【RIZIN LANDMAKR13】初参戦、ジェイムス・ギャラガー「RIZINルールで危険になるのはグラップラーだ」
【写真】インタビュー中は終始、御覧のような表情だった。これまでのイメージとギャップが凄すぎた (C)MMAPLANET
12日(日)に福岡市博多区のマリンメッセ福岡A館で開催されるRIZIN LANDMARK13。「バーサス世界」路線のRIZINにあって、そのグローバリズムの進行は①未知強の発掘、②既にバリューのあるファイターの招聘という2つの軸がある。
Text by Manabu Takashima
RIZINを席巻する中央アジア勢などは前者であり、パッチー・ミックス、ダニー・サバテロなどは後者に当たる。その②枠で福岡大会に出場するのが、ジャームス・ギャラガーだ。Bellator欧州大会で絶大な人気を誇っていたアイルランド人ファイターは、かつてのジムメイトであるコナー・マクレガーばりにトラッシュ・トーカーとして存在感が際立っていた。
とはいえマクレガーまでの力をケージの中で見せいていたわけでもない。それ故に手厳しい評価を受けることもあった。そんなギャラガーだが、リモート取材ながらまず温和な表情に驚かされ、フレンドリーな話し方に戸惑いすら感じていると、グラップラーとして矜持に溢れた言葉が次々と聞かれた。
我々はユニファイドMMAルールと、その北米的MMA観の前にジェームス・ギャラガーの本質を見ることができていなかったかもしれない。摩嶋一整とのRIZIN初陣前に好感度爆上がり、そして生粋の格闘士(グラップラー)であるギャラガーの言葉をしっかりと胸に刻んでほしい。
子供の頃にPRIDEを見て、ずっと日本で戦いたいと思ってきた
――えっと……スミマセン。これからインタビューをさせてもらうのですが、ジェームスの表情が温和過ぎて少し戸惑っています……。
「アハハハハ。どういうことだい?」
――どうしてもBellator時代のコナー・マクレガーばりのトラッシュトークの印象が強かったので……。
「ハハハハ。ケージの中とケージの外、ファイトウィークとそれ以外の時は違うよ。普段はこんな感じだよ」
――いやぁ、本当に驚きました。ところで10日後にはRIZIN初陣を控えていますが、今の気持ちを教えてください(※取材は2日に行われた)。
「最高だよ。僕は子供の頃にPRIDEを見て、ずっと日本で戦いたいと思ってきたんだ。その夢が叶う。そんな大切な試合でしっかりと戦いたいから、時差を調整するために昨日から福岡に入っているんだ」
――東京ではなく、直接福岡に到着したのですか。
「初めて日本が東京ではない、地方都市の福岡にやってきた(笑)。面白いよ。大きな街だと聞いているけど、僕らがステイしているところは凄くローカルっぽくて、居心地が良いんだ」
――RIZIN関係者からウィッキージムで練習をしていると聞いています。
「まだジムには行ってはいなくて、明日から汗を流しに行くよ。昨日、到着したばかりだし。1日しか滞在していないけど、日本……福岡が凄く気に入っているよ。これまで訪れた国とは全く雰囲気が違う。本当に興味深い」
――正直、日本は英語を話せる人がそれほど多くない国です。ランゲージバリアがあって、戸惑うことはないですか。
「大丈夫、僕の日本語は完璧だから。アハハハハハ。いや、確かに言葉の壁はあるけど、今はGoogle翻訳があるから、問題ないよ。いやGoogle翻訳は本当に便利だ(笑)。ただ、スーパーマーケットに行った時はあらゆるモノの表示が日本語で僕らは読めない。こんな経験をしたことがなかったから、逆に楽しんでいる。で買い物が終わってから、iPhoneのカメラを使ったら、そのまま翻訳できるって気づいた(笑)。これまでの海外遠征ではそんなことをしたこともなかったから、凄く新鮮なんだ」
――まだ試合まで時間もありますし、凄くエンジョイしている感じが伝わっています。
「その通りだ。コーチも僕も楽しんでいるよ」
――ところでジェームスは2024年の8月にPFLのワシントンDC大会に出場予定でしたが、ビザが間に合わず欠場。そのままPFLのケージに上がることがなかったです。
「あの時はショーに間に合うということだったけど10日前、1週間前になってもビザが発給されず試合に出ることが叶わなかった。そうだね……Bellatorの時代と、PFLが買収したBellatorではもう違う組織になっていた。僕はスコット・コーカーの頃のBellatorの空気感、雰囲気が好きだったんだ。人間関係にしても、PFLは違う。僕にとっては、別ものだった。だからPFLで戦い続けようとは思わなくて、契約を解除する話し合いをしてフリーエージェントになった。
それからドバイで行われた971 FCで戦った(2025年7月14日)けど、あれは単発契約でフリーエージェントの期間が続いていた。そんな時にRIZINから話があって、日本で戦うことを決めたんだ」
6週間、ずっとRIZINルールを想定したスパーリングを続けてきた
――ジェームスの知名度があれば、他のオプションもあったと思いますが。
「さっきも言ったように僕はPRIDEが好きで、13歳や14歳のころから日本で戦いたいと本気で思っていた。しかもRIZINはPRIDEと同じルールを使っている。PRIDEルールはサッカーボールキックやグラウンドでのヒザ蹴りがあり、あれこそ本当の戦いだと夢中になっていたんだ。RIZINルールで戦う自分を想像すると、楽しみでしょうがなかった。今回、福岡ではユニファイドルールで制約を受けていた部分を開放し、フルに僕の技術を駆使して戦うことができる」
――ユニファイドMMAルールで実績を残してきたファイターがRIZINで戦う際、大抵の選手が「MMAはMMA。さほど気にしない。グラウンドの相手に足を使った攻撃が使えるのは良いことだ」的なことを言っていました。しかし、試合になると順応できていないケースも少なくないです。頭では理解していても、体が順応できていないというか。
「それはそうだよ。RIZINルールとユニファイドMMAルールは違う。実績のあるファイターほど、ユニファイドMMAルールでの戦い方が体に染みついているわけだし」
――それは16試合をユニファイドMMAルールで戦ってきたジェームスにも当てはまることではないのでしょうか。
「マンチェスターのSubZONEファイトアカデミーには本当に素晴らしいコーチと練習仲間がいる。コーチは徹底的にRIZINルールの特性を考え、仲間たちはヘッドギア、プロテクターをつけてサッカーボールキック、グラウンド状態でのヒザ蹴り有りのスパーリングの相手を務めてくれた」
――えっ、グラウンド状態への相手へのヒザ蹴りや蹴りを解禁したスパーリングをしているのですか!!
「そうだよ(笑)。僕はニーパッドをつけ6週間、ずっとRIZINルールを想定したスパーリングを続けてきた。改めて、僕はこのルールで戦うと自分の力が発揮できると理解できたんだ。もともとこのルールで使える技術があったのに、使うことができなかったんだよ。
レスラーがRIZINルールで戦おうと思っても、いざ実戦になればこれまでやってきたことをリング上で続けるしかない。組んで、倒して、コントロール。簡単にそこでRIZINルールで許された攻撃を織り交ぜることなんてできない。結局のところは、素の自分で戦うことになるのだから」
――なるほどです。ところでPRIDEとRIZINは同じルールだといっても、この間にMMAは変わりました。以前は打撃でダメージを与え、グラウンドの相手を蹴る。テイクダウンを切り、がぶってヒザを入れる。そこが主流で、今もそのような印象を持たれることが多いのですが、スクランブルという要素が加わると……。
「全然違うよね。スクランブルがあることで、グラウンド状態のヒザ蹴りはより有効になる。スクランブルで有効になるということは、ピン状態でも同じだ。実はRIZINルールで戦うことで、より危険になるのはグラップラーだ。そして、MMAのリアリティとは何かを皆が思い出すことになるだろう」
マジマの攻撃は単調だ。僕のグラウンドはもっと幅がある
――おおっ。それは、どういうことでしょうか。
「今のユニファイドMMAルールの裁定基準で戦うと、グラップラーは本当に厳しい。ダメージ優先、コントロールでは勝てない。コントロールできても、使えない技が多いからね。それが許されずに、スクランブルを仕掛けたストライカーの拳が届けば判定では勝てない。ダメージ重視といっても、そういうことなんだ。
でもRIZINルールは違う。例えばスクランブルの状態でパンチだけを警戒しているのと、ヒザ蹴りがあることを警戒しているのでは防御意識も違ってくる。バックに回られる、ギロチンを取られないようにする。そんな意識がグラウンド状態でヒザ蹴りがあることで、薄まるんだ。
四点ヒザへの意識が高まり、ギロチンやバックへの警戒も強まると――グラップラーはピンの形に持ち込みやすくなる。グラウンドでパンチだけでなくヒザや蹴りを使えることは、一つ一つのポジションにおいて、使える技のレパートリーが断然増えることになる。
ユニファイドMMAルールでは出せなかったポケットの中身を、余すことなく使うことができる。お尻の後ろのポケットの中にある技なんて、ユニファイドMMAでは使う機会はなかった。でもRIZINルールになると、いくらでも使える」
――つまりBellator時代のジェームス・ギャラガーより、RIZINでのジェームス・ギャラガーはより危険なファイターになると?
「その通りだよ(笑)。Bellatorでは見せることができなかったジェームス・ギャラガーの姿を、福岡で見せることができる。楽しみでしょうがないよ」
――では、その相手となる摩嶋選手の印象を教えてください。
「彼は強いよ。優れたグラップラーだ。ただし、マジマの攻撃は単調だ。1つか2つ、もしくは3つまでしか攻め方のレパートリーがない。だから、形にハマればあれだけの頑強なグラウンドコントロールを見せることができる。対して、僕のグラウンドはもっと幅がある。引き出し、そうポケットが多い。オプションの数が違うから、そこを皆には期待してほしい」
――ところでここ3試合はフェザー級で戦ってきたジェームスですが、今もバンタム級の印象が強く摩嶋選手と体力差はないのかと。
「ハハハハ。僕は小さなフェザー級ファイターじゃないよ。実際、普段の体重は170ポンド以上あるからね」
――えっ、そうなのですか。
「だからマジマと戦っても、フィジカル負けすることはないよ(笑)。マジマはパンチだけでなく、ヒザ蹴りがある僕の寝技を初めて経験するファイターだ。少しでも彼が隙を見せれば、僕は容赦なく彼の顔面、頭部にヒザを突き刺す。顔にヒザを受けたくないマジマに対して、僕は自由に戦うことができる。
RIZINルールは、僕を開放してくれるんだよ。何より、日本のファンは僕がケージのなかで何をしているのか理解してくれるだろ? あのMMAを見る目を持つファンの前で戦う夢が、本当に実現する。Bellator時代とは違う、ジェームス・ギャラガーを楽しみにしてほしい」
――ファイトもそうですが、人として今回のインタビューでジェームスへの印象もまるで違うようになると思います。
「アハハハハ。そんな機会を僕に与えてくれたRIZINには、心から感謝しているよ」
■視聴方法(予定)
4月12日(日)
午後12時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!





















