【Gladiator Kick001】吉鷹弘氏が語る新団体スタートと顧問就任「これが自分の最後の役目なのかな、と」
【写真】写真は6月に行われた旗揚げ発表会見の時のもの。今回、顧問就任への熱い想いが語られた(C)GLADIATOR
20日(月・祝)、大阪市中央区のW大阪で、キックボクシングの新団体「Gladiator Kick」が旗揚げ興行を行う。6月16日に大阪市内で行われた会見では、第1回S-cupトーナメント優勝者で、現在は「チーム吉鷹」を主宰する吉鷹弘氏がGladiator Kickの顧問に就任することが発表された。
Text by Shojiro Kameike
10周年を迎えたグラジの櫻井雄一郎代表が、新たにキック団体を立ち上げる。その内容については櫻井代表がインタビューで語っているが、今回は旗揚げ戦を前に顧問の吉鷹氏に話を聞いた。長らくの間、選手の指導・育成に専念してきた吉鷹氏が、なぜここで新団体の運営に携わることになったのか。そこには、吉鷹氏自身が歩んできた道のりと想いが隠されていた。
――長い間イベント運営に関わることなく、チームの指導に専念していた吉鷹さんがGladiator Kickの顧問に就任したのは少し意外でした。まずは顧問就任の経緯から教えていただけますか。
「櫻井から話を聞いたのは2年半ぐらい前ですね。『今はアマチュアキック(※KYOKEN AMATEUR KICK)の運営に参画していて、参加者も多く選手も育ってきました。いずれ次のステップとして、プロの団体を求めてくるでしょう。やはりアマチュアの大会を運営していくためにも、プロの団体が必要ではないかと思っています』と。
格闘技だけでなく何の仕事においてもそうですけど、何でも東京がメインじゃないですか。しかし関西でも器をつくりたいということで。MMAのGladiatorでいえば、地方イベントでもそこまで認められている団体は、そこまで存在しないと思います。キックボクシングでもそれに近い状態を創りたい――と櫻井から聞き、自分も『なるほどなぁ』と」
――2年半前にはすでにGladiator Kickの構想があったのですね。
「はい。櫻井と初めてしっかりと喋ったのはコロナ前の2019年だったと思いますが、チーム吉鷹の忘年会ですね。やっぱり選手が第一の人間で、東京だけでなく地方でもチャンスを与えたいという話を聞いて、当時『自分もそろそろ動かなアカンのかな』と思いましたね」
――『自分もそろそろ……』というのは、ずっと指導だけでなくイベントのために動きたいという気持ちを持っていたということですか。
「もともとはシュートボクシングの中にいて、関西SBの興行には2008年から2009年ごろまではマッチメイクを手伝ったりしていました。そこから退いて、もう17年が経ちます。そこで今、なぜ『そろそろ動かなアカン』と思ったかというのは――団体が増えたとはいえ、キックは特に地方の子になかなかチャンスが回ってこない。これだけ団体が増えたのに、年間4試合している選手って、どれだけいます? ヘタしたら年間1~2試合でしょう。
昔のボクシングのようですよ。昔はね、関西から後楽園ホールのリングに上がる選手は少なかったんです。だから僕が年に何試合も後楽園ホールで試合させてもらっていると、ボクシング界の人から羨ましがられました。今は立ち技系団体もそれに近い状態で。
もちろん地方からも東京でたくさん試合をしている選手もいます。でも、そのためには実力だけでなくスポンサーさんとか、後ろ盾も必要でしょうし。ただね、試合したら輝く選手はたくさんいるんですよ。そういう選手を発掘したいし、発掘せなアカン。なぜそう思うかといえば、僕が地方の人間やから」
――吉鷹さんも現役時代から大阪に拠点を置き、東京で世界の強豪と戦い続けました。だからこそ関西ファイターの現状が分かる、と。
「基本的に地方の選手は、東京の選手の2~4倍練習して、どんな試合でも受けなきゃダメです。でもそこまでできる選手も、なかなかいないじゃないですか。だからまずは関西で土台を創り、檜舞台に送り出してあげることは自分の最後の役目なのかな、と。
以前からそういうことは考えていましたけど、なかなか動く機会もありませんでした。それで櫻井に団体の話を聞かされた時『あぁ、コレは……』と思いましたね。
それこそ今から30年前、僕がTBSの報道番組に出演した時——当時は地方の選手でそういう扱いをされることは少なかったと思います。そこで『なぜ東京に行かなかったのか』と訊かれて。『皆が皆、東京に行くなかで、一人ぐらい反発するのがいても良いやろう』と言いましたやっぱり何でも大阪は東京の2番手で、それを覆そうと思いました。東京の人たちはよく『格闘技をやるなら東京に出てくれば?』と言いますよね。それは芸能界でも何でも同じです。でも家や仕事の事情で、東京に行けない選手もいるわけで。
櫻井は本気でその状況を覆そうとしている。それやったら一緒にやるか、と。ただ格闘技の団体は、これまでも無数に生まれて消えていった。さらに新しい団体に関わるとなったら、いろいろとダイレクトに言われましたよ(苦笑)。まぁ、言ってきていないだけで僕に何か言いたい人も、まだまだいるでしょうし」
――えぇっ!? 例えば、どのようなことを言われるのですか。
「なぜ今から新しい団体に関わるのか。今、発展している団体を広めていくほうが良いんじゃないか。そのほうが吉鷹さんも力を発揮できるのでは――という意見が多いですね。やっぱり新しい団体って、立ち上がってすぐ消えることは多いじゃないですか。そのリスクを考えると……。年齢的にも僕は今年59歳で、その年齢で新しいことをやるのかとも言われました。ずっと指導はチーム吉鷹で続けているので、その面は問題ないです。ただイチから団体を起こす、となるとね。何より団体が乱立するキックボクシング界ですし。アハハハ」
――……。
「何が正しいのかは分からないですよ。ただ、今回のマッチメイクも関西の選手だけでなく、ウチのチームに来ている他の地方の選手にもチャンスを与えました。だからGladiator Kickは大阪ではなく、東京以外の全選手に目を向けるということです」
――確かに今回のマッチメイクを見ると、いわゆるローカル団体の王者が出場しています。ただ、それはそれで良いのではないかと思います。ローカル団体の王者が一堂に介し、そのなかで統一王者のような存在が決まり、上のステップへ送り出していくというコンセプトのプロモーションがあって然るべきで。
「僕も同じように考えています。ローカル団体のチャンピオンは首都圏では認められていないし、正直言えば僕たちも分からない部分が多いですよ。だからこそ集めて戦ってもらったら、良い選手が出て来るかもしれない。ベルト云々という話もありますけど、とりあえず一回やってみて『どの選手がどうやったら伸びていくかな』という点を主体に見ていきたいですね。Gladiator Kick首脳陣の中でも、そういった点を見るのが僕の役目だと思っています」
――大会運営、競技運営、そして人材育成のバランスは重要です。一方で大会運営と競技運営の面で、ひとつお聞きしたい点がありました。現在、世界的に行われているMMAグローブのムエタイに対する見解をお願いします。
「世界的に見れば今、打撃の世界の頂点はONEですよね。僕が現役の時は、トップどころはムエタイでした。K-1が生まれたあとも、やはりミドル級より下はムエタイ、タイ人が強い。だから僕も首相撲とヒジ&ヒザあり、3分5Rに挑戦していて。そして今はタイの強い選手がONEに集まってMMAグローブのムエタイを行っている。Gladiator Kickのコンセプトが『地方から世界へ』である以上、やはりそのルールでやらないといけないという想いはありました。これは櫻井から話があった時、僕が伝えたんです。MMAグローブのムエタイをやらないと――なんだか逃げているような気がして。
ただ国内でも最も多く行われているルールが、いわゆる1キャッチ1アタックですよね。人材の育成という面で、多くの地方選手に出場してもらいたい。そう思って、この2つのルールを採用することになりました」
――その「世界へ」という吉鷹さんの熱意を受けて……かどうかは分かりませんが、Gladiator Kickでは7.2メール四方のリングを採用すると、櫻井代表がインタビューで明らかにしていました。7.2メール四方といえば、よほどのビッグイベントでないと使われない大きさです。
「アハハハ。そういうのも普段なら止めるんです。だけど櫻井は損得を考えずに行動する。それが彼の良いところだと思っています。団体を立ち上げて、続けていけば色んなこともあるでしょう。人の入れ替わりもあるかもしれません。格闘技団体は、そういうことがずっと続いてきたじゃないですか。それで櫻井に『もしかしたら自分とお前の2人だけになるかもしれん。それでも続ける覚悟はあるか?』と訊いたら、彼は『やる』と。だから僕もやると決めたんですよね。櫻井が団体の代表ではあるけど、僕は彼を『櫻井』と呼びます。それが僕と彼との距離やし、そういう想いを込めているので」
――なるほど。人材という面で、今回出場するなかで吉鷹さんが注目している選手を教えてください。
「夜の部のコメインに出る高山敦ですね。豊橋のARES所属で、今は月2~3回ぐらいウチにも練習に来ています。18歳で6戦ぐらい経験していて(5戦1敗)、6月21日にスック・ワンキントーンのベルト(※スーパーバンタム級)を獲りました。ルックスも良いし、スター性があると思いますよ。今回は昼夜興行で昼のコメインがウチの荒尾祐太、夜のコメインが高山ということで、ここでしっかり目立つ試合をしてほしいです。
それと今は高山だけでなく、ウチに練習に来る選手も10代が増えてきていて、みんな強いんですよ。そういう子たちがプロデビューして育ち、強くなって世界に巣立つための場が、まさしくGladiator Kickだと考えています」
■視聴方法(予定)
Gladiator Kick YouTubeチャンネルにて後日、試合映像を公開
■Gladiator Kick 001 昼の部 対戦カード
<キック 83キロ契約/3分3R +ExR>
山口ショータ(日本)
小山寛太(日本)
<ムエタイ ミドル級/3分3R+ExR>
荒尾祐太(日本)
チェ・チャンヒョン(韓国)
<キック スーパーフェザー級/3分3R+ExR>
けんたろう(日本)
白鳥光希(日本)
<ムエタイ スーパーフェザー級/3分3R+ExR>
奥山琉星(日本)
瀧澤直樹(日本)
<キック 54キロ契約/3分3R+ExR>
久保翔愛(日本)
松本陽勇(日本)
<キック フェザー級/3分3R+ExR>
久保英明(日本)
小寺澤唯人(日本)
<キック フェザー級/3分3R+ExR>
小野寺輝夫(日本)
大岩祐輝(日本)
<キック バンタム級/3分3R+ExR>
岡田和真(日本)
万次郎(日本)
■Gladiator Kick 001 夜の部 対戦カード
<キック 61キロ契約/3分3R +ExR>
乱太郎(日本)
R¥UZO(日本)
<キック バンタム級/3分3R+ExR>
拳徳(日本)
高山敦(日本)
<ムエタイ 80キロ契約/3分3R+ExR>
森井翼(日本)
チェ・ソンテ(韓国)
<キック ライト級/3分3R+ExR>
貴之(日本)
マルコ・ダニエル(ブラジル)
<キック スーパーライト級/3分3R+ExR>
前倉洸(日本)
灸太琅8日本)
<キック スーパーライト級/3分3R+ExR>
大聖(日本)
ヤン・アウベス(ブラジル)
<キック ウェルター級/3分3R+ExR>
光輝(日本)
TAKUYA(日本)













