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【UFC ESPN71】米国移住を決めた?! フレッチャー戦前の中村倫也―03―「行きたい場所には行けそう」

【写真】中村は136ポンド、フレッチャーは135.5ポンドで計量を終えている(C)Zuffa/UFC

2日(土・現地時間)、ネヴァダ州エンタープライズのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN71に出場し、ネイサン・フレッチャーと対戦する中村倫也インタビュー最終回。
Text by Manabu Takashima

ネイサン・フレッチャー戦に向け、改めてATTでの練習で得られたこと。さらに、ここまでのインタビューで聞かれた中村の言葉で、気になった点を改めて尋ねた。

そこで返ってきた言葉から中村倫也という人間は、気が注入される器自体が変化したことが伝わってきた……。

<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>
<中村倫也インタビューPart.02はコチラから>


コンスタントに積み重ねられたモノに対して、かなり手応えを感じています

――アマMMAを戦った時の絶対に腕十字で取るという感じで、仕掛けまくって取った。そんな我儘を通せる戦いが懐かしいですね。

「ハハハハ。本当にそうですね。勝てるという空気を持つことすら、良くない。そういう戦いになってきました」

――改めてフレッチャーですが、ハマれば強い。バックコントロールに掛ける執念は凄まじいです。

「そこを大切にしているので、セットアップも慎重です。ストライカーと戦っても、相手が組みに来るのを待つぐらい。だからこそ、前回の試合とは違う自分を見せないといけないです。あのままじゃ変われないと思って、ATTに来て創り込んできたので。そのなかで大きなケガも全くなく、コンスタントに積み重ねられたモノに対して、かなり手応えを感じています。それが勝手にでるかなと、思っています」

――その積み重ね、ダニー・サバテロやジャビッド・バシャラットなどえげつない選手とやってきたわけですよね。

「ハイ。バシャラットは兄弟できていますね。ジャビットは頭が良いです。それになんでも吸収しようとしていますね。同じフロアで生活をしていると、僕のストレッチを見て『その伸ばし方を教えて欲しい』って部屋まできます。8時以降になるとブルーライトをカットするサングラスをつけて歩いていますし」

――う~ん、倫也選手に負けない徹底的に取り組み選手が集まってきているわけですね。色々な新しい経験ができそうです。

「ダニー・サバテロのしつこさとかも、ちょっと経験したことがなかったです。本当にしつこいですね。自分も同じぐらいしつこいはずだけど、手の長さがある分、最初はやり辛かったです。アジャストするまで、めちゃくちゃ苦戦しましたね。

あとサルバルジョン・ハミドフ。タジキスタン人選手なんですが、こないだマゴメド・マゴメドフに負けて16勝1敗になった。ハミドフもレスリングが凄く強くて、良い練習になりましたね。

それと(カルシャガ)ダウトベックのボクシングは、めちゃくちゃ上手いですね。スタンドゲーム、前手が凄く上手い。前手が上手い人は、足を蹴るのも上手いです。そこで距離を把握しています」

――どんどん名前が出てきますね。「なぜ、リンヤは日本に帰った」と前回言っていたパントージャとは?

「パントージャはタイトル戦を控えていて、相手がカイ・カラフランスだから僕とはタイプが違うので。今回はほとんど一緒にやっていなかったです。ただ試合が終わって練習に戻ってきてからは、グラップリングはやっています。『こっちに住め』って言われますね(笑)。でも今回、こっちで積み上げた方が手応えを感じて、自分に対する疑いも少なくて済みます。自分のなかでは今ところ、こっちで創っていきたいという気持ちが強いです」

――そんななか、話を訊いていて疑問に思ったことを改めて尋ねさせて下さい。

「ハイ」

――堀口選手のアドバイスが、凄く為になっているということですが、前回のATT滞在時に左の蹴り方のアドバイスがあり、そこを気にする余りバランスを崩したということがありました。あまりにの影響を受けてしまうという恐れはないでしょうか。

「勿論、耳を傾けて自分に生きる部分とそうでない部分があるとかは考えています。それは恭司さんに限らず、なんでも全て聞いた通りにしていると、自分がアドバイスをしてくれた人になってしまうだけなので。

前はその言葉だけを聞いて、自分で考えてしまっていました。考えて消化しようとしていたのですが、その言葉に含まれている真意や改善方法を僕が聞きだせば、掘り出せたかもしれない。それなのにそのまま咀嚼して、自分なりの解釈で創ってしまった。まさに未熟だったんです」

――なるほど……です。その気付きは内面の変化で、それが外側の変化に通じているのでしょうか。

「ハイ。この情報を入れたら、間違った方に行ってしまうなという風なこともありますし。そうしたら、体はそっちの方にはいかないです」

崇矢が近くにいるのは、孤独感をちょっと薄れさせてくれます

――今後はよりATTで過ごす時間が増えそうな倫也選手ですが、日本の必要性はどういう部分にあるのでしょうか。

「抽象的になりますけど、気を注入できるところ。本当に息を抜くことができる場所ですね。それぐらいになってくるような気がします。現役の間は、日本はそういうところになるかと。こっちに引っ越すことも考えています」

――押忍、いよいよ固まったて来た倫也選手ですが、あまり意識してはいけないことかもしれないなか、どのような試合をしたいと思っていますか。

「オートでハードに行きつつも、そのなかに動きとしてソフトを内包しているような。そんな動きを表現できたらなと思っています」

――その「オート」という言葉が共有できるのは、日本の仲間ではないのでしょうか。

「それこそATTにいて恭司さんとも、そういう話をしているのですが……そうですね、自分の格闘技が好きという炎を灯し続けてくれるような。勢いをつけてくれる存在ですかね、日本に住んでいる仲間は。それに(鈴木)崇矢はジムは違いますけど、こっちにいる時は休日に会ったりもしています。

それこそDREAMERSの時から崇矢や京ちゃん(中村京一郎)と、ずっとそんな話をし続けてきたので。崇矢が近くにいるのは、孤独感をちょっと薄れさせてくれます。会おうと思えば会える仲間が近くにいるのは嬉しいですね。崇矢のハッピーな性格は才能です」

――ではソフトを内包したハードな動きが、オートで出ることを期待しています。

「これまでコンペティション、試合、試合、試合っていう人生だったんですけど、こういう時の自分って爆発するって分かるんです。今回、その爆発する予感がしています。なので自分自身で凄く楽しみなんです。このまま行けば、自分が行きたい場所には行けそうので」




■視聴方法(予定)
8月3日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前6時45分~U-NEXT

■UFC ESPN71対戦カード

<フライ級/5分5R>
平良達郎(日本)
パク・ヒョンソン(韓国)

<ライト級/5分3R>
クリス・ダンカン(英国)
マテウス・レベンツキ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
エステバン・リボビチ(アルゼンチン)
エルヴィス・ブレネウ(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホサ(ブラジル)
ノハ・コホノール(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダニー・シウバ(ブラジル)
ケヴィン・バジェホス(アルゼンチン)

<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
ジェイソン・フレッチャー(英国)

<ミドル級/5分3R>
ホドウフォ・ヴィエイラ(ブラジル)
トレシャン・ゴア(米国)

<ミドル級/5分3R>
ニック・クレイン(米国)
アンドレイ・プリエフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
オースティン・バシ(米国)
ジョン・ヤニス(米国)

<フライ級/5分3R>
フィリッピ・ブネス(ブラジル)
ハファエル・エステヴァン(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(ベネズエラ)
ケトレン・ソウザ(ブラジル)

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