【RIZIN54】サバテロに挑戦からのテミロフと再起戦。後藤丈治「アイツの幸せを遠慮なく奪いにいける」
【写真】猛者を相手、ストロング・ポイントで戦う。ここは必勝だ (C)MMAPLANET
11日(火・祝)に東京都江東区のTOYOTA ARENA TOKYOでRIZIN54が開催される。同大会では4月の福岡大会でバンタム級王者ダニー・サバテロに挑み、完敗を喫した後藤丈治が再起戦でアジスベク・テミロフと再起戦を戦う。
Text by Manabu Takashima
榊原信行CEOが勝ったサバテロに対し、「フィニッシュを狙わなかった」ことで辛辣な意見をぶつけた試合。敗者となった後藤は、なぜ下になってクローズドガードを取り続けたのか。
そして、あの敗北から前に進むために後藤が採った手段とは。サバテロとは180度、タイプが違うテクニカルなKOパンチャー=テミロフ戦に向け、後藤に話を訊いた。
理詰めで精神論を語ることができる後藤が、知性と野生の狭間でテミロフと拳を交える。
一か八かでなく、しっかりとした技術でトラップが必要だった
――テミロフ戦まで2週間ですが、1つだけ4月のダニー・サバテロ戦について質問させてください(※取材は7月28日に行われた)。
「ハイ。もちろんです」
――2Rまで落としていた。その状況で3Rにクローズドガードを取ったことが、今も解せないです。オープンにして、背中を見せる、あるいはパウンドを打たせてでもスクランブルに持ち込むべき状態だったのではないかと。
「一番は立ちに来るのをサバテロが待っていました。で、俺は立ちに行く動作ができなかったです」
――つまりスクランブルを狙っていたけど、させてもらえなかったということですか。
「そうです。自分らTRIBE TOKYO MMAは立つのが得意なチームなんですけど、できなかった」
――一か八か、どうなろうが何でも良いから動くということは?
「その何でも良いから動くということすら、できなかったです。ガチャガチャするのを予測されて。だから一か八かでなく、しっかりとした技術でトラップが必要だった。けど俺のグラウンドの技術は、サバテロにそれができるほどではなかった」
――リングでなくケージなのに後藤選手が、それすらできない。そこまでだったのですね。
「もちろんバックを譲ろうが、サッカーボールキックで蹴られても立ちあがるという気持ちはありました。でもサリストコントロールからバック、そして足を絡めるとサバテロの狙いに、それを許してもらえなかったです。一貫してそれを狙って、俺の動きは止められました。
どう動けば良いか分からない。何もできない。だから映像を見返すと、最後の方になると『クソ』とか口にしてしまっているんですよ。ダメージもない、疲れてもない。ただ生殺しにされた。もう完敗でした」
――グラウンドのカウンター狙いですね。いや、自分は決してフィニッシュ至上主義ではないですが、現代MMAはトップを取った方にアクションが求められます。そこに則すと、サバテロにアクションが求められ、ブレイクがあっても良かったかと。そうでないと、サバテロのコントロールをアクションとみなして良いわけで。
「まぁ、同じような展開でブレイクが掛かる試合もあったと思います。それこそ自分にこないだの鹿志村(仁之介)選手のようなグラウンドで強力な仕掛けがあれば、サバテロは立たせようとしたはずで。俺がそういうモノを持っていれば、こっちの勝ち筋はあった。ただただ俺の力不足で、負けました」
――それを言うなら、後藤選手を相手にサバテロは打撃でフィニッシュしようとは思わなかったかと。
「まぁ、あの打撃戦を俺相手にはしないですよね(笑)。だからこそ、アイツを超えて行かないといけない。サバテロ戦の経験を生かして、今は立つことができない状態で何をするのか。そのグラウンドの術を学んでいるところです。
ケガもなかったし、試合が終わって2、3日後に(佐藤)将光さんに連絡を取って。Fight Baseに将光さんがどう思ったのかを聞きに行きました。かなりサバテロについては意見交換して、指導もしてもらいました。俺と将光さんで、サバテロを丸裸にしてやろうと。そこをイメージして、一緒に練習をしていると、ちょっと見えてきましたね(笑)」
――試合が終わってからも、サバテロ対策が続いたわけですね。
「それが自分の弱点の克服になるので。月曜日は、ナンバーワン・グラップラーの(岩本)健汰さんに教えてもらっています。と同時にあの試合を経て、自分のなかで吹っ切れたモノもありました」
――それはどういった部分ですか。
「ファイターとしてもそうだし、生きていく上でも体よく生きるのを止めようと。もちろん頭を使って戦うことは、俺の強味でもあるけど、型にはまったスタイルで米国のMMAに立ち向かっていくのは、何かもう無理だなって。
体よく戦うことが手段だったのに、それが目的になってしまった。それをやっていると面白くもないし、勝てなくなる。だったら、失敗したら『お前、何やってるの?』と思われるかもしれないけど、上手くいったら『そういうやりかたがあるんだ』って思われるような動きが必要かと。正しく戦いながら、自分の感覚を信じて博打を打つような戦いをしないといけないと思います」
殴り合いが一番できる相手で、一番打撃の技術が高い相手
――そして、サバテロから一転してテクニカル・ボクサーかつKOファイターのアジスベク・テミロフと戦うことになりました。オファーがあった時は、どのような気持ちでしたか。
「俺は基本的にどんなオファーにも『NO』はないので。だから、長南さんも『テミロフ、どうだ?』じゃなくて、『相手、決まったぞ。テミロフだ』って(笑)。それに対して、俺も『押忍』という一言だけです。
4月にあんな負け方をしたのに、ここでテミロフというのは俺的には有難い話です。ここでまたチャレンジさせてもらえる試合を組んでもらった。なんか、ここで訳の分からないお笑い枠になっちゃう人だっていると思うので。また真剣勝負できる相手と戦うことができるのは、有難いです」
――「ヤバい相手が来た」という気持ちはなかったですか。
「ヤバいはないですね。おっ、来たかと」
――後藤選手と打撃でやり合う相手として、過去最強かと。
「殴り合いが一番できる相手で、一番打撃の技術が高い相手です。頭が止まっていない。そして『ここだ』という場面で、躊躇なく強打を打ち込める。ボクシング技術が高いです。自分が強く打てるポジションにいて、しっかり強く打つ。変に反応して、おかしなパンチを打たない。正しく打っています」
――ボクシングとMMAは、体の崩れ方が違うと思うのですが、その崩れているような態勢からのパンチもまた強い。そこが凄く印象深いです。
「そういうパンチも強いですね。アレ、なんでしょうね(笑)。体が流れていない。上半身は回っているけど、下半身は留まっている。パンチは振っていても、体は振られていない。軸が残っているんですよね」
――目も良いというのか。福田選手がボディを打って、下がったところでアッパーを打ち込んだのも凄まじかったです。
「アレもそうだし、いけると思った時しか手を出さない。いけると思うと先手でも後手でも強打を出す。でも、俺は彼がいけると思った時に、そこにいないです。いけると思わせても、いけない状況を創ります。そこで、テミロフの動きを狂わせます。
LFAでダニエル・アラウージョという選手と戦った試合、アレに近いかと思います。あの試合はアラウージョがボクシングで負けていなくて、テミロフが手詰まり状態になっていました。そこがあのブラジル人の巧さで、凄く参考になりました。テミロフの方から組みに来るような試合になると、俺のペースということになります」
――アラウージョ×テミロフを参考にしたうえで、今回の試合で後藤丈治がしないといけない戦いというのは?
「めちゃくちゃ抽象的で『何だよ』と思われるかもしれないですけど、最後はハートだと思います(笑)。俺、テミロフが自分より上にいると思っていなくて。挑戦するつもりじゃないです。『お前のパンチ、俺に当てられるのか』というマインドでいます。それを最後まで遂行しつつ、チャンスがあればフィニッシュする」
――やるべきことを遂行するのと、型にはまった体の良いファイトの違いはどこにあるのでしょうか。
「理屈にハマらない瞬間が、戦っていると絶対にあります。それは国際戦あるあるというか。日本人選手が相手なら、理詰めでも戦いやすかったりするんですけど、アイツらは理屈が通らないことがある。だからこそ、自分の方が上だと思うことが、結構大事だなって。
いきなりガチスパーをやることになって、相手は階級が上でデカい。パンチ力もあるってなった時に、理屈を通してやろうとしても通じないわけで。でも『俺の方が、パンチがある』というマインドにできるかどうかで、変わってくることもあります。今回の試合では、そういう風に最後までやり通したいと思います。それがさっきも言ったように、吹っ切れているということで。
テミロフの動きを研究して、色々なパターンや流れを想定して創ってきました。でも、試合になるとそこに拘らない」
最後に当たるのは、俺の拳です
――徹底的に理詰めでやってきたうえで、拘らないと。決して理詰めの部分を飛ばすという意味ではないと。
「そこを飛ばすのは、絶対に違います。俺は一つの動きでも、感覚が違うと思ったら、上手くいくまで何十回でも繰り返します。なぜ、上手くいかなかったのをその日のうちに、納得がいくまで考える。それを日々、繰り返す。
練習って体力をつけるため、技を磨くためとか色々な目的があるけど、俺は良い習慣をつけるためだと思っています。追い込み中で、体がついていけずに納得できない攻撃をしてしまうことがあると、悪い習慣として残ってしまいます。だから、そこで終わらずに改善して、良い習慣をつけるための練習にする。その習慣が、試合に出ると思います」
――それこそが、サバテロ対策を試合後も続けたことに通じていますね。
「ハイ。それにあの練習をしてきたことが、テミロフ戦にも生きます。あれをやってきたから、前に出ることができる。めっちゃデカいです」
――佐藤選手はパッチー・ミックス戦。後藤選手はテミロフ戦。完全勝負論のキャリアが懸かった試合になりますね。ここで2人が勝ったら、佐藤×後藤という試合が用意されるかもしれないです。
「嫌です(笑)。できれば将光さんとはやりたくない。自分は相手の幸せを奪う、殺すつもりで戦います。そういう気持ちでなんなら命を落とすこともあるかもしれない戦いをするわけで。
そういう気持ちで試合に向き合うからこそ、将光さんを相手にソレをするのは難しいです。MMAがスポーツだと思っている人は、意外と戦えるかもしれないですね。でも俺はスポーツだと思ってないから難しいです。
でもテミロフはウズベキスタン人で、向こうで何をやっているのかも知らないし関係ない。アイツの幸せを遠慮なく奪いにいける。だから国際戦が好きなんです。
ただチャンピオンという1つしかない椅子を奪い合わないといけないなら、その時は将光さんともやるしかないと思っています」
――押忍。世界で勝つ日本人の姿が見たいイチ記者として、テミロフがビビるところが見たい。そんな試合を期待しています。
「ハイ。ビビらせて、ビビった瞬間を俺は逃さない。最後に当たるのは、俺の拳です」
■視聴方法(予定)
8月11日(火・祝)
午後1時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN54対戦カード
<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
秋元強真(日本)
<バンタム級/5分3R>
佐藤将光(日本)
パッチー・ミックス(米国)
<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)
<ジャパンGP2026ヘビー級T準決勝/5分3R>
上田幹雄(日本)
エドポロキング(日本)
<ジャパンGP2026ヘビー級T準決勝/5分3R>
スダリオ剛(日本)
酒井リョウ(日本)
<バンタム級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
武田光司(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈治(日本)
アジスベク・テミロフ(ウズベキスタン)
<フライ級/5分3R>
平本丈(日本)
ジョリー(日本)
<69キロ契約/5分3R>
直樹(日本)
細川一颯(日本)
<フェザー級/5分3R>
水野新太(日本)
リー・カイウェン(中国)




















