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【PFL2026#04】セルジオとPFL初陣、ミッチ・マッキー「MMAが大きなビジネスになるにはKOが必要」

【写真】自分の貫くのも強さ。割り切れるのも強さ (C)MMAPLANET

11日(土・現地時間)、イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナで開催されるPFL 2026#04「Chicago」。同大会のメインでセルジオ・ペティス戦に抜擢されたのは、キルクリフFC初速のミッチ・マッキーだ。
Text by Manabu Takashima

フリースタイル、カレッジスタイルと両レスリングで実績を残しているマッキーは、MMA転向後も10勝0敗と結果を残してきた。UFCへの登龍門LFAでも8連勝中だが、UFCから声は掛からなかった。

6割のフィニッシュ率を誇るマッキーだが、そのレスリング主体のファイティングスタイルが、UFC首脳に評価されなかったか。MMAはエンターテイメントの一環、そういう認識をしつつより強さを求め打撃面を強化してきたマッキー。28歳のレスリングベースのファイターの言葉から、今のMMAの在り方が見えてくる。


――ミッチ、3週間後にセルジオ・ペティスと戦います。今、どのような調子でしょうか(※取材は3月22日に行われた)。

「良い感じだよ。去年の9月の試合後から5カ月間しっかりと練習してきた。その間にこの試合が決まって、肉体的にも凄く調子が良い。キャンプも順調に進んで、今はその最終ステージを迎えているところだよ」

(C)LFA

――LFAで8勝、昨年4月にグレッグ・フィッシャーに勝利した後コンテンダーシリーズ、もしくはショートノーティスでの出場を希望していました。

「その通りだよ」

――しかし、どちらも実現せずに9月にペドロ・ノブレというベテランにKO勝ちを収めた。当然、UFCのコールを待っていたと思います。PFLでセルジオと戦うという発表があった時は正直驚きました。「UFCではないんだ」と。

「ノブレに勝った後も、UFCからのコールを待っていた。どこかのタイミングで話が来ないかと思っていたけど、そんな時にPFLから声が掛かった。僕のことを評価してくれ、これからを考えてくれたんだ。

UFCは巨大になりすぎて、何でもない存在として戦っていかないといけないこともある。どれだけ人として尊重されているのか、分からない。そんな時に新しい体制になったPFLからは僕個人をブランドとし、今後のチャンピオンというポジションが用意された。売り出してもくれる。そういう状況で戦えることに凄くワクワクしているよ」

――やはりセルジオと戦えることは大きかったですか。

「実は最初のオファーは、セルジオじゃなかった。でもセルジオと対戦予定だった選手がドロップして、僕のところに話が来たんだよ。それでもPFLとサインをしたのは、これからのことを話すことができたから。彼らは僕をこれからのスター候補という目で見ており、僕もその期待に応えたい。そんなことは誰にでも起こることじゃない。そうしたら、少ししてセルジオ戦のオファーがあったんだ」

――個人的にはフィッシャー戦後、UFCがミッチにコンテンダーシリーズのオファーさえしなかった時、「UFCはレスラーにはチャンスも与えなくなるのか」と感じました。するとミッチもノブレ戦では、過去になく打撃に拘った試合をしました。これからMMAを戦っていくうえで、スタイルチェンジを考えたということでしょうか。

「そうだね。

MMAもエンターテイメントの一環だと認識するようになった。ただし、以前から打撃の練習にも真剣に取り組んでいた。僕自身も一つの戦い方ではなくて、打撃を試合でも使って全ての局面で戦おうと思った。僕はパンチもできるし、クリンチもできる。掴めばレッスルする。全てを自分のファイトに落とし込んで、戦おうとね。

倒せばパウンドを多く使う。テイクダウン後にもダメージを与え、立たれてもまた倒して殴る。組みつく前、倒してから。とにかくダメージを与える攻撃が必要だと心がけていた」

――打撃で戦いたいなら、テイクダウンを切って打撃を入れる。それがMMAだという認識も、もう変えないといけないときが来たように感じます。

「MMAをより理解している人間は、そう思うよね。最初から殴り合い有りきでなくて、殴りたいならテイクダウンを切れって。でも、MMAが大きなビジネスになるには、ノックアウトが必要だ。僕はそういうビジネスの中で戦っている。よりダメージを与える攻撃を、僕のレスリングにも取り入れて戦う必要がある」

――ノブレ戦は殴るために、殴られることもあるというファイトを?

「そうだね。でも、打撃の練習を何年もしてきたから、シリアスなダメージは受けていない。今では実戦で打撃戦を行っても問題ないと感じている。グラップリングと同じだけの自信があるんだ。

実際のところ、コーチはテイクダウンしろという指示だった。でも、僕はスタンドでもダメージを与えることができると思って、打撃で勝負したんだ。そういう戦い方ができるようになったから」

――レスラーがフィジカルを生かしてパンチを打てば、その威力は絶対だと思います。だから殴る方は大丈夫。対して、ディフェンス面は不安が残ったのも事実かと。だからこそコーチはリスクを避けたかったのかもしれないです。

「だね。僕のボクシング・コーチも攻撃より、防御に軸をおいた指導をしてくれる。この4年間、特に打撃ではそういう練習を繰り返してきた。だからMMAを戦うようになって、伸びたのはレスリングではなくて打撃なんだ。特にノブレ戦から、ここまでの5カ月で僕の打撃は別物になっている。

ブロッキング、ヘッドムービング、フットワーク。どれだけ僕が成長しているのか、セルジオ戦で分かる。とても楽しみなんだ」

――セルジオに対して、スタンディングバトルを挑むだけ自信を持っているのですね。

「以前と比較すると、絶対的に自信がある。ただし面と向かってセルジオを戦うには、思い切り暴れれば良いというわけじゃない。慎重に、時には我慢をしながら戦わないといけない。しっかりとバランスを保って、軸を乱さないようにすることが大切になる。

体が伸びすぎないようにしないと、セルジオのカウンターアタックを受けることになる。フェイク、フェイントを織り交ぜて。じっくり戦う。やりすぎてはダメだ。セルジオは、そういう相手へのカウンターの打撃が上手いから。そして、ケージという空間を生かして、外を取るように動く。

僕の打撃は、クリンチの状態でも威力があるからね。ブルドーザーのように、ガムシャラに前にでるようなことはしない。レスリング、グラップリングとミックスして的確な打撃戦をしようと思う。

テイクダウンを意識させると、僕のパンチも当たる。レベルチェンジ、オーバートップストライキング。打撃とグラップリングの融合。MMAファイターなら誰もが身につけないといけない必須事項で、ミックスすることで両方の攻撃がデンジャラスさを増す。何か一つでなく、セルジオの頭が回らないよう次々と仕掛けるよ。この5カ月間で、レスリングベースのMMAファイターでなく、ベリー・ウェルランディットMMAファイターになったことを証明したい」

――ところでキルクリフFCは軽量級の層はそれほど厚くない印象があります。その辺りは問題ないですか。

「確かにキルクリフは軽量級が少ないかもしれないけど、フェザー級の選手は多い。僕は大きなバンタム級だから、彼らとどんどんスパーリングができる。それに大きくて頑丈な人間と練習することでも、強くなれる。試合になると、絶対に彼らほど力はないわけだから。

それにタカヤ・スズキが、チームにはいる。タカヤがキルクリフにやってきてから、ずっと一緒に練習してきた。今回の試合に向けても、セルジオのテコンドー系の回転アタックを真似て対策練習の相手をしてくれたんだ。

タカヤはストライカーで、僕はレスラー。互いに自分の短所を補う練習ができる。それにグラップリングでも、ヤツもめきめきと力をつけてきた。アイツのいつもハッピーで、ポジティブなエナジーを発散させているのが大好きで。タカヤのように厳しい練習でも、楽しめるヤツは強くなれるよ。

朝イチの練習で、気分が乗らない時がある。でも、アイツはいつも笑っている。ストレッチをしている時も、笑顔なんだ。あの顔を見ていると、俺もやらなきゃって思えるよ」

――ミネソタ大時代にオールアメリカン、ジュニア時代に全米フリースタイル王者、世界ジュニアで銀メダルを獲得しているミッチですが、MMAを始めてキルクリフで練習するようになったのは?

「2021年に五輪予選で敗れた僕に、同じ大学のOBでずっと以前から知っていたローガン・ストーリーが連絡をくれたんだ。『MMAを始めないか』ってね。彼の誘いで僕はフロリダに南下した。マネージャーもキルクリフだし。コーチとも、ただのファイターと指導者という関係じゃない。ロビー・ローラー、ドゥリーニョ、ショーン・ソリアーノ、僕らの関係はタイトだ。彼らは時間をかけ、情熱をもって僕をMMAファイターに仕立て上げてくれた。

今回の試合に向けてもロビー・ローラーの家に集まって、サウナに入りながら作戦を立てたこともある。色んなパターンを考えて、技術的な指摘もしてもらっている。こういう関係があるから、僕らは成長できるんだ」

――キルクリフで力をつけてきたミッチ。キャリア最大の試合で、自分自身に何を期待していますか。

「初回は立ち技で、しっかりと様子を見て戦う。チャンスがあればテイクダウンして、フィニッシュを狙う。ドゥリーニョから週に2度柔術の指導を受けて、パウンドアウトだけでなくサブミッションできる力が備わってきた。凄く堅実な技術だけどね。僕には100万ものサブミッションは必要ない。しっかりと使える、いくつかの技術があれば。パウンドを打ち込むことで、サブミッションを使う機会が出てくる。

とにかくスタンドでは我慢すること。レスラーがそれを怠ると、スコアで不利になる。それが今のMMAだから。やるべきことを立ち技でやり、テイクダウンしてからグラウンドでTKO勝ちする。

今回の試合が、僕のキャリアを大きく左右することは分かっている。大体、PFL初戦でランク1位と戦うなんてクレイジーだよ。そんなことはほとんどの人間には起こりえない。僕もこんなことが起こるなんて思いもしていなかった。でも、そういうチャンスが来たら、絶対に逃がさないよう日々、ハードな練習を繰り返してきたんだ。

セルジオを倒し、世界中のファン、日本のファンも僕のことを知ることになる。そう願っているよ。実は去年、マネージャーからRIZINが僕に興味を持っているという話を聞いて、凄くワクワクした。あの時、契約には至らなかったけど、PFLとRIZINのクロスプロモーションが始まったら、僕も日本で戦う機会があるかもしれない。RIZINとPFLがビッグファイトを日本で開催することを、凄く楽しみにしているよ」

■視聴方法(予定)
4月12日(日・日本時間)
午前6時45分~U-NEXT




■PFL2026#04対戦カード

<バンタム級/5分3R>
セルジオ・ペティス(米国)
ミッチ・マッキー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジョーダン・ニューマン(米国)
ジョシュ・シルヴェイラ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ラフェオン・スタッツ(米国)
リナット・カヴァロフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・ブラガ(ブラジル)
シャイデン・レイアロハ(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ヴィヴィ・アロージョ(ブラジル)
シェナ・ヤング(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ジェナ・ビショップ(米国)
ボレナ・ツェルツヴァゼ(ジョージア)

<ウェルター級/5分3R>
オマール・エル・ダフラウイ(エジプト)
ジェームス・ベイク(ニュージーランド)

<女子フライ級/5分3R>
渡辺華奈(日本)
パウリナ・ヴィシニエフスカ(ポーランド)

<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)
ホドリゴ・ナシメント(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
バッジオ・アリ・ウォルシュ(米国)
ダッシュ・ハリス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
バラディ・アツァス(ギリシャ)
ネイト・ジャニャーマン(米国)

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