【RIZIN54】細川一颯と69キロ契約で対戦、直樹「3キロ程度でどうこうなるレベルの差じゃない」
【写真】取材は7月30日。当日は合同公開練習が開催された(C)SHOJIRO KAMEIKE
11日(火・祝)に東京都江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで開催されるRIZIN54で、直樹が細川一颯と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
元RISE王者の直樹にとって、MMA転向初戦は奥山貴大にKO勝ちを収めたものの、続くRIZIN初出場の芦田崇宏戦とDEEPでの三井俊希戦は苦しい結果となった。しかし2026年に入り木下カラテ戦と黒井海成戦で勝利。そんな直樹が鈴木隼人トレーナーから教わっている内容を明らかにしてくれた。今回は対戦相手の細川一颯と通常のフェザー級契約よりも3キロ重い69キロ契約となったが、「レベルが違うんだよ、というものを見せたい」と言い切る。
自分は甘い蜜を吸うためにMMAに転向したわけではないので
――前回のインタビューは昨年7月、ちょうど1年振りに直樹選手を取材させていただくことになりました。
「どうも、お久しぶりです!」
――この1年の間に2連敗からの2連勝と、山あり谷ありだったと思います。何よりMMA転向2戦目から2連敗というのは……。
「大きい負けでしたよね。特に気持ちの面で大きかったです。特に芦田戦は完全にMMAとしての技術不足で、『もっと寝技をやらないといけない』と思い知らされました。……いや、もともとそう思ってはいたんですよね。だから芦田戦以降もずっと寝技の練習を続けていて、11月の三井戦では打撃で敗れてしまいました」
――本来は直樹選手の分野である打撃で。
「はい。やっぱりMMAの練習をしていると、寝技が良くなっていくにつれて、その時は打撃のほうが疎かになるタイミングが必ずあるんです。他のMMAファイターを見ても、そういう時期があると思います。ちょうどそのタイミングに三井戦が当たってしまいました」
――なるほど。
「かといって三井戦が終わったあとに『やっぱり俺は寝技じゃない、打撃をやろう』とは全く思わなかったですね。得意な打撃でやられてしまったので、気持ちが落ち込むことはありました。でも『今やっている練習は間違っていない』と思っていたし、それを証明したくて。三井戦で負けても、くじけずに毎日組み技の練習をしていたからこそ、今年3月の木下カラテ戦はRNCで勝つことができた。やってきたことは間違いじゃないと思ったし、今となっては『あの負けがあって良かったな』とは思います」
――MMAの場合、打撃と寝技の間にテイクダウンの攻防があります。芦田戦のようにテイクダウンされ、あの状態に持ち込まれてしまったら、どれだけ寝技を鍛えても巻き返すことは難しくなってしまうでしょう。
「そうですね」
――だからこそ打撃と寝技のバランスではなく、テイクダウン・ディフェンスと寝技のバランスをどう考えるか。
「自分の中では、どちらかに振っているというのはないです。テイクダウン・ディフェンスだけやっていて、寝かされたらダメという状態になってはいけないので。実際、黒井海成戦では寝かされても返すことができました。黒井選手はBRAVEにいるあのメンバーの中でも特に寝技が強いらしくて、練習する人が皆『寝技はトップレベル』というぐらいだと聞くんです。でも怖さは全くなかったですね。腕十字を取られそうになったシーンが危なかったと思うぐらいで」
――あの腕十字を凌いだあと直樹選手がチャンスを掴んだ、重要なシーンでした。
「自分が下になっても黒井選手にパウンドを打たせないよう、足を利かせたりとか。そういう寝かされてからの練習もしているし、木下戦のようにテイクダウン・ディフェンスからサブミッションに繋げる練習もしています。
今は練習で寝かされても焦ることはないですね。あえて寝かされた状態をつくってから練習したり、逆に一回も寝ずに練習したりとか……。正直、練習では打撃を強く打てないので、どうしても組み技の練習がメインになります」
――MMA転向2戦目からの2連敗で、『自分はこのままMMAでやっていけるのだろうか』と、続けていくうえで迷いは生じなかったですか。
「いやぁ……確かに『MMAで勝てるのかな?』という不安はありました。でも迷いとかはなかったです。それこそ『またキックボクシングに戻ろう』とか、そう考えることは全くなかったですね。自分は甘い蜜を吸うためにMMAに転向したわけではないので。
『ここで格闘技を終えよう』と思えるジムに出会ったし、『やっぱり俺はキックボクシングのほうが輝けるな』という気持ちにはならなかったです」
よく「どこで柔術の練習をしているの?」と訊かれますけど、僕の場合は「鈴木隼人流』」です
――木下戦ではシングルレッグに対し、スプロールからポジションを整えるのではなく、左腕を相手の首に回しながら背中に飛び乗りました。テイクダウン・ディフェンスなり、RNCの取り方なり、ジムでそう教わっているのですか。
「はい。木下戦は正直言うと、組んできたところを切って打撃で勝負する予定だったんです。『自分から寝技に行くな』と言われていたので。木下選手も20戦以上MMAを戦っていて、一度も一本負けがないですからね。それがいつもの癖でバックに回った時、セコンドのほうをチラッと見たら鈴木隼人トレーナーに『直樹、RNCに行っていいよ』と言われて。
隼人トレーナーからは『顔を切って、そのままバックに回ったら首に腕が入る』と教わっていました。誰からもRNCを取る隼人さんに教わっているから、そろそろ人並みにRNCを極めることができるようになってきたのかなと思っています」
――バックに回る瞬間、セコンドを見る。そしてセコンドの指示を聞くことができるというのは、気持ちに余裕もあったのですね。
「そう考えると、意外と落ち着いていたのかなって思います。最初は打撃で来ると考えていたけど、かなり良いタイミングでシングルレッグに入られて『ヤッベェ』と思いました。でも倒れずにシングルレッグを切ることができて、そのとき心の余裕が生まれましたね」
――その心の余裕が黒井戦にも繋がったのでしょうか。
「それはあったかもしれないです。木下戦はテイクダウン・ディフェンス、黒井戦はそのあとの展開で対処できて、また新しい余裕は生まれました。やっぱりレスリングの組手の練習は、寝かされたあとの組手にも役立ちますからね。僕には柔術やレスリングという決まった組み技のバックボーンがないからこそ、そのあたりは柔軟にやっていけるのかなと思っています」
――道着ありで柔術の練習は?
「やっていないですね。それはMMAの練習の中で――隼人さんも柔術の練習は一度もやったことがないらしいんです。でもノーギなら柔術黒帯の人もバンバン極めたりしていて。隼人さんから教わっている技術も、後々から訊くとやっぱり柔術の技術が多いそうなんですよ。だから僕も足を利かせたり、デラヒーバやバタフライガードをやったりとか。よく『どこで柔術の練習をしているの?』と訊かれますけど、僕の場合は『鈴木隼人流』ですね」
――MMAでマットに背中を着けるのは避けたいですが、やはり背中を着かされてからの展開も練習しておかなくてはならないわけで。
「サバテロもレスリングのイメージが強いけど、柔術もメチャクチャ巧いですよね。細かい技術を教わったあとにサバテロの試合映像を視ると『あぁ、こういうことをやっていたんだ』って、よく分かります」
自分以外の試合を見て泣いてくれるって、本当に素敵なことじゃないですか
――そうして技術とキャリアを積み上げてきた直樹選手にとって、ここでMMAデビュー戦のファイターと組まれたことに関しては、どのように受け止めていますか。
「う~ん……、……そこは特に考えていないです。相手は人気も知名度もある選手で、おかげで注目される試合になると思いますし。そこで『俺とはレベルが違うんだよ』というものは見せたいですね」
――今回はRIZNフェザー級=66キロではなく、69キロ契約のキャッチウェイト戦となりました。3キロの違いは練習や試合内容に影響しますか。
「それも全く関係ないですね。僕と細川選手の間にあるのは、3キロ程度の差じゃないので。
拮抗している相手だったら何か影響はあるかもしれないです。でも今回は、相手に合わせて契約体重が3キロ上になったからといって、どうこうなるレベルの差じゃないことは見せますよ」
――もう一つ、細川選手のベースは空手とキックボクシングです。しかしMMAを戦うかぎりは、キック出身の直樹選手にとってはキックボクシングのような展開にはしたくないかと思います。
「もちろんです。今の僕はMMAファイターで、キックボクサーがMMAをやっているわけじゃない。ストライキングが強いMMAファイターとして、打撃でも寝技でもレベルの違いを見せたいですよね。今後もフェザー級のジョーカーとして、RIZINフェザー級を荒らしていきたいので」
――MMAファイターとして試合を楽しみにしています。最後に、直樹選手の試合ではいつもダンスチームの子供たちとともに入場してきますが、彼女たちはプロのダンサーを目指しているのでしょうか。それだけレベルが高いように感じます。
「ありがとうございます。あの子たちは600人ぐらいいるスタジオから選抜された4人なんですよ。練習とかも凄くて――スタジオでもお客さんから見られていることを意識して、瞬きや視線を送り方、笑顔のつくり方も指導を受けています。僕の入場をキッカケに、あの子たちに興味を持ってもらいたい気持ちもあって。
ただ、あの子たちは凄いのは『自分たちの出番が終わったから、試合はどうでもいい』とかではない。僕の勝ち負けで泣いたりしてくれる。自分以外の試合を見て泣いてくれるって、本当に素敵なことじゃないですか。だから、あの子たちに夢を見せたい気持ちもあるし、自分も力をもらって頑張ることができています。次の試合もぜひ、入場も楽しみにしてください」
■視聴方法(予定)
8月11日(火・祝)
午後1時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN54対戦カード
<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
秋元強真(日本)
<バンタム級/5分3R>
佐藤将光(日本)
パッチー・ミックス(米国)
<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)
<ジャパンGP2026ヘビー級T準決勝/5分3R>
上田幹雄(日本)
エドポロキング(日本)
<ジャパンGP2026ヘビー級T準決勝/5分3R>
スダリオ剛(日本)
酒井リョウ(日本)
<バンタム級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
武田光司(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈治(日本)
アジズベク・テミロフ(ウズベキスタン)
<フライ級/5分3R>
平本丈(日本)
ジョリー(日本)
<69キロ契約/5分3R>
直樹(日本)
細川一颯(日本)
<フェザー級/5分3R>
水野新太(日本)
リー・カイウェン(中国)






















