【UFC311】ムイン・ガフロフ戦へ、中村倫也─02─「ギリギリの状態で仕上げることができたと思います」
【写真】中村倫は135.5ポンド=61.46キロで計量をパス。対するムイン・ガフロフはリミット丁度の136ポンド、61.69キロでパスしている (C)Zuffa/UFC
18日(土・現地時間)、カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームで開催されるUFC 311「Makhachev vs Moicano 」でムイン・ガフロフと戦う中村倫也インタビュー後編。
Text Manabu Takashima
前編で触れたように打撃を見直すうえでプチスランプに陥っていたという倫也だが、そのスランプはガフロフ戦に向けて仕上げるために欠かせないモノだった。
驚愕の大会前夜のメインイベントの変更があった2025年UFC初のPPVショーで、倫也はオクタゴン3連勝を成し遂げることはできるのか。「勝負に出る」必要性がある相手だからこそ、そこまで緻密に創り上げてきた。不器用故の学習能力の高さと探求心、ガフロフ戦前の中村倫也の言葉を胸に刻み込んでほしい。
<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>
あの時って、虚実でいうと全てが実だったんです
──とはいえ、その状態でも壁際のコントロールが際立っていたとように感じました。相手とケージ、その空間が狭い方に体を滑り込ませて真後ろを取る動きなど。あのような局面はATTで磨いてきたものなのでしょうか。
「そういう風に向うで学んだ動きもいれています。もともと、小さく隙間を創ってそこに誘い込んだり。そういう組みでの小さな駆け引きは好きな方なので」
──対照的に不安が見えたスタンドですが、あれから1カ月。口振りからは、もう修正できているようですね。
「ハイ。あのなかで楽に動く方法を見つけました。あの時って、軸を意識するあまりに下と上が分離してしまっていて。軸を創るために、上に体が引っ張られ過ぎているような感じだったんです」
──なので背中から首、頭と一直線で連結しているように見えていたと。
「ハイ、下半身と分離して体が突っ張っているような。本当に器用な方じゃないので」
──いや感性でなく、メカニズムを理解しているので狂った時に修正できる。素晴しい特性だと思います。結果、今ではあのようなガチガチな動きではないと。
「柔らかくなっていますね。そうなると……出ます。あの時って、虚実でいうと全てが実だったんです。『行きます』、『出ます』、『打ちます』という風に」
──あぁ、なるほど。
「吸収したいモノが多かったからこそ、ああいう風に実ばかりになっていたと思います。あそこから抜けることできて、色々なモノの使い分けができるようになっています」
──そのなかで齋藤奨司選手がメインパートナーだったのは、ガフロフ対策でもあったのでしょうか。
「そうですね。まぁ、動きは全然違うのですが、同い年で気を使うこともないし。ちゃんとパンチが全部できて、奥足で蹴ることができるので」
──ガフロフは時折りサウスポーを相手にするとスイッチを使いますが、ほぼオーソで戦う印象が強いです。
「メインはオーソで来るかと思うので、オーソ想定でやっています。まあ僕が正直に外、外って動いていると、スピニングバックキックとか飛んでくるでしょうね」
──気を付けるべきは右オーバーハンドとか。
「ハイ。前手もオーバーハンドで(笑)。モーションが大きいので警戒をしたうで、大丈夫かと。ただ、あのモーションに対し、カカトでケージを感知した瞬間とかは絶対的に良くない状況になります」
──それはケージに詰められているということですか。
「ハイ。そういう空間の把握ができていないと危ないです。あのプチスランプ期間だと、外すことができない状態でしたしね」
──ハイ。後ろが使えてなかったです。
「そうですよね。あれから楽ができて、色々なことができるようになっています。そこも踏まえて、ギリギリの状態で仕上げることができたと思います。準備期間は長かったにも関わらず、かなりギリギリの仕上がりですね。テイクダウンも混ぜてくるので、そういうことで詰まるようなことにだけはならない。
仕留めにくるファイターなので、仕留めることができる相手でもあると思います」
打撃でも寝技でもフィニッシュできるイメージは持っています
──あの上半身の横幅の広さは気にならないですか。
「それはもうレスリング時代から、ああいう横幅の選手とは組んできましたから」
──過去最強の相手だとは思いますが、それでも2025年の飛躍の年とするためにフィニッシュが必要だと話されていました。
「打撃でも寝技でもフィニッシュできるイメージは持っています」
──試合直後にスピニングバックキックを腹に受けることだけは避けてください。
「それ、マストじゃないですか……(苦笑)。ホントに……そうですね。グローブタッチした瞬間、マストはこれまでは捕まえてきたのに。ああいうことも起こりえるということを僕も改めて認識しました。
十分に仕上げてきましたし、ギリギリのところで外す。今までは一歩、二歩という点でしかなかった僕の打撃や組みを線でつなげるような動き。餌を蒔いているから、この攻撃がある。そういうモノを意図的に創れるように準備はしてきました。そこを楽しみにしてもらいたいと思います」
──そこを楽しんでくれるのが、MMAPLANETの読者の皆さんです。
「ハイ。それにちょっと気持ち的な意味でも、勝負には出ようかと。勝負に出るところは、しっかりと出ようと思います。必然的に、それが必要な相手なので」
──その倫也選手の言葉に、Xで自らの言葉を重ねてくるムーブメント指導者の見解も楽しみにしています。
「ハハハハハ。絶対にしてきますね」
──段階を踏んで、上に到達する。そうでない凄さを朝倉海選手には見せてもらいましたが、結果は一旦出た。なのでタイトル挑戦までのプロセスをしっかりと見せてもらいたいと思っています。
「ハイ。任せてください!!」
■視聴方法(予定)
1月19日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午後12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT
■UFC311対戦カード
<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者] イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者] ヘナト・モイカノ(ブラジル)
<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
[挑戦者] ウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)
<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
ジャマール・ヒル(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ジャイルトン・アルメイダ(ブラジル)
セルゲイ・スピヴァク(モルドバ)
<ミドル級/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
ライニエ・デリダー(オランダ)
<バンタム級/5分3R>
ペイトン・タルボット(米国)
ハオーニ・バルセロス(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
ザック・リース(米国)
アザマット・ベコエフ(ロシア)
<ライトヘビー級/5分3R>
バグジン・ガスコフ(ウズベキスタン)
ビリー・アレカナ(米国)
<ライト級/5分3R>
グラント・ドーソン(米国)
ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)
<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホサ(ブラジル)
アイリン・ペレス(アルゼンチン)
<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)
<バンタム級/5分3R>
リッキー・トゥルシオス(米国)
ベルナルド・ソパイ(アルバニア)
<フライ級/5分3R>
タジル・ウランベコフ(ロシア)
クレイトン・カーペンター(米国)