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【ONE171】カタールでリトゥ・フォーガットと対戦、三浦彩佳「今回はアヤカロックが出ないかも」

【写真】この時、バランスボールに乗っている三浦。コンディショニングに良いそうです(C)SHOJIRO KAMEIKE

20日(木・現地時間)にカタールはルサイルのルサイル・スポーツアリーナで開催されるONE171「Qatar」で、三浦彩佳がインドのリトゥ・フォーガットと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2024年1月の平田樹戦から三浦はONEアトム級で戦ってきた。当初は同ストロー級の試合にこだわりを見せていたが、現在はアトム級で3連勝中。インタビューでも意識の変化が感じられる。ランキングも同級3位につけ、ベルト挑戦も射程圏内に入ってきた。そんな三浦に訊く、ONE女子アトム級とリトゥ戦――そしてアヤカロックについて。


――昨年から、ラズワン戦の中止はありながらも、以前と比べて定期的に試合が組まれるようになってきました。今回も昨年11月から3カ月後の試合となります。

「そうですね。ありがたい話ではあるのですが、『やっぱりストロー級ではないのかぁ』とは思っています」

――三浦選手はずっと「ONEストロー級で……」と希望していますが、今のONEを見ていると、どうしても女子については「アトム級のほうが面白い」と考えてしまいます。

「アハハハ、そうなんですよ(苦笑)。先月のモン・ボーと澤田(千優)さんの試合は本当に感動しました」

――三浦選手は2023年11月、モン・ボーをアヤカロックで下しました。そのモン・ボーは体も打撃も強いという自分の持ち味を生かせるようになってきたかと思います。

「完全にスタイルチェンジしましたね。構えが変わっていて――彼女は最近、本当にどん底にいたと思うんです。澤田さんとの試合では『この一戦に全てを賭ける!!』という気持ちが伝わってきました。しっかりと対策を講じていて」

――はい。

「ジムに行って『モン・ボーと澤田さんの試合、本当に感動した』と言ったら、『そのモン・ボーに自分は勝っていると言いたいんでしょ?』みたいな勘繰りをされました(苦笑)。アハハハ、本当に感動したんですから」

――同じ大会ではザンボアンガが暫定王者となりました。

三浦のターゲットとなったスタンプとザンボアンガ。王座統一戦はいつ?(C)ONE

「アトム級の選手は、いつか自分が対戦するだろうと想定しながら試合を視ています。ザンボアンガはすごく打撃が上手くなっていましたね。昔よりは上手くなっていたけど――私はいつでもザンボアンガと対戦したいです。今の自分だったら行ける、というのが正直な感想です」

――三浦選手は昨年11月にマカレナ・アラゴンをアヤカロック=スカーフホールド&アメリカーナで下しています。最初からアヤカロックを極めようと向かっていったのですか。

「いや、そんなことはないです。前回の試合は『右フックだけはもらわないように。そこだけ気をつけていればいいから』と言われていて。そうしたら最初に右フックを食らってしまいました。アハハハ。

アヤカロックについては、結果的にあの形になったという感じですね。普段からどの体勢からでも、何があってもアヤカロックを出せるようにドリルで反復しています。アラルゴン戦は下になった時点で『これは裏アヤカロックで行けるな』と思ったら、実際に一回掛かったんですよ。でも腕が伸びたのにタップしないから、『アレッ!?』と思って」

――さらに上から仕掛けた時も、一度凌がれました。

「相手も柔らかいなぁと思いつつ、3回目のアヤカロックで極まりました。最初の裏アヤカロックでもバキバキと音は聞こえていたので、痛かったと思いますよ。試合後に聞いたところによると、『脱臼して神経も切れたかも』ということでしたし」

――アヤカロックのフィニッシュについては、以前よりも自信と精度が高まっているようにも見えます。

「形に入ったら大丈夫なのと、防がれても何とか大丈夫という肌感覚はありますね。もし防いできたら削っていくし、掛からなかった時のパターンも想定して練習していますからね」

――ストロー級からアトム級に落としたことで、フィジカル的な面は影響していますか。ストロー級の時と比べたら掛けやすくなっている、とか。

以前は「こだわりすぎ」とも思われたアヤカロックだが、いまや首を抱えると期待してしまうほどのフィニッシュ技に(C)ONE

「影響はある――だろうとは思います。というのも、通常体重から軽くなったからこそ、私自身は考えることがあって。正月明けの練習で長南(亮TRIBE代表)さんを押さえ込んでいたら、長南さんからも『あれ? 前と違うな』と言われました。階級を落としたことで、自然と体の使い方が変わってきたんだろうと思います」

――なるほど。そして迎える2025年の初戦ですが、2月大会のオファーが来た時に「3月の日本大会じゃないのか」とは思わなかったですか。

「あぁ、それは――実は最初、1月大会でオファーが来ていたんですよ」

――1月大会とはザンボアンガの暫定王座決定戦、モン・ボー×澤田戦と同じ日に?

「いえ、野杁正明選手が出た大会(ONE170)のほうですね。私はOKしたんですけど、リトゥのほうが断ったらしくて。まぁ復帰戦で私と対戦したくはないだろうな、とは思いますけど。体重が落ちないのかな、とも思ったり」

――しかし改めて2月大会で組まれたわけですね。

「私としては、ありがたいです。今はステップアップのために、いろいろ課題を持って練習に取り組むことができています。一方で相手は1月の試合を断って、1カ月後に勝てると考えられるほど変わっているとは思えないし。ただ、その試合が日本大会じゃないんだぁ、とは感じましたよ。それは正直に。でも日本大会の内容が発表されたら、キックボクシング中心のマッチメイクだったので仕方ないです」

――リトゥはレスリングが強みの選手です。とはいえ2年5カ月振りのMMAで、どこまで調子を戻しているか。

「私は『戻しているだろう』と思って戦います。あとカタールのドーハって、インドの方がたくさん住んでいるそうなので、私にとってはアウェイと考えて試合に臨みます」

――2年5カ月前の印象になりますが、リトゥの場合、レスリングは強い。しかし寝技の精度はそれほど高くない。そのようなタイプは極めやすいですか。

「たとえばスタンプとの試合とかですよね。スタンプに下から極められていて。私自身、最近ONEでグラップラーとMMAを戦ったのは平田樹ちゃんぐらいなので、何とも言えないところはあります。どうなんでしょうね? ピュアなレスラーだったら極めやすいかもしれないけど――ただ押さえ込んでくるだけなら、スタンプみたいに下から極めやすいですし。……おっと、これ以上は対策になるから秘密です(笑)」

――アハハハ。

「今回はアヤカロックが出ないかもしれないぐらい、いろんなことを練習してきました。できることも増えています。次の試合はアヤカロックで終わるのか、それとも打ち込みでやってきたことが出るのか。どうなるかはお楽しみに、ですね」

――そうは言っても最後は、いつもどおりアヤカロックで勝ち、叫んで泣いているのでしょう。

「アハハハ! 言いたいことは、たくさんあります」

――毎試合、言いたいことがあるのですか。

「ありますよ。今回は試合後のマイクが欲しいです。澤田さんにタイトル挑戦のオファーが来ていたことも含めて――勝って、5万ドルのボーナスをもらい、言いたいことを言って日本に帰ります(笑)」

――それこそが三浦彩佳ワールドですね。

「まずはしっかり勝ち切ります。アヤカロックに限らず極め切る。リトゥ選手は根性がある選手なので、3Rもみくちゃになることも想定して練習しています。

日本大会がありますけど、その前に私の試合も視ていただけると嬉しいです。木曜日の深夜、皆さん夜更かししてください!」

■ONE171 視聴方法
2月20日(木)
午後23時00分~U-NEXT

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