【RIZIN LANDMARK13】テミロフと戦う福田龍彌―01―が、話していた安藤戦とダウトベック戦「僕は楽しむことと集中することがイコールでつながっているから」
【写真】写真は大晦日、安藤戦の試合後の会見の時のモノ (C)MMAPLANET
12日(日)に福岡市博多区のマリンメッセ福岡A館で開催されるRIZIN LANDMARK13で、福田龍彌がアジズベク・テミロフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
当初、福田は3月のRIZIN有明大会でカルシャガ・ダウトベックと対戦を予定していたが、ダウトベックが急性循環機能障害のため欠場。福田の同大会への出場もキャンセルとなっていた。その後、福田は一カ月後の福岡大会へのスライド参戦が決まり、ラマザン・テミロフの弟アジズベクと対戦することが決まった。
MMAPLANETでは1月28日にダウトベック戦を控える福田にインタビューを行い、大晦日の振り返りとダウトベック戦に向けた意気込みを聞いていた。インタビュー公開前に福田の欠場が発表されたため掲載を見合わせていたが、福田の次戦が早いタイミングで決定したこともあり、テミロフ戦決定後の3月16日に追加取材したインタビューと合わせて掲載したいと思う。
決して目の前の対戦相手だけにフォーカスしない普遍的な価値観と言葉、そしてその時々で福田がどんなことを考えていたか。大晦日に安藤達也から衝撃的なKO勝利を収め、2026年の初陣を迎える福田の現在を知ってもらうためにも、このインタビューをお届けしたい。
──福田選手、今日はよろしくお願いします! まずは大晦日の安藤達也戦は見事なKO勝利でしたが、あの試合から振り返ってもらえますか。
「楽しかったし、幸せな時間やったなと思いますね。(安藤と)試合が決まった時から楽しい時間になるやろうなと思っていたし、お客さんも喜んでくれたんで、単純にいい時間やったなと思います。格闘技興行としてもの凄くいい時間を作れた感じがしましたね」
──お互いが見合っている状況でもブーイングが起きることなく、お客さんが集中して試合を見ていたところも印象的でした。
「あれはもの凄く伝わってきましたし、ホンマに五感全部で試合を楽しめましたね。こうしたいなと思っていたものがちゃんとこれこれ!って感じになって、やりたかったことを具現化できたというか……そんな感じでしょうか(笑)」
──事前に準備していていた技や用意していた技も試合では出せていたのですか。
「自分はこれを出そうと思ってやっているわけではなくて、ホンマにライブというか即興なんですよ。そういう意味ではバッチリいい波に乗れたなって感じですね」
──その即興という意味では1Rが終わった時点でいい手応えはあったのですか。
「それはありましたよ。(技を)やり取りしている中で、これは食えるな、獲れるなみたいな」
──それがフィニッシュにつながった右フックだったのでしょうか。
「まあそうですね。最初はチャンスがあれば左でぶち抜いたろうとは思っていたんですけど、安藤くんも左に対するリアクションが凄いというか。あっちも左を狙っていそうな感覚があったんで、自分の左を餌にして、右を当てていこうと思ったのがハマりましたね。右フックだけじゃなくて、あと2つぐらいはこういうのを合わせたろうみたいなパターンがあったんですけど、右フックが当たった感じの2Rになりました」
──福田選手はインターバル中にセコンド陣とも「この技が当たりそう」といった会話はするタイプですか。
「今回は『めっちゃ楽しい』や『バリ楽しい』みたいなことばっかり言っていたんで、館長はちょっと呆れていたみたいです(笑)。ただ2Rが始まる前に『次のラウンドで終わるから』みたいなことは言って出ていきましたね」
――この取材の前に試合を見直したので、少し細かいことも聞かせてください。途中で安藤選手がジャブを打つようになって、少し福田選手が戦いにくそうに見えたのですが、実際はどうだったのですか。
「僕はもっと洗練されている子らと普段から練習してますからね。僕はもっとテンポが早くてバチン!バチン!となる(コンタクトする)回数が増えると思っていたんですよ。だからちゃんと自分が集中を切らさず、一回一回のチャンスに自分の攻撃を当てはめようみたいな。そういう感覚を忘れずに戦っていました」
──試合を楽しんでいる気持ちが勝りすぎず、いい集中力で戦っていたのですか。
「いや、完全に楽しみが勝ってましたよ(笑)。僕は楽しいから集中できるんです」
──楽しむことと集中することが対立していないわけですね。
「はい。僕は楽しむことと集中することがイコールでつながっているから。だから逆に楽しめてへん試合の方が動きが良くない気がします。人によっては試合を楽しまない方がいい精神状態だと思わはる人も多いんでしょうけど、自分は変に『負けられねえ』みたいに気持ちを入れすぎちゃうと、それに飲まれちゃうんですよね。結果そういう時の方が集中力が欠けている気がするし、楽しむことが大事やなって再認識した感じでした」
──福田選手は楽しんでいない方が試合に入り込めていない、と。
「そうです。楽しんでいない=自分を全うしてへんってことやからね。格闘技は好きで続けていることなんで、やっぱり楽しまないと」
──試合後のバックステージインタビューでは「クオリティの差が出たと思います」とおっしゃっていましたが、あれは技の精度なのかタイミングなのか。どこを差してのクオリティだと考えていたのですか。
全体的なタイミングもそうやし、距離感とか、簡単に言ったらパンチ打った時の逆手のガードとか。例えば相打ちの場面でも、僕はちゃんと逆手のガードを上げてブロックしていて、安藤くんにブロック越しをしばかせておいて、こっちはちゃんとパンチを当てている。パッと見は相打ちでも僕は安藤くんのパンチをブロックしていて、安藤くんはモロにこっちのパンチをもらっているんですよ。
安藤くんにジャブを打たせちゃう場面もあったと思いますが、あの時も僕の添え手(ガード)越しに当たっているから直撃はしてないんですよね」
──非常に分かりやすい解説ですし、福田選手がそれをクオリティという言葉を使って表現するのも納得できます。
「僕はそういう細かい部分って言うんですかね、そこを追及して日頃から基礎ばっかり淡々と練習する生活をしているんで、それがああいう真剣勝負になった時に活きますよね。多分やけどジャブとかストレートとかパンチを出してきた回数は僕の方が多いって思っているんですよ、安藤くんより」
──日々の練習を含めて。
「そういうところの積み重ねの差が試合で出たと思うし、そういう意味で『クオリティの差が出た』という返答をしました」
──今の話を聞くと相打ちでも自信を持っていけたわけですよね。
「だから僕の中であれ(フィニッシュの右フック)は相打ちやとは思ってへん感じっす。あれは相打ちじゃなくて後出しぐらいの感じで、安藤くんの打ち際に合わせてるんです」
──ジャンケンポン!ではなくて、後だしジャンケンで絶対に勝てるものを出したと。
「簡単に言うと、そういうことです」
──また試合後のインタビューで福田選手が「やることを断舎離する」と言っていたことも響きました。僕は攻撃の手札が多いのは安藤選手だと思っていたのですが、逆に手札を厳選して精度を高めたからこそ福田選手はあの勝ち方を出来たんだなと。
「MMAはやることが多いから、手札を持ちすぎると迷子になっちゃうんです。しかも試合は15分しかないわけじゃないですか。それだったら僕はやることがシンプルな方が使い回しがいいし、その方が15分という時間を迷いなく走り切れるんですよね」
――まさに動きが洗練されるわけですね。
「手札が少ないがゆえに、それをねじ込むための動きになりますからね。逆に手札が多いと『あれしよう』や『これしよう』となるし、それを考える時間ももったいなく感じるから、僕はホンマに必要なことを限定してやりたいです」
──また手札が多いと札の切る順番を間違ってしまうこともありますからね。
「それもあるし、役が揃うのを待っている間に試合が終わってた、みたいなこともある。こっちが手札を切る前に向こうが役満を揃えちゃうかもしれへんし。だから、もうホンマにシンプル・イズ・ベスト。それが僕の試合のヒリヒリにも繋がっていると思うし、お客さんもそれを一番喜んでくれる気がするし、それを見に来てくれているんだと思います。
僕は地方のローカル大会から始まって、こんな大舞台で戦えるファイターになれるとは思ってなかったんですけど、当時地方でもいい試合をすると、みんな喜んでくれるんですよ。それが自分の戦うモチベ―ションになっているし、またお客さんが喜ぶような試合をしてあげたいなって。僕、デビュー戦が一本勝ちで、会場が全く沸かなかったんです。どうやって僕が勝ったのかイマイチ分からなかったみたいで。逆に殴り合った試合はみんなめちゃめちゃ喜んでくれて、それでより人に喜んでもらえる試合をしたいと思いましたね。だから変に小手先だけ上手くなって、ポイントを取るような戦い方をするつもりはないし、今ここで話しているヒリヒリというのは、これからの試合でもこだわっていこうと思います」
──今日インタビューしていて感じたのは、福田選手は時間を無駄にしないですよね。例えば1分間、相手と立ち会ったら、その1分間で得た情報を次の1分に活かすことが出来るというか。そこが散漫な選手はただただ時間が過ぎているだけで、逆に福田選手は時間が進むに連れて相手のデータが蓄積されて、どんどんゴールに近づいていると思います。
「そうなんですよ。試合は途中で終わるかもしらんけど、5分3Rの15分間は地球上の誰よりも本気で生きているつもりなんで、そこにはこだわっていますよね、練習の時から」
──だからこそ一発一発、すべての動きにも無駄がない。
「一応すべての所作に意味を持ってやっているつもりですから。それこそステップ一つとってもそうですし、僕はそこまでこだわって日々追求しています」
──そこを徹底的に追及する福田選手の試合であれだけ多くのお客さんが沸く時代が来て、長く格闘技に携わる仕事をやってきて幸せです(笑)。
「まじでホンマにいい空間で、ホンマに感動しましたね。ああいう会場の空気って、画面越しにはなかなか伝わらへんじゃないですか。絶対に現場にしかないもんってあるでしょ。僕、あれが好きなんですよ。ライブの生のリアルでしか味わえへん、あの空気感。あれはその場にしかないフレッシュなものやし、絶対に保存のしようのないものじゃないですか。あとからもう一回感じられるかって言ったら絶対に感じられないですよ。その場にいて、その場で感じないと。僕は自分のキャリアや試合でそういう空気感をたくさん生んで、そういうものをたくさん感じる人生にしたいと思っています」
──そういうなかで2026年の初陣で決まった相手がまさかのカルシャガ・ダウトベックに決まりました。
「最高でしょう。最初にオファーを受けた時は(ガッツポーズを作って)ヨシッ!でしたね」
──対戦相手としての印象は?
「強いと思いますよ。なんやかんやずっと負けてへんし。前回の久保優太戦はそれまでの流れは悪かったとしても、打撃の殺傷能力は言わずもがなやし、打撃で上手いこといかんかっても組みに切り替えることが出来る。そういう負けないムーブもできる人やから強いと思ってますよ」
──そんな相手だからこそ攻略のしがいがありますか。
「それもあるし、なんやかんやで殴ってこようが組んでこようが、ヒリヒリしっぱなしの15分間を提供したろうとは思ってます」
──福田選手は対戦相手の映像は結構見る方ですか。
「見ないですね。映像の固定観念に縛られたくないし、さっきの話じゃないですけど、試合映像はリアルなものじゃないから。僕の周りにいる人たちが勝手にダウトベックっぽく動いて対人練習をしてくれたり、こういうパンチが多いんちゃうかという感じでミットを持ってくれたりするんで、自分はほんまに自分の動きのクオリティを上げることしか考えてないです」
──ダウトベックという相手と戦うことで、今まで以上に研ぎ澄まされた福田選手が見られるんじゃないかと思って期待しています。
「僕もそれを見せたいと思っています。今は練習しているか、山で狩りをしているか。そんな日常なんですよ。お日さまより早く起きて鉄砲を担いで山に入って、山から帰ってきて練習して寝て、そこからまた夕方に練習するか、もう一回狩りに行って獲物を捌いて1日を終えるみたいな。それを続けているとすごく自分が洗練されていく感覚があります。人のいいひんところ、今やったら雪山に入ると、自分以外の動くものは全て獲物みたいに感じるし、五感がものすごく敏感になるんですよ」
──その感覚の鋭さは試合にも活きてきますか。
「嗅覚であったり聴覚であったり、肌の感覚もそうですよね。空気感の違いを感じられるようになるんで。普通に街中で生活していたら、そこまで(周囲の動きに)集中することはないやろうなって感じで日常を過ごせてるんで、その日々の積み重ねが試合本番になると自分を助けてくれるだろうなと思います」
──今日の話を聞いて、ますますダウトベック戦が楽しみになりました。
「ありがとうございます。個人的にもNaiza FCでボコボコに投げられて、カザフスタンには苦い思い出があるんで(苦笑)、間接的にカザフ・リベンジします」
──今年もチャンスがあれば、試合機会は増やしていきたいですか。
「怪我がないんであれば、過去一ぐらいに働く年にしたいなと思っています。RIZINさんがどういう感じでお仕事をくれるかは分からないですけど。僕らがやっていることは約束されることがない商売やし、寒い試合をしたらすぐ切られちゃうと思うんで。そういう意味では自分のヒリヒリを今年は色んな人に提供したいと思っているから、片っ端からもらったオファーは出るつもりです」
──福田選手につっかかってくるチャンピオン(ダニー・サバテロ)もいますからね(笑)。
「いたいた(笑)。あんな教科書に載ってるような綺麗な英語でビッチって言われたのは初めてで、逆に笑ろうてもうたっすね。学校の先生が授業で黒板に書いた『Ryuya Fukuda is a bitch』を差し棒で差しながら言うぐらい綺麗に丁寧な英語でしたからね(笑)。そこにもちゃんと漕ぎ着けられるように頑張ります」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
4月12日(日)
午後12時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN LANDMARK13対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 久保優太(日本)
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] ダニー・サバテロ(米国)
[挑戦者] 後藤丈治(日本)
<ライト級/5分3R>
堀江圭功(日本)
パトリッキー・フレイレ(日本)
<スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
ナターシャ・クジュティナ(ロシア)
<フライ級/5分3R>
神龍誠(日本)
エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
アジズベク・テミロフ(ウズベキスタン)
<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
アバイジャ・カメオ・メヘイラ(米国)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
ジェームズ・ギャラガー(アイルランド)
<ライト級/5分3R>
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)
天弥(日本)
<キックボクシング・フェザー級/3分3R>
朝久泰央(日本)
シンパヤック・ハマジム(タイ)
<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
火の鳥(日本)
<バンタム級/5分3R>
井上聖矢(日本)
宮川日向(日本)
<ライト級/5分2R>
大木良太(日本)
荒井銀二(日本)
<バンタム級/5分2R>
山﨑鼓大(日本)
有松朋晃(日本)
<フライ級/5分2R>
八尋大輝(日本)
岡本舜(日本)
<キックボクシング・フライ級/3分3R>
今村流星(日本)
YUKI(日本)






















