【ROMAN05】ボンサイ柔術を背負って――マルコス・ソウザ「道着MMAだと、柔術が十分に生かされる」
【写真】柔術=ライフ。そも想い、柔術愛が満ち満ちていたマルキーニョス(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都の大田区産業プラザPIOで開催されるROMAN05でマルキーニョスこと、マルコス・ヨシオ・ソウザが大場慎之助と戦う。
Text by Manabu Takashima
マルキーニョスはボンサイ柔術の長として多くの生徒を引っ張り、実弟サトシ、クレベル・コイケらプロファイターのコーチングも行うという多忙ななか、昨年10月以来の道着MMAに挑む。
一門を率いる重圧を感じながらも、身の内に宿った戦いの炎を消すことができないマルキーニョスをインタビューすると、溢れんばかりの柔術愛が伝わってきた。
チームのリーダーとして、凄くプレッシャーを感じている
――マルキーニョスとはもう呼べないほどビッグな存在になってしまいましたが、引き続きマルキーニョスと呼ばせてください(笑)。
「アハハハハハ。本当におかしいよね。子供のころ、パパやママ、兄が僕のことをマルキーニョス(小さなマルコス)と呼んでいて、今も皆にそう呼ばれ続けている」
――そんなマルキーニョスですが、日曜日にはROMAN5での大場慎之助選手との道着MMAマッチが控えています。今の心境はいかがですか。
「なんだか、胃が固まっているように感じられるんだ。チームのリーダーとして、凄くプレッシャーを感じている。どれだけ多くの人達がソウザという姓を持つ僕のことを信頼し、信用してくれているか」
――ボンサイ柔術を代表してRIZINで戦っていた2022年7月に引退を公表しました。2024年にイゴール・タナベ戦が発表されましたが、その試合が流れマルキーニョスはRIZINのリングに戻ることはなかったです。
「以前は自分のための練習を2部練、3部練としていたけど、今は浜松、磐田、渋谷で指導をしているから、プロフェッショナルとして試合に出られるだけのトレーニングはできないんだ。それにサトシ、クレベル、ヒロ・ヤマニハ、そして生徒たちのサポートの方に力を入れているしね。ただ、まだ心の中では葛藤することもあるんだ」
――それもあってROMANで道着MMAを戦ったのですか。
「そうだね。何と言っても、ルールが僕に合っている。僕にとって最大の武器は柔術だからね。ムエタイやレスリングの練習もしていたけど、僕の戦いの軸は絶対的に柔術で。それは誰もが知っていることだよ」
――今のMMAは如何に柔術を戦わないか。そういうコンペティションでもあるかと思います。
「イエス、イエス。でも道着MMAだと、柔術が十分に生かされる。ROMANの道着MMAは、柔術社会にとっても凄く良い活動だし、そこで僕も役に立てると思うんだ。マーケティング面でもそうだし、生徒達が戦うという点においてもね」
――実際に去年の10月に道着MMAを戦った時に、何か特別な感じがしましたか。
「まず100人もの生徒たちが、応援に駆けつけてくれた。それが凄くエネルギーになった。最高にモチベーションを高めてくれたよ。今回もそうだけど、僕がハードに練習することも、皆に良い影響を与えることができるように思うしね。
日曜日の試合でも、もう80枚はチケットを買ってくれた人達がいる。きっと僕の試合が始まると皆、お祭り気分になって、大きな声をあげて応援してくれるだろう(笑)。自分の名前が叫ばれることが、どれだけ気持ちを強くしてくれるか」
――と同時に、ナーバスになってしまうと。
「その通りだよ(笑)。それに今回はムリーロも同じ大会で戦う。僕の競技人生は兄と一緒に試合に出ることから始まった。そしてサトシと一緒の日に戦うこともあった。今回は一番下の弟と一緒に戦う。3つのジェネレーションと、一緒に試合をするだなって(笑)。それに兄弟だけでなくクレベルが試合をするときもそうだけど、セコンドに就くと自分の試合時以上に緊張する。それもでも、ボーイズたちのことは100パーセント信頼しているし、勝てるという自信もある。彼らがどれだけ練習をして、如何に可能性が高いかを知っているから。
今回もムリーロが僕より前に戦うけど、やっぱり少しナーバスになっている。でも、やっぱり100パーセント自信を持っている」
――肉親の試合があっても、100パーセント自分の試合に集中できるモノですか。
「本音を言えば、難しいよ。試合になると100パーセント、フィニッシュすることを考えているけど。でも、プロとして試合に向けて、万全を期してきた。過去にサトシ、クレベル、(関根)秀樹というチームメイトと、同じ日に戦ってきた。ただ、今回は少し状況が違う。ムリーロにとっては、今回の試合がデビュー戦になるから。彼はMMAでは白帯だからね(笑)。それでも絶対の自信を持っているよ」
――マルキーニョスが実際に戦う姿を見せることは、教え子たちに良い影響を与えることができるのでしょうか。
「そうだね。どれだけ指導をしていても、僕が教える柔術が本当に有効なのかと疑われたりしてね。『指導はしていても、MMAを戦っていないじゃないか』とさえ言われたこともある。あまり尊敬されていなかったよ(笑)。でもMMAを戦ったことで、僕が試合に出ると彼らに良い影響を与えることが分かった。
ボンサイ柔術でもギレルメ(ナカガワ)、(佐藤)ゆうじ、(畠山)祐輔のような新しい世代の選手たちがパンクラスやGrachanでMMAを戦うようになった。今、僕は良い生活ができている。良い車に乗って、良いジムがある。柔術とMMAで、そういう人生を手に入れることができることを彼らに見せることができた。
10年前だと柔術の先生といっても、それでちゃんとした収入を得ることができるなんて思われていなかった。ファミリーと良い生活ができるとは、誰も信じていなかった。でも、今の僕は生徒にそう見せることができている。柔術の練習を頑張ることでファイターになれるだけでなく、良い暮らしができると思って、彼らも頑張ることができる」
愛する人たちに、情熱を注ぎ続けてきたモノを見てもらう
――柔術の普及度、浸透度もマルキーニョスが日本にやってきた頃とはまるで違うのではないでしょうか。
「そうだね。それを今回はブラジルから試合を見に来る母に見てもらうことができるんだ。凄く嬉しいよ。僕は工場で働くために日本にやってきた。母は僕の将来を少し心配していた。でも、今の僕の姿を見てもらうことができる。兄もやってくるし、家族が揃うんだよ」
――おお、素晴らしいです。
「僕が愛する人たちに、情熱を注ぎ続けてきたモノを見てもらうことができる。必死に取り組めば、願いが叶う。そうやって僕が今の暮らしを手にできたことを知ってもらうのは、僕の生徒達だけでなく、柔術界の人々にとって良いことだと思うんだ」
――マルキーニョスが柔術に必死に取り組んだように、ROMANを開く人たちは道着MMAの普及に懸命になっています。道着MMAの可能性をマルキーニョスはどのように感じていますか。
「これからのROMANのことを考えると、ワクワクしてくるよ。UFCがグラップリングファイトを始めた。ヨーロッパではPolarisが多くのイベントを開き、ずっと継続している。ブラジルではBJJ Starsがビッグイベントを行っている。ROMANはそれらのイベントと匹敵するような存在に、日本でなるだろう。アジアではONEがいくつかグラップリングの試合を組んでいるけど、言うまでもなくONEの中心軸はムエタイとキックボクシングだからね。
QUINTEDもあるけど、道着があるのがROMANだけだからね。ROMANにはVale Tudo、道着柔術、そして柔術と3つのルールがある。それだけ可能性があると思うんだ。僕もROMANで柔術の良さを知ってもらうために、必死で練習してきた。質の高い試合をして、ただ試合に勝つだけでなく、素晴らしいショーにしたい。
今では柔術からMMAに転向しようと思っても、簡単じゃない。でも道着MMAを経ると、MMAに転向しやすくなる。特に道着MMAは、他では見られない戦いだ。ROMANが今より潤沢な資金を得らえると、柔術の世界チャンピオンやブラジルや米国のビッグネームも参戦するようになるはずだよ。日本×ブラジル、日本×米国なんていう試合が見られるようになると本当に楽しいだろうね」
僕の柔術と、日本の柔術の違いを見て欲しい
――そんな道着MMAで戦う大場選手の印象は?
「あまり試合前に、対戦相手のことは話したくないんだ。僕のゲームは変わらない。やることはテイクダウンして、柔術で戦うだけ。背が高いようだけど、彼がどんな技を使うのかも知らない。尊敬心を持って戦う。同時に、僕は自分のやるべきことをやるだけで。ベストファイト・オブ・ザ・ナイトになるような試合がしたい」
――道着があると、テイクダウンができなくても引き込めるということはありますか、
「アハハハ。あるよ。グラウンド、特にクローズドガードは道着がないとコントロールするのが本当に難しい。でも道着があれば、クローズドガードは普通の柔術のように使えるようになる。そこが面白いんだよ」
――では改めて、日曜日はどのような柔術を見せたいと思っていますか。
「そうだね……僕が黒帯になって22年。僕の柔術が、日本の柔術家たちと違うことを見せたい。僕はブラジルで白帯から黒帯まで巻いてきた。この黒帯は、ブラジルの黒帯だ。僕の柔術の方が優れていて、危険だと思っている。ベルナウド・ファリア、アンドレ・ガルバォン、ホムロ・バハロという柔術界のトップ選手と試合をしてきた。そういうトップ選手のプレッシャーを感じると、他の選手との試合は絶対的に違ってくる。世界のトップと戦ってきた僕の柔術と、日本の柔術の違いを見て欲しい。
同時に僕はブラジル人だけど、どれだけの多くの日本の人達の愛にサポートされてきたことか。柔術、RIZIN、MMAイベントで日本の人たちが、僕のことをどれほど尊敬してくれたか。日本が僕に与えてくれた全てのことに感謝している。だからこそ、柔術を通して僕の全てを伝えたいと思っている」
■視聴方法(予定)
7月12日(日)
午後12時45分~ U-NEXT
■ROMAN05 対戦カード
<ROMAN CONBAT 無差別級/15分1R>
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)
大場慎之助(日本)
<ROMAN CONBATライト級/15分1R>
ソ・ジェヒョン(韓国)
トミー矢野(日本)
<R.O.M.A. RULES無差別級/30分1R>
ウー・ドンシン(台湾)
ダニエル・シウバ(ブラジル)
<ROMAN CONBATバンタム級/15分1R>
渡部修斗(日本)
杉本寛樹(日本)
<ROMAN CONBATフェザー級王座決定T一回戦/15分1R>
エリック・メネギン(ブラジル)
勝呂駿(日本)
<ROMAN CONBATフェザー級王座決定T一回戦/15分1R>
清水俊一(日本)
橋本圭右(日本)
<ROMAN CONBAT フェザー級王座決定T一回戦/15分1R>
竹本啓哉(日本)
寺本雄輝(日本)
<ROMAN CONBAT フェザー級王座決定T一回戦/15分1R>
谷井翔太(日本)
松本大輔(日本)
<ROMAN柔術 85キロ契約/7分1R>
濱岸正幸(日本)
ダシルバ英樹(ブラジル)
<ROMAN柔術 ライト級/7分1R>
北田俊亮(日本)
安齋アーロン(日本)
<ROMAN CONBAT 無差別級/10分1R>
マルロン・ゴドイ(ブラジル)
佐竹アレックス(日本)
<ROMAN CONBAT ミドル級/10分1R>
西村刀(日本)
ムリーロ・タケシ・ソウザ(ブラジル)
<ROMAN CONBAT バンタム級/15分1R>
市川剛希(日本)
ハネッキン・シウバ(ブラジル)














