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【Gladiator031】今井健斗とフライ級挑戦決定戦、久保健太がリリースでは異例といえる長文で想いを伝える

【写真】勝っても負けても、無傷で終わることはない久保健太、42歳(C)MMAPLANET

9日(金)、Gladiatorが6月8日(日)に大阪府豊中市176BOXで開催するGLADIATOR031でフライ級挑戦者決定戦今井健斗✕久保健太、バンタム級でルキヤ✕宮川日向が組まれることを発表している。
Text by Manabu Takashima

まず、ここで注目したいのはリリースに寄せられているコメントだ。

久保健太
「前大会に続き、オファーを頂き有り難うございます。この歳にしてはなかなかのペースで試合に出場させて頂いてますが、今ではGLADIATORを盛り上げて支える一人の選手としても糧になれているのかなと光栄に思います。前に自身でGLADIATORの顔の一人と言っていたのですが、そこから糧に変わりレベルアップしたのかなと。ここまできたら、自分の実力を最大限に試合で発揮し、今のこの年齢だからこそ最後までやり切りたい気持ちでいます。

ついにこんな日が本当に来てしまったのかと。次戦の対戦相手は今井健斗選手。知って分かっている人もいると思いますが、僕からしたら今井選手と呼ぶよりも、格闘技における関係ではもう、今井君なんですよね。それくらい格闘技の日々の練習で毎週当たり前のようにお互い切磋琢磨し練習している仲間なんです。それ以上に、今井君は僕が所属するGSB多治見ジムの代表である梶田先生にパーソナルを受けていたり、時にはAsura gymで一緒に練習したり、Asura gymの弟子達は今井君が所属するマーシャルアーツクラブ中津川ジムに出稽古で毎週のようにお世話になっていたり、僕も大変お世話になっいます。

今はそれらの関係性、環境がストップしている程に今回のこの試合の影響はとても大きいです。お互い知り尽くしている実力はもちろんのこと、深いこんな関係性であっても試合することに注目して頂けたらなと思います。

今井君とはこれまでに何度もGLADIATOR大会の前日計量時には一緒に合流し、一緒に食事リカバリーをしては試合当日も一緒に会場に向かいお互い励まし合ってきた仲間です。そんな内情と言うか事情と引き換えにまた、今回の王座挑戦者決定戦も相応なるチャンスであると思っています。

それくらいに僕も今井君も、このGLADIATORに懸けて来た思いや実績からのこのチャンスはお互いに譲れないものです。僕の中ではもう一つ勝利を挙げればもしかしたら今井君と闘う時が来るのではという気持ちはどこかにはありましたので、もしかしたらフライ級のトップ選手の怪我や選手の組み合わせ等で流れが変わってきたのかも知れません。又、僕と今井君のここ直近の戦績や実力から早くもこの王者挑戦者決定戦が決まったのだと思っています。

今回のオファーを頂きこのカードが決定したからには、これらの事情においてでも試合を受けて戦うことがGLADIATORに対しても自分自身に対しても思いと覚悟あるトップ戦線での定めだとそう受け止めています。勝利を掴み取るのはもちろんのこと、今大会この試合で格闘技において自身が関わる全てを良くしてみせます」


プレスリリースで紹介されるコメントとしては異例の長さで、今井戦に向けての心情が綴られている。久保自身は主催者に「長すぎるので、カットしてください」と話していたという。

今大会の3日後に43歳を迎える久保は2023年12月にチェ・ドンフンに敗れるも翌年3月にはGladiatorフライ級王座決定トーナメントに出場。ここでは初戦でオトゴンバートル・ホルドバートルのギロチンにタップアウト負け。さらに昨年10月にはBreakthrough Combat旗揚げ戦でチェ・ジュンゴンに下り、世界を目指すアジアの新鋭に3連敗を喫していた。

にも拘わらず久保は2カ月強の試合間隔で、グラジに戻り井口翔太との打撃戦を制すると、4月にはパク・チャンビンを相手に悲願の国際戦初勝利を手にしている。毎回、ハード過ぎる試合内容でこれだけの試合数をこなしてきた。

刻一刻とキャリアの終幕は迫っている。それ故にグラジのタイトルに対する想いは深く、練習仲間との対戦を深く受け止めている。タイトルはともかく、今井との試合に対しては若い対戦相手よりも、期するモノは多いようだ。

タイトル奪取失敗から2カ月後に、今井もまた再起戦で勝利している

対して今井もリリースに「4大会連続のオファーありがとうございます。

対戦相手の久保健太選手は毎週のように一緒に練習をする仲間です。タイトルマッチ以外では戦いたくない相手でしたが、次期挑戦者決定戦ということでオファーを受けました。お互いに評価の上がる試合をした上で、僕が最高の結果を出してタイトルマッチに進みます。タイトルまであと2つ、より一層気を引き締めて練習に励みますので、応援よろしくお願いします」と久保戦への複雑な心境と、覚悟のほどをコメントとして寄せている。

今井としては1月に完敗を喫したオトゴンバートルへの挑戦権が掛かった試合であり、この試合に勝つことは当然として、オトコンバートル越えを果たすための強化を図ることも不可欠だ。

両者のターゲット=フライ級チャンピオンはRoad to UFC出場は戦績が1戦足りず、出場を逃した。伝わってくるところによるとオトゴンバートルの下には、シャンダスMMAのチームメイトであるエンフオギル・バートフーが活躍するONEからオファーがあった模様だ。草原のMMAの未来が、ルートが明確でないUFCでなくONE行きを決断する可能性もあって然り。

一方、対戦カードは発表されていないが、シャンダスMMAを率いるトンガーことジャダンバ・ナラントンガラグが運営委員に名を連ねるMGL-1FCが、6月14日(土・現地時間)にMGL-1FC22の開催を発表している。

Gladiatorの常連として八角形のケージを席巻してきたモンゴル勢の来日が、次回大会にはない。これは同大会の6日後に実施されるMGL-1FCへオトゴンバートルを始め、シンバートル・バットエルデネらトンガーの教え子が揃って出場する可能性の高さを示しているだろう。

オトコンバートルからすれば、久保と今井の想いに関係なく一度は倒した相手が戦う王座決定戦は、高見の見物──ばかりか、その視野にすら入っていないかも入れない。だからこそ、久保と今井の両者はオトゴンバートルに一矢報いることができる可能性を示す、そんな挑戦者決定戦にする必要がある。

また前回大会で16歳ながらメインを戦ったルキヤが、神田T800周一に敗れて2カ月でケージに戻ってくる。対戦相手も同じ日に判定負けを喫している宮川日向だ。神田戦では戦前以上の大健闘で、将来への期待が高まったルキヤ。宮川も再起戦で、超新星を当てられたことで絶対的に、意地を見せたいはず。その意地が、ルキヤを苦しめることになるのか。今後は一足飛びはなく、プロテクトでもない。その未来を切り開くにはグラジのマッチメイクのセンスが問われることになる。

なおルキヤ、宮川のコメントは以下の通りだ。

ルキヤ
「前回大会メインで負けてしまいましたが、再度チャンスをいただきありがとうございます。相手選手はストライカーですが、打撃で上回りたいです。今大会は、前回の反省も踏まえて赤尾セイジ先生にお願いして組技も強化しております。全局面、俺に期待してください!」

宮川日向
「今回久しぶりにストライカーと戦える事になって、やっと思う存分打撃ができると思うので、殴り合いできるのを楽しみにしておきます。試合会場を最高に盛り上げることを約束します」

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