この星の格闘技を追いかける

【Gladiator035 & Gladiator Kick】櫻井代表に訊く、10周年とキック団体設立「既成概念を変えていく」

【写真】櫻井雄一郎代表の考える、これまでの10年と、これからの10年――キック団体設立と併せて、様々な変化も必要になる(C)SHOJIRO KAMEIKE

28日(日)、大阪府豊中市の176BOXで「Gladiator035 ~10周年記念大会~」が開催される。さらに7月20日(月・祝)から新たに「GLADIATOR KICK」もスタートすることとなった。
Text by Shojiro Kameike

2016年6月19日、和歌山ビッグホエールで新生グラジエイターが旗揚げ興行を開催した。当時、業界でも「新生」と呼んでいたのは、それまで和歌山大会のプロモーターであった櫻井雄一郎氏が、キックの試合も組んでいたグラジ全体の興行権を買い取り、ケージMMAに絞って新たなスタートを切ったからだ。

あれから10年、今のグラジエイターに対し「新生」の文字を付ける者はいない。それだけ現在のスタイルが定着してきた。さらにグラジはここから、どのような道を歩むのか。キック単独の興行スタートも含めて、櫻井代表に話を訊いた。


定期的にプロとアマ大会を開催し続けることで、それだけ魅力ある選手が出て来るような環境づくりに

――2016年6月に新生グラジエイターがスタートし、10年が経ちました。

「いやぁ……、アッという間でしたね」

新生グラジとしての歴史は、新設も含めた5階級タイトルマッチからスタート。その後、櫻井代表の地元・和歌山から大阪へ開催の拠点を移して現在に至る(C)GLADIATOR

――この10年を振り返った時、新生グラジ立ち上げの頃にイメージしていたものと現状を比較して、櫻井代表の中で大きく変化してきたものはありますか。

「スタート時は関西を基盤として、日本の中心部を目指してやっていこうという気持ちが少しありました。10年、大会をやってきて『関西では定着した』という感はあります。そんななか東京で大会を定期開催するとか無謀なことはせず、さらに西日本全体でグラジエイターを定着させ、もっと西日本の選手が活躍しやすい場所をつくることで選手も増えてきたということは感じています。それがスタート時と今で違う点ですね。今後も基盤は関西ですが、MMAというスポーツにおいて日本の格闘技界の底上げ、活性化に尽力していきたいと考えています」

――興行の内容について何か大きく変わった点もあるでしょうか。

「10年前からそうですけど、地上波放送のない時代をグラジエイターは歩んできましたし、その状況は今も変わっていません。今の時代、エンターテインメント性が高ければYouTubeなどで人気コンテンツになりやすいとは思います。ただ、プロMMAとしての競技面を忘れてはいけない。その点はしっかりと守りながら、選手個々の人気を上げていくことを考えていきたいですね。選手の人気が上がり、MMAそのものを好きになってくれる人が増える人が増える。そのなかで選手が実力をつけ、海外でも活躍するための窓口になることができれば――と思っています」

――海外という面では、グラジでベルトを巻いてからRoad to UFCに出る。あるいは韓国Black Combatにルキヤ選手をはじめグラジで戦っていた選手が出ています。

「やはりMMAの世界を考えるとUFC、そのUFCと契約するためのRTUですか。グラジ王者でも他の団体の選手でも、やはり実力がないと出られないし、契約もできないわけで。RTUの出場については各選手の実力に応じた展開になるとは思います。

近いところであれば韓国のBlack Combatさんは――現地にも行きましたが、1万人の会場が満員になっていました。実力的にも強い選手が多かったです。そのBlack Combatさんとは深くお付き合いさせていただいています。モンゴルもそうですけど選手が色んなところへはばたくことができるなら、それは良いことですよね」

――そうして選手が海外へ羽ばたくと、一つの課題は生まれます。現在のグラジを見ると、どうしても羽ばたいたあとの選手層が薄くなっている面もあって。たとえばルキヤ選手も、今のトーナメントが終わるまでBlack Combatとの契約が続くでしょう。そうなった場合、やはり新しい選手を入れていかないといけない。それが入れきれていない、という印象はあります。

「なるほど」

――そこでグラジの選手層をさらに増やしていくことについては?

「日本国内でいうと、どうしても首都圏が人口も選手も多く、関西のほうが少ないことは否めません。しかし関西にも格闘技が好きで練習に励んでいる選手は多いですし、特に3年前からアマチュアグラジエイターを開催し始めてから、良い選手が発掘されています。その一人が今、名前の挙がったルキヤ選手で。

ルキヤ選手がアマチュアグラジエイターに出場したのは、まだ16歳の時でした。そこからプロデビューまで秒殺KO勝利が続き、活躍してきました。ファイトスタイルも見ていて楽しい部分もありますし、そういった選手がいつどこから出て来るか分からない、という状況にあると思います。それは本当に巡り合わせという面もあり、こればかりは何とも言えない。だからこそ定期的にプロとアマ大会を開催し続けることで、それだけ魅力ある選手が出て来るような環境づくりに努めています」

――以前と比べてこの1~2年、グラジだけでなく大阪を中心とした近畿圏のMMA大会を見渡すと、それだけ跳び抜けた選手が出て来ることが少なくなったようにも感じられます。

「それはありますね。実際のところ格闘技というかエンタメ要素の強いコンテンツが出てきたりとかもあって、選手がMMA一本で目指していくことが少なくなったようにも感じます。それに伴って選手が東京に行くことは増えました。

だからといって私たちが活動のスピードを緩めてしまうと、今以上に近畿圏のMMAが落ちていってしまう。そうならないためにも団体としてプロとアマの大会を継続していくこと。そうして選手の受け皿を用意しておくことが、我々にできる最大限のことかなと思っていますね」

――そのなかで関西だけでなく、中国地方、四国地方、そして九州まで含めた西日本全体を対象としたスカウティングは考えていますか。

「はい。やはり関西の選手だけだと数は限られてきます。かといって遠方の選手同士のマッチメイクは厳しい面がある。やはり関西の、それなりに応援が来てくれる選手の対抗馬として広島、福岡、沖縄などから選手を呼ぶ場合もあります。今は各地でMMAイベントが開催されています。グラジエイターは、他の団体を邪魔するつもりはありません。協力できるところは、可能な限り協力してやっていきたいですね」

今いる有名選手ではなく、これからの選手が国際的な基準の中で戦い、育っていく

――そんななか今回、MMA興行として並行して「GLADIATOR KICK」を開催していくことを発表しました。GLADIATOR KICKはMMA興行に対し、どのような立ち位置で開催していくのでしょうか。

6月18日、大阪市内でGLADIATOR KICKの設立を発表。第一弾興行は7月20日(月・祝)、心斎橋のホテル『W大阪』にて開催される(C)GLADIATOR KICK

「まず『キック団体を立ち上げましょう』という話になった時、いろいろと名称は考えました。ギリギリまで考えましたが、やはり10年間やってきたグラジエイターの名称を使いたかった。結果、GLADIATOR KICKという名称になりました。ルールに関してはワンキャッチ・ワンアクションのキックボクシングルールと、MMAグローブ・ムエタイという二本柱としてやっていきます」

――櫻井代表から初めてGLADIATOR KICKの構想を聞いたのは、今から1年前でした。先ほどお話もあったとおり、まだまだグラジエイターのMMAでも、やらなければいけないことも多い。そんななかでもう一つキックの興行を増やすことは、リスクも高いと思います。そこでなぜキック団体を立ち上げようと考えたのか。

「その答えは単純です。私は格闘技が好きだから、ですね」

――おぉっ。

「もう一つは、関西にキックボクシングのプロモーションがそれほど多くない、という点があります。そこに新しい、独特なカラーの団体が誕生する。それは業界にとっても明るいことだと思います。そういう前向きな姿勢で立ち上げました」

――GLADIATOR KICKのロゴには「インターナショナル」という文字も入っています。

「国際的な活動をしていきたいと思い、インターナショナルと入れました。強い選手が日本国内に限らず、海外でも活躍できると良いという願いを込めて。もちろん海外から選手も呼んでいきたいと考えています」

――キックの場合、海外となると……。

「今はONEやGLORYといったところでしょうか。MMAもそうですが、日本からそういった団体に出るには様々な道があります。しかしウチは、どこか大手に寄りかかるようなことはしません。ウチはウチで独自に選手を育成して、既成概念を変えていきたいという意気込みでいます。

ロゴに×を入れたのも、既成概念を変えるという意味です。どこまでやれるかは分からない。でも、やってみる価値はある。ポジティブに活動することで、何か風が変わるかもしれない。それが私のモットーであり、私のスタイルですから」

――なるほど。キックも西日本の選手が中心になるのでしょうか。

「そうですね。関西を基軸として活動していきます。年3回ほどのペースを考えていて、基本的にはMMA興行とは切り離して開催します。もちろんMMAファイターがMMAグローブ・ムエタイをやりたい、反対にキックの選手がMMAをやるということはあるでしょう。しかし2つの団体をミックスした興行を――ということは考えていません。GLADIATOR KICKはケージでなく、7.2メートル四方のリングを使いますから」

――7.2メートル四方! 国内だとRIZIN、海外でもボクシングのヘビー級世界戦で用いられるサイズですね。

「ここは無謀にも買ってしまいました(笑)。地上波放送がない時代ですから、テレビのためだけに有名選手を揃える必要はない。今いる有名選手ではなく、これからの選手が国際的な基準の中で戦い、育っていく。それがMMAでもキックでも、グラジエイターが目指す世界です」

■視聴方法(予定)
6月28日(日)
午後12時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Gladiator035 対戦カード

<GLADIATORライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 小森真誉(日本)
[挑戦者] チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)

<GLADIATORヘビー級王座決定戦/5分3R>
アルブリー・ンジャイ(セネガル)
アンデルソン・ブラドック(ブラジル)

<GLADIATORフライ級暫定王座決定戦/5分3R>
久保健太(日本)
熊崎夏暉(日本)

<フェザー級/5分3R>
中村晃司(日本)
田口翔太(日本)

<キック 70キロ契約/3分3R>
荒尾裕太(日本)
アラウージョ・マリーニョ(ブラジル)

<フライ級/5分2R>
マルザヘンペーソク(日本)
荒木凌(日本)

<バンタム級/5分2R>
セイヤ(日本)
佐藤基樹(日本)

<フライ級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
平賢二郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
倉岡寿美津(日本)
遠塚浩希(日本)

<バンタム級/5分2R>
梅永海世(日本)
上荷大夢(日本)

<バンタム級/5分2R>
原田康平(日本)
古賀琉斗(日本)

<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
乾裕次郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
土本暉弘(日本)
ケイタッチ(日本)

<フライ級/5分2R>
谷口隆元(日本)
竹野海佑(日本)

<フェザー級/5分2R>
そのまんまたなか(日本)
稲田光佑(日本)

<ストロー級/5分2R>
諸井友祐(日本)
JORKER(韓国)

<NGF ライト級/5分1R>
前田塁(日本)
金谷有祐(日本)

<NGF フェザー級/5分1R>
佐々谷大仁(日本)
HIROTO(日本)

<NGF ライト級/5分1R>
鴨川恭平(日本)
伊藤幸真(日本)

<NGF バンタム級/5分1R>
矢野星凪(日本)
吉川幸大(日本)

<NGF フライ級/5分1R>
デンジャラスダイスケ(日本)
片山和希(日本)

<NGF ストロー級/5分1R>
田中優輝(日本)
ニコ・アリザ(フィリピン)

PR
PR

関連記事

Movie