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【Gladiator036】NavE、2年半振りのMMA=タイトルマッチ&ラストファイトへ「勝ってMMA成仏したい」

【写真】(C)NAVE/em>

20日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator036で、NavEが同じフライ級王者の今井健斗に挑む。NavEにとっては、この試合がラストファイトとなる。
Text by Shojiro Kameike

NavEは2012年に旧グラジエイター大阪大会でプロデビュー。その後はパンクラスを経て2016年11月から新生グラジに戦いの場を移し、同フライ級王座も獲得している。モンゴルのニャムジャルガル・トウメンデムベレルにKO負けでベルトを失ったが、そのニャムジャルガルが返上した王座を争うトーナメントに出場。初戦で藤沢彰博を下し、次はベルトを賭けて2024年5月にオトゴンバートル・ボルドバートルと対戦する予定であったが、NavEが練習中にヒザの靭帯を負傷し、試合はキャンセルされた。

以降はここまで2年半、選手としてケージの中に立つことはなかった。そのNavEが今回のラストファイト、しかもタイトルマッチに出場することになった経緯とは――2年半のブランク、さらに自身のキャリアを振り返るとともに、ラストファイトへの想いを語ってくれた。


自分としてはトーナメントで優勝して引退しようと思っていて――

――2024年5月、オトゴンバートルとのフライ級王座決定トーナメント決勝戦の前にNavE選手のインタビューを行っていましたが、試合が流れるとともに記事もお蔵入りとなっていました。試合もインタビューも、2年半振りとなります。

「そうですね。トーナメント初戦が2024年4月の藤澤戦で、8人制トーナメントだったのが準決勝は飛び、次がオトコンバートルとの決勝になって――それも負傷して試合がなくなったので、今のところ藤澤戦が最後になっていました」

フライ級王座決定トーナメント初戦では、藤澤を左の攻撃からパウンドアウトしている(C)MMAPLANET

――以降、何度か日を改めてNavE選手とオトコンバートルの決勝戦を行う話があったものの、立ち消えになっていたという経緯があります。あれから2年半、このタイミングでラストマッチを行おうと思ったのでしょうか。

「このタイミングというわけではなく、そもそもトーナメントの時に引退しようと思っていたんですよ。グラジで一度チャンピオンになることができて、在位期間はグラジの中では最長らしいです。そのベルトはニャムジャルガルに秒殺で負けて失い、ニャムジャルガルが返上してすぐ王座決定トーナメントが始まりました。自分としてはトーナメントで優勝して引退しようと思っていて――決勝の相手がオトコンバートルに決まり、これから伸びてくる若くて強い選手と戦って終わろうか、と。でも試合前に怪我をしてしまい、そのラストマッチが延びていたという話なんですね」

――今回の試合については、プロモーターからのオファーと、NavE選手から試合がしたいと伝えたのは、どちらが先なのでしょうか。

「ここまでずっとオファーを断り続けてきました。今年37歳になりますけど、怪我も多くなってきて。若い時は『次も、次も』と毎大会出場していたけど、それができなくなってきたんですよ。それはプロモーターにも伝えていましたね。それでオトコンバートルとの決勝が飛んで、改めて組まれても怪我が……ヒザの怪我は1年ちょっとで回復したけど、練習していて違うところを怪我するということを繰り返しちゃって。結局、今回の試合まで2年半も掛かってしまいました。

やっと『今できるな』というタイミングが、今年の春やったんです。グラジは6月に大会があるから、そこで自分にとって所縁のある相手と、意味のある試合をしたいと思っていました。たとえば一度プログレスで対戦している前田吉朗選手とMMAで再戦するとか、今のMMAとは関係ないけど1勝1敗の加マーク納との3戦目とか」

――それはラストファイトとして、ですか。

「はい。そういうのは叶わず、理想としては最後にベルトを獲って終わることができれば良いのかな、と考えていて。その理想を想像しながら2~3戦ぐらいは頑張ってやろうかな、と思っていたところに、今回の形が巡り巡ってきました。ただ、6月大会でと考えていたら、また怪我しちゃったんです。9月大会は――今はジムの代表もしているので、どうしてもスケジュールがタイトすぎて厳しい。でもプロモーターから『目玉になるカードがひとつ欲しい』と話があって……自分は『無理です』と伝えていました(笑)。

その時は追い込んだ練習をできていなかったんです。日々、格闘技の練習はしている。だけど追い込んだら怪我をする、という中で自分の理想のシチュエーションを汲んでくれるということで。本来なら『順番並び直せよ』と文句のある人もいるとは思いますけど、これまでのグラジとの関係性を汲んでもらい、突然メインでタイトルマッチということで。12回ぐらい断って、最終的に受けさせてもらいました(笑)」

今のほうがテクニックとかポイントみたいなものは、それなりに理解しているんじゃないのかな、と

――選手として考えると不安はありますよね。それだけ試合間隔が空き、MAXで練習出来ていない状態でタイトルマッチのオファーが来たら……。

「やれるのかな、という気持ちはありましたよね。ガンガンやっている時期なら『今井健斗ぐらい余裕だわ』とか思っていたかもしれないです。でも結局は、追い込んで強くなるところはない年齢に差し掛かっている。テクニックは知識として増えているけど、やっぱり瞬発力とか持久力みたいなものは落ちていく。……落ちるというより、使い方かな。同じ5分3Rであっても練習の中で出し続ける出力は落ちた分、ポイントみたいなものは理解しているのかなと思います。それがベテランになったということかもしれないですけど。

若い時は『理解していなくても、走ることはできた』みたいなところがあるじゃないですか。今のほうがテクニックとかポイントみたいなものは、それなりに理解しているんじゃないのかな、と。結局はファイトなので、それが本番にどう生きるかは、やってみないと分からないところですよね。

いきなりMMAを戦う前に、試合勘を取り戻しておかなきゃいけないと思って、最近はグラップリングとか柔術の試合に出ていたんですよ。2週間前にも東京で、SJJIFの世界選手権に、ギとノーギ両方に紫帯で出場しました」

――そうだったのですか!

「最初に靭帯を傷めたあと、負傷明けにJBJJFの全日本に青帯で出て、3位だったんですよ。自分としては『負けたな……』とか思っていましたけど、60人ぐらい出ていたトーナメントで3位だったので紫帯を頂きました」

獲得した柔術のメダル(C)NavE

――オトゴン戦がなくなったあと、柔術から体を動かし始めたのは、いつ頃からですか。

「オトゴン戦が飛んだのが2024年5月で、2025年の8月に出ました。丸1年は何もできなかったです。動き始めたのは去年の6月で、そこから柔術の練習を2カ月ぐらいやってJBJJFの全日本に出ました」

――久々の実戦で、自分の思うとおりに体を動かすことはできましたか。

「柔術としては、1試合6分で、1日6試合したんです。結論でいえば最後はバテました(苦笑)。でも出力としては、柔術トーナメントの出し方としては間違っていたみたいだけど、MMAファイターとしての力は出ていたと思うんですよね。それで1回戦、2回戦と勝ち上がって、バテていったみたいな。柔術はもっとじっくりとポイントゲームしていくものだよ、という教えを頂きました」

――柔術のトーナメント仕様ではなく、1試合1試合MMAの出力で臨んだわけですね。

「そうです(笑)。バンと極めに行く試合をやっちゃったがゆえにバテたところがあって。今年の春ぐらいにJBJJFの全日本オープンに出場した時は、柔術仕様の試合ができたと思います。それがMMAになると、どう生きるのか……」

――その点でいえば、MMAでは全ての要素が必要ではないでしょうか。柔術の技術だけでMMAを戦えるわけではない。でもMMAには柔術の要素が絶対的に必要であって。

「そうですよね。自分はMMAの中でも、どちらといえばグラップラータイプっぽい戦い方にはなっていますけど、やっぱりまた柔術は違いますね。僕の格闘技人生は柔道から始まっていて、プロを引退したら柔術を楽しくやっていきたいとは思っています」

対戦相手がどうというより、最後は自分がどうしたいか、にフォーカスしています

――それと気になる発言もありました。追い込みができている時期であれば、「今井健斗ぐらい余裕だろ」と思っていたのですか。

「う~ん……2年半前なら、ニャムジャルガルには負けましたけど、吉朗さんとプログレスで戦ったり、藤澤戦は余裕を持って試合ができていた感覚があって。その時に上がってきた今井健斗が相手でも余裕だろうと思っていましたね。でもこの2年半の間に彼も成長してきて、自分とは年齢がひと回り以上も違う。今は2年半前の今井健斗の状態と別だとは思うので、強敵として見ています」

――今井選手は2年半の間に、どのような点が伸びたと思いますか。

「以前から圧を掛けて来るスタイルというか。オールラウンダーだけど、どちらかといえば組み寄りですよね。組みで制圧してきて、切り返しもできるファイターで。そこにしっかり付いていくことができるのか。僕もそれなりにフィジカルが強いと言われていたので、まだそれが残っているのか。そこは試合をしてみないと分からないですけど、そういう何か……対戦相手がどうというより、最後は自分がどうしたいか、にフォーカスしています。極論、もはや今井健斗のことはどうでもいいというか。今回は相手がこうしてきたらこう、というのはあまり考えていません。今回の試合については『最後のNavEを観に来てね』という気持ちが強いですね」

――では最後のNavEとしては、何を見せたいのでしょうか。

「今から新しいものを仕入れることもないですし、これまでのNavEの貯金がどこまで現チャンピオンに通じるのか楽しみです。あっさり勝っちゃったら逆に嫌だな、っていう気持ちもあるんですけど(笑)」

――開始早々とかに勝ってしまうと、もう1試合やりたくなるかもしれないですね。

「あぁ、圧勝とかしてしまうと逆に気持ち悪いですね。アハハハ。完敗させてくれよ、とすら思います。もちろん自分が手を抜くわけじゃないし、それで通用する相手ではない。当然勝ちに行きますけど、良い年齢のファイターを勘違いさせるなよ、と(笑)」

――貯金を全て出すというのは、こういう場合は貯金が減っているのか。あるいは増えているのか。

「ファイターとしての貯金は、増えていることはないと思います。なるべく維持している状態じゃないですか。年齢を重ねて脳みそは進化しているかもしれないけど、体は落ちているところは確実に落ちていると思うんですよ。でも残っている部分も感じているし、やり方みたいなものは上手くなっているはずで。

それはケージの中で通用するかどうかは分からないけど……。だから自信があるわけでもないし、ないわけでもない。何て言うんだろう――勝とうが負けようが、この試合で終わりだということは間違いなくて。『勝つから絶対に観てください』とかじゃないし、次のステップアップとかも考えているわけじゃない。今までのファイトとは違う感情がありますね。とにかく自分を応援してくれている人たちに看取ってほしいな、と思います。今回は過去イチ、観に来てくれるので」

最後だから『良い試合して、負けてもいい』とは思わなくて、やっぱり勝ちたい

――NavE選手は選手としての活動はもちろん、大都市圏から離れた場所でもジムを開き、選手も育てきたという実績があります。だからこそ、それだけの数の応援団が会場に来てくれるわけで。

「ありがとうございます。最初は何もツテはないところから、こんな三重県名張市という何もないところから前を向いてファイトし続けてきました。だから今があるんだと思います。その時はただ純粋に強くなりたいという気持ちだけでやっていたので。今は違う視野があったりとか――ファイトに対しては邪心になるのかもしれないけど」

――邪心、とは?

「お金のことだったり、選手の価値観だったり、大会のプロモーションとかを考えたりとか」

――本来は競技として考えれば、選手が大会全体のことまで考える必要はない。しかし大会に継続してもらうためには、興行のことも考えていく必要があるかもしれない。大会にしてもジムにしても、そして選手としてもお金がなければ継続も普及もできないし、難しいですね。

「そうなんですよ。ファイターは皆、そういうことを考えてやっているわけで。昔は『とにかく勝てば次!』としか考えていなかったし。強ければチケットなんて売れなくて良い、とすら思っていて」

――しかし結果はチャンピオンにもなったし、ジムを立ち上げて、皆が会場に来てくれる。

2018年9月に加マーク納との再戦を制してフライ級のベルトを巻いていたNavE。一度は失ったが再び戴冠なるか(C)MMAPLANET

「まずジムを開くために何か形になるものが欲しいと思って、チャンピオンになることを目指していました。競技の面で言えば――ネオブラの準決勝で若松佑弥選手と戦って『何か違う』と思ったんですよね(※2016年6月、若松にTKO負け)。何とか食らいついていったけど、勝ち筋が見えない。初めて試合中に『勝てない』と思ってしまって。今まで、心が折れたのは若松戦だけです。思い返しても、『自分は世界に行くレベルじゃない』と。

だから身の丈に合うというか、自分の価値を上げていくためには、どうすれば良いのか考えるようになりましたね。今だらから言いますけど(笑)」

――アハハハ、素直な気持ちを聞くことができて嬉しいです。

「当時は『勝ちたい。強くなりたい。UFCに行きたい』とか言っていました。でもどこかで自分のブランドをつくり、NavEという名前を広げて、この格闘技で生きていく道を探していたんじゃないですか。そんななかで自分の価値を上げてくれたことについて、グラジエイターや正道会館には感謝しています。

次がラストファイトでも、試合をするかぎりは勝ちたいです。最後だから『良い試合して、負けてもいい』とは思わなくて、やっぱり勝ちたい。勝ってMMA成仏したいですね。NavEのMMA成仏を看取りに来てください」

■Gladiator036 対戦カード

<Gladiatorフライ級選手権試合/5分3R>
[王者] 今井健斗(日本)
[挑戦者] NavE(日本)

<ストロー級/5分3R>
諸井友祐(日本)
クォン・ミンス(韓国)

<フェザー級/5分3R>
國頭武(日本)
田口翔太(日本)

<バンタム級/5分3R>
上田祐起(日本)
ライダーHIRO(日本)

<ヘビー級/5分2R>
爆音那智(日本)
高橋マーク(日本)

<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
竹野海佑(日本)

<バンタム級/5分2R>
上荷大夢(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<ライト級/5分2R>
徳野”一心”一馬(日本)
伊藤幸真(日本)

<フライ級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
亀井修真(日本)

<フェザー級/5分2R>
吉澤颯馬(日本)
貴之(日本)

<フェザー級/5分2R>
そのまんまたなか(日本)
松本将希(日本)

<フライ級/5分2R>
デンジャラスダイスケ(日本)
木下皓介(日本)

<ストロー級/5分2R>
田中優樹(日本)
滝川慎悟(日本)

<バンタム級/5分2R>
矢野星凪(日本)
HIROTO(日本)

<NGF フライ級/5分1R>
田中仁(日本)
藤原健介(日本)

<NGF フライ級/5分1R>
髙橋良河(日本)
小山智也(日本)

<NGF フライ級/5分1R>
富士谷雅也(日本)
﨑濵輝(日本)

<NGF バンタム級/5分1R>
中野銀仁(日本)
横田瑠吾(日本)

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