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【PFL CS2025#02】最強ディチェバと対戦、レディ・サムライ=スミコ・イナバ「私はアンダードッグよ」

【写真】お父さんが日本人。日系4世、おばあさんの苗字はフナコシ。リロ&スティッチに出てきそうな、スミコさんだ (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)、南アフリカのケープタウンはグランドウェスト・アリーナでPFL Champions Series02「Cape Town」がPFL AFRICA01とともに開催される。南アフリカ、アフリカ大陸で初のメージャーMMAイベントのコメインでスミコ・イナバがダコダ・ディチェバと対戦する。
text by Manabu Takashima

昨年のPFL女子フライ級を制し、ビジュアル重視でないことを世界に証明したディチェバ。対する日系ハワイアンのスミコ・イナバは昨年、2連勝でBellator & PFL通算成績を8勝1敗としたにも拘わらず、女子フライ級ワールド・トーナメント出場権が与えられなかった。

結果、ディチェバとの対戦が巡ってきたイナバは「どのような出来事にも理由は存在している」と、超アンダードッグの世界王者とのノンタイルファイトに向け闘志漲る言葉を発した。


――ケープタウンでダコタ・ディチェバ戦が迫ってきました(※インタビューは11日に行われた)。今の気持ちを教えてください。

「最高ね。ほぼ2カ月サンディエゴでキャンプを行い、しっかりとしたプロセスを経て、体をピークに持ってくることができたわ。これまでハワイのマウイでキャンプをしてきたけど、対戦相手のレベルが上がってくると新たな練習が必要だと思って、サンディエゴでキャンプをすることにしたの。思った通りでレベルは高いし、良いトレーニングができたわ」

――女子MMAのメッカでキャンプをやり切ったということですね。

「本当にここは女子選手が多くて、ハワイでは残念ながらここまでのメンバーが揃うことはないから。5、6つのジムを回って、皆が行き来して練習をしていて。サンディエゴでは全ての練習を女子選手たち……アンジェラ・ヒル、ジェナ・ビショップのような同じ志やゴールを持つ選手と一緒にできて本当に最高だったわ。気候はハワイと同じようで最高だし、もう何も言うことはない環境ね」

――2カ月間、家族は?

「6月の1カ月は、夏休み中だし家族全員がこっちにやってきて一緒にいたわ(笑)。娘はもう10代になったし、色々と家のことを助けてくれて。だからサンディエゴでのキャンプも実現できたの」

――素晴らしいです。そしてサンディエゴからケープタウンに向かう方が、マウイから向かうより少し楽ですね(笑)。

「そうね、サンディエゴからNY経由でケープタウンに向かうから、きっとマウイからLAかどこかというフライト1つ分はなくすことができて、5時間は短縮できると思うわ。それでも20時間は掛かるけど(笑)」

――だからこそ、5時間の短縮は貴重です(笑)。

「私の人生で一番長いフライトは日本に行った時で、それでも10時間もなかったから……凄い長旅よね。15時間近く違うのは別次元ね(笑)」

――先日、今月末に日本で試合をする南アフリカの選手をインタビューしたのですが、彼はダウンを着ていました。温暖なサンディエゴとは、時差もあり気候も違います。

「まず時差には注意してきたわ。現地の夜の10時半ぐらいに戦うから、こっちではお昼過ぎで。でも、その時間にずっと練習をしてきたから問題ないはずよ。ただ……7月で寒いのは歓迎できない(笑)。それでも凍えるシカゴを経験しているから、きっと大丈夫よ(笑)」

――この試合は本当に大きな機会です。とはいえ、女子フライ級ワールドTへの出場権は与えられなかったです。このことでPFLに不満はなかったですか。

「PFLが私をどのように扱おうとしているのか、分からなかった。でも、この試合が決まったからOKよ(笑)。どのような出来事にも理由は存在していて。トーナメントに出られなかったことは悲しかったけど、だからこそこの試合の機会が巡ってきた。この試合を組まれたことで、何も不満はないわ。とにかくトップファイターを相手に自分が何者かを知ってもらえる。そんな最高の機会を手にできたから」

――ダコタはPFLで、誰よりもプッシュされてきたファイターです。

「そうね(笑)」

――ただし、人気先行でないことは昨年の女子フライ級を制した4試合で証明してみせました。

「彼女の対戦相手は誰もが打撃戦をさせないように戦い、それができなかった。でも、私は彼女に得意な展開にさせないのではなくて、自分のファイトをぶつけたい。別に真っ向から打ち合っても構わない。私は自分の打撃を信じているから。

MMAはどんなことでも起こり得る。だからこそ、彼女を相手に自分の打撃を試したいと思っている」

――完全なアンダードッグで、タイトル戦でなくノンタイル。色々と思うこともあるかと。

「彼女はPFLのエースで、14連勝中のファイターよ。でも、試合は誰か一人のためにあるわけじゃない。この試合は、私のファイトでもあるから。自己証明の場にしたい。そう思っているわ」

――サンディエゴの練習で、どこが一番進化したでしょうか。

「全てよ。技術だけでなくファイターとしての心づもりも変わって。女子ファイター達の想い、エネルギーを共有したことで覚悟が備わった。それに如何にMMAを戦うのか。戦略面に関しては、これまでまるでなかったことに気づいて。MMAファイターとして考え方、技術、フィジカルと全ての面で成長してきたから」

――ではケープタウンでは、どのような試合がしたいと考えていますか。

「皆にショックを与えたい(笑)。私はアンダードッグよ。でも、そういうことは気にしない。ケージの扉が閉じられ、ロックされると私はレディ・サムライに代わる。皆を驚かせてみせるわ」

■視聴方法(予定)
7月19日(土)
午後10時45分~U-NEXT

■ PFL CS02対戦カード

<Bellator世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョニー・エブレン(米国)
[挑戦者] カステロ・ヴァン・スティーニス(オランダ)

<女子フライ級/5分3R>
ダコタ・ディチェバ(英国)
スミコ・イナバ(米国)

<フェザー級/5分3R>
AJ・マッキーJr(米国)
アクメド・マゴメドフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
マカシャリブ・セニュコフ(ロシア)
泉武志(日本)

<ヘビー級/5分3R>
コーリー・アンダーソン(米国)
デニス・ゴルソフ(ロシア)

■PFL Africa2025#01

<PFL Africa2025バンタム級T準々決勝/5分3R>
ンコシ・ンデベレ(南アフリカ)
マフムード・アテフ(エジプト)

<PFL Africa2025ヘビー級T準々決勝/5分3R>
マックスウェル・ジャントゥ・ナナ(カメルーン)
ミキャエル・ゴフウエ(フランス)

<PFL Africa2025バンタム級T準々決勝/5分3R>
シャノン・ヴァン・トンダー(南アフリカ)
ブル・ゴドグウ(コンゴ民主共和国)

<PFL Africa2025ヘビー級T準々決勝/5分3R>
ジャシェル・ティシャ・アワ(カメルーン)
ジャスティン・クラーク(南アフリカ)

<PFL Africa2025バンタム級T準々決勝/5分3R>
アシアシュ・シャタンバ(南アフリカ)
カリーム・ヘニエン(カナダ)

<PFL Africa2025ヘビー級T準々決勝/5分3R>
アブドゥラ・ケイン(セネガル)
フランス・ムランボ(南アフリカ)

<PFL Africa2025バンタム級T準々決勝/5分3R>
エイブラハム・バブリー(英国)
ポリマニュエル・グナゼ(フランス)

<女子ストロー級/5分3R>
ジュリエット・ウカ(ナイジェリア)
シーリー・ニーダーマイヤー(南アフリカ)

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