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【Road FC73】パク・ヒョングンと対戦、原口伸が韓国で戦う意味「1人Road to UFC」です」

【写真】計量後、非常にリラックスしていた原口だ (C)MMAPLANET

本日28日(土・現地時間)、韓国はソウルのチャンチュン体育館でRoad FC73で開催され原口伸が、パク・ヒョングンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2度に渡るRoad to UFCでの敗戦から、Grachanで一戦を挟みK-MMAの老舗Road FC参戦を決めた原口。3月の初参戦の際には元フェザー級王者パク・ヘジンからテイクダウンを決めまくり、判定勝ちを収めた。その直後に同門、黒井海威を破っているパク・ヒョングンがケージインし原口に対戦を迫った。

その後もZFNでパク・チャンスからコールがあるなど、韓国勢のターゲットになっている感もある原口に韓国で戦う意義と意味を尋ねた。


勝ちに来ない。振って見せ場を作る戦い方で、プライドを賭けて勝負にはこない。

──今、計量を終えた感じでしょうか(※取材は27日、午後2時に行われた)。

「ハイ。フェイスオフも終わってホテルの部屋に戻り、ゆっくりしている感じです」

――今回は本来のフェザー級のウェイトリミットですが、Road FCのバンタム級とフェザー級の統合で65.8キロ契約というキャッチ戦になっているのですね。

「そうですね。僕もその辺はあまり分かっていなくて(笑)。オファーが来たら、それがフェザーに近い階級なら受けている感じです」

――3月の試合後にケージインしてきたパク・ヒョングンと戦うことになりましたが、正式オファーというのは?

「あのまま決まった感じです。なんか、全然良く分からない選手がいきなりケージに入ってきてやるしかない状況を押し付けられて(笑)」

――黒井選手に勝っている選手という認識もなかったのですか。

「それはもちろん知っていました。でも、それをここにつなげてくるのか、と。それこそ、何も聞かされていなかったので……。いきなり、サプライズみたいな感じですね。もう韓国語で話されて、なんか進んで。ポカーンとしていたという感じです(笑)」

――あの時点からもう6月末を見据えて練習をしていたのですか。

「そうですね。そうなるだろうということだったので。オファーが正式にきたのは4月の中頃でした」

――UFCを目指す上で、Road FCで戦う意味というのは?

「もちろん外国人選手と肌を合わせられることが挙げられます。だからといってどこでも良いというわけでなく、経験を積むことができる場所なので。今Road FCはZFNと選手が行き来できていて、Road to UFCでセコンドに就いたときに上海でコリアンゾンビからも直接オファーを貰いました。

ZFNはUFCファイトパスで配信もされていますし、あそこからUFCにという道もあります。そういう風に道が開くなら、その場所で戦いたいと思っています」

――ところで上海でジョン・チャンソンからオファーがあったということですが、4月のZFN ORIZINで勝利したDouble GFCフェザー級&ライト級二冠のパク・チャンスからコールアウトもありました。

「アレも一方的でした(笑)。事前に何かあるとかは、全くなかったです。ただZFNはコリアンゾンビという偉大な選手が大会を開いているわけですし、ダイレクトにUFCと契約している選手もいます。ただ、そういうことを期待するのではなくてUFCファイトパスで中継している大会ですし、少しでもアピールできる舞台かと思います。

ZFNがなぜ日本人を求めているのか、もう目的は明確で。食って実績を創るのが目的で。でも、そういうところで戦い続けることがUFCに通じる。一人Road to UFCだというイメージで戦っていきます」

――なるほどです。にしても韓国の大会は申し合わせがなく、公開挑戦をするのですね(笑)。面白いです。そのジョン・チャンソンから声を掛けられたRoad to UFCですが、日本勢の初戦突破は1人という厳しい結果でした。現地で、その模様を目の当たりにして原口選手はどのような想いになりましたか。

「外国人選手特有の駆け引きとか無視した、思い切りの良い当たりに面食らっている選手が多かったのかと。僕も2度結果を残せなかったのですが、それでもレスリング時代やRoad to UFCの前の国際戦の経験が生きたという気持ちはありました」

――Road to UFCに行くまでに国際戦が必要だと?

「そうですね。僕はそう思います。1度でも外国人選手と戦って3Rを戦うような試合が必要で。グアムでキム・サンウォン選手と戦ったことは、凄く良かったです」

――チームメイトの敗北も含め、悔しさだけが残りましたか。

「悔しさというか、危機感しかないです。今回は外から見ることができたので。中国、韓国……特に中国から放されているなと。僕自身、ロン・チュウとチュウ・カンチエに負けて、その流れを創ってしまったので」

――頂点に向かうためにも、明日の試合は落とせないです。パク・ヒョングンに対して、どのような印象を持っていますか。

「格差マッチと言われることも多いですが、1Rからかましにくるタイプの選手です。悪く言うと、勝ちに来ない。振って見せ場を作る。当たれば盛り上がり、3Rまでいくと頑張ったと言われる。そういう戦い方で、プライドを賭けて勝負にはこない。そういう選手だからこそ、やり辛さがあるかと思います」

――これはどの国でも見られますが、打撃戦を要求される空気のなかで見せかけの漢気ファイトというか……。

「あぁ、それです。ただフェイスオフで顔を合わせると、澄んだ良い眼をしているんですよ(笑)」

――アハハハハ。そのような、かましに来る相手に対し原口選手の気持ちの創り方というのは?

「一言でいえば、油断をしないこと。ただ上に行くには、堅い戦い方をしてもしゃあないと思っていて。だから……結局のところ、ロン・チュウとカンチエになぜ負けたのか、そこをずっと考えてきて、整理できた今の戦いをするだけです」

――それはどういう戦いになるのですか。

「Road to UFCでは負けられない戦いの連続でした。精神的にも技術的にも。この間、練習では打撃と柔術、レスリングを挟んでいる2つの要素を多くやってきました。それに練習環境はBRAVE拠点は変わらないのですが、以前より野村(駿太)さんや木村(柊也)、南(友之介)にアドバイスを貰うことが増えましたね。

言い方は悪いですけど、彼らの知識を利用させてもらうというか。近場に、あれだけ打撃が上手い人がいるわけですから。

Road to UFCの時は同じように貰っていたアドバイスも、自分のなかで処理していなかったです。でもテイクダウンで勝つんだ。テイクダウンしかないという精神状況でなく、MMAとして戦いテイクダウンを使うという意識でいると、スっと皆の言ってくれることが入ってきます」

もう頑張るとかじゃないですね

――BRAVEのストライカー達が、また組みへの対応力も以前と違ってきていると思いますし。野村選手など、攻めの組みもできるようになってきています。

「野村さんは、もう組みが強いのが前提です。ルイス・グスタボ戦では、攻めの組みを試合で使っていました。ただ、野村さんからは『練習でできるようになったことを試合で使うのは、また別の話』と言ってもらっていて。それは僕の打撃に通じることかと思うんです。

打撃をパンパンと使って、相手の隙を見つけてテイクダウンをするなんて試合では簡単ではない。練習のようにはいかないと、野村さんに言ってもらったことで気づけました」

――そういうなかで明日の試合で、トライしたいことなどは?

「トライしたいことだらけなので、野村さんの言葉が効いています。そこを試合でやり過ぎてしまうと、自分でなくなってしまうので。

組みと打撃の比率を考えながらも、これまでやってきた自分を信じてあげて……勝手に、オートで動くことに任せようかと思っています。そこで自分の強みが勝手に出てくるだろうと。それぐらいが一番良いのかと。レスリングができるのに、レスリングで行くんだっていう意識を持つ必要はないと思うようになったんですよ」

――おお、そこは大きな変化ですね。

「逆に打撃と柔術は意識するけど、それも無理から使うのではなくて勝手に出るなら、そうしようと。もう、そこは感覚的なモノになって、言葉にしづらいのですけど。そういう意識でいても、試合で出来るのか。ケージに入って気持ちが上がっている時に、もう一つ勇気が必要になってくるはずです。

そうでないと、奥手になってしまうことが絶対にあるので。もう一個先の扉を開く。そういう気持ちで戦いたいです」

――そして一人Road to UFCは続くと。野村選手、木村選手のRIZINでの飛躍を見て、焦りはないですか。

「野村さんがRIZINで勝った時に嬉しかったですけど、『俺は何をやっているんだ』って、凄く危機感を覚えました。ただ、危機感を持って焦ってもUFCが近づくわけじゃないです。俺はUFCに行くし、それには強くあれば良い。俺が強ければ良いだけ。そういう風に、自分のなかでは消化しています。

メンタル的にはしんどい試合を勝ち取るという気持ちで、いつも試合には挑んでいます。でも今回の試合はUFCを目指すなら、上にいくならそれ相応の内容で勝つ。そうできる自分に期待して……もう頑張るとかじゃないですね、自分で自分を俯瞰する感じです」


■視聴方法(予定)
6月28日(土・日本時間)
午後2時00分~KAKAO TV, SCOOP

■メイン対戦カード

<79キロ契約/5分2R>
ユン・ヒョンビン(韓国)
BANZZ(韓国)

<Road FC グローバル70キロT決勝/5分3R>
ナンディンエルデン・キム・インソォン(韓国)
カミル・マゴメドフ(バーレーン)

<ウェルター級/5分3R>
パク・シウォン(韓国)
ユン・テヨン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
キム・ヒョンウ(韓国)
エルデュカルディ・ドゥイシェフ(キルギス)

<65.8キロ契約/5分3R>
パク・ヒョングン(韓国)
原口伸(日本)

<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
ピョン・イェジュン(韓国)


■視聴方法(予定)
6月27日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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