【Gladiator031】今井健斗とフライ級挑戦者決定戦、久保健太「ケージの中で本気を出して戦ったら――」
【写真】久保健太、まさしく漢だ(C)SHOJIRO KAMEIKE
8日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator031で、久保健太が今井健斗と同フライ級挑戦者決定戦を行う。
Text by Shojiro Kameike
グラジの現フライ級王者は、モンゴルのオトゴンバートル・ホルドバートルだ。久保は2024年3月、オトゴンバートル初来日の対戦相手を務め、ギロチンで敗れた。そのオトゴンは今年1月、今井との王座決定戦をKO勝ちで制し、ベルトを巻いている。オトゴンに敗れた2人が、次期挑戦権を賭けて対戦することに。
対戦発表のリリースにて、久保はこの試合に対する想いを長文で綴っていた。同様に今井もコメントを寄せているが、両者は長年にわたる練習仲間であり、師匠と弟子、あるいは兄弟のような関係でもある。そんななかで久保が今井との対戦を受けた理由には、まさに久保健太の漢気が溢れていた。
タイムリミットを過ぎていれば、対戦することはなかったかもしれない。本当に紙一重のタイミングです
――今井選手との対決が近づいています(※取材は6月2日に行われた)。5月9日にグラジの公式リリースで対戦が発表された時、久保選手が長文のコメントを寄せていました。
「アハハハ、そうですね」
――対戦が決まり、プロモーターサイドからコメントを求められた時、どうしても今井選手に対する気持ちが溢れてしまいましたか。
「はい。いつもリリースにあるコメントって短いものじゃないですか。試合への意気込みとか。でも僕と今井君の歴史は、一言で収めることができません。今井君はずっと一緒に練習して、切磋琢磨してきた強いファイターである一方で、僕にとっては『弟の健斗』みたいな気持ちもあります」
――健太と健斗で名前も似ていますし。
「あぁ、もう本当に兄弟ですね(笑)。僕は彼に組みを教えてもらい、僕は彼に打撃を教えて。今井君がウチのジムに来た時は、もうヘトヘトになるまで追い込んで、『健斗、動け! そこで動かんと』と声をかけたり……」
――以前、今井選手を取材した時に久保選手のことを、お世話になっている兄貴のような存在として語ってくれました。こちらとしても次に多治見、あるいは中津川へ取材に行く時は、2人の練習を見たいと思っていて……。それがまさか、両者の対戦になるとは。
「僕も同じ気持ちです。4月20日に行われたDEEP Ngaoyaで今井君と会い、『来週からまた練習、よろしくね』と言って別れました。その3、4日前にはウチのジムで僕とスパーリングしていたりとか。そう言って別れた直後に対戦が決定し、以降は今まで一切やり取りはしていません。
ウチの弟子たちも毎週レスリングの練習で中津川へ行きますし、今井君も僕の所属先(GSB多治見)で梶田高裕代表のパーソナルトレーニングを受けていて。いまはそういう関りが全て止まっています。この試合のために、お互いにジムの全てを巻き込んじゃっていますね(苦笑)」
――最初に今井戦のオファーを聞いた時は……。
「正直な話、嫌ですよ。しんどいです。実はこの試合が決まる前に、GSB多治見で今井君と練習しながら『お互いあと1回ずつ勝ったら、もうグラジでは僕と今井君が対戦するしかなくなるだろうね』と、冗談交じりに話をしていたことがありました。
今井君は強いから勝ち残る。そこで僕が勝ち進んでいけば、対戦することもあるだろうとは思っていて。それが今年いっぱい――僕には年齢的にも肉体的にもタイムリミットがある。もしタイムリミットを過ぎていれば、僕と彼が対戦することはなかったかもしれない。そう考えると、本当に紙一重のタイミングですね」
ボロ試合や泥試合はしません。自分の全てを出し切ります
――タイムリミットとは、現役引退を考えているということですか。
「試合の3日後には、僕ももう43歳になりますから。もう3年前ぐらいから考えていて――それこそ38か39歳の時に、『白髪が生えてきたら引退する』とか思っていました(笑)。その気持ちをずっと引っ張ってきて今に至ります」
――そうだったのですね……。
「チェ・ドンフン、オトゴンバートル、そしてチョ・ジュンゴンと3連敗があって。言い訳みたいになってしまいますけど、チェ・ドンフン戦の時は熱があり、オトゴン戦の時は負傷していて――あ、そうだ。今井君との練習で負傷したんですよ、アハハハ。
それでチョ・ジュンゴンには、あと一歩という感じで負けて……。僕も連敗のまま辞めるのは嫌でしたし、勝ち負け関係なく自分が納得できる良い形でキャリアを終えたいと思っていました。
4月に対戦したパク・チャンビンは試合前、『若い自分に負けたら引退しろ』とか挑発してきたじゃないですか。僕の中では『いやいや、君じゃ役不足だよ』と思っていて。蓋を開けたら強い選手でしたけど(苦笑)」
――確かにパク・チャンビンは予想以上の強敵でした。
「その相手に勝つことで、海外の選手に勝つという目標を果たすことができました。だからこのタイミングで――とも思って。今井君は若いし、アグレッシブだし、強いです。僕に引導を渡してくれる選手としては申し分ないですね。
僕のプロデビュー戦の相手は粥川吏稀君と言って、今井君と同じマーシャルアーツクラブ中津川の選手だったんですよ。だから『僕のキャリアは中津川の選手で始まり、中津川の選手で終わるのもアリなのかな』とも考えています」
――……。
「今井君をグラジの櫻井(雄一郎)会長に紹介したのも、僕なんですよ。そこから今井君がグラジで戦うようになって。僕にとっては、同じ階級の選手なのにグラジへ引き込んじゃいました(笑)。僕はもうMMAを長く続けることはできない。でも今井君は上を狙って、ベルトを獲ることができるはず。だからグラジに紹介したんですけど、最終的に対戦することになって。
彼とは何百回とスパーリングをしてきて、強さも分かっている。やりづらい相手です。何かというと、グランド力では今井君に全く勝てません。でも今井君が疲れてきて、メンタルが落ちてきた時は僕のほうが強いんです。あとは打撃も僕のほうが強い。
まさに正反対のタイプですよね。だからこそ『お互いケージの中で本気を出して戦ったら、どうなるのだろうか』と考えていました。ファイターとしてその気持ちを失っていたら、もっと早くに引退していたと思います」
――確かに。
「あと、ウチのジムの選手たちも今井君の強さを知っています。ウチにいるプロ選手や、上の階級の選手も彼には勝てません。その今井君に僕が勝つことでジムの人たちが『やっぱり練習と試合は違う』ということ、そして『代表の久保は強かった』と安心してくれると思うんです。僕、感覚で指導するほうなんですよ(笑)。だから試合で勝つことで、僕の指導にも安心して付いてきてくれるかなと考えています。
試合はもちろん勝ちたい。でも今井君にも勝ってほしい――なんか、うまく言葉にできないですよね。一つ言えるのは、ボロ試合や泥試合はしません。自分の全てを出し切ります」
■視聴方法(予定)
6月8日(日)
午後4時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■GLADIATOR031対戦カード
<Gladiatorバンタム級王座決定戦/5分3R>
南友之輔(日本)
パク・ソンジュン(韓国)
<Gladiatorフライ級挑戦者決定戦/5分3R>
久保健太(日本)
今井健斗(日本)
<バンタム級/5分3R>
宮川日向(日本)
ルキヤ(日本)
<ライト級/5分3R>
小森真誉(日本)
望月貴史(日本)
<ヘビー級/5分3R>
大番高明(日本)
アルブリー・ンジャイ(カメルーン)
<Progressウェルター級/5分2R>
田中有(日本)
徳野”一心”和馬(日本)
<Progressウェルター級/5分2R>
石田拓穂(日本)
岸田海輝(日本)
<キック70キロ契約/3分3R>
荒尾裕太(日本)
イ・スンウク(韓国)
<フェザー級/5分2R>
國頭武(日本)
ヤン・ジファン(韓国)
<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
小林佳純(日本)
<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
大道翔貴(日本)
<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
原田康平(日本)
<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
諸井裕祐(日本)
<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
千葉琉偉(日本)
<フライ級/5分2R>
藤原浩太(日本)
蒔田伸吾(日本)
<ライト級/5分2R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
友實達也(日本)
<フライ級/5分2R>
澤田政輝(日本)
福島祐貴(日本)
<フェザー級/5分2R>
コウ(日本)
山下魁(日本)
<ライト級/5分2R>
拳椰(日本)
フラビオ・ディオゴ(ブラジル)