【Gladiator Kick001】OFGムエタイと国際戦——旗揚げ戦で明確になった、グラジキックが目指すべき未来
【写真】ホテルを利用した旗揚げ戦。OFGムエタイ、国際戦、そして若い選手がキャリアを積む舞台としての課題と目標が明確に(C)SHOJIRO KAMEIKE
20日(月・祝)、大阪市中央区のW大阪でGladiator Kick001が開催された。
Text by Shojiro Kameike
2016年6月に旗揚げされた新生グラジエイターは、これまで興行内にキックルールの試合を組み込むことはあったが、MMAのイベントとして10周年を迎えた。そんななか、今年6月に新キックイベント「Gladiator Kick」の旗揚げを発表。そして迎えた旗揚げ興行の詳細をお伝えしたい。
MMA興行「Gladiator035」直前のインタビューで、櫻井雄一郎代表はGladiator Kickの設立について次のように語った。
「関西にキックボクシングのプロモーションがそれほど多くない。そこに新しい、独特なカラーの団体が誕生する。国際的な活動をしていきたいと思い、インターナショナルと入れました。強い選手が日本国内に限らず、海外でも活躍できると良いという願いを込めて」
関西キック界の現状については、顧問に就任した吉鷹弘氏も「キックは特に地方の子になかなかチャンスが回ってこない。まずは関西で土台を創り、檜舞台に送り出してあげる」と、顧問としての自らの役割を説明した」
現在、立ち技格闘技の分野で「世界」と呼べる代表的な存在はGLORYと、ONEのムエタイ&キックボクシングが知られているところだろう。ともに世界中から強豪ファイターが集まるなか、ONEが実施している「OFG(MMAグローブ)ムエタイ」は新しいルールだけに内容と対策を講じる必要がある。国内でもMMAグローブルールを導入する立ち技系プロモーションが多いなか、Gladiator Kickでもいわゆる「1キャッチ1アタック」のキックボクシングルールと、OFGムエタイルールの2本柱で行っていくこととなった。それは『地方から世界へ』というコンセプトのもと、吉鷹氏が強く推奨したものであったという。
ただし、懸念点はあった。吉鷹氏によれば櫻井代表から新キック団体の設立の話があったのは今から2年半前。MMAPLANETとしても1年以上前から情報は得ていたが、関係者から聞こえてきたのは「OFGムエタイの試合に出場する選手がいるかどうか」という声だった。それも致し方ない。関西ではMMAグローブを使用したキックの試合を経験している選手が少ないためだ。だからこそ、Gladiator KickでOFGムエタイルールを行う意義があるわけだが。
実際のところ、旗揚げ興行では昼の部と夜の部を合わせて全16試合が組まれたが、そのなかでMMAグローブを使用したマッチメイクは3試合のみに。そのうち2試合は、吉鷹氏の指導を受けてグラジのケージでOFGムエタイを戦っていた荒尾祐太と、同じくチーム吉鷹で練習しているMMAファイターの森井翼が韓国人選手を相手に戦った。もう1試合はMMAグローブによるキックボクシングルール(OFM特別ルール)であった。
同じMMAグローブマッチでも、やはり経験の差は顕著に表れている。昼の部でOFM特別ルールとして組まれた奥山琉星×瀧澤直樹では、共に序盤からアタックし続けたものの、薄いMMAグローブであることを意識したのか、やや距離が遠い。そして、ディフェンスの初動も速く感じられる。パンチをもらえば一発で倒れる可能性もあるだけに、MMAグローブを使用した試合を経験していかなければ、距離感が身につかないことも十分に理解できる。MMAグローブの使用は本来、組みの前提が存在すること。奥山×瀧澤の一戦でも、むしろムエタイルールのほうが至近距離の攻防が生まれていた可能性は低くない。それはもちろん、組むことで攻撃を封じることができるからだ。チェ・チャンヒョンを判定で下した荒尾は、相手の組みで封じられた側だろう。
チェ・チャンヒョンは韓国エクストリーム・コンバットに所属するファイターだ。キックボクシングをベースとし、現在はアマチュアMMAで経験を積んでいる。2023年にはブラックコンバットのオーディションに「ショータイム」のニックネームで参加したこともある。ラッシングパワーと回転系の技を繰り出すことが多いが、それも組みの強さがあってのことだろう。荒尾戦では打っては組み――の連続で、組むとワキを差し上げて荒尾を倒す場面も多かった。結果は前に出続けたことを評価されたのか、荒尾が判定勝ちを収めたが、試合後に吉鷹氏も荒尾自身も「今日は負けです」と悔しい表情を浮かべた試合内容だった。とはいえOFGムエタイルールで戦うのであれば、こうした組みの強いファイターとの試合は必須。きっと吉鷹氏は、今後も荒尾に組みの強い相手との試合を課すに違いない。
もう一つ、望まれるのは国際戦だ。荒尾と森井が挑んだOFGムエタイルールのほかに、夜の部には2人のブラジリアンファイターが登場した。大聖×ヤン・アウベスは開始早々から互いにアタックするなか、初回に大聖が右で倒すが、2Rにアウベスが左右ローで3度ダウンを奪って逆転KO勝ち。貴之×マルコ・ダニエルの一戦は、前に出て来るダニエルの顔面を貴之は右で打ち抜いた。前のめりに倒れたダニエルは立ち上がるもダメージが深く、レフェリーストップに。明らかに日本人ファイターと異なるリズムと積極性を持つ相手と軽経験を積むこともまた、OFGムエタイの増加とともにGladiator Kickに期待したい点だ。
最後に――今大会のベストバウトとしては夜の部コメイン、拳徳×高山敦を挙げたい。10代同士のキックボクシングルールの一戦では、蹴りを軸に攻める拳徳と、的確なカウンターを狙う高山がスピーディーな攻防が展開された。結果は延長戦の末、拳徳が勝利。こうした若いファイターが経験を積み、いずれOFGムエタイや国際戦に臨むことこと、Gladiator Kickの目指す未来のように感じられた旗揚げ興行だった。
■視聴方法(予定)
Gladiator Kick YouTubeチャンネルにて後日、試合映像を公開
■Gladiator Kick001 昼の部 試合結果
<キック 83キロ契約/3分3R +ExR>
山口ショータ(日本)
Def.3-0:30-28.30-28.30-28.
小山寛太(日本)
<ムエタイ ミドル級/3分3R+ExR>
荒尾祐太(日本)
Def.2-0: 30-29.30-29.30-30.
チェ・チャンヒョン(韓国)
<キック スーパーフェザー級/3分3R+ExR>
白鳥光希(日本)
Def.3R3分00秒 by KO
けんたろう(日本)
<ムエタイ スーパーフェザー級/3分3R+ExR>
奥山琉星(日本)
Def.2-0: 30-29.30-29.30-30.
瀧澤直樹(日本)
<キック 54キロ契約/3分3R+ExR>
久保翔愛(日本)
Def.3-0: 30-28.30-28.30-28.
松本陽勇(日本)
<キック フェザー級/3分3R+ExR>
小寺澤唯人(日本)
Def.3R1分12秒 by KO
久保英明(日本)
<キック フェザー級/3分3R+ExR>
大岩祐輝(日本)
Def.2-0:30-29.30-29.30-30.
小野寺輝夫(日本)
<キック バンタム級/3分3R+ExR>
万次郎(日本)
Def.3-0
岡田和真(日本)
■Gladiator Kick 001 夜の部 試合結果
<キック 61キロ契約/3分3R +ExR>
乱太郎(日本)
Def.3-0:30-29.30-29.30-29.
R¥UZO(日本)
<キック バンタム級/3分3R+ExR>
拳徳(日本)
Def. Ex 3-0:10-9.10-9.10-9
高山敦(日本)
※本戦は30-29.30-30.30-30=1-0でドロー
<ムエタイ 80キロ契約/3分3R+ExR>
森井翼(日本)
Def.3-0:30-28.30-28.29-28.
チェ・ソンテ(韓国)
<キック フェザー級/3分3R+ExR>
加古祐成(日本)
Def.1R0分53秒 by KO
徳永潤也(日本)
<キック ライト級/3分3R+ExR>
貴之(日本)
Def.1R分17秒 by KO
マルコ・ダニエル(ブラジル)
<キック スーパーライト級/3分3R+ExR>
前倉洸(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-28.
灸太琅(日本)
<キック スーパーライト級/3分3R+ExR>
ヤン・アウベス(ブラジル)
Def.3R1分29秒 by TKO
大聖(日本)
<キック ウェルター級/3分3R+ExR>
光輝(日本)
Def.2-0:30-29.29-28.30-30.
TAKUYA(日本)




























