【RIZIN LANDMARK13】RIZIN初戦=浜崎朱加戦へ。五輪柔道家&LFA王者クジュティナ「楽しむこと」
【写真】「ATTで知り合ったキョージは、私が知っている日本人とは全く違う。柔道家は内面を見せない。でも、キョージはいつも笑って、感情を顔に表せているわ」と話していたクジュティナ (C)RIZIN FF
12日(日)に福岡市博多区のマリンメッセ福岡A館で開催されるRIZIN LANDMARK13で、ナターシャ・クジュティナが浜崎朱加とRIZIN初戦を戦う。
Text by Manabu Takashima
2016年リオデジャネイロ五輪柔道52キロ級銅メダリストは、東京五輪後にMMA転向を決めると、ロシアからフロリダに移り住んだ。7戦目でLFA暫定ストロー級王座を獲得も、目標としてUFCとの契約には至らず、49キロに落としてRIZINスーパーアトム級で戦うことを決めた。
柔道時代に何度も日本を訪れているというクジュティナは、世界選手権でも4度のブロンズメダリストで、2019年の東京で開かれた世界選手権では阿部詩に敗れるも、堂々の銀メダルを獲得している。
柔道での競技生活に見切りはつけてなお、ファイトを続けるという気持ちが枯渇することがなったクジュティナはMMAの技術を楽しみながら習得し続けてきた。そして過激なRIZINルールで戦うことも、「楽しむため」と言い切る。
彼女の楽しむ先が、どのような結果に結びつくのか。乱暴な表現を用いると、普通ではない感性の持ち主のスーパーアスリートのRIZINデビューに向け、これまでとこれからを話してもらった。
道着がなくてもチョークを極めることができるって分かった
――ナターシャ、今もまだフロリダですか(※取材は5日に行われた)。
「イエス。水曜日に日本に向かうわ」
――つまり日本に到着するのは、木曜日ですね。
「そうなの? あんまり、分かっていないわ(笑)。でも、MMAファイターとして日本に戻れることは凄く嬉しい。柔道家だった私は武道館を始め、何度も日本で戦ったことがあったから」
――つまりは東京五輪以外でも、日本を訪れたことがあるということですか。
「何度もあるわ。5回から7回は山梨大学で合宿をしていたから。東京グランドスラムの前は、いつも山梨に拠点を置いてファイトキャンプを行ってきた。日本はいつだって最高だったわ。日本文化も好きだし、寿司もビーフも最高にデリシャスで(笑)」
――2021年の東京五輪を終え、MMAに転向しました。30歳を過ぎてMMAの道に進んだのはなぜですか。
「東京オリンピックの前から、柔道は引退しようと決めていた。ずっと家を空けて、違う国、色々な場所で競技生活を続けてもう十分だと思ったから」
――それなのにMMAを始めたのですか!!
「柔道を続ける気持ちはなかったけど、私はパワーがあった。ファイターでいたいという想いがあって、MMAを始めようと思ったの。そして米国にやって来た」
――ロシアでもMMAは盛んですが、米国を選んだのは?
「あくまでも男社会ね、ロシアのMMAは。ダゲスタンを見てよ(笑)。女子MMAファイターの数は、凄く少なかった。でも、フロリダには女子ファイターも数多く所属しているATTがあることを知って、フロリダにやってきたの。実際のところ、MMAのことはほとんど分かっていなくて。ルールも把握していなかった。ただ、試合を視たことがあっただけで」
――それなのにMMA転向を!!
「どうも私は他の柔道家と比べても、ファイティングを愛し過ぎていたようね。柔道も愛していたし、レスリングも愛していた。正直、ロシアのナショナルチームのコーチになるという道はあったわ。ヘッドコーチからも、そうするように勧められた。でも、それは私にとって簡単じゃなかった。
だから米国でMMAファイターになろうと思って、誰にも相談することなく自分で決めたの。ビザを取って、飛行機のチケットも予約した。ロシアを離れる2週間前に、初めて母に米国へ行くことを伝えて。母以外はヘッドコーチだけね、私がマイアミに行くことを知っていたのは。他の人はインスタグラムで初めて知ったみたいね(笑)。
でも、どうやって生きていくのかという話をコーチとは繰り返したわ。まずはマイアミで、キッズに柔道の指導をするようになって。朝から柔道の指導をして、レスリングや柔術も一般クラスで教えるようになった」
――そしてATTで練習するように?
「ATTは一般クラスがない、プロ専用のクローズドジムだからどうやって練習に参加できるか分からなくて。で、ケイラ・ハリソンを頼ったの。『トライさせてほしい』って。そうしたらケイラは『もちろん。月曜日にジムに来て』と言ってくれて、レスリングクラスに参加した。道着を着ずに、女子選手だけでなく男子選手ともレスリングの練習をして」
――道着なしで戦うことは、難しくはなかったですか。
「楽しかった。私は柔道でも、双手刈りが得意だったの。でもルールが変わって、足への攻撃は許されなくなった。久しぶりに足を取りに行っても良かったから、凄く楽しかったわ。で、そのままATTで練習できることになったの」
――柔道からMMAへのアジャストすることで、一番難しかったのは?
「どうだろう……あまり、難しいとは感じなかったから……。全てが新しくて、ただただ全ての練習が楽しかった。そして自分はケージが使えること、道着がなくてもチョークを極めることができるって分かった。凄く楽しみながら、毎日のように多くのことを学ぶことができたわ」
――ところでナターシャの柔道時代の映像を見ると、右構えで右手が釣り手でした。それがMMAの試合を視ると、左のオーバーフック、アンダーフック、さらに頭を巻き込んでテイクダウンを奪っていました。右ではなくて。
「柔道で私は右手が前というスタンスだった。でも、組むと左手が釣り手になって、投げることがほとんどだったわ。柔道ではどちらが前でも戦えた。そしてMMAを始めると、打撃の時は左手が前にくるオーソドックスを習って。打撃に関しては、何も経験も知識もなくてゼロからのスタートだった。だからコーチに左手を前で構えろと言われて、『OK』ってね(笑)。
そのままオーソドックスで指導を受けた。もちろん私の打撃はベストではない。でもMMAはキックボクシングじゃない。打撃があって、テイクダウンがあり、自分でスペースを創っていける。凄く興味深かったし、楽しくてしょうがなかった。
同時に柔道家としてのナターシャ・クジュティナと同じように、MMAファイターとしてもナターシャ・クジュティナの名を広めたいと思ったわ。経験を積めば、MMAでも相当に力が発揮できると感じたから」
寝転がっている相手にヒザを入れたり、踏みつけたり、蹴り上げるとどうなるのか。凄く興味深い。
――その言葉通り、キャリア7戦目でLFA暫定女子ストロー級王座に就きました。当然、あの時の目標はUFCだったと思います。
「そうね、MMAの練習を始めてから一貫して、私の目標はUFCファイターになることだった。でもLFAでベルトを防衛しても、UFCからコールはなかった。結果を残してもオファーがないなら、しょうがない。『OK、他の道を探しましょう』って感じだったわ。ただPFLや他のプロモーションには、私の階級がない(笑)。RIZINもそうね、マネージャーから『RIZINっていう選択肢はどうだ?』と尋ねられた時に、日本で戦う機会が得られるのは凄く良いと思ったわ。
でも、マネージャーの次の言葉は『108ポンドまで、体重を落とせるか』っていうものだった(笑)。RIZINスーパーアトム級は49キロで、ストロー級より3キロほど体重を落とさないといけないから」
――ナターシャのコーチのキング・モーが49キロまで体重を落とした動画をRIZINに送り、契約が成ったという話も伝わってきます。柔道の時もナターシャは52キロ級で戦っていましたが、そこからさらに体重を落とすことは大変ではなかったですか。
「そうね、マネージャーから『落ちるか』と尋ねられた時に私は『やってみる』と答えた。そして年が変わる前に、49キロまで落ちるかトライしてみたの。MMAでは最後の1日に10キロとか落としているファイターがいるけど、私は52キロという体重で20年以上戦ってきて、そんなに減量することはなかった。柔道はたいていの場合、前日計量で。でも戻し幅は5パーセント。当日にチェックされることもあったから。
だから計量の前日でも食べたいモノを食べていて、ATTのメンバーも『なんで明日が計量なのに、そんなに食べているんだ?』って驚いていたわ(笑)。だから3キロや4キロは落とせるかと思っていた。正直、少しは大変なこともあったけど、普段からストロー級の体重をほぼキープしていたから、49キロには大きな問題なく落とせた」
――恐らく大きな舞台で戦うとすればRIZINの49キロで戦うか、ONEでハイドレーション有りの52キロで戦うかだったと思います。いずれの大会にしても、ユニファイドMMAとは違うルールを用いています。RIZINルールで戦うことに関して、ナターシャはどのように思っていますか。
「凄く楽しみだわ。だって、私は楽しむために戦っているから。ユニファイドルールでは許されないグラウンドでのヒザ蹴りが許されるなら、『OK、トライする』ってことだけで。寝転がっている相手にヒザを入れたり、踏みつけたり、蹴り上げるとどうなるのか。凄く興味深い。ルールで許された攻撃は、なんでも使うだけね」
――では対戦相手の浜崎選手の印象は? 彼女も元柔道家です。そして『この試合は柔道じゃない。MMAが何かを教える』という趣旨のコメントをしていました。
「MMAが柔道じゃないなんて、分かり切っているわ(笑)。それに日本の柔道とロシアの柔道は全く違う。だから、柔道で戦うなら、その違いも教えてあげたい。この試合は彼女の言う通り、MMAだから。確かに彼女のMMAの経験値は、私より高い。でも、全く気にしていないわ。柔道時代と同じように、勝つために日本に行くわけで。
今の私の目標はRIZINスーパーアトム級のチャンピオンになること。そのために減量をして、契約をした。誰が相手でも構わない。チャンピオンとも戦えるし、今回のようにその他のガールズと戦うことも厭わない。私は勝利を手にするために戦うだけで」
――アトム級とスーパーアトム級でトップに君臨し続けてきた浜崎選手の実力をどのように評価していますか。
「私はATTで練習をしているのよ。私のテイクダウン、サブミッションが彼女に劣るわけがない(笑)。それを試合で証明するわ」
――では福岡ではサブミッションで一本勝ちすると?
「それは分からない(笑)。どういう風に戦うか、プランはないから。柔道の時から、ゲームプランはなかった。対戦相手を前にして、ただ戦うだけ。でも一番大切にしているのは、楽しむこと。それが戦い続ける理由だから。
とにかくまた日本で戦えることが嬉しくて。許されるなら、毎月のように日本で戦っていたい。そのために体重もキープするから」
――ナターシャ、今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。
「日曜日、私の柔道、私の打撃、私のMMA。全てを見てもらいたい」
■視聴方法(予定)
4月12日(日)
午後12時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN LANDMARK13対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者] 久保優太(日本)
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]ダニー・サバテロ(米国)
[挑戦者]後藤丈治(日本)
<ライト級/5分3R>
堀江圭功(日本)
パトリッキー・フレイレ(ブラジル)
<スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
ナターシャ・クジュティナ(ロシア)
<フライ級/5分3R>
神龍誠(日本)
エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
アジズベク・テミロフ(ウズベキスタン)
<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
アバイジャ・カメオ・メヘイラ(米国)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
ジェームズ・ギャラガー(アイルランド)
<ライト級/5分3R>
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)
天弥(日本)
<キックボクシング・フェザー級/3分3R>
朝久泰央(日本)
シンパヤック・ハマジム(タイ)
<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
火の鳥(日本)
<バンタム級/5分3R>
井上聖矢(日本)
宮川日向(日本)
<ライト級/5分2R>
大木良太(日本)
荒井銀二(日本)
<バンタム級/5分2R>
山﨑鼓大(日本)
有松朋晃(日本)
<フライ級/5分2R>
八尋大輝(日本)
岡本舜(日本)
<キックボクシング・フライ級/3分3R>
今村流星(日本)
YUKI(日本)




















