってきて、ただただ柔術が好きで練習していた感じでしたね。他のスポーツもやっておらず、ずっと格闘技漬けです」
――打撃系競技に集中した理由は何だったのですか。
「以前はMMAにストロー級がなかったじゃないですか。僕は体が小さく、アマDEEPでもフライ級では体重差がありました。さすがにその体格差では、プロに行くと通用しない。それよりも適正階級があるSBのほうが良いと思ったんですよね。
兄もDEEPにストロー級が出来て、そこで戦うことができました。その前はフライ級で井上直樹選手とも戦いましたけど、フィジカル差があって全然通用していなかったです。兄の苦労している姿も見て、自分にMMAのフライ級は無理だと思ってSBを選びました」
――とはいえSBの投げや立ち関節にも対応できる素養はあったわけですね。
「はい。最初からスタンドのギロチンはできました」
――SBをはじめ様々な打撃系競技のベルトを獲得するなか、MMAを戦いたいという気持ちも持っていたのでしょうか。
「ベルトを巻いてからは――モチベーションの話になります。いろんなことに挑戦したい気持ちもあって、ずっと代表(坪井淳浩GSB代表)には『MMAの試合はないですか』とか訊いたりしていて。特にここ1年は、その気持ちが強くなっていました」
――SBでMMAグローブの試合を経験してから、さらにその気持ちが強くなったのではないですか。
「それは間違いないです。組んだ時に首も取りやすいですし、SBでもMMAグローブで何戦かしていて、MMAを戦いたいという気持ちが強くなりました。ボクシンググローブだとワキを締めないといけないところでも、MMAグローブになると構えとかにも制限がない。『MMAグローブでは自由に戦えば良いんだ』という気持ちになりますね。
でもデメリットとしては、やはり怪我があります。僕もMMAグローブ戦の1試合目で拳を骨折してしまって。ボクシンググローブと同じ感覚で打ってしまうと、やはり拳を負傷してしまいます」
――結果、ボクシンググローブの時と打ち方を変えましたか。左を打つ時、ジャブでもフックでも真っ直ぐ打ち込む場合と、拳を完全に返して当てる場合があります。
「だいぶ変えました。やっぱり骨折した時は試合中もメチャクチャ痛かったし、その経験から打ち方は変えていますね。相手にとっては何が来るか分からないように、打ち方も工夫しています。代表とも試行錯誤しながら、バンテージの巻き方も変えたりとか。
でもONEムエタイで2連敗して――初戦は『MMAグローブの立ち技で世界一になろう』という気持ちで臨みました。でもあの結果に……。心が折れてしまったというか『自分は通用しない』と気持ちが落ちてしまった時期で」
――……。
「自信満々で臨んだ試合だったので――KO負けは、まだいいんです。それよりも技術的に心を折られる負け方をしてしまって。ONEで負けてからも立ち技の試合には出ていて、もちろん技術を高めていくなかで、自分のトリッキーなスタイルという長所を生かして戦ってきました」
僕のベースはジュニア時代の柔術であることを試合で見せます
――佐藤選手の場合、危うさも持ち合わせている試合スタイルです。特にパンチをブン回す時はKO勝ちもありますが、相手の打撃を食らってしまうリスクも生まれます。
「アハハハ、そうですね」
――もちろんそれは佐藤選手というファイターの魅力でもあります。そんななかで気になったのは、あのブン回しは自身の中で計算しているものなのですか。それとも頭に血が上ってしまうというか……。
「実は、試合中はメチャクチャ冷静なんですよ。だから自分でも分かってブン回していますね。特に作戦から外れてブン回しているわけではないです。最後はどこに到達するか――どうすればKOできるかを考えながら、ブン回しています(笑)」
――冷静にブン回しながら、当て方を変えてKOする。それは凄いですね。MMAの練習は、今回の試合が決まってからスタートしたのでしょうか。
「はい。2カ月前ぐらいから始めています。柔術についてはSBの試合に出るなかで、気持ちのリフレッシュみたいな感じで会員さんとスパーリングする程度でした。技術的には中学生の時でストップしているので――柔術だけの技術でいえば、ベリンボロとかは体感したことがなくて。この試合が決まってから、最新の技術を勉強しているところです。気持ちとしては1年生のつもりで寝技を練習しています」
――2カ月間で柔術、組み、MMAを自分の中に落とし込むことはできていますか。
「自信はあります。柔術を教えてくださる方も、やはり子供の頃に基礎を教わっているので『理解してくれるのが早い』と言ってくれて。MMAは深いものだから、2カ月だけで習得できるとは思っていません。でも自分の中では、メチャクチャ手応えがあります」
――そのプロMMA初戦の相手は、ALIVE所属でプロMMA戦績5勝2敗の小林大介選手となりました。
「自分も初戦なので、ゲームプランはありますけど、どういう展開になるか想像できないです。でも、だからこそ楽しみというか。どんな展開になっても良いように練習しています」
――小林選手は佐藤選手を相手に組みたいところでしょう。佐藤選手としては、寝技で勝負したい気持ちはあるのですか。
「僕は寝技でフィニッシュしたいです」
――立ち技ファイターがMMAに出るうえで『寝技で勝ちたい』と言った場合、寝技で敗れることも多いです。こちらから訊いておいて何ですが……。
「アハハハ。僕の場合は昔から柔術もやっていますからね。他の立ち技の選手は、おそらく色気づいて寝技をやりたいと言ってしまい、本当にやって負けていると思うんですよ。その点、僕は大丈夫で。他の立ち技格闘技からの転向組と比べて、僕のベースはジュニア時代の柔術であることを試合で見せます」
――師・坪井代表から受け継ぐ、寝技打撃師としての試合を楽しみにしています。
「ありがとうございます。MMAは甘くない、厳しい世界ですけど寝技でフィニッシュしたいです。怖いのは漬けられて判定決着になること。僕の試合は動きがあることが見どころなので――勝つことも大事ですけど、お客さんを楽しませる試合をします!」
■視聴方法(予定)
9月28日(日)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■対戦カード
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者]ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者]堀江圭功(日本)
<フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者]ビクター・コレスニック(ロシア)
<RIZIN WORLD GP2025ヘビー級T決勝/5分3R>
マレク・サモチュク(ポーランド)
アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
佐藤将光(日本)
ダニー・サバテロ(米国)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
扇久保博正(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
元谷友貴(日本)
神龍誠(日本)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級Tリザーブマッチ/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
山本アーセン(日本)
<バンタム級/5分3R>
梅野源治(日本)
芦澤竜誠(日本)
<フェザー級/5分3R>
高木凌(日本)
三宅輝砂(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
ファン・イェーロウ(中国)
<フェザー級/5分3R>
大和哲也(日本)
奥山貴大(日本)
<フライ級/5分3R>
冨澤大智(日本)
平本丈(日本)
<100キロ契約/5分3R>
金田一孝介(日本)
チャートゥ・バンビロール(セネガル)
<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
芳賀ビラル海(日本)
<フェザー級/5分2R>
YUHEI(日本)
脇田仁(日本)
<ライト級/5分2R>
太田将吾(日本)
Street♡★Bob洸助(日本)
<バンタム級/5分2R>
山木麻弥(日本)
石坂空志(日本)
<フライ級/5分2R>
佐藤執斗(日本)
小林大介(日本)




















