【PFL2026#04】ヴィシニエフスカを相手に1年振りの試合、渡辺華奈「自分がやってきたことを証明する」
【写真】インタビューの2日後にはRIZINがPFLとの協力関係を発表した会見に登壇した(C)SHOJIRO KAMEIKE
11日(土・現地時間)、イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナで開催されるPFL 2026#04「Chicago」で、渡辺華奈がポーランドのパウリナ・ヴィシニエフスカと対戦する。
Text by Manabu Takashima
渡辺にとっては昨年4月、女子フライ級ワールドトーナメント初戦でジェナ・ビショップに敗れて以来の復帰戦となる。1年振りのケージで対戦するのはアマチュアMMA世界王者でストライカーのヴィシニエフスカだ。今回のインタビューでは、ビショップ戦からここまで1年間の悩みを吐露した渡辺。さらにヴィシニエフスカ戦というマッチメイクに対する心情を明かしながらも、渡辺華奈らしい気持ちの強さを明らかにした(※取材は3月25日に行われた)。
だんだん自分が選手じゃなくなっていくような気がして。それが怖かったです
――1年振りの復帰戦が発表されました。トーナメントで敗れると、そこから試合間隔が空くことになるのは2年連続となります。
「実は8月に一度、試合のお話はあったんですよ」
――えっ、そうだったのですか。
「まず4月に負けた時点で、『次は8月だ』と言っていただいていました。でも自分がビショップ戦で怪我をしてしまって。8月は間に合わないだろうという感じでスキップさせてもらった結果、1年間のブランクをつくることになったんです」
――昨年8月の大会というと……。
「女子トーナメントの決勝が行われた大会(※8月15日のシャーロッテ大会。リズ・カモーシェがビショップをKOしてトーナメントを制した)のアンダーカードだったと思います。最初にお話が来た時は、まだ対戦相手は決まっていなくて、これからカードを組むという段階だと聞きました。でも怪我した箇所の手術があり、あまり回復も良くなくて。結構Fギリギリまで出るかどうか考えましたけど、やはり8月は厳しいという結論になりました。
そこからPFLがトーナメント制を廃止したじゃないですか。でもメインカードに女子の試合がないと、なかなか他の女子選手は試合が組まれない。だから他の女子選手も試合が少なくなっているんじゃないかな、とは思いますけど……」
――なるほど。ビショップ戦で負傷したのは、どの箇所ですか。
「右手の親指の付け根ですね。殴った時に脱臼骨折しちゃったんです。怪我の回復自体は、8月の試合には間に合うと思っていました。ただ練習はしていてもセーブしながらの練習だったので、いろいろ相談した結果——今回は一旦スキップしよう、と」
――8月に試合ができる状態までは持っていくことができる。しかし試合で勝てる状態まで持っていけるかどうかは別の話ですよね。
「メチャクチャその部分を考えました。次の試合で負けたらリリースされる可能性も高い。自分としては8月に試合をしたい気持ちはありましたけど――おそらくトーナメント初戦で負けている、自分と同じような立場の選手と組んでくるはずですよね。そうなると、もちろん弱い選手なんていない。出るかどうか、すごく迷いました。
ギリギリまで迷って……、結局は試合をやろうと思ったんです。でも自分がグズグズしていたから、PFLも他の選手を探し始めていたみたいで。そこで私が今さら出ると言い出しても、ややこしくなるかもしれない。だからスキップしました」
――負傷した右手は、現在はどのような状態ですか。
「今はもう大丈夫です。絶好調で練習できています。
オファーをいただいた時点では、右手を握ることができない状態でした。自分はグラップラーなのに握ることができない。右差しなのに右手で差せない、グリップできない。そういう状態では、自分のファイトスタイルを考えるとキツいですよね。この期間にしっかりと怪我を治すことができたので、自分としては休んで良かったと思っています」
――なるほど。負傷明けの復帰ロードについては、どのように考えていたのでしょうか。
「翌年の4月になるんじゃないかな、と思っていました。前の年も、4月でしたから。でもトーナメントがなくなるという話を聞いたり、PFLの体制も変わるとか何とか――どうなるんだろうと思いながら、オファーがあればいつでも出られるように準備しておこうと練習していて。
……でも焦りはありましたね。毎日練習はしているけど、いつ次の試合があるか分からない状況が続いている。『やっぱり8月に試合をしておけば良かったかな』とか焦りは結構ありました。ジムの仲間がどんどん試合をしていて盛り上がっているなか、自分だけが置いていかれているような感じもあったんですよね。だんだん自分が選手じゃなくなっていくような気がして。それが怖かったです」
――……。
「ジムの仲間をサポートしたり、後輩たちに教えたりしながら、自分のなかでは『私も選手なのになぁ』とか焦っていて。海外で試合をしているから、日本国内の話題にも入っていけずに。
正直、『このまま試合できずに終わってしまうのかな……』と思うこともありました。年齢的な部分でも焦りがありますしね。恥ずかしい話だけど、その焦りについてコーチに相談したり、家に帰って独りでグズグズしていたりとか(苦笑)」
自分ぐらいの選手とはやったことがないでしょうから、レベルの違いを見せてやりたいですよね
――それは柔道も含めた格闘技キャリアで初めての経験でしたか。
「はい。柔道は定期的に大会があるし、その大会に出られるかどうかも自分の実力や結果次第であって。そんななかで『自分はオリンピックに行けない』ということが明確に分かって、大会に出られなくなるのも仕方ないかな、という部分はありました。
でもMMAはそういうわけでもなく、練習していて強くなっている自信もあったし……」
――確かに柔道のアマチュア大会と異なり、MMAのプロ興行はまず「開催されるかどうか」という部分もキャリアに関わってきます。特に女子の試合は試合数も少なくなってくるわけで。
「そういう狭間で揺れた1年ではありましたね」
――極論ですが、もう絶対にMMAを続けられないほどの怪我があれば、諦めもつくかもしれません。しかしまだ動けるし、まだ強くなっている。かといって何か特別な結果を得ているわけではない。
「そうなんです。私が休んでいる時期にチームメイトがベルトを獲っていて。そういうのを目の当たりにしながら『私は何をやっているのかな……』と思いつつ、羨ましくもありました。
私はMMAを始めた時から海外志向で、海外のベルトを獲ること以外は考えていませんでした。でも、ふと考えた時に自分はMMAで何のベルトも巻いていない。自分がやってきたことを証明するものが何もなくて。ベルトを巻いていれば周りも喜んでくれるし、自分がやってきたことの証にもなりますからね」
――そして渡辺選手はケージに戻ってきた。ブランクの間、新しく取り組んでいたことはありますか。
「いえ、自分の中ではもっと自分の強みをブラッシュアップしていくというイメージで練習していました。もちろん、できないことにも取り組んできましたけど、それよりも自分のスキルを全体的にブラッシュアップしていくというイメージです」
――8月の試合は対戦相手が決まっていない状態で試合の話があったとのことでしたが、今回は最初からヴィシニエフスカ戦というオファーだったのですか。
「はい。最初からヴィシニエフスカと対戦するかどうかというオファーで、1月ぐらいには決定していました。それからなかなか発表されずに(苦笑)。まぁ契約書もサインしているし、試合をすることは間違いないから良いかとは思っていましたけど」
――ヴィシニエフスカは昨年12月、サブリナ・ジ・ソウザにスプリットで判定負けしています。そこに渡辺選手が相手というのは……。
「ヴィシニエフスカありきのマッチメイクで、相手を上げていきたいんだろうとは思っています。ヴィシニエフスカは若いし、アマチュアMMAでもエリートで、おそらくダコタ・ディチェバの次にスターにしたい選手なんだろうな、と。
まぁ……うん、自分ぐらいの選手とはやったことがないでしょうから、レベルの違いを見せてやりたいですよね」
――レベルの違い、ですか。
「過去の試合をチェックしていたら、ソウザと過去の相手ではレベルが違いすぎて、参考にならないと思いました」
――ヴィシニエフスカもKO勝ちだけでなく寝技の展開もありますが、そのキッカケは全てテイクダウンでなくノックダウンです。つまり打撃を効かせてから勝負をかけるスタイルである一方、ソウザ戦では打撃を効かせる場面がなく組まれていました。
「自分も打撃で勝負するよりはレスリングで潰す。組んだらテイクダウンできると思っています。寝技で足が利く選手ではありますけど、そこも想定してパスの練習もしてきています」
――そのプランを遂行するために重要となるのは、打撃のディフェンスかと思います。効かせられなければ、テイクダウンに持ち込むことができる。
「そうですね。相手の右の攻撃——蹴りもパンチも注意しながら、まずそれが当たる位置に立たない。その中でテイクダウンを狙っていく。自分はそれしかないので。
私自身は前回の試合——やっぱりビショップは寝技が強いので。それを警戒して自分らしい試合ができませんでした。今回は自分らしい部分をぶつけたいです。相手の打撃を潰しながら組んでいきたいですね」
――この試合も含めて、2026年をどのような1年にしたいですか。
「ヴィシニエフスカは女子フライ級6位で、私は9位。勝てば自分もランキングが上がると思います。今年はあと2試合ぐらいしたいなぁ、とは思っていますけど、こればかりは自分でどうにかできることでもないので。まず地道に自分に与えられた試合で勝ち、ランキングを上げていく。その先にまたカムーシェと対戦したり、ディチェバと絡んでいきたいです」
■視聴方法(予定)
4月12日(日・日本時間)
午前6時45分~U-NEXT
■PFL2026#04対戦カード
<バンタム級/5分3R>
セルジオ・ペティス(米国)
ミッチ・マッキー(米国)
<ミドル級/5分3R>
ジョーダン・ニューマン(米国)
ジョシュ・シルヴェイラ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ラフェオン・スタッツ(米国)
リナット・カヴァロフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・ブラガ(ブラジル)
シャイデン・レイアロハ(米国)
<女子フライ級/5分3R>
ヴィヴィ・アロージョ(ブラジル)
シェナ・ヤング(米国)
<女子フライ級/5分3R>
ジェナ・ビショップ(米国)
ボレナ・ツェルツヴァゼ(ジョージア)
<ウェルター級/5分3R>
オマール・エル・ダフラウイ(エジプト)
ジェームス・ベイク(ニュージーランド)
<女子フライ級/5分3R>
渡辺華奈(日本)
パウリナ・ヴィシニエフスカ(ポーランド)
<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)
ホドリゴ・ナシメント(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
バッジオ・アリ・ウォルシュ(米国)
ダッシュ・ハリス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
バラディ・アツァス(ギリシャ)
ネイト・ジャニャーマン(米国)





















