【UFC ESPN71】中村倫也と対戦、ネイサン・フレッチャー「フリースタイルとMMAレスリングは違う」
【写真】懸命にマージ―サイド英語を抑えて話してくれたフレッチャー。凄く穏やかだが、絶対的な自分へ信用度の高さが伝わってきた(C)MMAPLANET
2日(土・現地時間)、ネヴァダ州エンタープライズのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN71に出場し、中村倫也と戦うネイサン・フレッチャー。
Text by Manabu Takashima
戦績は9勝2敗、UFCでは1勝1敗の英国人ファイター。あのパディ・ピンブレットのチームメイトは、リバプールで磨き上げたMMAレスリングに絶対の自信を持っていた。
サクラバ・ショーツを履いて戦った試合では、RNCで一本勝ちできて良かった(笑)
――土曜日に中村倫也選手と戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は7月30日に行われた)。
「良い思い出があるベガスに戻ってくることができて嬉しい。とても良い感じだ。体重も良い感じで落ちていて、体調も問題ない。やるべきことをやる。とにかく一つ一つやるべきことやる。その場にいることにワクワクしているよ」
――中村選手と戦うことで、日本でネイサンへの注目度が高まっています。と同時にコロナ・パンデミックでMMA大会が激減していた2020年12月、Cage Warriorsでネイサンの試合を視たのですが、あの時は桜庭和志選手を思い起こさせるショーツを着用していました。
「あれは……。正直に話すと、僕のショーツでなくパディ(ピンブレット)のショーツだったんだ。チームメイトのパディがサクラバのファンで、アレはスクランブルが英国で販売していたんだ。僕はレイ・ミッチェル戦の1試合だけ、パディのショーツを借りて戦った。僕もサクラバのファンで、PRIDEの試合は大好きだった。だからといって、ずっとサクラバを見続けてきたわけないけど、このスポーツのパイオニアの1人だと思っている。
素晴らしいサブミッションの持ち主で、無差別級で大きな相手を戦ったのは凄かったよ。しっかりと技術で戦い、困難な試合で勝利していた。僕もサクラバ・ショーツを履いて戦った試合では、RNCで一本勝ちできて良かった(笑)」
――PRIDEを視て、UFCと違いを感じたと思います。
「凄く違っていた。だってグラウンドで相手の頭を蹴って良いんだから。踏みつけることもできる。UFCにはない攻撃だけどグラウンドで人の頭を踏みつけるって、より現実的なルールセットだよ」
――そのPRIDEに影響を受け、MMAファイターになる人生を歩んだ中村選手の印象を教えてもらえますか。
「技術力が高い。彼のような選手と戦えて、嬉しいよ。サウスポーのレスラーだよね。でも、僕はサウスポーは苦にならない。オープンスタンスだし、そこは戦いやすい。僕の技術をぶつけることができるから、楽しみなファイトだ」
フリースタイルレスリングのテイクダウン防御では、僕のヒザやパンチを織り交ぜたMMAレスリングを止めることはできない
――試合のキーポイントは、どこになると考えていますか。
「僕としては、アグレッシブに自分の戦いを貫くことができるか。自分から動いて、相手を反応させる。自分のペースで戦いたい。それができれば、僕の試合になる」
――テイクダウンをされても、自分の庭で戦えるという想いはありませんか。
「そうだね。彼はレスリングベースで、グラップラーといっても僕とはスタイルが違う。グラウンドで、僕とやりあうつもりがあるのか。そう考えているなら、望むところだよ。グラウンドもスクランブルも、どちらも大丈夫。トップゲームをしたくてレスリングを仕掛けてきても、大丈夫だ」
――中村選手が高いレスリング能力をディフェンスに最大限に生かすと、自然と試合は打撃勝負になるかもしれません。
「MMAレスリングとフリースタイルレスリングは、全然違う。ケージレスリングに関して、自分でも凄くハイレベルのケージレスラーだと思っている。フリースタイルレスリングのテイクダウン防御では、僕のヒザやパンチを織り交ぜたMMAレスリングを止めることはできないだろう。僕はテイクダウンをして、グラウンドに持ち込むことができる。
それ以前の打撃の攻防でも、さっきも言ったように彼はサウスポーで凄く基本的な動きしかしない。だから打撃でも僕が有利だ。どの局面になっても戦えるよ」
――ネイサンは地元のリバプールのネクストジェネレーションMMAで常にトレーニングをしていますが、中村倫也選手を始め日本のトップ選手は米国のジムに所属することも少なくないです。英国人ファイターも米国でキャンプを行うケースもあります。彼らが米国のジムを拠点にすることをどのように思っていますか。
「きっと、そういう選手は小さなジムに所属していたからだろう。スパーリングパートナーを求めて、ATTとかに行くんだ。不幸なことに最高のコーチやジムが、近くになかったんだよ。
僕にその必要はない。ネクストジェネレーションにはワールドクラスのコーチと、ワールドクラスのファイターがいる。僕の階級は常に5、6人の練習相手がいてくれる。パディに代表されるようにライト級まで世界レベルのファイターが所属しているからね。
ジムの規模、練習パートナーもそうだけどコーチとの関係が本当に重要になってくるはずだ。僕はコーチともチームメイトとも最高の関係を築けているから、ネクストジェネレーションだけで十分な対策練習ができる。実際にリンヤ・ナカムラの動きをしっかりと研究し、チームメイトの協力で十分対応できるようになっているよ。過去8週間のトレーニングで完璧に仕上がった」
――もう15年も昔にリバプールに行った時は、ダウンタウンにジムらしいジムもなかったです。
「そうだね。リバプールではずっと長い間、ボクシングが一番人気のあるコンバットスポーツだった。でも、今はMMAが一番だ。ジムも多い。それでも、これからだよ。パディの活躍もあって、ヤングキッズがMMAを始めるケースが凄く増えている。17歳や18歳の選手が、もう10年もMMAの練習をしているケースだってある。今も英国のファイターは十分に強いけど、あの子たちが成長した時には英国人ファイターがUFCをドミネイトしているだろう。彼らの世代はフットボールでも、ボクシングでもなくMMAに夢中になっているからね」
――5、6年後はオクタゴン・インタビューはスカウス訛りだらけになっていると。
「アハハハハ。きっとそうだ。ただ僕もそうだけど、懸命に普通に話す努力をするはずだよ(笑)」
――ネイサン、今日はありがとうございました。では日本のMMAファンにメッセージをお願いします。
「日本のファンの皆、ゴメン。土曜日には皆が期待している選手を叩きのめすことになる。でも、敬意を持って戦うことを誓う。リンヤ・ナカムラと僕の試合を楽しんでほしい」
■視聴方法(予定)
8月3日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前6時45分~U-NEXT
■UFC ESPN71対戦カード
<フライ級/5分5R>
平良達郎(日本)
パク・ヒョンソン(韓国)
<ライト級/5分3R>
クリス・ダンカン(英国)
マテウス・レベンツキ(ポーランド)
<ライト級/5分3R>
エステバン・リボビチ(アルゼンチン)
エルヴィス・ブレネウ(ブラジル)
<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホサ(ブラジル)
ノハ・コホノール(フランス)
<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ダニー・シウバ(ブラジル)
ケヴィン・バジェホス(アルゼンチン)
<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
ジェイソン・フレッチャー(英国)
<ミドル級/5分3R>
ホドウフォ・ヴィエイラ(ブラジル)
トレシャン・ゴア(米国)
<ミドル級/5分3R>
ニック・クレイン(米国)
アンドレイ・プリエフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
オースティン・バシ(米国)
ジョン・ヤニス(米国)
<フライ級/5分3R>
フィリッピ・ブネス(ブラジル)
ハファエル・エステヴァン(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(ベネズエラ)
ケトレン・ソウザ(ブラジル)