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【UFC328】扇久保博正が語る平良達郎「組みのフィジカルが強い。松根さんに育てられると……」

【写真】自身の試合も発表が待ち遠しい、扇久保の詳細な分析と予想です(C)SHOJIRO KAMEIKE

5月9日(土・現地時間)、米国ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで開催されるUFC328で、平良達郎が世界フライ級王者ジョシュア・ヴァンに挑戦する。この一戦について現RIZINフライ級王者、扇久保博正に分析と予想を語ってもらった。
Text by Shojiro Kameike

当初は4月11日(土・現地時間)にフロリダ州マイアミのカセヤ・センターで行われるUFC327で実現されるはずだったヴァン×平良。しかしヴァンの負傷により1カ月後に延期されている。MMAPLANETでは延期の公式発表前、この世界フライ級タイトルマッチについて扇久保に取材したところ、詳細な分析と予想を語ってくれた。それは同じTHE BLACKBELT JAPAN所属で平良と練習と共にした経験があり、同じ松根良太の指導を受けた者として分かり合える部分でもあった。


平良選手は今まで8割ぐらいフィジカルで勝ってきている選手だと思っています。松根さんに育てられると、そうなるのかな(笑)

――6月6日にRIZINが初の仙台大会を開催します。しかし東北の岩手県出身の扇久保選手の出場が、まだ正式に発表されていません。

「どうなんでしょうね? 出たいとは伝えていますけど……、自分としては出るつもりでいます。自分にとっては、やっぱり東北で試合をすることは夢であり、ずっと目標でした。地元でも僕はRIZIN仙台大会に出るものだと思っている人もいるでしょうし(笑)」

――仙台大会に出場する場合、戦いたい相手はいますか。

「いますよ。たとえばウチの征矢貴に勝ったトニー・ララミーとか、カルロス・モタに良い勝ち方をした伊藤裕樹君も。あと福岡大会で神龍誠がズールーと対戦するので、そこで良い勝ち方をしたら――彼は仙台出身じゃないですか。だから仙台で僕と神龍が再戦したら盛り上がるのかな、とも思ってはいます」

――扇久保選手と対戦するかどうかは別として、神龍選手の仙台大会出場は欠かせない。すると福岡大会の結果を待つより他ないですね。

「RIZINフライ級の中でいえばその3人じゃないかな、と。まだ試合が決まっていなくても、自分は仙台で試合をするつもりでずっと練習しています。相手が決まったら、その相手に合わせた対策をするぐらいで。この年齢になると、自分のコンディションが一番大事ですから。いかにコンディションを良く保つか。ただ、自分の夢なので絶対に出たいです」

――では正式決定を待ちます! さて今回は、平良達郎選手のUFCフライ級王座挑戦について、扇久保選手の見解をお聞きします。

「はい! 宜しくお願いします」

――これまで扇久保選手は何度も平良選手と一緒に練習しており、自身のYouTubeチャンネルでも、その模様をアップしています。続けて視聴してみると、扇久保選手の体のブ厚さと比較すると、平良選手の体が年々大きくなっていることが分かりますね。それだけフィジカルや体の力は最初の頃と比べて大きく違いますか。

「どうでしょうね? もともと平良選手はフィジカルが強いんですよ。これを言ったら本人は嫌がるかもしれないけど、彼は今まで8割ぐらいフィジカルで勝ってきている選手だと思っています」

――8割、フィジカル勝ち!

「僕もフィジカルで勝っているタイプで――松根(良太)さんに育てられると、そうなるのかなと思っていますね(笑)」

――アハハハ。松根さんが沖縄でジムを立ち上げる前は、千葉で指導を受けていた扇久保選手です。だからこそ松根さんの練習量で培われた、平良選手のフィジカルの強さが分かりますか。

「分かりますね。平良選手は特に組み技のフィジカルが強いんですよ。その組み技のフィジカルって『どれだけスパーリング量をこなしたか』に比例してくると思っています。その点は平良選手と組んでみて、『これは相当やりこんでいるな』と分かりました」

――現在、平良選手と練習するのは年1回ほどと聞きました。その都度、平良選手の成長を感じるのでしょうか。

「成長を感じるのは、フィジカルよりも打撃です。それは練習するたびに思いますね。

たとえば他に、年1回練習する選手がいたとします。だいたいの選手は1年前と変わらないというか、『こんな感じだったな』と思い出すようなスパーリングになるんですよ。平良選手の場合は、スパーリングするたびに引き出しが増えている。距離の設定が前回もやりづらくなっていたりとか、そういう面は感じます」

――扇久保選手がRIZINで強豪外国人選手と対戦する時も同じですが、やはりUFCという舞台で平良選手が試合をする際は、相手が誰であってもドキドキヒヤヒヤしています。一緒に練習している者からすれば、そういった感覚はないですか。

「いつも『おぉっ、凄い!!』とかではなく『あぁ、勝つだろうね』という感じで見ています。今までの試合については、『この相手なら普通に勝つだろう』と。毎回、圧倒して勝つだろうと思っていますね」

――それは修斗、VTJを経てUFCと契約した時も、「UFCでも外国人選手にフィジカル負けしないだろうな」と考えていたのでしょうか。

「そうです。僕は国内外含めて、たくさんの選手と組んできました。試合も40戦以上してきたなかで、平良選手は自分と同じくらい――と言ったら怒られるかもしれないけど(笑)」

――アハハハ。

「でも自分と同じくらいのフィジカルを感じた相手って、平良選手の他にいないんですよね」

――謙遜のない、その評価が一番分かりやすいと思います。それこそが扇久保選手にしか言えないことで。

「ありがとうございます(笑)」

ロイヴァル戦のあと打撃もだいぶ変わりましたね。ガードの位置、スタンスも大きく変わっていて

――では平良選手がブランドン・ロイヴァル戦で初黒星を喫した時は驚きましたか。

「苦戦するだろうとは思っていました。平良選手があのタイプと対戦するのは初めてだったはずなんですよね。自分自身と同じぐらいの身長でサウスポー、寝技もできる。さらに負けた要因というか『何かあるだろう』と思ったとすれば、練習で一度組んだことがあるという点です。

ロイヴァル側からすれば、試合前に平良選手のフィジカルの強さが分かっていた。あのフィジカルは初見だったら想像以上のものがあるはずなんです。それを対戦する前に練習で経験していたことが、ロイヴァルが勝った一つの要因だったのではないかと感じましたね」

――ファイトスタイルもそうですし、あの試合展開も平良選手は経験したことがなかったでしょう。そのロイヴァル戦から10カ月後、パク・ソンヒョン戦では右でダウンを奪ってからフィニッシュしました。10カ月という期間で、平良選手の打撃も大きく変わりましたか。

「だいぶ変わりましたね。あの試合からガードの位置、スタンスも大きく変わっていて。10カ月の間にボクシングを相当やりこんだと聞いていたんですよ。パク・ソンヒョン戦は、その部分で大きな成長を見ることができました」

――ガードの位置とスタンスですか。以前の平良選手の構えはややアップライトでしたが、パク・ソンヒョン戦では少しクラウチング気味に構えていましたね。

「はい。パク・ソンヒョン戦は相手に対して中に入り、パンチを避けることができるようになっていました。ロイヴァル戦までは、どちらかといえば距離で外していたような感じで。だから左ハイをもらう場面もったじゃないですか。それがパク・ソンヒョン戦では中に避けることができていたので、ボクシング技術が格段に上がっていると思いました」

――それだけ中に踏み込んでいないと、あのダウンは奪えなかったかもしれませんね。続いてブランドン・モレノに勝ったあたりで、そろそろタイトルマッチは近いだろうと思いましたか。

「モレノに勝って、次は絶対にタイトルマッチだろうと思って見ていましたよ。でもマネイル・ケイプがロイヴァルをKOした時は『もしかしてケイプが挑戦するのかな……』とか考えちゃいましたよね。でもケイプはもともと体が大きいし、ロイヴァル戦から短いスパンで、それだけ減量できるのかなとも思って」

――結果は平良選手が世界王者ジョシュア・ヴァンに挑むこととなりました。平良選手がパク・ソンヒョンに勝った時点での世界王者はアレッシャンドリ・パントージャでしたが、モレノ戦と同じ大会でパントージャが負傷し、ヴァンがベルトを巻いています。TUFの戦友といえるパントージャとヴァンの試合結果については、どのような想いでしたか。

「あの試合はライブで視ていて、『あぁマジか!!』という感じでした。でもすぐ『人生って、そういうものだよな。うまく行かないもんだな』と思いましたね。それはヴァンが運を持っている選手ということでもあるんですよ。上に行くためには、実力はもちろん運も大事になってくる。ヴァンはその運を持っている、怖い選手だなと感じました」

――そうですね。前戦から3週間後にショートノーティスでロイヴァルに勝ってランキングを上げ、その半年後にUFCのベルトを巻く。間違いなく強烈な運を持っており、そのチャンスをモノにする力を持っている。

「勝負事だから、そういう運と力を持っているのは大きいですよ」

平良選手が打撃で倒すと考えているんですよね。ヴァンの得意なインファイトだけは注意したい

――ヴァンは昨年3月、鶴屋怜選手を下しています。怜選手に勝った時、ここまでの存在になるという印象はありましたか。

「ここまで一気に駆け上がってくるとは思っていなかったです。僕も怜と練習することがあるので、怜のグラップリング能力やテイクダウンと寝技の強さを知っています。その怜のテイクダウンを切り続けて、下になっても立ち上がったじゃないですか。あの展開を視た時、やっぱりヴァンが強いんだなと思いましたね」

――世界王座がパントージャからヴァンに移ったことは、平良選手がベルトに挑むうえで良いほうに作用するでしょうか。相性の面も含めて。

「良いほうに作用するんじゃないですか。僕はUFCフライ級の中で平良選手が苦戦するとしたら、パントージャだろうと思っていました。相性としてはヴァンのほうが良いですよね。ヴァンのほうが勝ち筋は高くなったと考えています」

――平良選手がヴァンに対して注意すべき点は?

「やっぱりインファイトのパンチですね。見えないところから飛んでくるパンチは、一番気を付けなければいけないと思います」

――インファイトになると、平良選手は組みに行くでしょうか。

「ヴァンのほうがだいぶ身長は低いので、至近距離になるとテイクダウンは入りづらくなる。そうなるとアレックス・ペレス戦のように首相撲で捕まえたほうが良いかもしれないですね」

――なるほど。このUFC世界フライ級タイトルマッチ、結果はどうなると予想しますか。

「僕は平良選手が打撃で倒すと考えているんですよね。ヴァンって意外な被弾も多いじゃないですか。どちらかといえば相打ち覚悟で先に当てる。すると相手も調子に乗って打撃を出していると、気づいたらヴァンの得意な距離になっているというタイプで。でもその前に平良選手のパンチが当たるんじゃないか、と。ヴァンの得意なインファイトだけは注意したいですね」

――分かりやすい分析と解説、ありがとうございました。最後に平良選手へメッセージをお願いできますか。

「同じTHE BLACKBELT JAPANの選手だからこそ楽しみだし、ぜひUFCのベルトを獲ってもらいたいです。僕のYouTubeチャンネルで、UFCとRIZINのベルトと並べて対談しましょう!」

■視聴方法(予定)
4月12日(日)
午後12時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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