【THE KNOCK OUT】TDや倒れ際に躊躇なく顔面を蹴る。最もUnlimitedらしい山野邉×平川に注目
【写真】Unlimitedでは王座戦を含む4試合が組まれているが、最もUnlimitedらしさを体現できるのが山野邉嵐×平川蓮斗だ (C)KNOCK OUT
明日22日(日)、東京都渋谷区の国立代々木競技場第二体育館で開催されるKNOCK OUT「THE KNOCK OUT」。今大会ではUnlimitedルールで王座決定戦を含む4試合が組まれている。
text by Takumi Nakamura
全局面での打撃が許されたUnlimitedルールは2023年12月からスタートし、今大会では栗秋祥梧と倉本一真の間で初代王座が争われることになった。タイトルが制定される一方、キックボクサーによるUnlimited挑戦やMMAファイターのUnlimited参入といった動きがあり、ヒジ・首相撲なしのキックルール=Blackルール王者の大沢文也と約3年ぶりの復帰となる祖根寿麻による一戦や、木下カラテ×高塩竜司のMMAファイターに同士のカードも組まれている。
その中でUnlimitedでキャリアを積むもの同士の対戦となるのが山野邉 嵐×平川蓮斗だ。両者はKNOCK OUT TRAINING CAMP常葉で開催された「THE KNOCK OUT FIGHTER」Unlimited -61キロ・トーナメントに出場。ともに準々決勝でスプリット判定負けを喫したが、山野邉に準々決勝で勝利した木村涼仁が準決勝でのローブローでドクターストップとなったため、山野邉が繰り上がりで決勝進出。決勝で山野邉が福里優生にKO勝利して優勝を果たした。
他のUnlimited出場選手と違い、プロキャリアはない山野邉と平川だが、短期間でUnlimitedの試合を重ねたという部分でUnlimitedの経験値は多い。山野邉はパンチと蹴りをバランスよく繰り出しつつ、トーナメント1回戦の村上心一戦と準々決勝の木村戦ではタイミングよくテイクダウンを決める場面も見せた。年明けからテイクダウン後のブレイクがかかるタイミングが早くなっているUnlimitedだが、テイクダウンをリズムを変えるための手段として使うことが出来るのが山野邉だ。
一方の平川は鋭いステップインと荒々しい打撃が持ち味。相手のパンチを被弾する部分があるものの、爆発力と勢いで相手を飲み込むことが出来るのは、攻撃のアタック回数が多いUnlimitedだからこそと言える。
また両者ともにテイクダウンや倒れ際に躊躇なく蹴りを出せるという共通点もある。山野邉はトーナメント決勝の福里戦では右ローでダウンを奪ってからのサッカーボールキック、一回戦の村上戦では右フックでダウンを奪ってからのヒザ蹴りを繰り出した。対する平川も一回戦の松本飛雅ではダウン後に鉄槌の連打→顔面踏み付けという動きを見せた。
MMAの場合、テイクダウンや倒れ際の蹴りの有無はルールによって異なるため、スムーズに使いこなせる選手は少ない。その点、Unlimitedに慣れている山野邉と平川にはそれがない。出場選手やマッチメイクによって様々な見え方が出来るUnlimitedだが、最もUnlimitedをUnlimitedとして体現できるという部分で山野邉と平川の一戦に注目したい。