【UFC331】ギガ・チカゼの武術マインドin MMA「ハイレベル・コンペティションの中で磨かれた技こそ」
【写真】チカゼは前日計量を66.22キロ、対戦相手のブリトは66キロジャストでクリアしている(C)Zuffa/MMA
19日(土・現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのクリプトドットコム・アリーナで開催されるUFC331「Can vs Pantoja2」でジョアンデウソン・ブリトと戦うギガ・チカゼ・インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima
剛毅會・岩﨑達也宗師との出会いにより、ジョージア時代に学んだ空手をMMAに取り入れる――そんな原点回帰が可能になったというチカゼ。その意外な合体が今回の対戦で、どのようなケミストリーを生むのか。
武の理をMMAで生かす、そんなギガ・チカゼの武術マインドin MMAを知って欲しい。
<ギガ・チカゼ・インタビューPart.01はコチラから>
――武術家は試合は戦わない。アスリートは生涯を掛けて鍛錬するという視点はあまり持たない。そのなかで武術の理をファイトに生かすという点が岩﨑宗師、剛毅會の特異な点かと思われます。
「それこそ、僕が求めてきたモノなんだ。センセイ・イワサキも僕もよく似たルーツを持っている。例えば武術のマスターはコンペティションに興味を持たない。それならそれで構わないけど、『君は強い男だ。でも、どうやって銃に立ち向かう?』なんて言ってくるんだよ。僕は拳銃を突き付けられた時のために、トレーニングをしているわけじゃない。
センセイ・イワサキは武術で得た知識を僕のMMAにインプットしてくれる。そもそも2001年とかにキックや空手のトップとして活躍し、実績もある人間があんな風にヴァンダレイ・シウバに挑むことなんてありえない。
あんなモノは喧嘩だ、ストリートファイトだとキックボクサーや武術家は背中を向けていた。でも、これだけ攻撃手段があるMMAこそ、本当のマーシャルアーツだ。12年間、これをやってきた僕の結論だよ。立ち技があり、寝技がある。何が起こるか分からないという点において、MMAこそ現実に一番近い。全局面における戦い、それこそかつて沖縄や日本のセンセイが追求していたものだ。
技術は稽古で究めることはできる。でも、その磨いた技がこれだけのハイレベル・コンペティションで通じるのか。そういう中で戦い、磨かれた技こそが、本当の意味で技術だと思わないか。そんな技術を磨いてきたセンセイが、僕を通してMMAに挑む。素晴らしいことだと思うよ」
――型や基本稽古をすることには、MMA界隈でも批判、冷笑されることは多いと思います。
「センセイ・イワサキの型はベリー・オールドスクールだ。でも、型はやらないと分からないことだらけ。型競技の型は本物じゃない。本来は型こそ、世代を超えていく……受け継がれていく真理なんだよ。素晴らしい書物を手にして、読み終える。それから時間を置いて目を通すと、違う解釈が生まれる。それが世代を跨ぐ。型もそういうことだ。これこそ、日本のマーシャルアーツの特筆すべき長所になる。
ただし、しっかりと理解しないといけない。体で覚えるということは、書き物を読むだけではない。本当に色々なことを学ぶ必要があり、しっかりと理解する必要がある。センセイ・チェリゼもこう言っていたよ。『100台のフィアットを創るのではなく、1台のランボルギーニを創れ』とね。
センセイ・チェリゼからマーシャルアーチストとしてだけではなく、人間として導いてもらった。センセイ・チェリゼとは瞑想もしたよ。目を閉じて口を開かず五感で感じていると、第六感が働くようになる。センセイ・チェリゼと離れて、このような経験は誰ともできなくなった。そして感じることもできなかった。
センセイ・イワサキと初めて会ったとき、ジョージア料理を食べた。食べ物とマーシャルアーツのことだけで、4時間も語り合った。あの時からセンセイ・チェリゼと似た空気をセンセイ・イワサキから感じたんだ。
そのプロセスを信じ、今も前進し、習い続け、ファイトする。今後、センセイ・イワサキからはこの間に学んだことの何倍も学んでいくことになる。まだ僕らの関係は始まったばかりだよ。凄くワクワクしている。僕自身、東京と沖縄を訪れセンセイ・イワサキを通じて、他のセンセイの教えも受けたいと思。
僕自身、自分のジム――ギガ・キックをオープンしたばかりだ。そこで指導する僕のキックもある。そこにセンセイ・イワサキから学んだことも加え、空手、キック、MMAで使える打撃を指導していきたい。僕とセンセイ・イワサキのように、マーシャルアーツとMMAをコネクトできる者はそうはいない。一緒にやっていくことが、楽しみでならないよ。
本当にセンセイ・イワサキと出会って、僕は心が洗われたんだ。自分自身に立ち返ることができた。だから次の試合でもコーナーについてもらうんだ。センセイ・イワサキは余り英語が話せないから、訳をしてくれる人がいる、でも、僕は彼に言っているんだよ。『あなたの言葉で話して欲しい』と」
――それは素晴らしいです。英語を日本語に変えたり、日本語を英語に変換するよりも英語は英語で、日本語は日本で頭に入った方が絶対に良いと思います。単語や文法が稚拙でも。
「そうなんだよ。言葉は言葉、でもそこにエネルギーが存在している」
――言霊ですね。いやぁ、ギガからそのような言葉が聞かれるとは思っていなかったです。
「なんせレン・ヒラモトの試合があるのに、LAに来てくれた。そしてレンのコーナーに就くために日本に帰国し、またLAに来て僕のコーナーに就いてくれる。凄く彼のラブを感じている」
――今後が楽しみなギガと剛毅會の合体ですが、次の試合ですぐに効果が表れることはあまり期待すべきではないと思っています。その辺りいかがでしょうか。
「この試合に向けては、ハードなトレーニングを続けてきた。ジョージアからレスリング王者も来てもらって、スパーをしている。べニール・ダリューシュは柔術を指導してくれ、カブ・スワンソンや本当に多くの人たちがサポートしてくれた。
そしてセンセイ・イワサキは、常に一緒にいて僕の動きを見てくれている。ここで僕らが何を試合でやるかは話せないけど、絶対にテクニカルなファイトを楽しんでもらえるはずだ。できればフィニッシュしたいと思っている」
――ではジョアンデウソン・ブリトの印象を教えてください。
「良いファイターだ。荒々しく、穴もあるのにデンジャラスな相手になる。テクニカルなのは僕で、でも彼は爆発力がある。ベストグラップラーでもベストレスラーでもない。もちろん、ベストストライカーじゃない。でも、メチャクチャ戦闘意欲が高い。
ただし、本当にデンジャラスなファイターだ。そういう相手だからこそ、僕は勝たないといけない。自分の技術と戦略を信じて、やるべきことをやるよ」
――喧嘩屋でワイルド。だからギガの間合いのコントロールの妙を期待してます。
「もちろん、スピードとリーチ・アドバンテージを生かして、しっかりと僕の技術講習の時間にしたいと思う。計算された動きで、フィニッシュする。どの対戦相手も自分はストライカーと言っていても、僕と戦うとテイクダウンを狙ってくる。また同じことになる。だから、十分に準備してきたよ。最初の一撃で恐怖心を植え付けて、彼に自分の試合ができないようにするつもりだ。しっかりと試合をコントロールして、睡眠薬を投薬する。彼には何も気にせずに、眠ってもらうよ」
――押忍。今日は本当に興味深い話をありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
「僕は日本が大好きだけど、一度も行ったことがない。でも今年中に日本を訪れ、食、武術、ジョージアと本当に共通点の多い思考を持つ人々にしっかりと触れたいと思う。そしてギガ・キックと剛毅MMA、センセイ・イワサキが日本の素晴らしい文化をUFCという舞台で伝えていくことに期待してほしい」
■視聴方法(予定)
9月20日(日・日本時間)
午前6時30分~UFC FIGHT PASS
午前6時00分~U-NEXT
■UFC331対戦カード
<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)
[挑戦者]アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
パトリシオ・フレイレ(ブラジル)
チェ・ドゥホ(韓国)
<ヘビー級/5分3R>
ゲイブル・スティーブソン(米国)
ショーン・シャラフ(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
イヴォ・バラニエフスキー(ポーランド
アロンゾ・メニフィールド(米国)
<130ポンド契約/5分3R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
エドゥアルド・シャポリン(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
ロベリス・デスパイネ(キューバ)
<フェザー級/5分3R>
マイケル・アズウェルJr(米国)
ユ・ジュサン(韓国)
<ミドル級/5分3R>
ヒアン・ガンドラ(ブラジル)
オジー・ディアズ(米国)
<ミドル級/5分3R>
エドマン・シャバジアン(米国)
ブルーノ・フェヘイラ(ブラジル)
<女子フライ級/5分3R>
ケイシー・オニール(英国)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ギガ・チカゼ(米国)
ジョアンデウソン・ブリト(ブラジル)


















