【DEEP117】佑勢乃花とのストロー級暫定王者決定戦、越智晴雄─01─「愛媛から東京での試合は初めて」
【写真】故郷でジムを開き、生徒に背中を見せるタイトル戦となる越智(C)SHOJIRO KAMEIKE
10日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP117で、越智晴雄が佑勢乃花とのストロー級暫定王者決定戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike
越智は2017年9月にDEEPストロー級王座を獲得し、2度の防衛に成功した。しかし2020年8月、川原波輝に敗れてベルトを失い、以降はフライ級で戦っていた。フライ級GP以降はストロー級復帰を視野に入れ、キャッチウェイト戦で2連勝し、今回の暫定王座決定戦に挑むこととなった。今年7月には地元の愛媛県でジムをオープンした越智に、愛媛での練習環境について訊いた。
――MMAPLANETで前回インタビューさせていただいたのは、DEEPフライ級GPの本田良介戦の時でした。やはりストロー級に落とすと、目に見えて絞り具合も違いますね。
「あぁ、痩せていますか。フライ級の時よりも3~4キロ違いますからね」
――フライ級で試合をする時と今回では、練習時の体重も違いますか。
「試合直前になると体重も違いますが、普段の練習時はそんなに変わらないと思います。ただ、僕もストロー級で戦っていたのが3~4年前なので、記憶も定かではなくて(笑)。もともと試合当日の体重は、ストロー級でもフライ級でも同じぐらいでした。今回はちょっと怖いので、早めに減量しているんですよ。だから今回は、試合当日もそこまで体重は戻っていないかもしれませんね」
――「今回はちょっと怖い」というのは?
「単純に計量失敗が怖いです(苦笑)。去年12月の中村真人戦は55キロ契約で、今年5月のキム・ウジェ戦も56キロ契約でしたから、フライ級と変わらない体重だったんですよ。完全にストロー級まで落とすのは、川原波輝選手に負けて(2020年8月)以来で」
――フライ級で試合をする時は、それほど減量もなかったのですね。
「体重については試合直前に微調整するぐらいで、減量とは呼べない程度のものでした。でも今回、減量はあってもコンディションは良いですね」
――なるほど。越智選手は現在、地元の愛媛県でご自身のジム「Little Giant Gym(リトル・ジャイアント・ジム)」を運営されています。まずはジムについて教えてください。
「今年7月1日、愛媛県松山市にジムをオープンしました。3月中旬に愛媛県に戻って、5月末に試合をしてからまた愛媛でジムのオープン準備があり――という感じで。前回は、試合前の1カ月間は東京で練習していたんですよ。だから愛媛から行って東京で試合をするというのは、今回が初めてになりますね」
――東京と愛媛では、練習環境も大きく変わりましたか。
「やっぱり大きく変わりますね。ジムを始めたばかりで、プロ選手もいないですし。今はパラエストラ愛媛所属の矢野武蔵君という修斗に出ている選手や、愛媛で柔術をやっている友人と一緒に練習させてもらっています。あとは自分自身でコンディションを落とさないように、走ったり筋トレしたり。昼間は自分のトレーニング、夕方からジムの指導というスケジュールを過ごしています」
――……ひとつ気づいたことを言っていいですか。
「はい。何でしょう?」
――本田戦の前にインタビューさせていただいた時より、表情が柔らかくなっていますね。
「えっ、そうですか。アハハハ」
――フライ級GPの時は、それだけ気持ちも張り詰めていたのか。あるいは地元に戻ったことが、それだけ精神的な面で大きく影響しているのでしょうか。
「どうなんでしょうね……。地元に戻った一番大きな理由は、家族や子育て、自分の両親のことでした。MMAを続けていく環境としては、やっぱり東京が一番だと思うんです。でも家族のことを考えると――たとえば実家の近くに住んでいると、僕の両親もすぐ孫と会うことができますし。そこで両親が喜んでくれているのを見ると、地元に戻ってきて良かったなぁとは思いますね」
――フライ級GPの前から愛媛県でジムを開くことはお聞きしていました。そのなかで、フライ級GPに出る最大の理由が「ベルトが欲しい。現役チャンピオンとしてジムを開きたい」ということで。しかし、その夢は叶いませんでした。
「もともとフライ級GPが始まる前に、ストロー級に戻すことを考えていて。でもフライ級GPのオファーを頂いて、僕としてもベルトが欲しい気持ちも強くてGPに出ることを決めました。GP後にストロー級で戦うことを決めたのも、やっぱりベルトが欲しいからです。
チャンピオンになると、自分以上の周りのみんなが喜んでくれる。ベルトを巻くというのが一番分かりやすくて。最近、ウチのジムも若い子——しかも『プロのファイターになりたいです!』という子の入会が増えていて。ジムにベルトを持って帰ってくることで、そういう若い人たちも『愛媛にいてチャンピオンになれるんだ!』と思ってほしいんです。……僕の場合は10年以上も東京にいたので、ちょっと違うかもしれないですけど(笑)」
――アハハハ。それでも現役王者が指導してくれる、というのは地元の若い選手にとっても大きな力になるでしょう。
「そうですね。あとは、やっぱり東京と愛媛ではMMAの認知度も全然違います。でもベルトがあれば、愛媛県で格闘技を見たことがない人たちにも、MMAのことを知ってもらえるんじゃないかと。そういう形で貢献していきたいです」
――今後の愛媛県での活動にも期待しています。試合の話に戻すと、中村戦とキム・ウジェ戦はフライ級時代よりも動きのキレが良いように感じました。契約体重がフライ級リミットとそれほど変わらなかったとはいえ、何か影響があったのでしょうか。
「実は本田さんとの試合から、感覚的な面で変わったんですよ。試合は負けたけど、これまでの試合の中で一番疲れなかったというか。いつもは試合が終わると死にそうな状態になっているのに(苦笑)。
今まで試合になると『殺してやろう』という気持ちになっていました。でも本田さんとの試合では冷静に戦うことができたんです。力みすぎることがなく、おかげで動きも変わってきましたね」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
12月10日(日)
午後5時10分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、Samurai TV