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【RIZIN LANDMARK13】後藤丈治と防衛戦、ダニー・サバテロ「RIZINが大きくなることを常に考えている」

【写真】含蓄のある言葉をまくし立てる。凄い才能の持ち主だ (C)MMAPLANET

12日(日)に福岡市博多区のマリンメッセ福岡A館で開催されるRIZIN LANDMARK13でダニー・サバテロが、後藤丈治を相手に昨年の大晦日に獲得したRIZINバンタム級王座防衛戦に臨む。
Text by Manabu Takashima

稀代のトラッシュ・トーカーかつナイスガイのバンタム級キングは、後藤の力を認めつつもいつも以上にこき下ろす。それも全て試合を盛り上げるためであり、本音でもある。

フアン・アルチュレタに続き、2人目の米国人RIZINチャンピオンとなったサバテロは、米国でのRIZINの認知度アップという責任感を力に変え、福岡でケージに足を踏み入れる。そんな後藤戦を前にプレファイト・インタビューをいつものように行うと、いつものようにRIZIN愛とMMA愛に溢れるサバテロの言葉が聞かれた。


試合になれば、自分がタイトルホルダーだということは忘れる。もう一つのベルトを獲る気で戦う

――後藤丈治選手を挑戦者に迎えた初防衛戦が近づいてきました。今、どのような調子ですか(※取材は3月24日に行われた)。

「あと3週間、絶好調だ。この素晴らしいタイトルを賭けてジョージ・ゴトーと戦うわけだけど、凄くヘルシーに仕上がってきている。まぁ例えヘルシーでなくても、あのマザーファ〇カーをぶっ潰すために絶対に試合は戦うつもりだけど、本当に良い状態になっている。明日戦っても良いぐらいだ」

――挑戦者の時と、チャンピオンになって気持ちのありようは変わりましたか。

「そうだね。少し変わった。より責任感が増したことで、これまで以上にフィニッシュして試合を終わらせたいという想いではいる。皆が俺をキングとして見ているなかで、あのクソ野郎をしっかりと支配して、次の段階にステップアップしないといけないからな。

日本のファンがフィニッシュを求め、凄く盛り上がることは分かっている。だから、今まで以上の試合を見せて対戦相手を全員フィニッシュするつもりで戦う。そうすることで、俺がどれだけ他のファイターよりも優れているかを証明することになる。

もちろん、ジョージ・ゴトーをフィニッシュする。KO、サブミッション、TKO――俺としてはTKOしたい。とにかく試合を終わらせて、このクソッたれな世界で俺様が一番強いバンタム級ファイターだと見せつけてやる。それがファンの望むことでもあるからな」

――チャンピオンになって、ファンに対する責任感が増したという風にも聞こえます。タイトルを守るという意識によって、時にはディフェンシブな試合をしてしまいがちですが。まるで正反対ですね。

「俺は試合になれば、自分がタイトルホルダーだということは忘れる。もう一つのベルトを獲る気で戦う。だから王座を守るために、ディフェンシブな思考になることはない。そして、良い試合を求めるファンのためにも俺は他のファイターとは違うところを見せる必要があるんだ。俺は日本のベルトを持っているキングだ。その責任感は、多岐に渡る。

RIZINが今よりも、もっと米国で人気が出るためには俺がを引っ張らないといけない。多くのファイターが、ファイトの夜のことをだけを考えているようだが、俺はRIZINが大きくなることを常に考えている。そうすることで俺の名前も上がる。だからこそ、エキサイティングな試合をして、完全にこの階級を制圧する必要があるんだ。それにMMAにおいて、俺ほど全ての局面でハードに戦うファイターはいない。だからこそ、俺の力でRIZINを成長させてみせる」

後藤には組み技のスタミナが一切ない

――王座獲得以降、ダニーは福田龍彌選手を最も意識しているようでしたが、後藤選手がチャレンジャーになったことをどのように思いましたか。

「フクダもゴトーもチャレンジャーに相応しいファイターだ。ゴトーをぶちのめし、フクダがその次のチャレンジャーになるようなら、アイツもぶっ飛ばす。まぁ、ゴトーに関してはRIZINで5勝0敗、前回の試合では元UFCファイターのホセ・ショーティー・トーレスに勝っている。だから、一般的にいえば非常に優れたファイターといえるだろう。

ただし、俺と比べると最悪なほどファッ〇ンなファイターでしかない。ゴトーと戦えば、多くの局面……全ての局面で圧倒できる。アイツが俺を上回る点は、全く見当たらない。アイツは打撃だけでなく、寝技もできるからテイクダウンに行かない方が良いなんて意見を耳にした。

有り得ない。アイツには組み技のスタミナが一切ない。リングかケージかも問題ない。俺はしっかりと、その場に適応したファイトを見せることができる。ゴトーは優れたファイターで、危険な男だ。サウスポーで、オーバーハンドは左右とも威力がある。ただ、アイツの拳は俺に届くことはない」

サウスポーと戦うと簡単にテイクダウンできるだけでなく、安全にテイクダウンできるようになる

――わざわざサウスポーという言葉を挙げたということは、オーソドックスの選手と戦う時とは違う工夫が必要になってくるということでしょうか。

「もちろんだ。俺はコンベンショナル(オーソドックス)で、アイツはサウスポー。反対の構えをしているわけだから、いつもとファイトとは違ってくる。技術的な見地からも、ゲームプランが変わってくる。力の伝達ルートも違ってくるのだから。いずれにしても、アイツの狙いは左で俺をKOすることだ。その攻撃を無力化する位置取りをして、自分の攻撃態勢を整えていく。

まぁMMAに皆が熱狂するのは、何が起こるか分からないクレイジーな一対一の戦いだからだ。ただし、技術的な部分ではサウスポーとの戦いは、少し違ってくる。そこに関してはATTで十分な準備ができる。オーソでもサウスポーでも、優秀なチームメイトが揃っているから。

サウスポーのキンタローは、ファイトキャンプ中ずっと俺をサポートしてくれた。ゴトーだろうが、フクダだろうがサウスポー対策はバッチリだ」

――相手がサウスポーだと、前足はダニーの前手に近くなりますね。

「(ニヤリと笑みを浮かべて)100パーセント、その通りだ。ゲームプランに関して、ここで話し過ぎることはできないけど、技術的な知識があるならサウスポーが相手だとコンベンショナルの構えの俺は、テイクダウンしやすくなることは分かっているだろう。相手の足が、近くにあるのだから。

グラップラーの大半が、そう思っている。俺は相手がサウスポーでもオーソでも、構わない。誰でもテイクダウンできる。ただし、サウスポーと戦うと、相手の足が俺の手の少し前にあることは絶対だ。

もちろん、入り方を間違えるとアッパーカットやヒザ蹴りが待っている。だからこそ、前足の外側から仕掛ける。サウスポーと戦うと簡単にテイクダウンできるだけでなく、安全にテイクダウンできるようになる」

――そこも当然、後藤選手も理解してスイッチやギロチンとういう準備をしていることも十分に予想されます。

「まぁ、ゲームプランに関して多弁は無用だ。俺はゴトーを簡単にテイクダウンできるだけでなく、別に殴って倒すこともできる。ダニー・サバテロは、ただグラップラーとして、マザー〇ァッカーをフィニッシュするつもりはない。アイツの顔面を殴る。と同時にテイクダウンとグラップリングを織り交ぜて戦う。パンチもヒザもアイツの顔面を打ち砕く。結局のところ、俺はMMAファイターだ。打撃でもレスリングでも、グラップリングでもゴトーをフィニッシュする。

俺もRIZINルールにようやく体が慣れてきた。パンチやヒザは何もスタンドでなくて、グラウンド状態でも思い切りに叩きこむことができるようになってきた。これまでの試合でも、使おうと思っていた。ただし、サトーとの試合では出せなかった。イノウエとの戦いでは、幾度かそういうパンチを見せることができた。そんな試合での経験と練習を経て、RIZINルール特有の組みでの打撃を今回の試合では見せることができるだろう」

3試合を戦って、本当の意味でRIZINルールが分かってきた

――ダニーのグラップリング能力の高さは、RIZINルールのダーティーボクシング、あるいはダーティー・キックボクシングというべき分野を最大限に掘り下げてくれそうです。

「そうだな。世界最高のグラップラーである俺でも、これまでのRIZINの試合では、寝技になってもRIZINルール特有の攻撃を仕掛けることはできていなかった。MMAの進化は凄まじく、スクランブルゲームは発展し続けてきた。そのなかでRIZINルールで許された攻撃が、色々な場所で使えることが掴めてきたんだ。

これからはグラウンド状態で、俺のヒザが如何に対戦相手に蹴り込まれるか注意して試合を見て欲しい。こないだの大会でサトーがスウィーニーとの試合で、サイドマウントを取っているのに立ち上がって両足のヒザを落とし、スウィーニーに立たせないでマウントを取っただろう? 」

UFCのAPEX大会とRIZINでは、エンターテインメントとして比較にならないだろう?

――ハイ。あれこそが新時代のRIZINグラップリング打撃時代の幕開けかと。

「そうだな。サトーが見せたように、ポジションを取りながら立ち上がって攻撃したように、俺はいくつものスタンプできるポジションを見つけた。スウィーニーもパッチー・ミックスもRIZINルールに適応できていなかったが、俺は3試合を戦って、本当の意味でRIZINルールが分かってきた。これからは俺の番だ。あの手の打撃を、俺の持つコントロールに加えて戦う。俺のような優れたコントロール術を持つ者は、簡単にヒザを顔面に突き刺すことができて、顔面を踏みつけることができる。

ほんの少しの修正で、俺はハイライトKO、ハイライトTKOをグラップリング打撃で見せることができるようになった。4月12日を楽しみにしてほしい。RIZINルールの魅力が、余すことなく伝わる攻撃を仕掛けるから」

――それこそがRIZINの特色で。そんなRIZINの知名度を米国であげたいという発言がありましたが、RIZINは米国のファンにも受け入れられるという手応えを感じていますか。

「1000パーセント、その可能性がある。米国でもRIZINとサインをしたいというファイターが増えている。今やRIZINは、UFCと並ぶMMA団体だ。ショーの部分でいえばあの入場や、ファイター個々に存在するストーリー、そしてRIZINルールが織りなすことで生まれるエキサイティングなファイトはUFCの上をいっている。

UFCのAPEX大会とRIZINでは、エンターテインメントとして比較にならないだろう? RIZINが抱える問題は、時差だけだ。RIZINが始まる時間は、こっちでは夜中になる。RIZINはリングの上で最高の戦いが繰り広げられ、リング外でも色々なストーリーに富んでいる。だから時差の問題があっても、俺がRIZINとサインした1年前と比べると、RIZINという言葉を聞く機会は圧倒的に増えている。

SNSでRIZINに関するコメントも、多くなった。特にファイターたちから俺のインスタにRIZINについて教えてほしいと、物凄い数のコンタクトがある。ファンもファイターも、急速な勢いでRIZINへの興味を増している。もう少し時間をかければ、この勢いはいよいよ本格的になっていくだろう」

――私は今でもUFCがMMA界の最高峰だと断言します。世界のトップファイターがUFCを目指し、集まっている。ケージの中のクオリティは間違いなく世界一です。

「……」

――ただし、毎週のようにファイターたちが篩に掛けられ、あまりにも多くいるファイターの顔と名前が一致しないケースも増えてきました。ファンのなかにもナンバーシリーズだけで良いという感じで、UFC観戦疲れを感じる人もいるかと思います。そう意味では1カ月1度、2カ月に1度のペースでUFCとは違う形のショーであるRIZINを米国のファンに知ってもらうには、良いイベント間隔ではないかと。

「RIZINはメインやコメイン、メインカードだけでなくどの試合にもスポットが当てられる。だからファンも感情移入して、よりエキサイティングな試合が見られる。ファイト、ミュージック、ライティング、全てがエンターテインメントなんだ。

ところでUFCには世界最高のファイターが集まると言ったけど、毎週のようにAPEXで大会が行われるようになってからは、そうでもないファイターがUFCで戦うようになった。もちろん、最高レベルのファイターもUFCで戦っている。でも、ローレベルのファイターもいる。

RIZINは全ての試合が潰し合いだ。そして、ルールがよりエキサイティングな試合を生み出す。とはいえ、世界のMMAの土壌を創ってきたのはUFCだ。だから、俺のようなMMAマニアはどんなMMAショーでも楽しめるけど、そうでない者がほとんどだ。そんなファン層にはRIZINの方が受けるだろう」

ネトフリのショーは、なんとうかハリウッド……ディズニーのショーのような感じがする

――ダニーはもうただのRIZINチャンピオンでなく、RIZIN大使ですね。そんなダニーだからこそ、聞きたいことがあります。ネトフリとジェイク・ポールのMVP(Most Valuable Promotion)が主催するMMA大会に対して、どのような印象を持っていますか。この大会では、キャリア4戦のファイターに4万ドルが支払われるなどという噂もあります。

「色々な大会が生まれてはなくなっていく。ネトフリの大会がどうなっていくのか、今はまず傍観しておきたい。メインは……2人の女子が戦う……試合だろう(※ロンダ・ラウジーとジナ・カラーノの名がすっと出てこなかった様子だった)。正直、その試合がMMAとしてどれだけ楽しめるものなのか、俺には分からないし、興味もわかない。

他にどんな試合が組まれているのか。一ついえることは、誰だって成功を収める権利を持っているし、チャレンジするなら成功してほしい。チームメイトにも、必死で練習しているのに試合のチャンスが全然ない者がいる。そして、力はあるのに証明する場がないままMMAから離れた友人達がいる。そういう人間が少しでも減って欲しい。だから、どこのプロモーションも成功してほしいと思っている。

同時に、MMAはファイトだ。UFCやRIZINでは冷酷無比なファイトが見られる。それだけ技量を持ったファイターが、必死になって熱いファイトを繰り広げている。対してネトフリのショーは、なんとうかハリウッド……ディズニーのショーのような感じがするんだ。金が集まり、凄いPRも行われている。名前のあるファイターを寄せ集めているのだから、そうなる。マーケットのことを第一に考えて、そういう名前のあるファイターだけが集まると、支払われるファイトマネーの額も相当なモノだろう。

MMAで大金を得ることができるのは、素晴らしいことだと思っている。でも、俺がファンならこの惑星で最高のファイターのファイトが見たい。でも、どうせショーを始めるなら成功して、大金が集まり、多くの人が注目するモノになってほしい」

――ダニー・サバテロという人物の一面をまた垣間見ることができるコメントでした。ありがとうございます。最後にいつものようにファンに一言お願いできますか。

「もちろんだ。俺はいつだってインタビューでは正直に、自分の想っていることを話す。それは日本のファンに対しても、米国のファンに対しても同じだ。4月12日、初めてフクオカで戦う。でも、どこで戦うかは関係ない。ウォーマシンとして、ファッキ〇・〇ッチをぶちのめす。全ての日本のファンに最高のパフォーマンスを見せたうえで、最高にエキサイティングな試合をする。そのうえでゴドーを倒し、ベルトを守る」

※インタビュー終了後

――今回もいつものように、試合の翌日にフロリダに戻る?

「そうだよ。試合は僕にとってビジネス・トリップだから。ただ、もう少し日本にいたいとはいつも考えるんだ。でも。何かが起こって万が一、僕が負けることもあるだろう? そんなことが起こらないために、試合に集中しようと思い直すんだ。試合後に日本を楽しみたいと考えること自体が、心に隙を作るんじゃないかって。

何日か前にキョージから『フクオカは凄く食べ物がおいしくて、最高の街だ』と聞いたんだ。だから、フクオカの滞在を楽しみたい。でも、そんなことをすれば、コトによっては後悔することになるかもしれない。そんなことを考えた自分が許せなくなる。試合に集中するために、ファイトの翌日には日本を出る。それは今回も変わらないんだ。そうだね、このベルトを何度か防衛したら、試合なしで日本を楽しみたい。でも今はゴトーとの試合のことだけを考えるよ。ゴトーとの試合から3日間、何をするかとか考えるべきじゃないと思っている」

■視聴方法(予定)
4月12日(日)
午後12時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!



■RIZIN LANDMARK13対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 久保優太(日本)

<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] ダニー・サバテロ(米国)
[挑戦者] 後藤丈治(日本)

<ライト級/5分3R>
堀江圭功(日本)
パトリッキー・フレイレ(ブラジル)

<スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
ナターシャ・クジュティナ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
神龍誠(日本)
エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
アジズベク・テミロフ(ウズベキスタン)

<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
アバイジャ・カメオ・メヘイラ(米国)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
ジェームズ・ギャラガー(アイルランド)

<ライト級/5分3R>
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)
天弥(日本)

<キックボクシング・フェザー級/3分3R>
朝久泰央(日本)
シンパヤック・ハマジム(タイ)

<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
火の鳥(日本)

<バンタム級/5分3R>
井上聖矢(日本)
宮川日向(日本)

<ライト級/5分2R>
大木良太(日本)
荒井銀二(日本)

<バンタム級/5分2R>
山﨑鼓大(日本)
有松朋晃(日本)

<フライ級/5分2R>
八尋大輝(日本)
岡本舜(日本)

<キックボクシング・フライ級/3分3R>
今村流星(日本)
YUKI(日本)

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